若の里の現役時代を数字で振り返ると、長期間にわたって幕内上位で活躍した実績が際立つ。
日本相撲協会の公式力士プロフィールに掲載されている生涯戦歴は、次のとおりだ。
三賞受賞は合計10回!殊勲賞4回の実績
若の里は、幕内優勝こそ経験していないものの、三賞では合計10回の受賞を記録している。
| 賞の種類 | 受賞回数 | 評価されるポイント |
|---|---|---|
| 殊勲賞 | 4回 | 横綱・大関など上位力士への活躍 |
| 敢闘賞 | 4回 | 場所を通じた健闘 |
| 技能賞 | 2回 | 相撲技術の高さ |
| 合計 | 10回 | 三賞受賞歴 |
特に注目したいのは殊勲賞4回という数字だ。
殊勲賞は、横綱や大関を倒すなど、上位力士に対する活躍が評価される賞である。幕内上位で戦い続けた若の里の勝負強さを示す実績だ。
また、敢闘賞4回、技能賞2回という受賞歴からも、単に勝ち星を重ねるだけではなく、場所ごとの取り組み内容が評価されていたことが分かる。
金星2個も獲得した実力者
若の里は、金星も2個獲得している。
金星とは、平幕力士が横綱に勝利した際に記録される殊勲の星だ。
横綱との対戦機会がある幕内上位で長く戦い、実際に金星を獲得したことは、若の里の実力を示す重要な記録といえる。
なお、日本相撲協会の公式プロフィールでは金星2個と記録されている。三賞の受賞回数と混同せず、金星は別の実績として把握しておきたい。
得意技は左四つ・寄り!若の里の相撲スタイル
若の里の得意技は、公式プロフィールでも左四つ・寄りと記載されている。
左四つとは、組んだ際に左手を相手の右腕の内側に差す形を基本とする組み手だ。そこから相手の体勢を崩し、前に出て寄り切るのが得意な攻め方となる。
このスタイルは、相手と組んでから力を発揮する四つ相撲の典型的な形だ。
若の里の特徴は、組み手をつくってから相手を追い詰める相撲を長く続けてきた点にある。派手な技だけに頼らず、基本動作と組み合った状態での攻防を大切にしてきた力士だった。
【若の里の引退は2015年9月場所】23年半の現役生活に幕
2015年9月3日、若の里は現役引退を表明した。
初土俵から約23年半。39歳まで土俵に立ち続けた力士人生に区切りをつけ、年寄「西岩」を襲名することになった。
引退発表の背景には、2015年7月の名古屋場所での成績があった。
当時、十両に在位していた若の里は4勝11敗に終わり、幕下への陥落が決定的になっていた。1997年11月場所の新十両昇進以来、長く守り続けてきた関取の地位を失うことが避けられない状況だった。
日刊スポーツなどの報道によれば、若の里は地元青森で開催される8月の夏巡業への参加を希望し、引退表明を先延ばしにしていた。その後、9月3日に正式に引退を発表した。
引退会見で見せた師匠との絆
引退会見では、師匠であり同期入門の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)とともに出席した。
報道によれば、会見では師匠が涙を見せ、若の里もその姿につられて涙を流したという。
若の里は23年以上の力士生活を振り返り、まだ現役を続けたい気持ちがあった一方、身体がついてこなくなったことを引退の理由として語った。
この会見が印象的なのは、単に実績を残した力士の引退というだけではない。同期入門の仲間が師匠となり、その師匠とともに土俵人生の終わりを迎えたという、相撲部屋ならではの人間関係が表れていたからだ。
2015年9月場所と引退時期の整理
若の里の引退については、2015年7月場所と9月場所の情報が混同されることがある。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2015年7月 | 名古屋場所で4勝11敗 |
| 2015年8月 | 青森の夏巡業に参加 |
| 2015年9月3日 | 現役引退を発表 |
| 2015年9月場所 | 日本相撲協会の公式記録上の引退場所 |
| 引退後 | 年寄・西岩を襲名 |
したがって、2015年9月場所前の引退発表と、公式プロフィールに記載されている引退場所は矛盾しない。
現役として最後まで大切にしたのは、出身地である青森への思いでもあった。長年応援してきた地元の人々に姿を見せてから引退するという選択には、若の里の人柄が表れている。
【若の里の引退後の活動】田子ノ浦部屋から西岩部屋の師匠へ
引退後の若の里は、年寄・西岩を襲名し、指導者としての新しい道を歩み始めた。
その歩みは大きく2段階に分けられる。
第1段階:田子ノ浦部屋で後進を指導
2015年の引退後、若の里は田子ノ浦部屋の部屋付き親方として活動した。
部屋付き親方とは、部屋の師匠を補佐し、所属力士の稽古や生活面の指導に携わる親方のことだ。
現役時代に長年経験してきた幕内上位の戦い方や、怪我と向き合いながら土俵に立つ難しさなど、実体験に基づいた指導ができる立場になった。
また、現役時代の師匠である元横綱・隆の里の鳴戸親方から受け継いだ稽古への姿勢も、指導の土台になっている。
第2段階:2018年に独立して西岩部屋を設立
2017年11月、日本相撲協会の理事会で西岩部屋の新設が承認された。
そして2018年2月1日、東京都台東区寿に西岩部屋が正式に発足した。
これは、若の里が現役引退後に掲げていた部屋設立という目標を実現した節目だった。
西岩親方は、現役時代の師匠だった鳴戸親方の教えや、さらにその師匠にあたる元横綱・初代若乃花の二子山部屋の指導理念を意識しながら、自分自身の考えも取り入れた部屋づくりを目指していたことが当時の報道から分かる。
若の里から西岩へ、名前は変わっても相撲への姿勢は変わらない
若の里という四股名は、現役時代の実績とともに相撲ファンに知られている。
一方、引退後の西岩という名前は、師匠としての責任を担う立場を象徴する。
| 項目 | 現役時代 | 引退後 |
|---|---|---|
| 名前 | 若の里忍 | 西岩忍 |
| 立場 | 関脇力士 | 年寄・師匠 |
| 所属 | 田子ノ浦部屋(引退時) | 西岩部屋 |
| 主な役割 | 本場所で勝利を目指す | 力士の育成・部屋の運営 |
| 活動の中心 | 取組・稽古 | 指導・稽古・後進育成 |
現在の西岩親方は、かつて自分が受けた指導を次の世代に伝える側にいる。
この変化こそ、若の里の引退後の活動を理解するうえで最も要点だ。
【若の里の自伝『たたき上げ』】現役時代の苦労と相撲人生を知る一冊
若の里の現役時代を深く知りたい人にとって、重要な資料となるのが自伝『たたき上げ』だ。
2016年5月30日に発売されたこの本は、本人が23年半の力士人生を振り返った一冊である。
自伝に書かれた5つのテーマ
出版社の紹介によると、本書は以下の構成になっている。
1. 相撲との出会い、そして旅立ち
2. 稽古漬けの青春
3. 大関取りへの道は険しく
4. 引退の花道に、こらえきれず涙
5. たたき上げの誇り
中学卒業と同時に15歳で上京した若の里が、鳴戸部屋で稽古に励み、関脇まで昇進する過程が描かれている。
特に興味深いのは、華々しい成績だけではなく、怪我による手術や師匠の急逝など、順調な出世だけでは語れない苦労も扱っている点だ。
また、全星取表も付録として収録されているため、相撲ファンが当時の成績を振り返る資料としても価値がある。
なぜ『たたき上げ』というタイトルなのか
若の里は、15歳で角界に入り、厳しい稽古を積み重ねながら関脇まで上り詰めた力士だ。
最初から華々しい地位を与えられたわけではない。序ノ口から番付を上げ、十両、幕内、三役と、一つずつ階段を上ってきた。
この歩みを象徴する言葉が「たたき上げ」だ。
自伝の価値は、914勝という数字だけでは見えない、力士としての長い時間と、その過程で得た経験を本人の視点から知ることができる点にある。
現役時代の若の里を知る人はもちろん、西岩親方の指導者としての考え方を理解したい相撲ファンにもおすすめできる一冊だ。
【若の里に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:若の里は2026年現在、何をしている?
A1:2026年現在は、日本相撲協会に所属する年寄・西岩忍として活動している。東京都台東区の西岩部屋で師匠を務め、力士の育成や部屋の運営に携わっている。
Q2:若の里の本名は何?
A2:本名は古川忍。1976年7月10日生まれで、青森県弘前市出身だ。
Q3:若の里の最高位は何?
A3:最高位は関脇。2001年1月場所に関脇へ昇進した。三役には合計26場所在位している。
Q4:若の里の生涯戦歴は?
A4:日本相撲協会の公式記録では、914勝783敗124休(140場所)。幕内戦歴は613勝568敗124休(87場所)となっている。
Q5:若の里の三賞と金星はいくつ?
A5:殊勲賞4回、敢闘賞4回、技能賞2回で、三賞は合計10回。金星は2個獲得している。
Q6:若の里はいつ引退した?
A6:2015年9月場所が公式記録上の引退場所。2015年9月3日に現役引退を発表し、年寄・西岩を襲名した。
Q7:西岩部屋はいつ設立された?
A7:2018年2月1日に独立して発足した。東京都台東区寿に拠点を置き、西岩親方が師匠を務めている。
Q8:若の里の自伝は何という本?
A8:『たたき上げ 若の里自伝』。大空出版から2016年5月30日に発売された。15歳での入門から関脇への昇進、引退までの半生が収録されている。
まとめ:若の里の914勝は西岩親方としての指導につながっている
元関脇・若の里は、青森県弘前市から角界に入り、23年半にわたる現役生活で914勝783敗124休という生涯戦歴を残した力士だ。
最高位は関脇。殊勲賞4回、敢闘賞4回、技能賞2回、金星2個という実績に加え、三役連続在位19場所という記録も持つ。
2015年9月に現役を引退した後は、年寄・西岩を襲名。田子ノ浦部屋で後進の指導を経験し、2018年2月には念願だった西岩部屋を創設した。
2026年現在、若の里という力士の名前は現役の土俵から離れている。しかし、西岩親方としての活動には、15歳から積み重ねてきた稽古、勝負の経験、師匠から受け継いだ教えが生きている。
若の里の歩みを知るなら、現役時代の勝ち星や三賞だけでなく、引退後に西岩部屋を立ち上げた経緯まで見ることが大切だ。914勝を積み重ねた力士が、今度は次の力士を育てる。その歩みこそ、若の里という力士のキャリアを締めくくる重要な物語である。
主な参考資料:日本相撲協会公式「力士プロフィール」「年寄プロフィール」「西岩部屋紹介」、西岩部屋公式ウェブサイト、大空出版『たたき上げ 若の里自伝』、日刊スポーツ、デイリースポーツの引退・独立関連記事。