チヨダの90年の歴史を振り返ると、靴の専門店として成長する一方、玩具や衣料品などの異業種にも挑戦してきたことが分かります。
特に重要なのは、事業の多角化から専門店への回帰、そしてマックハウスの売却に至る流れです。
チヨダの歴史・主要な転換点
マックハウスを売却した理由は?
チヨダは2024年10月11日の取締役会で、マックハウスの全保有株式をG Future Fund1号投資事業有限責任組合が実施する公開買付けに応募する方針を決定しました。
当時、チヨダはマックハウス株式の約60.78%を保有していました。対象となった株式は9,389,880株です。
その後、公開買付けは2024年11月12日に成立し、11月19日の決済をもって全株式の譲渡が完了しました。
売却の背景には、マックハウスの業績不振がありました。ファッション業界の報道によると、チヨダは資金面の支援、役員派遣、ライセンス供与、共同販促などを実施していましたが、十分な業績回復には至らず、早期黒字化も見通しにくい状況でした。
売却後、マックハウスはどうなった?
チヨダの2026年2月期有価証券報告書では、マックハウスは連結子会社から除外されており、現在の連結子会社はチヨダ物産とトモエ商事の2社です。
また、マックハウスは2025年9月17日に「ジーイエット株式会社」へ商号変更しています。
このため、現在のチヨダを衣料品チェーンの親会社として理解するのは正確ではありません。事業構造は靴の小売・卸売を中心とした形に変わっています。
ハローマックとの関係も混同しないことが大切
チヨダの歴史には、玩具専門店「ハローマック」も登場します。
1980年代半ば、収益性の低い一部の靴店舗を活用するために玩具専門店への業態転換を進め、最盛期には全国472店舗にまで拡大しました。
その後、スポーツ用品や衣料品にも事業を広げましたが、事業環境の変化に伴って撤退を決断しています。
2026年の創業90周年記念発表では、玩具・アパレル事業からの撤退に際し、約9年をかけて従業員を靴事業や本社機能へ配置転換し、リストラを行わずに事業を終えた経緯も紹介されています。
ここで押さえたいのは、ハローマックとマックハウスは別の事業・ブランドだという点です。名前が似ているわけではありませんが、チヨダの多角化の歴史を調べる際には混同しないようにしたいところです。
【2026年最新決算】売上高・営業利益はどう変化した?
2026年11月4日時点で最も新しい決算情報は、2026年10月9日に発表された2027年2月期第2四半期(中間期)決算です。
対象期間は2026年3月1日から8月31日まで。業績を見ると、売上高以上に営業利益と純利益の落ち込みが目立っています。
2027年2月期中間決算の主要数値
売上高は前年同期の418億3,000万円から405億1,100万円へ減少しました。
しかし、営業利益は13億7,900万円から5億5,700万円へ大幅に減少しています。売上の減少率と比較して利益の落ち込みが大きく、収益性に課題が生じていることが分かります。
2026年2月期の通期業績も確認
直近の確定通期実績である2026年2月期は、次のとおりです。
- 売上高:813億7,700万円
- 営業利益:10億9,000万円
- 経常利益:15億800万円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:2億3,700万円
前年同期比では、売上高が11.4%減、営業利益が50.3%減、経常利益が41.2%減、純利益が91.9%減でした。
マックハウスの連結除外による比較上の影響もありますが、利益の減少幅が大きいことは見逃せません。
2027年2月期の通期業績予想は下方修正
特に注目すべきなのが、2026年10月9日に公表された通期業績予想の修正です。
| 項目 | 修正後の通期予想 | 前期実績 |
|---|---|---|
| 売上高 | 802億円 | 813.77億円 |
| 営業利益 | 4.6億円 | 10.9億円 |
| 経常利益 | 8.6億円 | 15.08億円 |
| 当期純利益 | 0.1億円 | 2.37億円 |
修正後の営業利益は前期比57.8%減、当期純利益は95.8%減の予想です。
この数字から読み取れるのは、売上規模を維持すること以上に、利益を残すことが大きな経営課題になっているという点です。
なぜ利益が大幅に減少したのか?
チヨダが2026年10月9日に公表した業績予想修正資料には、利益低下につながった具体的な要因が説明されています。
1. 来店客数が計画を下回った
会社側は上半期に既存店客数を前年同期比100.0%と見込んでいましたが、実績は98.1%でした。
客単価についても、計画103.5%に対して実績は99.9%にとどまりました。
来店客数と客単価の双方が計画を下回り、売上高の未達につながっています。
2. 在庫増加と値引き販売による粗利益率の低下
売上計画に基づいて商品を仕入れたものの、販売が計画に届かなかったため、在庫が増加しました。
在庫消化のために値引き販売やポイント還元を実施した結果、連結売上総利益率は計画の48.0%に対して46.8%となりました。
この1.2ポイントの差は、営業利益にとって無視できない影響です。
3. 減損損失などの特別損失
加えて、2027年2月期中間期には固定資産や店舗に関する減損損失など、合計3億5,900万円の特別損失を計上しました。
繰延税金資産の取り崩しによる税金面の影響もあり、最終利益は1億3,000万円まで減少しています。
下半期の改善策は?
チヨダは下半期に向けて、次の施策を掲げています。
- 販売促進の対象商品や時期、値引き内容の見直し
- dポイント導入などによる来店促進
- 低価格商品と付加価値商品の役割分担
- 新たな顧客層を意識した商品構成の整備
- 仕入れの適正化と在庫削減
- 営業体制の再編による店舗支援の強化
会社側は、上半期に増加した在庫が前年水準まで低減したとも説明しています。
したがって、今後の決算では売上高だけでなく、値引き率や粗利益率がどこまで回復するかが重要になります。
【株価・証券コード8185】チヨダ株は買いなのか?
株式会社チヨダは東京証券取引所プライム市場に上場しており、証券コードは8185です。
株式投資を検討する場合は、店舗数や知名度だけではなく、業績予想、利益率、配当、財務状況を総合的に見る必要があります。
2026年11月4日の株価
10月9日の決算発表では、通期業績予想が下方修正されました。その後、10月13日には年初来安値の920円を記録しています。
決算発表と株価下落の時期が重なっていることから、業績見通しの悪化が投資家心理に影響した可能性があります。
配当金と株主還元
2027年2月期の年間配当予想は1株当たり54円です。
内訳は中間配当27円、期末配当27円の予定となっています。
11月4日の終値941円を基準に単純計算すると、予想配当利回りは約5.7%です。
ただし、これは会社が公表した配当予想を前提とした計算であり、実際の利回りや配当の実施は株価や業績、会社の判断によって変わります。
株式投資で確認したい3つのポイント
① 営業利益の回復
売上高が回復しても、値引き販売が続けば利益は増えません。粗利益率が改善するかを確認することが大切です。
② 既存店の客数
2026年上半期は既存店客数が計画を下回りました。9月の既存店売上高は前年同月比5.8%増と改善しましたが、これが一時的な動きなのか、継続的な回復なのかを見極める必要があります。
③ 財務の健全性
2026年8月末の自己資本比率は71.2%でした。利益面には課題がある一方、財務基盤については一定の健全性を保っています。
※株価や配当の情報は投資判断の参考情報であり、将来の株価上昇や配当を保証するものではありません。
【年収・採用・評判】チヨダで働く魅力と注意点
就職・転職先としてチヨダを調べている人にとって、気になるのは平均年収、福利厚生、勤務環境、実際の評判でしょう。
ここでは2026年2月期の有価証券報告書と公式採用情報を中心に整理します。
株式会社チヨダの平均年収は約535万円
2026年2月期の有価証券報告書によると、株式会社チヨダの平均年間給与は535万4,359円です。
平均年齢は48.7歳、平均勤続年数は23.9年となっています。
| 項目 | 2026年2月期 |
|---|---|
| 平均年収 | 約535万円 |
| 平均年齢 | 48.7歳 |
| 平均勤続年数 | 23.9年 |
| 単体従業員数 | 1,102人 |
| 連結従業員数 | 1,231人 |
この平均年収は、提出会社単体の従業員を対象とした数値です。賞与や基準外賃金を含みますが、パート・アルバイトを含めたグループ全体の平均給与ではありません。
過去の推移を見ると、平均年収は次のように変化しています。
- 2023年2月期:約484万円
- 2024年2月期:約490万円
- 2025年2月期:約526万円
- 2026年2月期:約535万円
4期連続で増加しており、直近では賃金水準が上昇しています。
採用情報と福利厚生
チヨダの新卒採用では、店舗運営を中心に靴の専門知識や接客技術を身につけるキャリア形成が用意されています。
公式採用情報で紹介されている主な制度は以下のとおりです。
- 各種社会保険
- 退職一時金制度
- 企業型確定拠出年金
- 従業員持株会
- 従業員割引制度
- 社宅制度(転居を伴う異動の場合)
- 産前産後休暇・育児休暇
- 育児・介護短時間勤務制度
- 財形貯蓄・積立貯蓄
教育面では、新入社員研修、フォローアップ研修、店長教育などを実施しています。
また、靴の専門知識とフィッティング技術を身につけるシューフィッター資格の取得支援もあります。単なる販売スタッフではなく、足や靴に関する専門性を高められる点が特徴です。
チヨダの評判は?利用者と従業員の視点を分けて考える
チヨダの評判を考える場合、消費者としての評価と、従業員としての評価を分けることが重要です。
消費者側では、東京靴流通センターの楽天市場店について、2026年11月初旬時点で約2,278件のショップレビューがあり、評価は5点満点中4.63点でした。
レビューには、発送の早さ、梱包の丁寧さ、価格の手頃さなどを評価する内容が見られます。
ただし、これはオンラインショップの評価であり、全国の実店舗や株式会社チヨダ全体に対する評価ではありません。
一方、働く側の評判については、次の点を確認すると実態を把握しやすくなります。
評価できるポイント
- 長年の事業基盤があり、全国に店舗網を持っている。
- 平均勤続年数が23.9年と長い。
- 社内研修や資格取得支援がある。
- 退職金や確定拠出年金などの制度が整備されている。
応募前に確認したいポイント
- 店舗配属後の勤務時間や休日の取り方
- 転居を伴う異動の有無
- 店舗運営と接客販売の業務比率
- 店長や管理職への昇進条件
- 配属先による人員体制や繁忙期の働き方
平均年収535万円という数字だけで、すべての従業員の待遇を判断することはできません。職種、役職、雇用形態、勤務地による違いを確認することが大切です。
チヨダへの就職・転職が向いている人
チヨダの事業内容や採用制度を踏まえると、次のような人に適性があると考えられます。
- 靴やファッション、生活用品に興味がある人
- 接客を通じて顧客の悩みを解決したい人
- 商品知識や販売技術を専門的に学びたい人
- 店舗運営やマネジメントに挑戦したい人
- 地域に密着した小売業で長く働きたい人
一方、店舗勤務を避けたい人、転勤の可能性を極力なくしたい人、個人の営業成績だけで報酬が大きく変わる仕事を希望する人は、実際の募集職種や配属条件を慎重に確認したほうがよいでしょう。
【株式会社チヨダに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:株式会社チヨダはどこの会社ですか?
株式会社チヨダは、東京都杉並区荻窪に本社を置く日本の靴専門店企業です。1936年に高円寺で創業し、現在はシュープラザや東京靴流通センターなどを全国展開しています。東証プライム上場企業で、証券コードは8185です。
Q2:シュープラザと東京靴流通センターの運営会社は同じですか?
はい、どちらも株式会社チヨダが運営しています。シュープラザは幅広い品揃えや接客を重視する大型靴専門店、東京靴流通センターは日常使いの靴を手頃な価格で提供する地域密着型店舗という違いがあります。
Q3:チヨダの2026年9月末の店舗数はいくつですか?
2026年9月末時点で852店舗です。内訳は東京靴流通センター490店舗、シュープラザ326店舗、チヨダ21店舗、SPC4店舗、クローバーリーフなど11店舗です。
Q4:株式会社チヨダの平均年収はいくらですか?
2026年2月期の有価証券報告書によると、平均年間給与は約535万円です。平均年齢は48.7歳、平均勤続年数は23.9年となっています。
Q5:チヨダの株価と証券コードはいくつですか?
証券コードは8185です。2026年11月4日の終値は941円でした。株価は日々変動するため、売買を検討する場合は最新の市場情報を確認してください。
Q6:マックハウスは現在もチヨダの子会社ですか?
いいえ。チヨダは2024年11月19日にマックハウスの全保有株式を譲渡しました。マックハウスは2025年9月17日にジーイエット株式会社へ商号変更しており、現在のチヨダグループの連結子会社ではありません。
まとめ:【プロの結論】株式会社チヨダの現状と今後の注目点
株式会社チヨダは、1936年に高円寺で創業した一軒の靴店から、全国852店舗を展開する東証プライム上場企業へと成長しました。
シュープラザと東京靴流通センターを中核に、90年にわたって靴の専門店事業を続けています。
2024年にはマックハウスの全株式を譲渡し、衣料品事業から撤退。現在は靴事業に経営資源を集中させています。
ただし、2026年の最新決算には注意すべき数字があります。2027年2月期中間期の売上高は405億1,100万円、営業利益は5億5,700万円、純利益は1億3,000万円で、いずれも前年同期を下回りました。通期営業利益予想も4億6,000万円へ下方修正されています。
今後のチヨダを評価するうえで、特に注目したいのは次の4点です。
1. 既存店の集客回復: 9月の既存店売上高は前年同月比5.8%増。客数の回復が継続するか。
2. PB商品の成長: スパットシューズなど独自商品の販売拡大が利益率改善につながるか。
3. 店舗網の最適化: 852店舗という規模を維持するだけでなく、不採算店舗の整理と既存店の収益性向上を実現できるか。
4. 利益の回復: 値引き販売の抑制、在庫管理の改善、粗利益率の回復を達成できるか。
チヨダの強みは、全国規模の店舗網と長年培ってきた靴販売の専門性です。一方、価格競争や消費者の購買行動の変化に対応しながら、利益を確保する経営力が問われています。
今後は店舗数の多さだけで企業の成長性を判断するのではなく、既存店の客数、PB商品の競争力、営業利益率の3つを重視する必要があります。
創業100周年に向けたチヨダの次の成長は、全国の店舗網という資産を、どれだけ高い収益力に結び付けられるかにかかっています。 2027年2月期の下半期決算と、その後の経営施策が大きな注目材料です。