二所ノ関部屋の歴史を理解するには、旧二所ノ関部屋、松ケ根部屋、荒磯部屋という3つの名称を区別する必要があります。
特に2021年12月の改称は、単純に部屋の名前を変更しただけではありません。年寄名跡の継承と相撲部屋の継承が同時に行われた、相撲界の重要な出来事でした。
二所ノ関部屋の創設は2021年?歴史を時系列で整理
現在の二所ノ関部屋につながる直接の出発点は、2021年8月1日に創設された荒磯部屋です。
稀勢の里は2019年1月場所限りで現役を引退し、荒磯親方として後進の指導に携わりました。そして2021年8月、田子ノ浦部屋から独立して荒磯部屋を立ち上げています。
当初は筑波大学の施設を稽古場として利用していましたが、阿見町に新しい部屋を建設する計画を進めました。
その後、同年12月に年寄名跡を継承し、二所ノ関部屋へと名称を変更しています。
二所ノ関部屋の歴代師匠と名称変更の関係
| 時期 | 師匠・部屋名 | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 2013年1月まで | 旧二所ノ関部屋・元関脇金剛 | 大鵬らを輩出した伝統ある部屋が閉鎖 |
| 2014年12月 | 元大関若嶋津・二所ノ関部屋 | 松ケ根部屋から改称して二所ノ関の名称が復活 |
| 2021年8月1日 | 元横綱稀勢の里・荒磯部屋 | 田子ノ浦部屋から独立して新設 |
| 2021年12月24日 | 元横綱稀勢の里・二所ノ関部屋 | 二所ノ関の年寄名跡を継承し、荒磯部屋から改称 |
| 2022年6月5日 | 元横綱稀勢の里・二所ノ関部屋 | 茨城県阿見町の新施設で部屋開き |
この年表で重要なのは、2014年に復活した二所ノ関部屋と、2021年に誕生した現在の二所ノ関部屋は、同じ名称を持ちながら継承の経緯が異なるという点です。
2013年に閉鎖された旧二所ノ関部屋は、元関脇金剛が師匠を務めていました。横綱玉錦や大鵬などを輩出した名門です。
2014年12月には、元大関若嶋津の松ケ根親方が二所ノ関の年寄名跡を襲名し、松ケ根部屋を二所ノ関部屋へ改称しました。
そして2021年12月、元横綱稀勢の里が二所ノ関を襲名。一方、それまで二所ノ関部屋だった部屋は、元関脇玉乃島の放駒親方が継承して放駒部屋となりました。
つまり、現在の二所ノ関部屋は、旧二所ノ関部屋の建物や弟子をそのまま受け継いだものではなく、荒磯部屋が伝統ある年寄名跡と部屋名を受け継いだものです。
この違いを理解すると、インターネット上で見かける「二所ノ関部屋が放駒部屋になった」という情報の意味も分かります。それは2021年12月に起きた、旧部屋と新部屋の名称・継承関係の整理を指しています。
日本相撲協会の理事会発表と日刊スポーツの当時の報道が、この経緯を裏付けています。
稀勢の里はなぜ二所ノ関を襲名したのか
稀勢の里は茨城県牛久市出身で、現役時代は第72代横綱として活躍しました。
2017年には初場所、春場所と連続優勝を果たし、横綱としての地位を確立。2019年1月場所で現役を引退しました。
引退後は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で学び、2021年3月に修了しています。
その後、荒磯部屋を創設し、同年12月に二所ノ関を襲名しました。
二所ノ関という名跡は、横綱大鵬らを輩出した伝統ある名称です。稀勢の里がこの名跡を継いだことで、歴史的な看板と新しい育成環境が結び付くことになりました。
【稽古方針を分析】稀勢の里が目指す科学的な力士育成
二所ノ関部屋の特徴は、相撲の伝統を守りながら、科学的な考え方やスポーツ科学を取り入れた指導を行っていることです。
これは単なる施設の新しさだけではありません。稀勢の里自身が現役時代に経験した身体づくりや、大学院で学んだスポーツ科学が背景にあります。
伝統的な稽古とスポーツ科学の融合
二所ノ関部屋の公式ホームページでは、力士の育成方針として、愛される力士と怪我に強い力士を育てることを掲げています。
また、土俵を2面設置した理由についても、力士が稽古の順番を待つ時間を減らし、効率よく練習できる環境を整えるためと説明しています。
こうした設備面の工夫には、従来の相撲部屋の生活環境を見直そうとする姿勢が表れています。
具体的には次のような特徴があります。
- 基礎運動の重視: 四股、すり足、鉄砲などの基本動作を大切にする。
- 身体の使い方: 身体の中心軸や呼吸、丹田の意識を重視する。
- 稽古環境: 2面の土俵を使い、練習の効率化を図る。
- 身体づくり: 力士の体格や成長段階に合わせた身体づくりを行う。
- 地域との交流: 子どもたちへの相撲指導や地域イベントにも取り組む。
2026年のインタビューで語られた稽古量への考え方
2026年2月に公開されたMAGIC INTERVIEWの二所ノ関親方へのインタビューでは、稽古の量と質について興味深い考えが語られています。
親方は、当初は稽古の質を重視して短時間で効率よく鍛える方向を試したものの、その後、稽古量を増やして身体に動きを覚えさせることの重要性を再認識したと説明しています。
特に大の里については、2026年1月に稽古量を増やすよう伝えた経緯にも触れています。
ここで注目したいのは、単純に長時間稽古をさせることが目的ではない点です。
繰り返し身体を動かすことで基本の型を定着させ、力士自身が技術的な発見を得る機会を増やすという考え方です。
また、指導者がすべての答えを与えるのではなく、力士本人が考え、気づくことを大切にしています。
大の里の横綱昇進が示した育成の成果
大の里が横綱へ昇進したことは、こうした育成方針を語るうえで象徴的な出来事です。
もちろん、一人の横綱が誕生したからといって、すべての指導方法が証明されたわけではありません。
しかし、部屋を創設してから数年で横綱を育てたことは、二所ノ関部屋の実績として大きな意味を持ちます。
今後は大の里に続く関取や三役、さらには新たな横綱候補が育つかどうかが、部屋の指導力を測る要点になります。
【稽古見学・後援会】二所ノ関部屋を応援する方法
二所ノ関部屋に興味を持った人の中には、実際の稽古を見学したい人や、後援会に入会して力士を応援したい人もいるでしょう。
ここでは、公式ホームページに掲載されている制度を整理します。
二所ノ関部屋の稽古見学は一般公開されている?
二所ノ関部屋の稽古見学は、誰でも自由に参加できる一般公開形式ではありません。
公式ホームページのお問い合わせ欄によると、稽古場の収容人数に限りがあるため、後援会会員限定で、日時を指定した見学会を随時開催しています。
地方場所の宿舎についても同様の扱いです。
したがって、部屋の前に行けば自由に稽古を見られるというわけではありません。
見学を希望する場合は、後援会の制度を確認したうえで、部屋側に開催日程や参加条件を問い合わせる必要があります。
二所ノ関部屋の後援会の会費と特典
二所ノ関部屋では、個人会員と法人会員の両方を募集しています。
公式ホームページに掲載されている個人会員の料金は次のとおりです。
法人会員の年会費
年額。金額によって特典が異なります。
個人会員は月額制で、茨城県以外に住んでいる人でも入会できます。
また、複数口で加入した場合は、口数に応じて稽古見学会やちゃんこ会への同伴人数が増える仕組みです。小学生以下の子どもは無料で同伴できます。
法人会員には、番付やカレンダーの送付、記念品、ちゃんこ会への招待などの特典があります。会費に応じて、部屋への企業名の掲載やのぼりの掲示なども用意されています。
なお、実際の加入条件や特典は、申し込み時点の会員規約と公式案内を確認することが大切です。
後援会に入るメリットは?
後援会への入会には、主に3つの意味があります。
1. 力士の成長を継続的に応援できる。
2. 番付や記念品などを通じて部屋とのつながりを持てる。
3. 条件を満たせば稽古見学会やちゃんこ会に参加できる。
単に人気力士を応援するだけでなく、幕下以下の若い力士の成長を見守れることも後援会の魅力です。
大の里や白熊のような関取だけでなく、これから番付を上げていく力士にも目を向けたい人には、後援会という応援方法が適しています。
【二所ノ関の現在に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:二所ノ関は相撲部屋ですか、それとも一門ですか?
A1:両方の意味があります。二所ノ関部屋は稀勢の里が師匠を務める一つの相撲部屋です。一方、二所ノ関一門は二所ノ関部屋や放駒部屋、佐渡ヶ嶽部屋など複数の相撲部屋が所属するグループです。
Q2:2026年現在、二所ノ関部屋の師匠は誰ですか?
A2:第72代横綱・稀勢の里です。親方としての年寄名は二所ノ関寛で、2021年12月に年寄二所ノ関を襲名しました。
Q3:二所ノ関部屋の大の里は現在何番ですか?
A3:2026年11月場所では東横綱です。第75代横綱で、2025年7月場所から横綱に在位しています。
Q4:二所ノ関部屋の白熊は幕内力士ですか?
A4:2026年11月場所では西十両九枚目です。2024年9月場所に新入幕を果たしており、幕内最高位は前頭十六枚目です。
Q5:二所ノ関部屋の稽古は誰でも見学できますか?
A5:一般向けの自由見学は実施されていません。公式案内では後援会会員限定の日時指定制で見学会を開催しています。
Q6:二所ノ関部屋はいつ創設されましたか?
A6:現在の部屋の前身となる荒磯部屋は2021年8月1日に創設されました。同年12月24日に二所ノ関部屋へ改称し、2022年6月5日に阿見町の新施設で部屋開きを行っています。
まとめ:二所ノ関部屋の現在と今後の注目ポイント
2026年11月現在の二所ノ関部屋は、第72代横綱・稀勢の里が師匠を務め、茨城県阿見町を拠点とする相撲部屋です。
大の里は第75代横綱として東横綱に位置し、白熊は十両で幕内復帰を目指しています。幕下以下にも多くの力士が所属しており、次世代の関取候補を育てる環境が整っています。
【プロの結論】二所ノ関を理解する3つの判断基準
二所ノ関について調べるときは、次の3点を区別すると情報を正しく読み取れます。
- 組織を知りたい場合: 二所ノ関部屋と二所ノ関一門を区別する。前者は一つの相撲部屋、後者は複数の部屋からなるグループ。
- 現在の力士を知りたい場合: 日本相撲協会の最新番付と部屋紹介を確認する。過去の番付や古い所属力士一覧では現在の状況と異なる場合がある。
- 歴史を知りたい場合: 2013年の旧部屋閉鎖、2014年の名跡による再興、2021年の荒磯部屋からの改称を分けて理解する。
今後の最大の注目点は、大の里に続く新たな関取をどれだけ育てられるかです。
横綱経験者の指導、科学的な稽古環境、地域と連携した相撲普及活動。この3つを組み合わせた二所ノ関部屋の取り組みは、単に強い力士を育てるだけでなく、相撲部屋のあり方そのものにも新しい視点をもたらしています。
二所ノ関という名前の歴史を受け継ぎながら、新しい相撲部屋を築いていくこと。 それが2026年の二所ノ関部屋を理解するうえで、最も大切なポイントです。