2017年放送のTBS火曜ドラマ『カルテット』で、吉岡里帆が演じたのは、ライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員・来杉有朱(きすぎ・ありす)です。元地下アイドルという過去を持ち、いつも笑顔を浮かべながらも目だけは笑っていないという、独特の存在感を放つ女性です。
有朱は、主人公たちの何気ない日常に入り込み、ときには恋愛をかき乱し、ときには物語をサスペンスへと変える重要人物。特に第3話の誘惑指南と、第7話で明らかになる別荘への侵入理由、そして第9話から最終回にかけての展開は見逃せません。2026年時点で、TBSの公式人物紹介、各話のあらすじ、制作現場レポート、関係者インタビューをもとに役柄と物語上の意味を整理します。
【役名と正体】吉岡里帆が演じた来杉有朱とは何者?

来杉有朱のプロフィール
TBS公式サイトの人物紹介によると、来杉有朱はライブレストラン「ノクターン」で働くアルバイト店員です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 役名 | 来杉有朱 |
| 読み方 | きすぎありす |
| 演じる俳優 | 吉岡里帆 |
| 勤務先 | ライブレストラン「ノクターン」 |
| 職業 | アルバイト店員 |
| 過去 | 元地下アイドル |
| 人物像 | ミステリアスで魔性の女性 |
| 特徴 | 笑顔を浮かべていても目が笑っていない |
TBSが2016年12月19日に発表した追加キャスト情報でも、吉岡里帆の役柄は元地下アイドルで、ミステリアスな雰囲気を持つ女性と紹介されています。
特に印象的なのが、公式人物紹介にある次の説明です。
「常に笑顔を絶やさずにいるが、その目は全く笑っていない。」
この設定が、有朱という人物を理解するうえで要点です。
接客業では笑顔が大切です。しかし、有朱の場合、その笑顔は相手への親しみや好意を意味しているとは限りません。
相手が何を考えているのか、どんな反応をするのかを観察しながら、平然と距離を詰めていく。相手の警戒心を解くような表情と、内面を読ませない視線の組み合わせが、彼女の不気味さを生み出しています。
元地下アイドルという過去は本当?
ここで注意したいのが、元地下アイドルという設定の対象です。
これは吉岡里帆本人の経歴ではなく、来杉有朱というドラマ内の人物設定です。
TBS公式プロフィールでは元地下アイドルとされていますが、具体的なアイドルグループ名や活動時期、当時の芸名などは詳しく説明されていません。
そのため、実在したグループや吉岡里帆本人の過去のアイドル活動と結び付けるのは誤りです。
有朱の過去は、華やかな表舞台だけでは生きていけなかった人物という背景を想像させます。ただし、ドラマが描く中心はアイドル時代の回想ではなく、現在の彼女が周囲の人間関係をどう動かしていくかという部分です。
【作品とキャスト相関図】ノクターンとドーナツホールの関係
『カルテット』は、脚本家・坂元裕二によるオリジナルドラマです。
TBSの火曜ドラマ枠で、2017年1月17日から3月21日まで全10話が放送されました。
物語の中心は、偶然出会った30代の男女4人が弦楽四重奏団「カルテット・ドーナツホール」を結成し、軽井沢の別荘で共同生活を送りながら音楽活動を続けるというもの。
恋愛、秘密、嘘、家族関係、叶わなかった夢など、さまざまな人間模様が交錯します。
有朱は、この4人が定期的に演奏するライブレストラン「ノクターン」のスタッフとして物語に関わります。
主要キャストと来杉有朱の関係
TBS公式の人物相関図をもとに、主要人物を整理します。
| 登場人物 | 俳優 | 役割・関係 |
|---|---|---|
| 巻真紀 | 松たか子 | 第一ヴァイオリン奏者 |
| 世吹すずめ | 満島ひかり | チェロ奏者 |
| 家森諭高 | 高橋一生 | ヴィオラ奏者 |
| 別府司 | 松田龍平 | 第二ヴァイオリン奏者 |
| 来杉有朱 | 吉岡里帆 | ノクターンのアルバイト店員 |
| 谷村大二郎 | 富澤たけし | ノクターンのオーナー兼シェフ |
| 谷村多可美 | 八木亜希子 | 大二郎の妻 |
| 巻幹生 | 宮藤官九郎 | 真紀の夫 |
ノクターンは谷村大二郎と多可美夫妻が経営する店です。有朱はそこで働きながら、ドーナツホールのメンバーと接点を持ちます。
彼女が特に関わるのは、すずめ、諭高、真紀、そして大二郎です。
- すずめには恋愛の駆け引きを指南する。
- 諭高には親しげに接しながら、彼を翻弄する。
- 真紀のバイオリンをめぐって重大な事件を起こす。
- 大二郎には大胆な誘惑を仕掛ける。
このように、有朱は主人公4人の外側にいる人物でありながら、複数の人間関係に直接影響を与えます。
【第3話の有朱】すずめに教えた大人の誘惑と不穏な魅力
第3話で有朱がすずめに近づいた理由
第3話は2017年1月31日放送です。
この回では、有朱がすずめの暮らす別荘を訪れ、恋愛について質問します。
有朱は、休みの日なのにデートをしないのか、なぜ彼氏を作らないのかと、すずめに尋ねます。
すずめは告白することが苦手だと答えます。
すると有朱は、大人の恋愛について独特の考え方を披露します。
その中心となるのが、告白するのではなく、相手を誘惑するという発想です。
TBSの公式現場レポートでは、この場面について「誘惑は3つです!」というタイトルで撮影の様子が紹介されています。
有朱が教えた誘惑の方法
有朱がすずめに伝えたのは、単純な恋愛テクニックではありません。
相手との距離感や心理的な駆け引きを利用する、かなり計算された方法です。
特に印象的なのが、次の3つの動物の例えです。
- 猫になる。
- 虎になる。
- 雨に濡れた犬になる。
加えて、相手との距離をペットボトル1本分ほどに保つという具体的なアドバイスも登場します。
有朱にとって恋愛は、気持ちを正直に伝えるだけのものではありません。相手にどう思わせるか、どのタイミングで近づくかという心理的な駆け引きでもあります。
TBS公式の現場レポートには、吉岡里帆と満島ひかりが撮影前のリハーサルで距離感や動きを確認していた様子も記録されています。
この場面の面白さは、すずめの自然体な性格と、有朱の計算された振る舞いが対照的になっていることです。
なぜ第3話の有朱は印象に残るのか
有朱は、恋愛の話をしているときでさえ、どこか他人事のような雰囲気を崩しません。
普通なら照れたり、冗談を交えたりするような場面でも、淡々とした表情で相手に接します。
吉岡里帆の演技では、言葉そのものよりも、言葉を発するときの表情や視線が重要な役割を果たしています。
すずめとの親密な距離感がありながら、完全には心を許していないように見える。この曖昧さが、有朱の人物像をさらに複雑にしています。
【第7話の真相】有朱が別荘に来た理由と転落事件の結末
第7話は2017年2月28日放送。
有朱に関する最大の謎が明らかになる重要な回です。
TBS公式のあらすじでも、次の2つが大きな疑問として提示されていました。
- なぜ、すずめは縛られていたのか。
- なぜ、有朱は別荘へ来たのか。
有朱はなぜ真紀の別荘に来た?
事件の背景には、金銭目的の行動があります。
有朱は家森と行動を共にするなかで、楽器の価値について知ります。
その後、別荘に誰もいないと判断し、真紀のバイオリンを持ち出そうとします。
つまり、別荘を訪れた目的は、カルテットのメンバーに会うことではありませんでした。
真紀の大切なバイオリンを手に入れ、金銭に換えようとしていたのです。
有朱の行動は、単なる好奇心やいたずらではありません。相手の所有物を利用して自分の利益を得ようとする、計算された行動でした。
幹生とのもみ合いで転落
ところが、別荘には予想外の人物がいました。
それが、真紀の夫・巻幹生です。
幹生は真紀のバイオリンを守ろうとし、有朱との間でもみ合いになります。
その結果、有朱は別荘のベランダから転落してしまいます。
幹生は有朱が死亡したと思い込み、動揺します。
真紀と再会した後も、事件の発覚を恐れ、逃げることを考えるほど追い詰められていきます。
有朱は死亡したのか?実際の結末
ここは検索する人が特に間違えやすいポイントです。
有朱は第7話の転落事故で死亡していません。
実際には意識を失っていただけでした。
その後、有朱は意識を取り戻し、幹生が動揺している隙に車を奪ってその場を離れます。
加えて、真紀に謝罪して車を返すという、事件の重大さとは不釣り合いなほどあっさりした態度を見せます。
シネマトゥデイの2017年3月7日の記事も、有朱が意識を取り戻して逃走し、何事もなかったかのように謝罪する展開を取り上げています。
この一連の行動によって、有朱は単なる悪女ではなく、最後まで何を考えているのか分からない人物として描かれました。
【第9話・最終回】有朱はその後どうなった?ノクターン退職と再登場
第7話の事件で物語から姿を消したわけではありません。
有朱には、その後も重要な展開が用意されています。
第9話ではノクターンの店主・大二郎を誘惑
第9話では、有朱がノクターンのオーナーである谷村大二郎に接近します。
大二郎に対して、猫、雨に濡れた犬、虎という、第3話ですずめに教えた誘惑の方法を思わせる行動を仕掛けます。
しかし、大二郎は有朱の誘惑に応じません。
彼は妻の多可美を愛していると明確に伝えます。
TBS公式の現場レポートには、この場面の撮影の様子が詳しく掲載されています。
吉岡里帆と坪井敏雄監督が、富澤たけしとの距離や身体の動きを相談しながら演技を組み立てていったことも紹介されています。
そして、有朱は大二郎に拒絶されます。
その後、何事もなかったかのように身を引く姿も印象的です。
最終的に有朱はノクターンを辞めることになります。
最終回で有朱は再登場する?
最終回は2017年3月21日放送です。
物語の中心は、真紀が警察に出頭した後、解散状態になったドーナツホールのメンバーたちが、それぞれの道を歩む姿に移ります。
では、有朱はどうなったのでしょうか。
ここで参考になるのが、2018年7月15日に集英社の「週プレNEWS」に掲載された、プロデューサー佐野亜裕美へのインタビューです。
佐野プロデューサーは、有朱について、最終話で裕福な外国人男性たちを従えて再登場することを明かしています。
つまり、有朱は第9話でノクターンを辞めた後も、物語の最後に姿を見せる人物なのです。
ただし、最終回で彼女の人生が詳しく説明されるわけではありません。
退職後の具体的な職業や生活の詳細まで描かれるわけではなく、最後まで謎を残す人物として物語を去っていきます。
【吉岡里帆の演技評価】来杉有朱が強烈な印象を残した理由
第92回ドラマアカデミー賞で助演女優賞1位
来杉有朱という役柄は、吉岡里帆の演技を語るうえでも重要な作品の一つです。
第92回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では、吉岡里帆が『カルテット』の来杉有朱役で助演女優賞1位を獲得しました。
ザテレビジョンの受賞紹介では、かわいらしい印象の裏に潜む狂気や、目の奥が笑っていない笑顔によって周囲を翻弄する演技が評価されています。
それまでの吉岡里帆のイメージとは異なる役柄だったことも、注目された理由の一つです。
有朱の演技で注目したい3つのポイント
1.笑顔と目の表情のギャップ
有朱の最大の特徴は、笑っているのに感情が読み取れない表情です。
接客時の笑顔と、本心を隠す視線が同時に存在しています。
視聴者は彼女が本当に楽しんでいるのか、それとも相手を観察しているのか判断できません。
2.声のトーンと話し方
有朱は、周囲を驚かせるような行動を取っても、必要以上に声を荒らげません。
むしろ落ち着いた話し方を維持することで、行動と表情の不一致が際立ちます。
第3話の誘惑指南も、第7話の事件も、淡々とした態度が人物の異質さを強調しています。
3.親しげな距離感と突然の行動
有朱は相手に近づくことをためらいません。
しかし、親密さを感じさせた直後に、予想外の行動を取ることがあります。
この落差が、視聴者に緊張感を与えます。
TBSの制作現場レポートでは、吉岡が本番直前まで自主練習をしていた様子も紹介されています。また、佐野プロデューサーは後年のインタビューで、吉岡が役作りのために練習や研究を重ねていたことに触れています。
単に台本上の悪女を演じたのではなく、細かな動作や距離感まで作り込んだことが、印象的なキャラクターにつながったと考えられます。
【プロの結論】来杉有朱は『カルテット』の人間関係を揺さぶる存在
有朱の役割を理解するうえで大切なのは、彼女を単純な悪役として片付けないことです。
彼女はドーナツホールのメンバーではありません。音楽家としての夢や共同生活を共有しているわけでもありません。
それでも、物語の重要な場面に入り込み、主人公たちが隠している本音や弱さを浮き彫りにします。
第3話では恋愛の駆け引き、第7話では金銭目的の窃盗と転落事件、第9話では大二郎への誘惑というように、登場する場面ごとに異なる役割を担っています。
加えて、元地下アイドルという過去は人物の背景を示す設定ですが、公式情報だけで彼女の人格を医学的な意味でのサイコパスと断定することはできません。
有朱の魅力は、すべての行動に分かりやすい説明が与えられていないところにもあります。
彼女の行動を通して、他人を利用する人間の怖さや、笑顔だけでは相手の本心を判断できないという人間関係の複雑さが描かれています。
有朱の登場回を見直すなら、第3話で人物像をつかみ、第6〜7話で行動の真相を確認し、第9話と最終回でその後を追うのがおすすめです。
【よくある質問】『カルテット』の吉岡里帆に関するFAQ
Q1:『カルテット』で吉岡里帆が演じた役名は何ですか?
A1:来杉有朱(きすぎありす)です。ライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員で、元地下アイドルという設定のミステリアスな女性です。
Q2:来杉有朱は本当に元地下アイドルだったのですか?
A2:ドラマ内の人物設定として元地下アイドルです。吉岡里帆本人が地下アイドルだったという意味ではありません。
Q3:第7話で来杉有朱は死亡したのですか?
A3:死亡していません。真紀のバイオリンをめぐって幹生ともみ合いになり、ベランダから転落しますが、実際には意識を失っていただけです。その後、意識を取り戻して逃走します。
Q4:来杉有朱は最終回にも登場しますか?
A4:登場します。佐野亜裕美プロデューサーのインタビューでも、最終話に裕福な外国人男性たちを連れて再登場することが語られています。
Q5:吉岡里帆の『カルテット』での演技は評価されましたか?
A5:高く評価されています。第92回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞で1位を獲得しました。
まとめ:『カルテット』吉岡里帆の来杉有朱は忘れられない重要人物
『カルテット』で吉岡里帆が演じた来杉有朱は、ノクターンのアルバイト店員であり、元地下アイドルという過去を持つ謎めいた女性です。
第3話ではすずめに誘惑の方法を教え、第7話では真紀のバイオリンを盗もうとして転落。死亡したと思われたものの生きており、第9話では大二郎への誘惑に失敗してノクターンを去ります。
そして最終回にも再登場します。
有朱の魅力は、かわいらしい笑顔と予測不能な行動の落差にあります。吉岡里帆の繊細な表情の演技によって、短い登場シーンでも強烈な印象を残しました。
2017年の放送から時間が経った2026年に振り返っても、来杉有朱は『カルテット』を語るうえで欠かせないキャラクターです。
物語の核心を知りたい人は第7話、吉岡里帆の演技をじっくり味わいたい人は第3話と第9話にも注目すると、彼女の役柄が持つ奥深さをより楽しめます。