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【安治川部屋の創設】独立した理由と早稲田大学大学院での学び

氷室 美冬 氷室 美冬 • 更新: • 公開: • 読了約 12 分
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安治川親方が現役引退後に取り組んだ大きな挑戦が、自分自身の相撲部屋を持つことだった。

2019年の引退後、安治川親方は伊勢ヶ濱部屋付きの親方として後進の指導に携わっていた。そして2022年12月1日、日本相撲協会の理事会で安治川部屋の新設が承認され、独立が正式に決まった。

独立当初は東京都江東区千田の仮住まいを使用。その後、2023年6月16日に江東区石島の新施設で土俵開きを行った。現在の所在地は東京都江東区石島4番1号である。

4階建ての新しい相撲部屋に込めた考え

2023年に完成した安治川部屋は4階建て。稽古場だけでなく、力士の生活環境や相撲文化を感じられる空間づくりにも配慮されている。

特徴的なのが、稽古場に設置された映像確認用のモニターだ。稽古中の動きを撮影し、その場ですぐに再生できる仕組みを取り入れた。自分の動作を客観的に見直し、改善点を考える機会を設けている。

また、建物の階段には相撲の歴史を伝える錦絵を取り入れた。伝統文化を尊重しながら、スポーツ科学や新しい設備も活用するという考えが施設の設計にも表れている。

早稲田大学大学院でスポーツ科学を研究

安美錦の引退後の経歴で見逃せないのが、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科での学びだ。

2021年度に同研究科で学び、2022年春に修了。単に大学院で講義を受けただけではなく、相撲部屋の運営に関わるテーマを研究している。

早稲田スポーツ新聞会の2024年9月のインタビューによると、安治川親方が提出した修士論文のテーマは「相撲部屋におけるおかみさんの役割について」だった。

相撲部屋では師匠が稽古や競技指導を担う一方、おかみさんは生活面や運営面で重要な役割を果たす。親方はその立場や役割を研究し、実際の部屋づくりにも学びを生かしている。

安治川部屋が掲げる3つの柱

安治川部屋の公式サイトでは、部屋づくりの基本理念として、次の3つを掲げている。










この3つの理念には、安美錦として約23年間土俵に立った経験と、大学院での研究が反映されている。

2024年のインタビューでは、親方は早稲田大学大学院で学んだスポーツ経営の考え方として、勝利・普及・資金の好循環を生み出す「トリプルミッション」に触れている。強い力士を育てるだけでなく、相撲を知ってもらい、応援する人を増やし、部屋の運営を持続させることを意識している。

これは従来の相撲部屋の伝統を否定するものではない。伝統を守りながら、競技・経営・普及を一体で考える新しい部屋運営の試みといえる。

【弟子と安青錦】安治川親方の指導で大関が誕生した背景

安美錦親方

安治川部屋を語るうえで欠かせない存在が、大関・安青錦(あおにしき)だ。

ウクライナ出身の安青錦は、2023年9月場所で初土俵を踏み、2024年11月場所で新十両、2025年3月場所で新入幕を果たした。その後も番付を上げ、2025年11月場所後の大関昇進決定を経て、2026年1月場所から大関として土俵に立っている。

日本相撲協会のプロフィールでは、安青錦の本名はヤブグシシン・ダニーロ、出身地はウクライナのヴィンニツャ、得意技は右四つ・寄りとされている。2026年11月場所の安治川部屋公式番付では東大関に位置している。

安青錦と安治川親方の師弟関係

安青錦が安治川部屋に入門したのは、部屋が独立した後の2022年12月。同年に研修生となり、翌2023年に新弟子検査を経て正式に力士として歩み始めた。

興味深いのは、安治川親方が当初、安青錦の入門を慎重に考えていたことだ。

2026年2月の日刊スポーツの報道によると、親方はテレビ番組で安青錦の入門当時を振り返った。部屋を新設したばかりで、日本人力士と外国人力士の人数のバランスを考えていたため、最初は受け入れを断ろうと思っていたという。しかし、実際に本人と会って話すうちに、その熱意や真剣さを感じ、受け入れを決めたと紹介されている。

この経緯は、師匠が弟子の将来を見極める際、当初の計画だけでなく、本人の人柄や取り組む姿勢も重視していたことを示すエピソードだ。

安治川部屋の所属力士一覧【2026年11月場所】

安治川部屋には安青錦だけでなく、各段で上位を目指す力士たちが所属している。部屋の公式サイトに掲載されている2026年11月場所の番付を整理すると、次のとおりだ。

四股名 2026年11月場所の番付
安青錦 東大関
安響 東幕下20枚目
安大翔 西幕下28枚目
川副 東三段目20枚目
安強羅 東三段目40枚目
安琉海 西三段目61枚目
安寿真 西序二段27枚目
安氣乃山 東序ノ口10枚目
安櫻 西序ノ口17枚目

出典:安治川部屋公式サイトの2026年11月場所掲載情報。番付は場所ごとに変動する。

所属力士の顔ぶれを見ると、大関から序ノ口まで幅広い段階の力士が在籍していることが分かる。安青錦のような上位力士を育てることに加え、これから関取を目指す若手を育成することも師匠の大きな役割だ。

安青錦の大関昇進は安治川部屋に何をもたらした?

安青錦の大関昇進は、創設から間もない安治川部屋にとって大きな節目となった。

大関は横綱に次ぐ地位であり、継続して高い成績を残すことが求められる。安治川部屋から大関が誕生したことで、部屋の存在や指導環境に対する関心も高まった。

ただし、安青錦の成功を師匠一人の功績として捉えるのは正確ではない。本人がウクライナで培った相撲経験、来日後の努力、日々の稽古、師匠や兄弟子たちとの関係など、複数の要素が重なって現在の地位につながっている。

安治川親方の役割は、弟子の能力を引き出す環境をつくり、長期的に成長できるよう支えることにある。安青錦の大関昇進は、その指導環境が一つの成果を生み出した事例として注目できる。

【プロの結論】安美錦親方の本当の強みは相撲経験と経営視点の融合

安治川親方のキャリアを振り返ると、現役時代の実績と引退後の活動には、一貫した考え方が見えてくる。それは、状況を見極め、自分に必要なものを取り入れながら前進する姿勢だ。

1.技巧派としての経験を次世代に伝える

安美錦の強さは、相手の長所を封じる技術や、状況に応じて取り口を変える柔軟性にあった。金星8個、技能賞6回という数字は、その能力を裏付ける客観的な実績だ。

こうした経験は、単純に強く当たることだけではない、相撲の奥深さを弟子に伝えるうえで役立つ。身体の使い方、相手との駆け引き、取組の流れを読む力など、長年の実戦で身につけた技術は指導者としての財産になる。

2.大学院での学びを部屋の運営に反映する

大学院での研究や稽古映像の確認設備、地域との交流活動には、安治川親方が競技以外の部分にも目を向けていることが表れている。

特に、力士が相撲を引退した後の人生まで視野に入れ、進学や資格取得を後押しするという考え方は、部屋の教育的な役割を広げるものだ。

3.強い部屋をつくるには普及と経営も必要

相撲部屋を長く維持するには、強い力士を育てるだけでは十分ではない。新しい弟子を迎え、地域や後援者との関係を築き、相撲に関心を持つ人を増やす必要がある。

安治川親方が稲門相撲會を設立し、大学相撲部との合同稽古や地域交流に取り組んでいるのも、こうした考えとつながっている。

現役時代の安美錦は、相手を研究し、自分の技術を磨いて勝負してきた。現在の安治川親方は、その姿勢を部屋の経営や人材育成にも広げている。ここに、引退後のキャリアにおける最大の特徴がある。

安美錦親方について情報を調べる際の判断基準

インターネット上では、現役時代の安美錦と現在の安治川親方が別人のように扱われたり、部屋の創設時期と新施設の完成時期が混同されたりすることがある。情報を整理する際は、次の点を区別すると分かりやすい。

- 人物名の違い: 安美錦竜児は現役時代の四股名、安治川竜児は現在の年寄名、本名は杉野森竜児。
- 引退と独立の違い: 2019年7月が現役引退、2022年12月が安治川部屋の独立承認。
- 部屋の創設と土俵開きの違い: 2022年12月に新設承認、2023年6月に新施設で土俵開き。
- 大学院の修了と部屋の経営: 2022年春に大学院を修了し、その後の部屋づくりに学びを反映。
- 安青錦の地位: 2026年11月場所の番付では東大関。

こうして時系列を整理すると、安美錦の引退後の歩みと、安治川部屋が成長してきた過程を正確に理解できる。

【安美錦親方の現在】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:安美錦親方は2026年現在、何をしていますか?
A1:現在は安治川親方として、東京都江東区石島にある安治川部屋の師匠を務めている。弟子の稽古や育成、部屋の運営、地域交流、相撲の普及活動などに取り組んでいる。

Q2:安美錦親方の本名は何ですか?
A2:本名は杉野森竜児(すぎのもり・りゅうじ)。現役時代は安美錦竜児、現在は年寄名の安治川竜児を名乗っている。

Q3:安美錦の引退理由は何ですか?
A3:長年抱えていた右膝の故障が、2019年7月場所で再び悪化したことが大きな理由。再出場を考えたものの、身体と気持ちの両面から現役続行は難しいと判断し、同月17日に引退を発表した。

Q4:安美錦の現役時代の最高位と成績は?
A4:最高位は関脇。生涯戦歴は907勝908敗55休で、金星8個、技能賞6回、殊勲賞4回、敢闘賞2回を記録している。

Q5:安治川部屋はいつ創設されましたか?
A5:日本相撲協会が2022年12月1日付の新設を承認した。2023年6月16日に東京都江東区石島で土俵開きを行い、新しい施設での活動を開始した。

Q6:安美錦親方は早稲田大学を卒業していますか?
A6:引退後、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で学び、2022年春に修了している。相撲部屋におけるおかみさんの役割をテーマに修士論文を提出した。

Q7:安青錦は安治川親方の弟子ですか?
A7:はい。安青錦は安治川部屋所属の力士で、安治川親方が師匠を務めている。2026年11月場所では東大関に位置している。

まとめ:安美錦親方は指導者・経営者として新たな相撲人生を歩んでいる

安美錦親方は、2019年7月に現役を引退した後も、相撲界で重要な役割を担い続けている。現在の安治川親方は、元関脇としての豊富な経験を生かし、安治川部屋の師匠として力士の育成に取り組んでいる。

現役時代の金星8個、技能賞6回、通算907勝という実績は、技巧派力士としての存在感を示すものだ。一方、引退後は早稲田大学大学院でスポーツ科学を学び、2022年の安治川部屋独立、2023年の新施設完成へと歩みを進めた。

そして2026年、弟子の安青錦が大関として活躍していることは、師匠としての新たな節目になっている。

今後の注目点は、安青錦に続く関取を育てられるか、部屋の理念である学び・感謝・社会貢献をどこまで実践できるかという点だ。現役時代の名勝負だけでなく、指導者として安治川部屋をどのように成長させていくのか。その歩みも、これからの大相撲を楽しむうえで注目したい。

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コンテンツディレクター 氷室 美冬
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