「左様でございます」は、ビジネスシーンでは主に、顧客対応・電話応対・商談・社内の正式なやり取りなどで使用されます。
要点は、相手の発言を肯定するときに使うことです。単に会話をつなぐための相づちとして何度も繰り返すと、形式的で冷たい印象になる場合があります。
例文1:お客様からの質問に答える
相手:「こちらの商品はクレジットカードで購入できるということでしょうか?」
自分:「はい、左様でございます。クレジットカードでのお支払いに対応しております」
相手の質問内容が正しいことを肯定する使い方です。
「はい」を最初に添えると返答の意図が伝わりやすくなり、その後に具体的な説明を加えることで、接客としても自然な応答になります。
例文2:取引先からの確認に答える
取引先:「次回のお打ち合わせは、11月10日の14時からでよろしいでしょうか?」
自分:「はい、左様でございます。11月10日14時より、よろしくお願いいたします」
日程や場所など、事実関係を確認する場面に適しています。
ただし、日時に変更がある場合は、無理に肯定せず、正しい情報を伝えましょう。
例文3:上司や目上の人に同意する
上司:「今回の企画では、まず既存のお客様への案内を優先すべきだと思います」
自分:「はい、左様でございます。まずは既存のお客様へのご案内から進めるのが適切だと考えます」
目上の人に対しても使用できます。
ただし、社内の普段の会話では少々かしこまった印象になることがあります。上司との距離が近い場合は「おっしゃるとおりです」としたほうが自然なケースもあります。
例文4:電話で問い合わせを受けた場合
相手:「先日注文した商品は、まだ発送されていないのでしょうか?」
自分:「左様でございますか。ご心配をおかけして申し訳ございません。発送状況を確認いたします」
ここでは「左様でございますか」を使っています。
相手の発言を肯定するというより、事情を丁寧に受け止める役割です。問い合わせやクレームへの応対では、その後に謝罪や確認などの具体的な行動を続けることが大切です。
例文5:ビジネスメールで使用する
メールでは、相手の質問に対する回答として使えます。
例えば、次のような形です。
件名:お問い合わせいただいた件について
「お問い合わせいただきました次回の開催場所につきましては、左様でございます。会場は本社3階の会議室を予定しております。
当日はどうぞよろしくお願いいたします」
ただし、文章では「ご認識のとおりです」「おっしゃるとおりでございます」としたほうが、具体的で自然に読める場合もあります。
例文から分かる自然な使い方のポイント
- 相手の発言が正しいと確認できている場合に使う。
- 最初に「はい」を添えると返答が明確になる。
- 「左様でございますか」は、相手の話を受け止めるときに使う。
- 肯定だけで会話を終わらせず、必要に応じて説明や対応を続ける。
- 目上の人には使えるが、関係性によっては別の表現のほうが自然。
実際のビジネスでは、言葉の丁寧さだけでなく、その後の対応まで含めて相手に安心感を与えることが重要です。
【類語・言い換え】「そうでございます」など場面別の使い分け
「左様でございます」を毎回使う必要はありません。相手との関係や会話の内容によっては、別の表現のほうが伝わりやすくなります。
1. 「おっしゃるとおりでございます」
相手の発言を尊重しながら、同意を伝える表現です。
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語に当たります。
例文:
「ご指摘いただいた点につきましては、おっしゃるとおりでございます」
上司や取引先、顧客など、相手の意見を丁寧に肯定したいときに向いています。
2. 「そうでございます」
「左様でございます」よりも直接的で、比較的柔らかい表現です。
例文:
「はい、そうでございます。こちらが新しい資料になります」
相手との距離が近い場合や、簡潔に事実を伝えたい場合に使いやすいでしょう。
3. 「ごもっともでございます」
相手の意見や主張に道理があることを認める表現です。
例文:
「お客様のお考えはごもっともでございます。ご不便をおかけした点について、改善を進めてまいります」
単に事実を肯定するというより、相手の意見に合理性があることを認めるニュアンスがあります。
4. 「ご指摘のとおりでございます」
相手から問題点や間違いを指摘されたときに使う表現です。
例文:
「ご指摘のとおりでございます。資料の記載に誤りがございました。訂正版をお送りいたします」
謝罪や訂正が必要な場面では、「左様でございます」だけで返すよりも、こちらのほうが具体的です。
5. 「承知いたしました」
相手の依頼や指示を理解し、引き受けたことを伝える表現です。
例文:
「承知いたしました。ご指定の日時までに資料を準備いたします」
注意したいのは、「承知いたしました」と「左様でございます」は同じ意味ではないことです。
前者は理解・了承、後者は肯定です。
相手の話が正しいと認めるのか、指示を受け付けたことを伝えるのかによって使い分けましょう。
言い換え表現の比較
| 言い換え | 主な意味 | おすすめの場面 |
|---|---|---|
| おっしゃるとおりでございます | 相手の発言への同意 | 上司・顧客・取引先 |
| そうでございます | そのとおりです | 一般的な接客・応対 |
| ごもっともでございます | 相手の意見が道理にかなっている | 意見交換・顧客対応 |
| ご指摘のとおりでございます | 指摘内容を認める | 謝罪・訂正・報告 |
| 承知いたしました | 理解・了承した | 指示・依頼への返答 |
| そのとおりです | 内容への明確な肯定 | 社内の一般的な会話 |
類語を覚える際は、単純に丁寧さの順番で暗記するよりも、それぞれが伝える意味を理解するほうが実践的です。
「そうでございます」への言い換えは失礼にならない?
失礼にはなりません。
「そうでございます」も丁寧な表現であり、顧客対応などで使用できます。
ただし、「左様でございます」はより改まった印象を与えます。
格式を重視する場面なら「左様でございます」、柔らかく簡潔に伝えたいなら「そうでございます」という使い分けができます。
【プロの結論】「左様でございます」を使うときの注意点と判断基準
「左様でございます」は、敬語として正しい表現ですが、どんな場面でも最適というわけではありません。
特に注意したいのは、丁寧な言葉を選ぶことと、相手に自然な印象を与えることは必ずしも同じではないという点です。
注意点1:使いすぎると形式的な印象になる
会話のたびに「左様でございます」と返すと、機械的な応答に聞こえることがあります。
例えば、次のような会話です。
相手:「本日はよろしくお願いします」
自分:「左様でございます」
この場合、相手のあいさつに対する返答として不自然です。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と返すほうが適切です。
「左様でございます」は、肯定する内容が明確な場面で使うようにしましょう。
注意点2:親しい上司には堅苦しく聞こえる場合がある
目上の人だからといって、必ず「左様でございます」を使わなければならないわけではありません。
長く一緒に働いている上司や、普段から率直に話す関係の相手には、かえって距離を感じさせることがあります。
例えば、次のように使い分けられます。
- 役員や重要な取引先:「左様でございます」
- 普段から接している上司:「おっしゃるとおりです」
- 親しい同僚:「そうですね」
- 友人:「そうだね」
相手との関係に合った言葉を選ぶことが、自然な敬語につながります。
注意点3:相手の意見を無条件に肯定しない
「左様でございます」は肯定の表現です。
そのため、相手の発言が事実と異なる場合や、まだ確認できていない場合に使うと、誤解を招きます。
例えば、顧客から「注文した商品は今日届くはずですよね」と尋ねられた場合、配送状況を確認していないのに「左様でございます」と返すのは適切ではありません。
このような場合は、
「配送状況を確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか」
と答えるほうが確実です。
注意点4:「左様でございますか」と混同しない
肯定と相づちの違いは、実際の会話で特に重要です。
- 「左様でございます」:相手の発言が正しいと認める。
- 「左様でございますか」:相手の話を聞き、受け止める。
クレーム対応や相談では、相手の話を最後まで聞く前に肯定してしまわないように注意しましょう。
場面別・失敗しない判断基準
| 状況 | おすすめの表現 | 判断理由 |
|---|---|---|
| 顧客から事実確認を受けた | 左様でございます | 丁寧に肯定できる |
| 取引先の意見に同意する | おっしゃるとおりでございます | 相手の発言を尊重できる |
| クレームを受けた | 左様でございますか | まず相手の話を受け止める |
| 上司から仕事を依頼された | 承知いたしました | 依頼を理解したことが伝わる |
| 同僚と意見が一致した | そうですね | 堅苦しくならない |
| 相手の指摘が正しい | ご指摘のとおりでございます | 問題を具体的に認められる |
プロの視点で最も重視したいのは、「敬語の格」よりも「返答の目的」です。
相手の発言を肯定するなら「左様でございます」、相手の意見を立てるなら「おっしゃるとおりでございます」、依頼を引き受けるなら「承知いたしました」。
この区別ができれば、敬語を過剰に使わず、相手に伝わる自然なコミュニケーションができます。
【左様でございますの意味】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「左様でございます」は目上の人に使っても失礼ではありませんか?
A1:失礼ではありません。丁寧な肯定表現なので、上司や取引先、顧客にも使用できます。ただし、親しい関係の相手には堅苦しく感じられることがあるため、「おっしゃるとおりです」なども使い分けましょう。
Q2:「左様でございます」は二重敬語ですか?
A2:一般的に二重敬語ではありません。「左様」は尊敬語ではなく、「そのよう」「そのとおり」という意味の言葉です。丁寧語の「ございます」と組み合わせた正しい敬語表現です。
Q3:「左様でございますか」と「左様でございます」は何が違いますか?
A3:「左様でございます」は相手の発言を肯定するときに使い、「左様でございますか」は相手の話を受け止める相づちとして使います。肯定と確認の違いを理解しておくことが大切です。
Q4:「左様でございます」はメールでも使えますか?
A4:使えます。問い合わせに対して相手の認識を肯定する場合などに適しています。ただし、文章の流れによっては「ご認識のとおりでございます」「おっしゃるとおりでございます」のほうが自然です。
Q5:「左様です」と「左様でございます」はどちらが正しいですか?
A5:どちらも正しい表現です。「左様でございます」のほうが、より改まった丁寧な印象になります。顧客や重要な取引先への応対には後者が適しています。
まとめ:「左様でございます」は意味と場面を理解して使い分けよう
「左様でございます」は、「そのとおりです」「そうです」という意味を持つ、丁寧で改まった日本語表現です。
読み方は「さようでございます」。本来の表記である「然様」とも関係があり、古くから使われてきた言葉です。
文化庁の敬語解説に照らしても、「ございます」は丁寧さの度合いが高い表現であり、「左様でございます」は二重敬語には当たりません。
最後に、覚えておきたいポイントを整理します。
- 意味:「そのとおりです」という肯定。
- 読み方:さようでございます。
- 語源:「然様」とも書き、「そのよう」「そのとおり」を表す。
- 敬語:正しい丁寧な表現で、通常は二重敬語ではない。
- 使い方:顧客対応や取引先との会話など、改まった場面に適している。
- 言い換え:「おっしゃるとおりでございます」「そうでございます」など。
- 注意点:多用を避け、肯定と相づちを区別する。
2026年現在も、「左様でございます」は接客やビジネスの場面で使用できる表現です。ただし、敬語は難しい言葉を使えばよいというものではありません。
相手の発言を正しく理解し、必要な場面で適切な言葉を選ぶことが、信頼されるコミュニケーションにつながります。