2026年11月4日現在、大相撲では元幕内の矢後、千代丸、大奄美、英乃海をはじめ、関取経験者を含む多くの力士が現役生活に別れを告げている。特に9月の秋場所後には、矢後、出羽ノ城、朝阪神、房州山ら9人の引退が明らかになり、角界の世代交代が改めて注目された。日本相撲協会の公式発表と力士プロフィールを確認すると、所属部屋、現役時代の最高位、引退発表日、引退後の進路には、それぞれ異なる事情がある。
2026年に引退した元関取経験者は10人。千代丸は若者頭として協会に残り、矢後は母校の中央大学相撲部で指導者を務める予定となっている。一方、大奄美や英乃海、剣翔のように、相撲界の外で新しい仕事に挑戦する力士もいる。最新の引退力士一覧から、引退理由、現在の活動、親方になるための条件まで整理する。
【2026年最新】日本相撲協会が発表した大相撲引退力士一覧
2026年の引退情報で特に注目されるのが、9月場所後の発表だ。
日本相撲協会の公式サイト「引退力士情報」によると、9月25日に矢後、9月30日に8人の引退が発表された。合わせて9人が秋場所を最後に現役を退いている。
今回の発表では元幕内の矢後だけでなく、現役最重量級の力士として知られた出羽ノ城や、特徴的なしこ名で親しまれた朝阪神、房州山も名前を連ねた。
2026年9月場所の引退力士9人
| 四股名 | 引退時の番付 | 所属部屋 |
|---|---|---|
| 矢後 | 西三段目22枚目 | 押尾川 |
| 出羽ノ城 | 西三段目67枚目 | 出羽海 |
| 朝阪神 | 西序二段17枚目 | 高砂 |
| 房州山 | 西序二段25枚目 | 境川 |
| 黎大丸 | 西序二段26枚目 | 式秀 |
| 山野邊 | 西序二段54枚目 | 出羽海 |
| 天清 | 東序ノ口6枚目 | 玉ノ井 |
| 大光 | 東序ノ口21枚目 | 阿武松 |
| 遥人 | 番付外 | 錣山 |
出典:日本相撲協会「引退力士情報」、2026年9月25日・30日発表。
この一覧から分かるのは、引退する力士の番付が必ずしも高位とは限らないことだ。
幕内経験者が再び関取を目指して土俵に立つ一方、三段目や序二段、序ノ口で競技生活を続けてきた力士にも、それぞれの引退の節目が訪れる。
2026年に引退した元関取経験者は10人
2026年は秋場所までに、次の10人の元関取経験者が引退を発表している。
- 1月16日:大奄美
- 2月13日:大翔鵬
- 3月6日:紫雷
- 3月20日:千代栄
- 3月23日:千代丸
- 3月23日:英乃海
- 4月6日:剣翔
- 5月25日:勇磨
- 7月25日:大翔丸
- 9月25日:矢後
ここでいう元関取経験者とは、現役時代に十両以上へ昇進したことがある力士を指す。
引退発表日と引退場所は必ずしも同じではない。引退届の受理日と、日本相撲協会の力士プロフィールに記載される引退場所を分けて確認することが大切だ。
【経歴・番付比較】千代丸・大奄美・英乃海ら2026年の引退力士10人
2026年の引退力士を理解するうえで、所属部屋と最高位を並べると、それぞれのキャリアの違いが見えてくる。
以下は日本相撲協会の公式プロフィールと引退発表を基に整理した一覧だ。
| 力士名 | 所属部屋 | 現役時の最高位 | 引退発表日 | 引退後の進路 |
|---|---|---|---|---|
| 大奄美 | 追手風 | 前頭11枚目 | 1月16日 | 飲食業を希望 |
| 大翔鵬 | 追手風 | 前頭9枚目 | 2月13日 | 輸入関連の仕事 |
| 紫雷 | 木瀬 | 十両2枚目 | 3月6日 | 公表情報なし |
| 千代栄 | 九重 | 十両8枚目 | 3月20日 | 公表情報なし |
| 千代丸 | 九重 | 前頭5枚目 | 3月23日 | 若者頭 |
| 英乃海 | 木瀬 | 前頭6枚目 | 3月23日 | 不動産業 |
| 剣翔 | 追手風 | 前頭6枚目 | 4月6日 | 焼き肉店経営 |
| 勇磨 | 阿武松 | 十両13枚目 | 5月25日 | 公表情報なし |
| 大翔丸 | 追手風 | 前頭5枚目 | 7月25日 | 発表時点で未定 |
| 矢後 | 押尾川 | 前頭10枚目 | 9月25日 | 中央大学相撲部コーチ予定 |
この表で注目したいのは、元幕内力士の引退後の進路が一つではないことだ。
現役時代に幕内で活躍した実績があっても、全員が親方になるわけではない。協会に残る人もいれば、一般社会で新たなキャリアを築く人もいる。
特に千代丸、矢後、大奄美、英乃海、剣翔は、引退後の進路が具体的に報じられており、2026年の引退力士を代表する事例となっている。
【引退後の現在】矢後・出羽ノ城・朝阪神・房州山・千代丸はどうしている?
引退力士を検索する読者が最も気になるのは、土俵を離れた後の生活だろう。
ここでは、2026年に引退した力士のうち、特に注目度の高い5人の現在を詳しく見ていく。
矢後:中央大学相撲部で後進の指導へ
所属部屋:押尾川部屋
最高位:西前頭10枚目/引退発表:2026年9月25日
矢後太規は北海道河西郡芽室町出身。埼玉栄高校、中央大学を経て角界に入り、2017年5月場所に初土俵を踏んだ。
2019年1月場所には新入幕を果たし、最高位は前頭10枚目。左四つからの寄りを持ち味とし、幕内では4場所を経験した。
しかし、近年は膝のけがに苦しみ、関取復帰が難しい状況が続いていた。
2026年9月25日、秋場所13日目の取組を最後に引退届を提出。日本相撲協会に受理された。
引退後の進路として明らかになったのが、母校・中央大学相撲部での指導だ。
11月2日には故郷の芽室町を訪問し、町長への引退報告を行った。芽室町が11月4日に公開した情報でも、中央大学相撲部のコーチとして後進を育成する予定であることが紹介されている。
現役時代に培った経験を学生相撲へ還元する道を選んだ形だ。
出羽ノ城:現役最重量力士からイベント・タレント活動へ
所属部屋:出羽海部屋
最高位:幕下44枚目/引退発表:2026年9月30日
出羽ノ城こと金城周汰は、2026年の引退力士の中でも特に大きな注目を集めた人物だ。
身長190.5センチ、体重252キロという巨体を持ち、現役最重量力士として知られていた。
2012年3月場所に初土俵を踏み、2021年11月場所には自己最高位の東幕下44枚目まで昇進。約14年間にわたって土俵に立ち続けた。
引退の背景には、右足首などのけがによる身体的な負担と、長く応援してくれた祖父を亡くしたことがあったと本人が報じられている。
最後の取組となった2026年9月場所14日目には、鳩岡を寄り切りで破り、白星で現役生活を締めくくった。
引退後はイベント業やタレント活動に取り組む予定。加えて、将来的には故郷に戻って農業にも挑戦したいという希望を明かしている。
相撲で培った知名度や体格を、新しい仕事に生かそうとしている点が特徴的だ。
朝阪神:個性的なしこ名で知られた元力士
所属部屋:高砂部屋
最高位:三段目24枚目/引退発表:2026年9月30日
朝阪神虎吉は大阪府泉大津市出身。本名は塩本直輝で、2016年3月場所に初土俵を踏んだ。
四股名の「朝阪神」は、相撲ファンだけでなく、プロ野球・阪神タイガースのファンにも印象を残す名前だった。
最高位は三段目24枚目。2026年9月場所では西序二段17枚目に在位していた。
生涯戦歴は210勝224敗、63場所。序二段優勝を1回記録している。
引退後の具体的な職業や所属先については、現段階で公表された情報が限られている。日本相撲協会のプロフィールでは引退力士として記録されている。
房州山:境川部屋で経験を積んだ若手力士
所属部屋:境川部屋
最高位:序二段7枚目/引退発表:2026年9月30日
房州山は千葉県市原市出身。本名は東海有真で、2020年3月場所に初土俵を踏んだ。
最高位は序二段7枚目。2026年9月場所では西序二段25枚目に在位していた。
生涯戦歴は118勝140敗8休、39場所。幕内や十両への昇進経験はない。
引退後の活動については、具体的な職業や新しい所属先が公表されていないため、現在の進路は今後の発表が待たれる。
朝阪神と同じく、幕内経験者だけでなく、各段で相撲を続けてきた力士にも引退の節目があることを示す事例だ。
千代丸:引退後は親方ではなく若者頭に
所属部屋:九重部屋
最高位:前頭5枚目/引退発表:2026年3月23日
千代丸一樹は、愛嬌のある表情と大きな体格で人気を集めた元幕内力士だ。
2007年5月場所に初土俵を踏み、2014年3月場所に新入幕。最高位は前頭5枚目で、幕内在位は31場所に及ぶ。
生涯戦歴は614勝631敗44休。十両優勝も1回記録している。
2026年3月23日、日本相撲協会は千代丸の引退届を受理したことを発表。同時に、今後は若者頭になることも明らかにした。
現在、日本相撲協会の若者頭一覧にも千代丸一樹の名前が掲載されている。
ここで間違えやすいのが、若者頭と親方の違いだ。
若者頭は年寄名跡を襲名した親方とは異なる協会内の職務で、主に力士養成員の監督や前相撲の進行、新弟子の世話などを担当する。
千代丸は土俵を離れた後も、協会の仕事を通じて大相撲を支える立場に移ったのである。
【引退理由を検証】元幕内力士たちはなぜ土俵を去ったのか
力士の引退理由は一人ひとり異なる。
年齢や番付の下降だけで判断することはできない。けが、体力の変化、関取復帰の難しさ、本人の人生設計など、複数の事情が関係している。
2026年の主な引退事例を見ると、その違いがよく分かる。
矢後:膝のけがが引退の決め手
矢後は、膝のけがが引退を決断する大きな理由になったと会見で説明している。
過去には十両から幕下へ陥落し、その後も関取復帰を目指して土俵に立ち続けていた。
しかし、けがの回復が思うように進最初に、競技生活に区切りをつけた。
出羽ノ城:身体的な負担と気持ちの変化
出羽ノ城は巨体を武器にしてきた一方、その体格が身体への負担にもなっていた。
本人は、けがによって気持ちが薄れていたことや、祖父の死を引退の背景として語っている。
大翔鵬:長年苦しんだ腰痛
大翔鵬は2026年2月13日に引退を発表した。
モンゴル出身で、追手風部屋に所属。最高位は西前頭9枚目だった。
持病の腰痛が再び悪化し、治療やリハビリを続けても関取復帰が難しいと判断したことが、引退の大きな理由となった。
英乃海:関取復帰を逃して新しい人生へ
英乃海は2026年3月場所で西幕下3枚目に在位していた。
7番相撲で敗れて3勝4敗となり、十両復帰の可能性が遠のいたことを受けて引退を決断した。
本人は引退会見で現役生活に区切りをつけた心境を語り、今後は不動産業に挑戦することを明かした。
剣翔:左膝の故障と焼き肉店経営への転身
剣翔は最高位前頭6枚目の元幕内力士。
2026年3月場所では西十両12枚目で15戦全敗となり、左膝の故障も抱えていた。
4月の引退会見では、以前から携わってきた焼き肉店「桃松苑」の代表取締役社長に就任することを発表した。
6月6日には結婚披露宴と断髪式を同日に開催。引退後は実際に店頭で接客にも携わっている。
大翔丸:体が思うように動かなくなった
大翔丸は2026年7月に引退を発表した。
幕内在位は19場所。2022年名古屋場所で幕下に陥落して以降、関取復帰を果たせなかった。
本人は、以前のように体が動かず、自分の思う相撲が取れなくなったことを引退理由として説明している。
こうした事例を比較すると、引退は単純な番付の問題ではなく、身体の状態と本人の将来設計が重なって決断されることが分かる。
【引退後の進路】若者頭・親方・一般企業への転身はどう違う?
現役引退後の力士には、大きく分けて角界に残る道と、角界の外へ出る道がある。
ただし、引退したからといって自動的に親方になれるわけではない。
1. 若者頭として協会に残る
千代丸が選んだのが若者頭だ。
日本相撲協会の説明によると、若者頭は力士養成員の監督を中心に、相撲競技や本場所の運営を支える役職である。
主な仕事には次のようなものがある。
- 新弟子や力士養成員の世話
- 前相撲の進行や段取り
- 新序出世力士への対応
- 本場所における運営補助
- 協会の指示に基づく業務
親方のように部屋の師匠として力士を育てる立場とは異なるが、現場の経験を生かして相撲界を支える重要な役割だ。
2. 親方になるには年寄名跡が必要
大相撲で一般的に「親方」と呼ばれる人の正式名称は「年寄」。
現役引退後に年寄として協会に残るには、年寄名跡を襲名する必要がある。
年寄名跡は105あり、希望すれば誰でも取得できる制度ではない。
一般的な襲名資格の基準には、次のようなものがある。
| 条件 | 主な基準 |
|---|---|
| 横綱・大関経験 | 横綱または大関としての在位経験 |
| 三役経験 | 関脇・小結に1場所以上在位 |
| 幕内在位 | 通算20場所以上 |
| 関取在位 | 十両以上で通算30場所以上 |
日本国籍などの要件もあり、部屋の継承に関する特例も設けられている。
加えて、年寄資格審査委員会による審査と理事会の承認が必要になる。
つまり、現役時代に幕内で活躍した実績があっても、年寄名跡の襲名が確約されるわけではない。
3. 一般企業・自営業・指導者への転身
2026年の引退力士を見ると、角界の外で活動する選択肢も多様化している。
このように、飲食業、不動産業、輸入関連事業、学生相撲の指導など、現役時代の経験や人脈を生かした転身が見られる。
引退後の成功を考える際には、最高位だけでなく、本人がどのような仕事を希望し、どのような準備を進めているかにも注目したい。
【歴代引退力士一覧の調べ方】公式情報と報道の違いを見分ける
大相撲の引退力士を調べる際には、日本相撲協会の公式情報を基準にするのが確実だ。
特に確認したいのは、次の4項目である。
引退発表日
協会が引退届の提出と受理を発表した日。報道された会見日と一致するとは限らない。
引退場所
協会の力士プロフィールに記載される、現役最後の場所に関する情報。
現役時代の最高位
幕内、十両、幕下などの最高到達番付。引退時の番付とは区別する必要がある。
引退後の所属・職業
若者頭、年寄、世話人などとして協会に残るのか、一般企業や自営業へ進むのかを確認する。
引退力士の情報を確認する3つの方法
1. 日本相撲協会の「引退力士情報」で場所ごとの発表を確認する。
2. 力士プロフィールで最高位、生涯戦歴、所属部屋、引退場所を確認する。
3. 引退会見や本人の発言を報じた新聞社の取材記事で、その後の進路を確認する。
また、日本相撲協会の「過去の成績・番付検索」では、平成25年1月場所から令和8年11月場所までの記録を確認できる。
歴代引退力士一覧を調べる場合も、四股名だけで検索するより、引退場所や所属部屋を組み合わせると、同名・改名による混同を避けやすい。
【大相撲引退力士に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年に引退した元関取経験者は何人ですか?
A1:2026年9月までに引退を発表した元関取経験者は10人です。大奄美、大翔鵬、紫雷、千代栄、千代丸、英乃海、剣翔、勇磨、大翔丸、矢後が該当します。
Q2:千代丸は引退後に親方になったのですか?
A2:いいえ。2026年3月23日の引退発表時に、若者頭になることが公表されました。親方(年寄)とは異なる役職で、力士養成員の監督や本場所の運営補助などを担当します。
Q3:矢後は引退後、何をしていますか?
A3:2026年11月4日時点で、母校の中央大学相撲部でコーチを務める予定です。11月2日には故郷の北海道芽室町を訪問し、引退を報告しています。
Q4:出羽ノ城は引退後も相撲関係の仕事を続けますか?
A4:イベント業やタレント活動に取り組む予定です。また、将来的には故郷で農業にも挑戦したいという希望を明かしています。
Q5:引退した力士は全員、親方になれるのですか?
A5:いいえ。親方になるには年寄名跡の襲名資格を満たし、審査や承認を受ける必要があります。若者頭や世話人として協会に残る方法や、一般企業・自営業へ転身する方法もあります。
まとめ:2026年の大相撲引退力士は第二の人生にも注目
2026年の大相撲では、大奄美、千代丸、英乃海、剣翔、大翔丸、矢後など、幕内・十両で活躍した力士たちが次々と土俵を去った。
9月場所後には矢後、出羽ノ城、朝阪神、房州山ら9人の引退が発表され、長く角界を支えてきた力士たちの新しい人生が始まっている。
特に注目したいのは、引退後の進路が一人ひとり異なることだ。
- 千代丸: 若者頭として日本相撲協会に残る。
- 矢後: 中央大学相撲部で後進を指導する予定。
- 出羽ノ城: イベント業・タレント活動に挑戦する。
- 大奄美: 飲食業への転身を希望。
- 英乃海: 不動産業に挑戦。
- 剣翔: 焼き肉店の経営者として活動。
力士の引退は、単なる競技生活の終了ではない。親方や若者頭として伝統を支える道もあれば、一般社会で新たなキャリアを築く道もある。
大相撲引退力士の情報を追う際には、引退発表日、最高位、所属部屋、引退後の進路を分けて確認することが大切だ。
2026年の引退力士たちが、これまでの経験を生かして第二の人生でどのような活躍を見せるのか。今後の動向にも引き続き注目したい。