専修大学の長距離ブロックを評価するうえで欠かせないのが、5000m、10000m、ハーフマラソンの記録だ。トラックでのスピード、ロードでの持久力、そして長い距離を一定のペースで走る能力を比較すると、チームの強みが見えてくる。
5000mの自己ベスト
専修大学陸上競技部が公開する部内ランキングでは、5000mの上位記録に次の選手が名を連ねる。
- ダンカン・マイナ:13分31秒54
- サミュエル・ガユ:13分33秒78(高校時代の記録)
- 上山詩樹:14分04秒59
- 水津智哉:14分07秒30
- 向田泰誠:14分10秒73(高校時代の記録)
外国人選手のマイナとガユが13分30秒台の記録を持つ一方、日本人選手も14分一桁台から14分10秒前後の記録を持っている。上山と水津は2026年4月4日の競技会で記録を残しており、新年度に入ってもトラックでの強化が進んでいる。
10000mの自己ベスト
10000mでは、ハーフマラソンの主力となる選手たちが上位に並ぶ。
- ダンカン・マイナ:27分52秒97
- サミュエル・ガユ:28分27秒88
- 上山詩樹:28分44秒27
- 丹柊太郎:28分58秒64
- 西岳政宗:29分12秒37
特にガユは2026年5月4日に28分27秒88を記録。1年生ながらチーム上位の記録を持つ点は見逃せない。上山と丹も28分台で走る力があり、主力の日本人選手が複数そろっている。
ハーフマラソンの自己ベスト
箱根駅伝予選会に直結するハーフマラソンでは、上山詩樹の1時間01分41秒が部内ランキングの上位記録。丹柊太郎は1時間01分56秒、平松龍青は1時間02分05秒、具志堅一斗は1時間02分14秒、安斎陸久は1時間02分20秒を記録している。
さらに2026年10月17日の予選会では、向田泰誠が1時間02分41秒、サミュエル・ガユが1時間02分49秒、西岳政宗が1時間02分56秒、水津智哉が1時間03分12秒と、4人が自己ベストを更新した。
ここで注目したいのは、専修大学が単にトラックの持ちタイムだけで勝負するチームではないことだ。長い距離での実戦経験が豊富な選手が多く、ハーフマラソンの記録を箱根予選会の結果につなげている。
記録から見える強みと弱点
5000mや10000mの記録だけなら、全国トップクラスの大学と比較して課題が残る部分もある。しかし、ハーフマラソンの経験値と選手層を組み合わせることで、予選会では高い総合力を発揮した。
反対に、箱根駅伝本戦では各区間でスピードのある大学と競り合う場面が増える。長谷川監督が予選会後にもスピード強化を課題として挙げたのは、この差を縮める必要があるからだ。
2026年度の専修大学は、持久力を武器に予選会を突破できるチームから、トラックのスピードと駅伝の実戦力を両立するチームへ進化できるかが問われている。
【1924年創部の歴史】専修大学は箱根駅伝で優勝経験のある古豪
専修大学陸上競技部の歴史は、箱根駅伝の長い歴史と重なる。創部は1924年(大正13年)。箱根駅伝に初めて参加したのは1934年の第15回大会で、1939年の第20回大会では総合優勝を果たした。
専修大学の公式歴代記録によると、1939年大会は総合13時間01分00秒。往路も優勝し、復路は2位だった。3区の山下勝が区間新記録を樹立し、2区の高瀬敏夫、4区の大森富太郎、7区の堀地善三郎も区間1位の走りを見せた。
また、1938年の第19回大会では総合2位に入っている。戦前に優勝と準優勝を経験した実績は、現在もチームが掲げる「古豪復活」という言葉の背景にある。箱根駅伝公式の歴代優勝校記録でも、専修大学の総合優勝は1回と記録されている。
近年の箱根駅伝成績
一方、戦後から現在までの歴史を見ると、伝統と近年の競技成績には差がある。出場できる年と予選会で敗退する年を繰り返しており、常に上位争いをしてきたわけではない。
直近の本大会成績を見ると、第101回大会では総合17位。第99回、第98回、第97回大会はいずれも総合20位だった。2007年の第83回大会では総合9位に入り、シード権を獲得した実績もある。
2026年の予選会突破によって、2027年1月の第103回大会は2大会ぶりの本戦出場となる。今回の4位通過は、伝統校としての看板だけではなく、現在の競技力によって箱根路に戻ってきたことを示す結果だ。
専修大学が「古豪」と呼ばれる理由
古豪という表現には、単に昔優勝した大学という意味以上のものがある。専修大学は長い競技史を持ち、箱根駅伝で72回以上の出場実績を重ねてきた伝統校だ。OB・OG組織の陸上競技部走友会も、現役選手の競技力向上を支援している。
現役選手だけでなく、卒業生や大学関係者が競技部を支える構造も、長く駅伝に取り組んできた大学ならではの特徴だ。2026年の予選会突破は、こうした歴史的な基盤を現役世代の結果につなげた出来事として受け止められる。
【練習場所・練習時間】長谷川淳監督の指導体制と強化方針
専修大学陸上競技部の指導を担うのは、長谷川淳監督だ。専修大学出身で、実業団ではSUBARUに所属した経歴を持つ。部長は宮岡孝之、コーチは柴内康寛、ゼネラルマネージャーは小栗一秀が務めている。
大学公式の体育会紹介に掲載されている練習場所と活動時間は次のとおりだ。
- 主な練習場所: 等々力競技場ほか
- 部室: 第2体育寮
- 平日を含む通常の練習時間: 5時30分~7時30分、16時30分~19時
- 土日祝日: 12時まで
朝練習と夕方の練習を組み合わせる活動形態で、授業と競技生活を両立しながら強化を進める。具体的な合宿日程や個人別メニューは、通常の活動時間とは別に設定される。
長谷川監督が取り組んだ2026年の改革
2026年の強化方針で注目されたのは、予選会の高速化への対応だった。
9月に専大スポーツ編集部が掲載した監督インタビューでは、専修大学は10000mの持ちタイムに課題がある一方、ハーフマラソンの出走経験が豊富で、好記録を持つ選手が多いと説明されていた。
監督は選手に対して、予選会で1人1時間03分20秒以内を目安に走ることを求め、エントリー候補16人全員を通過水準まで引き上げる方針を示した。
また、練習では後半にペースを上げる力を重視。坂ダッシュなども取り入れ、苦しい局面で走力を維持するためのトレーニングを進めていた。これは単に走行距離を増やすだけでなく、レース終盤の順位変動に対応するための強化だった。
選手自身がレース中の状況を判断する力も重視されている。監督の指示を待つだけでなく、集団の動きや自分のコンディションを見て、前に出るか、ペースを維持するかを判断する。その考え方は、今回の7人による単独走という戦術にもつながった。
上山主将を中心としたチーム運営
上山詩樹主将を中心とする2026年度の体制は、4年生の経験と下級生の勢いを組み合わせた構成だ。副主将の丹柊太郎も予選会で73位に入り、個人1時間03分39秒の安定した走りを見せた。
また、3年生の田口萩太が副主将を務め、主力として予選会にも出場。主務や寮長も含めた学生主体の運営体制を整えた。
上山主将が掲げた「古豪復活」という目標は、2026年10月の予選会突破によって一つの形になった。次に求められるのは、主力選手だけでなく、控え選手も含めて本戦で戦える状態を作ることだ。
【専修大学陸上部の評判・強さ】箱根駅伝でシード権を狙えるのか
2026年の予選会結果を踏まえると、専修大学陸上競技部の強さは上位10人をそろえる総合力と、ハーフマラソンでの安定感にある。
今回、向田泰誠が個人18位に入った一方で、サミュエル・ガユ、西岳政宗、水津智哉も50位台以内に入った。さらに4年生が5~8番手を占め、10人の合計タイムを支えた。特定の選手が突出しただけでは得られない結果だ。
専修大学の強み
第一の強みは、予選会で結果を出せる選手層だ。16人をエントリーし、12人が実際に走り、上位10人の合計で総合4位を獲得した。主力の故障や当日の調子の変動に備えるうえでも、複数の選手が一定の水準で走れることは大きい。
第二の強みは、若い選手の成長力だ。向田は2年生、ガユは1年生、西岳と水津は3年生。上位4人を若い世代が占めたことは、2027年以降を考えるうえでも明るい材料になる。
第三の強みは、伝統に裏打ちされた競技環境だ。大学の施設、指導者、OB・OG組織からの支援があり、長期的に競技力を伸ばすための基盤を持っている。
シード権獲得に向けた課題
一方で、予選会4位だけで本戦のシード権獲得を確実視することはできない。箱根駅伝は往路と復路の10区間を走るため、予選会とは違った適性が必要になる。
特に重要なのは、10000mのスピード、山上り・山下りへの適応、区間ごとのペース配分、そして終盤の粘りだ。予選会で3位との差が1秒だったことは接戦を戦える証拠であると同時に、わずかな差を詰める必要性も示している。
2027年1月の第103回箱根駅伝では、予選会で結果を残した向田やガユらの起用に加え、上山主将ら4年生が経験をどう生かすかが見どころになる。実際の区間エントリーと当日のコンディションによって戦い方は変わるため、予選会の順位だけで本戦の成績を決めつけることはできない。
専修大学の現在の評価は、箱根駅伝の優勝候補というより、予選会で上位を狙える戦力を整え、本戦でシード権に挑戦する古豪復活の途上にあるチームという位置づけが妥当だ。
【専修大学陸上部】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:専修大学陸上部は第103回箱根駅伝に出場しますか?
A1:出場します。2026年10月17日の予選会で総合4位、10時間33分42秒を記録し、2年ぶり73回目の本大会出場を決めました。本大会は2027年1月2日・3日に予定されています。
Q2:2026年度の専修大学陸上部の主将は誰ですか?
A2:4年生の上山詩樹です。副主将は丹柊太郎と田口萩太。上山は2025年の第101回箱根駅伝で3区を走り、区間12位を記録した経験があります。
Q3:専修大学陸上部の注目選手は誰ですか?
A3:2026年の予選会でチームトップの個人18位となった向田泰誠、1年生のサミュエル・ガユ、40位の西岳政宗、53位の水津智哉が注目選手です。上山詩樹主将や丹柊太郎、平松龍青ら上級生の安定感もチームを支えています。
Q4:専修大学陸上部はいつ創部されましたか?
A4:1924年(大正13年)です。箱根駅伝には1934年の第15回大会から参加し、1939年の第20回大会で総合優勝を果たしています。
Q5:専修大学陸上部の練習場所と時間は?
A5:大学公式案内では、等々力競技場などを練習場所として紹介しています。通常の練習時間は朝5時30分~7時30分、夕方16時30分~19時で、土日祝日は12時までです。
まとめ:【プロの結論】専修大学陸上部は古豪復活から本戦での飛躍へ
専修大学陸上競技部は、2026年10月17日の第103回箱根駅伝予選会で総合4位、10時間33分42秒という好成績を残し、2年ぶり73回目の本大会出場を決めた。
この結果を支えたのは、向田泰誠を筆頭とする下級生の成長、サミュエル・ガユのスピード、西岳政宗と水津智哉の安定した走り、そして上山詩樹主将ら4年生の粘りだった。上位10人の通過順位が出場校トップだったことは、チーム全体の競技力が高まっている証拠でもある。
1924年創部、1939年の箱根駅伝総合優勝という伝統を持つ専修大学にとって、今回の予選突破は歴史を振り返るだけの出来事ではない。長谷川淳監督の強化方針と選手たちの努力が、現在の結果として表れた節目だ。
今後の注目点は、予選会で見せた持久力と選手層の厚さを、本戦の10区間でどこまで発揮できるかにある。スピード強化と終盤の粘りを磨き、シード権獲得という次の目標に近づけるか。2027年の箱根路は、専修大学が本当の意味で古豪復活を果たせるかを占う重要な舞台になる。
専修大学陸上部を追う際は、予選会の総合順位だけでなく、選手個人の自己ベスト更新、上位10人のタイム差、そして本戦の区間エントリーを合わせて見ることが、チームの成長を正しく評価するポイントとなる。