「朝潮親方 クズ」という検索キーワードが生まれた背景には、元大関・朝潮として活躍し、長年にわたって高砂部屋を率いた長岡末弘氏の2021年の不祥事がある。問題となったのは、日本相撲協会が新型コロナウイルス対策として定めた外出規制への違反や、弟子の大関・朝乃山を会食に同席させていたことだった。
長岡氏は2020年に高砂部屋の師匠を交代し、錦島親方として協会に残っていたが、2021年6月に一連の問題の責任を取る形で退職した。日本相撲協会のコンプライアンス委員会も、その行動を厳しく批判している。その後、2023年11月2日に小腸がんのため67歳で亡くなった。2026年現在、本人から新たな説明を聞くことはできない。
【朝潮親方とは何者?】元大関・長岡末弘と錦島親方の関係
「朝潮親方」と呼ばれている人物は、元大関・朝潮太郎として活躍した長岡末弘氏である。現役時代の四股名と、引退後に襲名した年寄名跡が異なるため、検索上では複数の名前が使われている。
1955年12月9日、高知県室戸市生まれ。近畿大学時代にはアマチュア横綱と学生横綱を2年連続で獲得し、1978年春場所に高砂部屋から幕下付け出しで初土俵を踏んだ。
持ち味は強烈なぶちかましと突き押し。1983年5月に大関へ昇進し、1985年春場所には13勝2敗で幕内初優勝を果たした。大関在位は36場所、通算成績は564勝382敗33休。三賞は14回獲得している。
1989年春場所で現役を引退した後は、年寄山響、若松を経て、2002年2月に7代目高砂を襲名。名門・高砂部屋の師匠として後進の育成に取り組んだ。日本相撲協会の理事も2000年から2008年まで4期8年務めている。
特に知られているのが、横綱・朝青龍と大関・朝乃山の育成だ。朝青龍を横綱に育て上げ、朝乃山も大関へ昇進させた実績は、指導者としての大きな功績だった。
ただし、2021年の問題が起きた当時、長岡氏はすでに高砂親方ではなかった。2020年11月26日付で年寄名跡を交換し、自身は錦島親方に、後任は元関脇・朝赤龍の高砂親方になっていた。この名前の変遷が、報道や検索結果を理解するうえで重要になる。
【なぜ「クズ」と検索される?】2021年のコロナ規制違反と朝乃山との会食問題
長岡氏に対して厳しい評価が集まった最大の理由は、新型コロナウイルス感染拡大期に、日本相撲協会が定めた感染対策ガイドラインに違反する行動を繰り返していたことだ。
当時の大相撲では、力士や親方など協会関係者に対して不要不急の外出を控えるよう求めていた。本場所の開催や力士の健康を守るため、協会全体で感染対策を徹底していた時期である。
ところが、2021年5月に大関・朝乃山の外出規制違反が発覚し、協会が調査を進めたところ、先代師匠だった錦島親方の行動にも問題が見つかった。
繰り返されていた飲酒を伴う会食
日刊スポーツが2021年6月11日に報じた日本相撲協会の調査内容によると、錦島親方は2020年7月場所、11月場所、2021年1月場所、3月場所の各本場所13日目に、観戦に訪れた知人らと飲食を伴う会食をしていた。
さらに問題視されたのが、付け人を同席させた飲食だった。報道によると、2020年7月以降、部屋の近隣にある飲食店で、週に2〜3回ほど付け人を伴う飲食を繰り返していたという。
これは単発の外出ではなく、協会が感染対策を求めていた期間に複数回行われた行動だった。しかも、弟子の生活や行動を管理する立場にあった親方自身が規則を守っていなかった点が、強い批判につながった。
朝乃山を同席させた会食も発覚
もう一つ大きな問題となったのが、2020年末に行われた家族らとの会食だった。この席には、当時高砂部屋に所属していた大関・朝乃山も同席していたと報じられている。
朝乃山は2021年5月、夏場所前の外出禁止期間中に接待を伴う飲食店へ出入りしていた問題が発覚した。報道によれば、当初は協会の聞き取りに対して事実を否定したものの、その後の再聴取で内容を認めている。
ここで区別すべきなのは、朝乃山のキャバクラ通いと錦島親方の会食は別の問題だという点だ。錦島親方について確認されたのは、外出規制期間中の飲食や付け人との会食、朝乃山を同席させた家族らとの会食などであり、朝乃山のキャバクラ通いに同行したという事実とは異なる。
朝乃山には2021年6月11日の臨時理事会で6場所の出場停止と6カ月間の報酬50%減額が決定した。大関としての地位を失う重大な処分となり、師弟関係をめぐる問題も大きく注目された。
こうした一連の出来事から、長岡氏には「指導者としての自覚が足りなかったのではないか」という批判が向けられた。検索キーワードに含まれる「クズ」という強い言葉も、この不祥事への反発と結び付いている。
【2021年6月の退職まで】錦島親方の問題を時系列で整理
今回の騒動を理解するには、朝乃山の違反が発覚する前から、長岡氏がどのような立場にあったのかを確認する必要がある。
重要なのは、2020年11月の高砂部屋の師匠交代、2021年5月の朝乃山の問題発覚、そして6月のコンプライアンス委員会による調査と退職という流れだ。
| 時期 | 出来事 | 関係・意味 |
|---|---|---|
| 2020年7月 | 飲酒を伴う会食などが確認される | 協会の外出規制期間中の行動 |
| 2020年11月26日 | 高砂から錦島へ名跡を交換 | 元朝潮が師匠を退き、元朝赤龍が高砂部屋を継承 |
| 2020年12月 | 65歳の定年を迎える | 再雇用制度で参与として協会に残る |
| 2020年末 | 家族らとの会食に朝乃山が同席 | 後の協会調査で判明 |
| 2021年5月 | 朝乃山の外出規制違反が発覚 | 協会による調査が本格化 |
| 2021年6月1日 | 錦島親方が退職願を提出 | 一連の問題の責任を取る形 |
| 2021年6月10日 | 退職願が受理される | 協会を退職 |
| 2021年6月11日 | 臨時理事会で退職を発表 | 朝乃山には6場所出場停止などの処分 |
| 2023年11月2日 | 長岡末弘氏が死去 | 小腸がんのため67歳で亡くなる |
この経緯は、2021年6月11日の日刊スポーツ、スポーツニッポン、デイリースポーツなどの報道と、2023年11月の日刊スポーツによる訃報で確認できる。
特に重要なのは、錦島親方が2021年6月1日に退職願を提出し、10日に受理され、11日に協会から発表されたという流れだ。単に定年を迎えて自然に相撲協会を去ったわけではない。定年後の再雇用期間中に発覚したガイドライン違反が退職の直接的な背景にあった。
【コンプライアンス委員会の見解】なぜ指導者として厳しく批判されたのか
長岡氏の問題が単なる外出規制違反として扱われなかったのは、本人が長年にわたり相撲協会の運営に携わり、高砂部屋の師匠として弟子を指導してきた人物だったからだ。
日本相撲協会は八角理事長の判断でコンプライアンス委員会に調査と処分意見の取りまとめを委嘱した。2021年6月4日には、朝乃山、高砂親方、錦島親方の3人が委員会から聴取を受けている。
委員会が問題視した「無責任かつ無自覚」な行動
日刊スポーツが報じたコンプライアンス委員会の意見には、錦島親方の行動について、次のような厳しい評価が記されていた。
「あまりにも無責任かつ無自覚な言動は言語道断」
加えて、指導者としての資質にも疑問を呈し、その言動が朝乃山の不行状を生んでしまった側面があると批判されてもやむを得ない、という趣旨の指摘も行われた。
つまり、問題の本質は本人が外出したことだけではない。弟子に規則の遵守を求める立場でありながら、自ら規則を守らず、付け人や弟子を会食に同席させていた点にある。
師匠交代後も高砂部屋に住み続けていた問題
委員会がもう一つ注目したのが、2020年11月の師匠交代後の部屋の運営体制だった。
長岡氏は高砂部屋の師匠を退き、元関脇・朝赤龍に高砂の名跡を譲っていた。しかし、師匠交代後も長岡氏は部屋に住み続け、後任の高砂親方は自宅マンションから部屋へ通う生活をしていたと報じられている。
通常、相撲部屋の師匠には弟子たちの日常生活を把握し、規律を守らせる役割がある。ところが、旧師匠と新師匠の居住・監督体制が明確でなかったことが、管理上の問題を生む一因になったと委員会は指摘した。
現高砂親方の監督が十分でなかった背景についても、先代師匠が部屋に住み続けていたことが関係しているとされた。委員会は、この点についても長岡氏の責任は重大だという見解を示している。
退職は懲戒解雇だったのか?
ここには誤解されやすいポイントがある。コンプライアンス委員会は、錦島親方に対して報酬減額の懲戒処分が相当と判断していた。
一方、定年後に再雇用された参与という立場を踏まえ、退職願を受理することも検討すべきだという意見を付け加えていた。
最終的には本人の退職願が受理されたため、日本相撲協会として別途の懲戒処分を科す形にはならなかった。したがって、退職を懲戒解雇と表現するのは正確ではない。
また、長年にわたって協会運営に貢献してきたことについては委員会も考慮していた。功績を認めることと、不祥事への責任を問うことは別問題として扱われたのである。
【朝青龍を育てた名伯楽】朝潮親方の功績と評判の両面
長岡氏の人物像を2021年の不祥事だけで説明することはできない。現役時代の実績に加え、指導者として残した功績も大きかった。
横綱・朝青龍を育てた高砂部屋の師匠
2002年に高砂部屋を継承した長岡氏は、後に第68代横綱となる朝青龍を育て上げた。朝青龍は圧倒的な身体能力と勝負への執念で一時代を築き、長岡氏の指導者としての実績を象徴する力士となった。
一方、朝青龍が現役時代に起こした暴行問題などをめぐっては、師匠としての指導力不足も指摘された。日刊スポーツの2023年の訃報記事でも、朝青龍の問題をめぐり長岡氏の指導責任が問われ、協会内での役職が降格した経緯が紹介されている。
つまり、朝青龍を横綱に育てた功績がある一方、問題を起こした弟子への監督責任という課題も抱えていた。
朝乃山を大関まで育てた実績
もう一人の代表的な弟子が朝乃山だ。長岡氏は朝乃山の入門時の師匠であり、幕内優勝や大関昇進まで成長を見守った。
朝乃山は2020年に大関へ昇進し、長岡氏が師匠として育てた力士の代表格となった。しかし、その後の2021年にガイドライン違反が発覚し、師弟双方が協会の調査対象となった。
この問題では、弟子本人の行動だけでなく、師匠がどのような規範を示していたかという点が問われた。指導者の行動が弟子の意識や部屋全体の規律に影響するという、相撲部屋の運営における根本的な課題が表面化したのである。
「大ちゃん」と呼ばれた親しみやすい人物像
現役時代から引退後まで、長岡氏は「大ちゃん」という愛称で親しまれていた。日刊スポーツの訃報記事では、陽気なキャラクターや豪放磊落な性格も紹介されている。
2021年の問題以前から、長年にわたって協会の広報部長などを務め、相撲界の運営にも関わってきた人物だった。
そのため、2021年の退職は単に一人の親方が協会を去ったというだけではなく、長く角界を支えた元大関が不祥事によってキャリアの最後を迎えた出来事として受け止められた。
【2023年に67歳で死去】朝潮親方の現在とネット上の評判・真相
長岡末弘氏は、相撲協会を退職した後、2023年11月2日に小腸がんのため67歳で亡くなった。訃報は翌3日に報じられた。
日刊スポーツによると、長岡氏は亡くなる約1年前に小腸がんを発症し、闘病とリハビリを続けていた。2021年6月の退職から約2年5カ月後のことだった。
したがって、2026年現在の長岡氏の状況を調べている人に対しては、すでに死去していることが正確な回答となる。現在の高砂部屋で活動している親方と、元朝潮の長岡氏を混同しないことも大切だ。
「クズ」という評価はどこまで事実なのか
「クズ」という表現は、人物に対する強い否定的評価であり、日本相撲協会の公式な認定や処分名称ではない。
一方で、長岡氏の行動に対する批判には、明確な根拠がある。協会のガイドライン違反が調査で判明したこと、複数回の会食や付け人の同席が確認されたこと、朝乃山を会食に同席させていたこと、そしてコンプライアンス委員会が指導者としての資質を厳しく批判したことだ。
こうした事実を踏まえれば、指導者としての責任を問う批判が生まれたことには理由がある。ただし、検索語に強い否定的な言葉が使われているからといって、それが相撲ファン全体の総意を示すわけではない。
功績と不祥事は分けて評価する必要がある
長岡氏には、元大関としての優れた競技実績、朝青龍や朝乃山を育てた指導者としての功績、相撲協会の理事を務めた組織運営の経験がある。
その一方で、2021年のガイドライン違反は協会の調査で明らかになり、本人も退職願を提出している。長年の功績があっても、指導者自身が規則を守らなかった問題は軽視できない。
また、朝乃山の不祥事をすべて長岡氏の責任に帰することも適切ではない。朝乃山自身にも外出規制違反や協会への説明をめぐる責任があり、それぞれの行動を区別して考える必要がある。
人物の評価を考える際には、次の3点を判断基準にするとよい。
- 事実関係:協会の調査で認定された行動と、ネット上で付け加えられた推測を区別する。
- 責任の範囲:本人の違反、弟子の違反、部屋の管理体制という異なる問題を混同しない。
- 人物の全体像:現役時代や指導者としての功績と、晩年の不祥事をそれぞれ評価する。
長岡氏の評判をめぐる議論では、この3点を押さえることで、単なる誹謗中傷や過度な美化に流されず、報道された事実に基づいた判断ができる。
【朝潮親方の「クズ」という検索に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:朝潮親方がクズと言われる最大の理由は何ですか?
A1:2021年に日本相撲協会の新型コロナ対策ガイドラインに違反し、飲酒を伴う会食や付け人との飲食を繰り返していたことです。加えて、弟子の朝乃山を会食に同席させていたことや、指導者としての責任をコンプライアンス委員会から厳しく指摘されたことも批判の理由になっています。
Q2:朝潮親方と錦島親方は同じ人物ですか?
A2:同じ人物です。元大関・朝潮の長岡末弘氏は、2020年11月に高砂の年寄名跡を後任に譲り、自身は錦島親方となりました。2021年6月の退職時も錦島親方という名称で報道されています。
Q3:朝潮親方は朝乃山と一緒にキャバクラへ行ったのですか?
A3:そのような事実が協会の調査で認定されたわけではありません。長岡氏について確認されたのは、外出規制期間中の飲食を伴う会食や、2020年末に朝乃山が同席した家族らとの会食です。朝乃山のキャバクラ通いは別の問題です。
Q4:朝潮親方はなぜ2021年6月に退職したのですか?
A4:朝乃山のガイドライン違反をきっかけとする調査で、自身のガイドライン違反も判明したためです。コンプライアンス委員会は報酬減額の懲戒処分が相当と判断しましたが、本人が提出した退職願が2021年6月10日に受理されました。
Q5:朝潮親方は現在どうしていますか?
A5:元大関・長岡末弘氏は2023年11月2日、小腸がんのため67歳で亡くなっています。2026年現在、すでに故人です。
Q6:朝潮親方は朝青龍を育てた人物ですか?
A6:はい。2002年に高砂部屋を継承した長岡氏は、後に第68代横綱となる朝青龍を育てました。朝乃山も大関に育てており、指導者としての実績は大きい一方、弟子の問題をめぐる監督責任も指摘されていました。
まとめ:朝潮親方への批判は2021年の事実に根拠がある
「朝潮親方 クズ」という検索が生まれた背景には、元大関・長岡末弘氏が2021年に起こした新型コロナ対策ガイドライン違反がある。
錦島親方として協会に残っていた長岡氏は、外出規制期間中に飲酒を伴う会食を繰り返し、付け人や朝乃山を会食に同席させていた。コンプライアンス委員会は、本人の行動を指導者として無責任かつ無自覚だと厳しく批判した。
2021年6月10日に退職願が受理され、翌11日に協会が退職を発表。その後、2023年11月2日に小腸がんのため67歳で亡くなった。
一方、長岡氏には元大関としての実績や、横綱・朝青龍、大関・朝乃山を育てた功績も残されている。
今回の問題から見えてくるのは、相撲部屋の師匠に求められる責任の重さだ。弟子に規律を守らせる立場の人間こそ、自らが率先して規則を守らなければならない。長岡氏の2021年の問題は、相撲界における指導者の責任と組織のコンプライアンスを考えるうえで、今も重要な事例となっている。