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地震の被害は揺れだけではない?能登の記録と2025年最新想定を徹底解説

穂積 彩花 穂積 彩花 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
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2026年11月現在、日本の地震防災を考えるうえで見逃せないのが、建物の倒壊や人的被害だけでなく、津波、地震火災、土砂災害、液状化現象、停電、断水、交通網の寸断まで連鎖する地震被害の実態だ。令和6年能登半島地震では、最大震度7の強い揺れによって住宅や道路、水道施設などが大きな被害を受け、避難生活の長期化による災害関連死も深刻な課題となった。

加えて、2025年に公表された南海トラフ巨大地震と首都直下地震の新しい被害想定では、最大約29.8万人の死者、約235万棟の建物全壊・焼失、首都直下地震では約83兆円の経済的被害などが推計されている。2026年の熊本地震などの実際の災害記録も踏まえ、地震被害の種類と発生原因、地域別のリスク、今からできる防災対策を整理する。

【被害の全体像】地震で起こる7種類の被害と発生する原因

地震の被害

地震による被害は、地面が揺れることで発生する一次的な被害と、その後に発生する二次的な被害に分けられる。加えて、電気や水道、交通などの機能が停止することで、地域社会や経済活動にも影響が広がる。

特に大規模地震では、複数の被害が同時に発生する。住宅が倒壊して道路がふさがれ、消防車や救急車が現場に到着できず、火災の延焼や救助活動の遅れにつながるといった連鎖が起こり得る。

1.人的被害と建物倒壊

地震の直接的な被害として代表的なのが、建物の倒壊や損傷による人的被害だ。住宅の柱や壁、基礎部分が損傷すると、住民が下敷きになったり、避難経路が塞がれたりする。

特に耐震性が不足する木造住宅や、老朽化した建築物では倒壊リスクが高まる。建物そのものが倒壊しなくても、天井材、窓ガラス、外壁、ブロック塀などの落下によって負傷するケースもある。

また、建物の被害は建築年代だけで決まるものではない。耐震設計、施工状態、地盤、建物の形状、維持管理状況などが複雑に関係する。

2.津波による浸水・流失被害

海底の断層運動によって海底面が大きく変動すると、その上にある海水が動き、津波が発生する。津波は一般的な風による波浪とは異なり、海水全体が移動するため、強い破壊力を持つ。

沿岸部では住宅や車両、船舶、港湾施設が流されるほか、浸水した建物の損傷や塩害によって生活基盤が失われる。津波が河川を遡上すれば、海岸から離れた地域にも被害が及ぶ。

津波は最初の波が最大とは限らず、後から到達する波がさらに高くなる場合もある。津波警報・注意報が解除されるまで避難を続ける必要がある。

3.地震火災と延焼被害

地震による火災には、調理器具や暖房器具の転倒、ガス設備の損傷、電気配線のショート、停電後の電力復旧に伴う通電火災などがある。

特に注意したいのが通電火災だ。地震によって電気ストーブが倒れたり、電源コードが損傷したりした状態で電気が復旧すると、周囲の可燃物に着火する可能性がある。

木造住宅が密集する地域では、同時多発火災によって消防力が不足し、延焼範囲が拡大する危険性もある。

4.土砂災害・地すべり・斜面崩壊

地震動によって山の斜面や造成地の地盤が不安定になると、がけ崩れ、地すべり、山体崩壊、土石流などが発生する。

地震直後だけでなく、余震やその後の大雨によって崩壊が拡大することもある。道路や住宅が土砂に埋まると、集落が孤立し、救援物資や医療支援の到着が遅れる原因にもなる。

5.液状化現象と地盤被害

液状化現象は、地下水位が高く、緩く堆積した砂質地盤に強い揺れが加わることで、地盤が一時的に液体のような状態になる現象だ。

地面から水や砂が噴き出す噴砂、地盤沈下、住宅の傾斜、道路の変形、マンホールの浮き上がりなどが発生する。

埋立地、干拓地、旧河道、砂州周辺の低地などは、土地の成り立ちによって液状化リスクが高くなる場合がある。沿岸部だけでなく、内陸の平野部でも発生する可能性がある。

6.停電・断水・通信障害

地震によって電柱、送配電設備、変電所、水道管、浄水場、通信基地局などが損傷すると、電気や水道、電話、インターネットが使えなくなる。

停電すると冷暖房、冷蔵庫、給湯設備、エレベーターなども停止する。断水が発生すれば飲料水だけでなく、トイレや入浴、調理、衛生管理にも支障が生じる。

加えて、電力供給が停止すると通信設備や上下水道のポンプ、鉄道の運行にも影響が及ぶ。ライフラインは独立しているわけではなく、互いに依存している点が大きな問題だ。

7.交通インフラ・物流・経済への被害

道路の陥没や橋梁の損傷、鉄道の運休、港湾施設の損壊などによって、人や物資の移動が制限される。

道路が寸断されると、食料や燃料、医薬品の輸送が滞る。工場の操業停止や物流網の混乱は、被災地以外の企業や消費者にも影響する。

このように、地震の被害は発災直後の人的被害にとどまらず、生活再建や地域経済の回復まで長期的に及ぶ。

【震度と被害の関係】震度6弱・6強・7で何が起こるのか

地震のニュースで頻繁に使われる「震度」と「マグニチュード」は、異なる意味を持つ指標だ。

震度は特定の場所で観測された揺れの強さを示し、マグニチュードは地震そのものの規模を示す。同じ地震でも、震源からの距離や地盤条件によって観測される震度は異なる。

気象庁の震度階級は、震度0から4、5弱、5強、6弱、6強、7までの10階級で構成されている。

震度別に見る主な被害の目安

震度5弱・5強では、棚にある食器や本が落下し、固定されていない家具が移動したり倒れたりすることがある。耐震性の低い建物では壁に亀裂が入る場合もある。

震度6弱になると、立っていることが困難になる。固定していない家具の多くが移動・転倒し、ドアが開かなくなる、窓ガラスや外壁材が破損するといった被害が発生することがある。

震度6強では、立っていることができず、はわなければ移動できないほどの揺れになる。耐震性の低い木造住宅では傾いたり倒壊したりするものが多くなる。

震度7では、固定されていない家具が飛ぶように移動することもある。耐震性の低い住宅では倒壊リスクがさらに高まり、地盤の亀裂や斜面崩壊なども発生する可能性がある。

ただし、これらは気象庁の震度階級関連解説表に示された被害の目安であり、実際の被害を震度だけで一律に判断することはできない。

震度が同じでも建物被害が異なる理由

同じ震度6強を観測した地域でも、すべての住宅が同じように壊れるわけではない。1981年の新耐震基準導入以前の建物かどうか、耐震補強の有無、地盤の状態などによって被害の程度は変わる。

また、中高層マンションでは長周期地震動によって上層階が大きく揺れることがある。建物自体が倒壊しなくても、家具の移動や設備の損傷、エレベーター停止などが生活に影響する。

気象庁が発表する震度情報は重要だが、住宅の安全性や地域の災害リスクを判断するには、建物の耐震性能や地盤情報も併せて確認する必要がある。

【実例と最新情報】能登半島地震と2026年の地震被害を検証

地震被害の全体像を理解するうえで重要なのが、実際に発生した災害の記録だ。令和6年能登半島地震は、強い揺れ、津波、火災、土砂災害、道路寸断、長期避難などが重なった災害だった。

令和6年能登半島地震の被害状況

2024年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生した。石川県の志賀町と輪島市では最大震度7を観測し、珠洲市や七尾市、穴水町、能登町などでも震度6強の揺れとなった。

地震直後には津波警報が発表され、輪島市では大規模な火災も発生した。輪島市河井町の火災では、約240棟の建物が焼損し、焼失面積は約4万9,000平方メートルに及んだ。

加えて、道路の寸断や土砂崩れによって集落が孤立し、救助活動や物資輸送が困難になった。地震による土砂災害は、2026年3月31日現在の政府資料で456件確認されており、土砂災害による死者は37人と記録されている。

防災庁が掲載する2026年3月31日16時現在の被害状況資料によると、能登半島地震の人的被害と住家被害は次のとおりだ。

  • 死者:720人
  • うち災害関連死:492人
  • 行方不明者:2人
  • 負傷者:1,407人
  • 住家全壊:6,536棟
  • 住家半壊:23,707棟
  • 住家一部破損:135,545棟
  • 住家被害合計:165,813棟

この数字で注目すべきなのは、死者720人のうち492人が災害関連死として記録されている点だ。地震の揺れや倒壊による直接的な死亡だけでなく、避難生活や身体的負担による健康被害も深刻だったことが分かる。

能登半島地震から見えたライフラインと交通の課題

水道については、最大約13万6,440戸で断水が発生した。2026年3月31日現在、土砂崩れなどで帰還が困難な地域を除き、断水は解消したと政府資料に記録されている。

道路については、被災した補助国道40区間のうち39区間が復旧し、都道府県道など145区間のうち140区間も復旧した。一方、国道249号の珠洲市大谷町ではトンネル損傷による通行止めが残っていた。

鉄道については、JR西日本の七尾線、のと鉄道の七尾線ともに全線で運転を再開している。つまり、生活インフラの復旧が進んでも、住宅や道路、地域の産業が同じ速度で元に戻るわけではない。

2026年の熊本地震で確認された被害

2026年7月28日16時27分には、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。宇城市と氷川町で震度7を観測し、熊本市や八代市、益城町などでも震度6強となった。

内閣府の2026年10月5日12時現在の被害状況資料では、死者38人、負傷者414人、住家の全壊2,408棟、半壊7,802棟、一部破損59,394棟が記録されている。住家被害の合計は69,604棟だった。

また、最大約108,100戸の断水、最大約48,530戸の停電が発生した。水道本管の応急復旧は8月28日に完了し、10月5日には避難所28か所で1,288人が避難生活を続けていた。

同年10月29日には千葉県北東部を震源とする地震も発生し、横芝光町で震度5弱を観測した。消防庁の同日発表の第2報では津波の心配はなく、重要施設の被害報告はなかった一方、人的・住家被害は確認中とされていた。

2026年の災害記録からも、強い揺れだけでなく、断水、停電、避難生活、交通障害などが生活再建に大きく関わることが分かる。

【2025年最新の被害想定】南海トラフ巨大地震と首都直下地震を比較

2025年には、中央防災会議の検討を経て、南海トラフ巨大地震と首都直下地震の被害想定が見直された。建物の耐震化や人口・地形データの更新、最新の科学的知見を反映した推計であり、2026年の防災対策を考えるうえでも重要な基礎資料となっている。

南海トラフ巨大地震の被害想定

2025年3月に公表された南海トラフ巨大地震の新しい被害想定では、最大クラスの地震が発生した場合、津波や揺れなどによる直接死者数は約17.7万人から約29.8万人と推計された。

この幅は主に津波からの早期避難率などの条件によって変わる。早期避難率が70%の場合は約17.7万人、20%の場合は約29.8万人という推計だ。

全壊・焼失棟数は最大約235万棟、資産等の被害は最大約224.9兆円とされる。加えて、災害関連死は約2.6万~5.2万人と推計されており、避難生活の長期化による影響も無視できない。

特に津波による人的被害が大きく、最大想定の直接死者数の約7割を津波による死者が占める。早期避難を徹底することが、被害を減らす大きな鍵となる。

内閣府の試算では、津波からの早期避難を全員が実施した場合、早期避難意識が低いケースと比較して、津波による死者数を約7割減らせる可能性が示されている。

首都直下地震の被害想定

首都直下地震については、2025年12月に新しい被害想定が取りまとめられた。対象となる都心南部直下地震はマグニチュード7.3を想定している。

最悪のケースでは、死者数は最大約1.8万人、建物の全壊・焼失は最大約40万棟、経済的被害は約83兆円と推計された。

特徴的なのは、火災による被害の大きさだ。想定死者の約7割、建物全壊・焼失棟数の約7割が地震火災によるものとされている。

また、避難所避難者は約480万人、帰宅困難者は約840万人に達する可能性がある。首都圏では人口と建物が密集しているため、建物倒壊だけでなく、交通機能の停止や大規模火災、避難場所の不足が問題になる。

3つの地震・災害を比較した被害データ

それぞれの被害の特徴を整理すると、次のようになる。実際に発生した災害の実績と、将来の最大クラスの地震を想定した推計は、性質が異なる点にも注意したい。

対象・項目 地震の概要・条件 人的被害 建物・その他の被害
令和6年能登半島地震 2024年1月1日、M7.6、最大震度7 死者720人、うち災害関連死492人 住家被害165,813棟
2026年熊本地震 2026年7月28日、M7.1、最大震度7 死者38人、負傷者414人 住家被害69,604棟
南海トラフ巨大地震 2025年3月公表の最大クラス想定 直接死者最大約29.8万人、災害関連死約2.6万~5.2万人 全壊・焼失約235万棟、資産被害約224.9兆円
首都直下地震 2025年12月公表、都心南部直下地震M7.3 死者最大約1.8万人 全壊・焼失約40万棟、経済的被害約83兆円

比較すると、南海トラフ巨大地震は広範囲の津波と強い揺れ、首都直下地震は都市部の建物倒壊と火災が主要なリスクとなっている。

一方、能登半島地震や2026年熊本地震は、実際に発生した地震の被害記録である。将来の想定値と実際の災害統計を同じ意味で比較するのではなく、それぞれの被害の構造を読み取ることが重要だ。

被害想定は発生日時の予言ではない

南海トラフ巨大地震の約29.8万人という数字は、特定の日に発生する地震の死者数を予言したものではない。科学的に想定される最大クラスの地震と津波を対象に、具体的な防災対策を検討するために算出された数値だ。

首都直下地震も同様で、冬の夕方や風速8メートル毎秒など、一定の条件を設定して被害を推計している。発生する季節や時間帯、風速、建物の耐震化率、住民の避難行動によって結果は変わる。

したがって、最大値だけを見て不安になるのではなく、どの被害が自分の地域で起こりやすいか、どの対策で被害を減らせるかを読み取ることが大切だ。

【見落とされやすい被害】災害関連死・避難生活・インフラ停止の実態

地震による被害を考える際、倒壊現場や津波の映像に目が向きやすい。しかし、実際の災害では、発災後の生活環境が健康や生命に影響することもある。

災害関連死とは何か

災害関連死とは、建物倒壊や津波などによる直接的な死亡ではなく、災害による負傷の悪化や避難生活などで生じた身体的負担による疾病などが原因となり、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて災害が原因の死亡と認められたものを指す。

具体的には、次のような要因が関係する。

  • 避難生活による睡眠不足や疲労の蓄積
  • 持病の悪化や必要な医療を受けられない状況
  • 断水や衛生環境の悪化による健康上の問題
  • 車中泊や狭い避難スペースでの長期生活
  • 移動や環境変化による身体的・精神的な負担
  • 介護や福祉サービスの中断

能登半島地震では、2026年3月31日現在、720人の死者のうち492人が災害関連死として計上されている。この数字は、地震から命を守るだけでなく、被災後の生活を守る仕組みが必要であることを示している。

避難所生活で発生する問題

避難所では、プライバシーの不足、睡眠環境の悪化、トイレや入浴設備の不足、感染症対策などが課題になる。

高齢者、障害のある人、乳幼児、妊産婦、持病のある人などは、一般的な避難生活でも大きな負担を受ける可能性がある。

避難所の環境が十分に整わない場合には、車中泊や親族宅への避難、ホテルなどへの二次避難も選択肢になる。ただし、車中泊では長時間同じ姿勢を続けないことや、水分補給、健康管理に注意する必要がある。

能登半島地震では、政府資料によると、避難所は2025年3月末までにすべて閉鎖された。しかし、避難所の閉鎖は住宅再建や地域生活の復旧がすべて完了したことを意味しない。

停電・断水が長引くと生活はどう変わるのか

停電が続くと、冷蔵庫やエアコン、照明、通信機器、エレベーターなどが使用できなくなる。マンションでは給水ポンプが停止し、建物に被害がなくても水を確保できない場合がある。

断水が発生すると、飲料水だけでなく、トイレを流す水や手洗い用の水も不足する。特に集合住宅では、排水管の損傷が確認できない状態で水を流すと、階下への漏水につながる可能性もある。

首都直下地震の2025年想定では、電力供給力の低下が約1か月続く場合、通信、上下水道、鉄道など電力に依存する設備にも影響が及ぶと指摘されている。

このような連鎖的な機能停止を考えると、食料や水の備蓄だけでなく、携帯電話の充電、トイレ用品、照明、情報収集手段なども準備しておく必要がある。

【地域別の被害予測と防災対策】ハザードマップ・家具固定・住宅耐震化

地震の被害を減らすには、自宅や勤務先の周辺にどのような災害リスクがあるのかを把握し、その地域に合った対策を取ることが重要だ。

ハザードマップで確認すべきポイント

自治体が公表するハザードマップでは、地域によって異なる災害リスクを確認できる。

  • 沿岸部:津波浸水想定区域、津波避難場所、避難経路。
  • 河川周辺・低地:地盤の低さ、液状化の可能性、浸水リスク。
  • 山間部:土砂災害警戒区域、急傾斜地、地すべりの危険性。
  • 埋立地・造成地:液状化や盛土の滑動、地盤沈下の可能性。
  • 都市部:木造住宅密集地域、延焼リスク、避難場所までの距離。

国土交通省のハザードマップポータルサイトや、地震調査研究推進本部の地震ハザード情報などを活用すると、土地の特徴や揺れやすさを調べられる。

ただし、ハザードマップに危険区域として表示されていないからといって、地震被害が発生しないわけではない。複数の資料を組み合わせて判断することが大切だ。

家具転倒防止と室内の安全確保

地震発生時には、家具の転倒や家電の移動が負傷や避難の妨げにつながる。住宅の耐震化と並んで、家具固定は比較的取り組みやすい防災対策だ。

  • 本棚や食器棚は壁や天井に適切な器具で固定する。
  • 寝室や子ども部屋には、倒れる可能性のある大型家具を置かない。
  • 家具の転倒方向にベッドや寝具を配置しない。
  • 食器棚には扉の開放防止器具を取り付ける。
  • テレビやパソコンなどの家電は転倒防止器具で固定する。
  • 玄関や廊下、避難経路に物を置かない。

特に就寝中の地震では、家具の転倒に気づいてから逃げることが難しい。寝室の安全確保は優先順位の高い対策になる。

住宅の耐震化と感震ブレーカー

1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準で設計されている可能性がある。こうした住宅では耐震診断を受け、必要に応じて壁の補強や基礎の補修などを検討したい。

また、地震火災対策として有効なのが感震ブレーカーだ。これは一定以上の揺れを感知すると、自動的に電気を遮断する装置である。

分電盤タイプ、コンセントタイプ、簡易タイプなどがあり、住宅の構造や使用環境に合わせて選択する。夜間の停電による転倒を防ぐため、足元灯や懐中電灯なども併せて用意しておきたい。

水・食料・生活用品の備蓄

首相官邸の防災情報では、最低3日分の水や食料の備蓄が推奨されている。大規模地震では物流や支援物資の供給が遅れる可能性があるため、可能であれば1週間程度を目安に備蓄を進めたい。

準備しておきたいものは次のとおりだ。

  • 飲料水、保存食、栄養補助食品
  • 携帯トイレ、トイレットペーパー、衛生用品
  • 懐中電灯、予備電池、モバイルバッテリー
  • 常備薬、お薬手帳、救急用品
  • 現金、身分証明書のコピー、重要書類
  • ラジオ、充電器、家族の連絡先一覧
  • 季節に応じた防寒具、雨具、衣類

備蓄は買い置きだけでなく、普段使っている食品を少し多めに購入し、古いものから消費するローリングストック方式を取り入れると継続しやすい。

津波・土砂災害から命を守る避難行動

海岸近くで強い揺れ、または弱くても長い揺れを感じた場合は、津波警報を待たずに高台や津波避難施設へ移動することが基本だ。

気象庁は、地震発生から約3分を目標に津波警報・注意報を発表するが、震源が陸地に近い場合は警報が津波の到達に間に合わないこともある。

土砂災害の危険がある地域では、地震後の余震や大雨にも注意したい。斜面の亀裂、落石、地面の変形などが見られた場合は近づかず、安全な場所へ移動する必要がある。

防災対策は、家族全員が避難場所と経路を共有し、災害用伝言ダイヤル171などを使った安否確認方法を事前に決めておくところまで進めておきたい。

【地震の被害に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:地震で最も大きな被害が発生するのは何ですか?
A1:地震の規模や地域によって異なる。沿岸部では津波、都市部では建物倒壊や火災、山間部では土砂災害が大きな脅威になる。加えて、停電や断水などの二次的な被害も生活に深刻な影響を与える。

Q2:震度6弱と震度7では被害にどのような違いがありますか?
A2:震度6弱では立っていることが困難になり、家具の転倒や建物の損傷が発生する。震度7では家具が飛ぶように移動する場合があり、耐震性の低い建物の倒壊リスクも高まる。ただし、実際の被害は建物の耐震性能や地盤によって異なる。

Q3:能登半島地震の死者は何人ですか?
A3:防災庁が掲載する2026年3月31日16時現在の政府資料では720人で、そのうち492人が災害関連死として記録されている。行方不明者は2人、住家被害は合計165,813棟となっている。

Q4:南海トラフ巨大地震では何人が亡くなると想定されていますか?
A4:2025年3月の新しい被害想定では、津波や揺れなどによる直接死者数は最大約29.8万人。早期避難率が70%の場合は約17.7万人と推計されている。別途、災害関連死は約2.6万~5.2万人と想定されている。

Q5:首都直下地震の被害想定はどのくらいですか?
A5:2025年12月の新しい想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者最大約1.8万人、建物の全壊・焼失最大約40万棟、経済的被害約83兆円と推計されている。

Q6:液状化が発生しやすい地域はどこですか?
A6:地下水位が高く、緩い砂質地盤が広がる場所で発生しやすい。埋立地、干拓地、旧河道、砂丘や砂州の間の低地などが代表例だ。ただし、内陸部でも地盤条件によって発生する可能性がある。

Q7:地震の被害を減らすために最初に何をすればよいですか?
A7:まず家具の転倒防止と避難経路の確保を進めたい。次に住宅の耐震性を確認し、感震ブレーカーの設置、水や食料の備蓄、地域のハザードマップの確認を行う。津波や土砂災害の危険がある場合は、避難場所と経路を家族で共有しておくことも重要だ。

まとめ:地震の被害を正しく知り、命と生活を守る備えを進める

地震の被害は、揺れによる建物倒壊や負傷だけではない。津波、地震火災、土砂災害、液状化、停電、断水、交通インフラの寸断などが連鎖し、被災者の生活や地域経済に長期的な影響を及ぼす。

令和6年能登半島地震では、死者720人のうち492人が災害関連死として記録され、避難生活や生活基盤の復旧が大きな課題となった。2026年の熊本地震でも、住宅被害に加えて断水や停電、長期的な道路復旧などの問題が確認されている。

2025年に公表された被害想定では、南海トラフ巨大地震と首都直下地震の双方で極めて大きな被害が予測されている。しかし、これらの数字は対策によって変化する。南海トラフ巨大地震では、津波からの早期避難によって死者数を大幅に減らせる可能性も示されている。

【プロの結論】地震対策で優先すべきなのは、単に非常食を購入することではない。まず住宅の耐震性と家具の固定を確認し、次に自宅周辺の津波・土砂災害・液状化リスクを把握する。そのうえで、感震ブレーカーや備蓄、避難計画を整えることだ。

地震そのものを防ぐことはできない。しかし、被害が発生する仕組みを理解し、自宅や地域の弱点に合わせて準備することで、命を守り、災害後の生活への影響を小さくすることはできる。2026年の今こそ、過去の災害記録と最新の被害想定を、自分自身の防災行動につなげたい。

主な根拠資料:防災庁・内閣府の2025~2026年被害想定および災害状況資料、総務省消防庁、気象庁、国土交通省の公表資料。

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