2026年11月5日現在、将棋界の注目を集めているのが、藤井聡太王将への挑戦権を争う「ALSOK杯第76期王将戦」だ。挑戦者を決める7人制の挑戦者決定リーグは終盤に入り、永瀬拓矢九段、伊藤匠叡王、藤本渚七段がいずれも3勝1敗で首位に並んでいる。11月6日には永瀬九段と伊藤叡王の直接対決も予定されており、挑戦権争いは大きな山場を迎える。
王将戦は、予選から挑戦者決定リーグ、そして藤井王将との七番勝負へと進む伝統あるタイトル戦だ。第76期の最新順位・星取表、注目棋士の戦績、2027年の七番勝負の日程、持ち時間や棋譜中継・ライブ配信の視聴方法まで、観戦に必要な情報を整理する。
【基礎知識】将棋の王将戦とは?歴史・タイトルの価値・藤井聡太王将の現在
王将戦は、日本将棋連盟が主催する将棋の八大タイトル戦の一つ。1950年に創設され、1951年からタイトル戦として開催されている。名人戦に次ぐ歴史を持つ伝統的な棋戦であり、現在はALSOKが特別協賛を務める「ALSOK杯王将戦」として実施されている。
最大の特徴は、全棋士を対象とした予選から始まり、7人による挑戦者決定リーグを経て、最後に現王将との七番勝負でタイトルの行方を決める仕組みだ。
藤井聡太王将は現在5連覇中
2026年3月26日、第75期王将戦七番勝負第7局で藤井聡太王将が永瀬拓矢九段に勝利し、通算4勝3敗で防衛を果たした。
このシリーズは藤井王将にとって忘れがたい戦いとなった。
第4局終了時点で1勝3敗。あと1敗でタイトルを失うカド番に追い込まれたものの、第5局から3連勝して逆転防衛を達成した。これによって王将位は5期連続保持となり、タイトル獲得数も通算33期に到達した。
当時の報道によると、藤井王将は防衛後に「防衛できたのは幸運だった」と振り返っている。勝負の厳しさを率直に語ったコメントだった。
2026年11月5日時点では、藤井聡太は王将を含む六冠を保持している。第76期では、挑戦者を迎え撃つ立場だ。
歴代王将と永世称号
王将戦の歴史を語るうえで欠かせないのが、歴代の名棋士たちだ。
特に大山康晴と羽生善治は、王将戦の歴史に大きな足跡を残している。
王将には、通算10期獲得という厳しい条件を満たした棋士に与えられる「永世王将」の称号がある。これまでに資格を得たのは大山康晴と羽生善治の2人だけだ。
また、羽生善治は第45期王将戦の時代に当時の七大タイトル全冠制覇を達成している。王将戦は、将棋界の歴史的な記録が生まれてきた舞台でもある。
【2026年11月最新】第76期王将戦の挑戦者決定リーグ順位・星取表
第76期王将戦の最大の見どころは、藤井聡太王将への挑戦者を決める挑戦者決定リーグだ。
出場するのは7人。2026年11月4日の対局終了時点で、永瀬拓矢九段、伊藤匠叡王、藤本渚七段が3勝1敗で並んでいる。
第76期王将リーグ最新成績
| 棋士 | 前期順位 | 勝敗 | 現状 |
|---|---|---|---|
| 永瀬拓矢九段 | 1位 | 3勝1敗 | 首位グループ |
| 伊藤匠叡王 | 3位 | 3勝1敗 | 首位グループ |
| 藤本渚七段 | 5位 | 3勝1敗 | 首位グループ |
| 郷田真隆九段 | 5位 | 2勝2敗 | 追走 |
| 本田奎六段 | 5位 | 2勝2敗 | 追走 |
| 西田拓也六段 | 2位 | 1勝4敗 | 残留争い |
| 近藤誠也八段 | 4位 | 1勝4敗 | 陥落決定 |
※前期順位は今期の勝敗順位ではなく、リーグ参加時に設定されたシード順位。成績が同じ場合の順位決定などに関係する。
11月4日の対局結果にも注目
11月4日には、近藤誠也八段と西田拓也六段が対戦した。
結果は先手の近藤八段が133手で勝利。今期リーグ初白星を挙げ、両者の成績は1勝4敗となった。
近藤八段はすでに次期リーグのシードを失うことが決まっていたが、最後まで対局に臨む姿勢を見せた。西田六段にとっても、残留に向けて厳しい結果となった。
現在のリーグ戦で要点
今期のリーグ戦で注目したいのは、3勝1敗の棋士が3人いることだ。
- 永瀬拓矢九段:前期挑戦者として再び藤井王将への挑戦を狙う。
- 伊藤匠叡王:タイトル保持者としてリーグを勝ち抜きたい立場。
- 藤本渚七段:初参加の王将リーグで上位争いに加わる。
この3人がどのように残りの対局を戦うかによって、挑戦者決定の展開は大きく変わる。
【注目棋士3人】永瀬拓矢・伊藤匠・藤本渚の挑戦権争い
第76期王将戦を理解するうえで、首位に並ぶ3人の関係性は押さえておきたい。
単に勝ち星だけを見るのではなく、前期の実績や今期のリーグ参加経緯を踏まえると、それぞれ異なる背景が見えてくる。
永瀬拓矢九段:前期の悔しさを晴らせるか
永瀬拓矢九段
永瀬拓矢九段は、第75期王将戦で藤井聡太王将に挑戦した棋士だ。
前期の七番勝負では、藤井王将を1勝3敗まで追い込んだ。しかし、そこから3連敗し、タイトル獲得には届かなかった。
今期は3勝1敗と好位置につけており、再び挑戦者となれば藤井王将との再戦が実現する。
11月6日の伊藤匠叡王戦は、永瀬九段にとって首位争いを優位に進めるための重要な一局となる。
伊藤匠叡王:直接対決で首位を抜け出せるか
伊藤匠叡王
伊藤匠叡王も3勝1敗で挑戦権を狙っている。
今期リーグでは、西田拓也六段、郷田真隆九段、近藤誠也八段に勝利している一方、本田奎六段には敗れている。
永瀬九段との対局は、両者が3勝1敗で迎える直接対決だ。
勝利すれば4勝1敗となり、挑戦者争いで一歩前に出る。敗れた場合は、永瀬九段との差が開く可能性がある。
藤本渚七段:初のリーグ参加で存在感
藤本渚七段
藤本渚七段は、第76期王将リーグで初めて参加した棋士の一人だ。
二次予選を勝ち上がり、強豪が集まるリーグに進出した。初参加ながら永瀬九段、近藤八段、西田六段らとの対局を経て3勝1敗を記録している。
特に注目されるのは、初参加でありながら上位の常連棋士と互角の挑戦権争いを演じている点だ。
残りの対局では本田奎六段、郷田真隆九段、伊藤匠叡王との対戦が控えており、終盤の星の積み重ねが重要になる。
3人の関係性と今期の注目ポイント
| 棋士 | 今期の位置づけ | 前期・今期の関係 | 注目点 |
|---|---|---|---|
| 永瀬拓矢 | 前期挑戦者 | 第75期で藤井王将に敗退 | 再挑戦を目指す |
| 伊藤匠 | タイトル保持者 | 前期リーグ上位からシード | 永瀬との直接対決 |
| 藤本渚 | 初参加の挑戦者候補 | 二次予選を突破 | 初挑戦への可能性 |
| 郷田真隆 | リーグ参加棋士 | 二次予選を突破 | 経験を生かした追い上げ |
| 本田奎 | リーグ参加棋士 | 二次予選を突破 | 上位勢との対戦が鍵 |
3人のうち誰が挑戦権を獲得しても、藤井王将との七番勝負は大きな注目を集めることになる。
【王将戦の予選制度】7人の挑戦者決定リーグはどうやって選ばれる?
王将戦は、いきなり7人のリーグ戦から始まるわけではない。
全棋士が参加する一次予選と二次予選を経て、挑戦者決定リーグの出場者が決まる。
一次予選から挑戦者決定リーグまでの流れ
第76期の場合、前期成績によるシード棋士は次の4人だ。
- 永瀬拓矢九段
- 西田拓也六段
- 伊藤匠叡王
- 近藤誠也八段
二次予選を勝ち上がったのは、本田奎六段、郷田真隆九段、藤本渚七段の3人。
この7人がリーグ戦を戦っている。
挑戦者決定リーグの仕組み
リーグは総当たり方式で、各棋士がほかの6人と対局する。
重要なのは、単純に勝ち星だけで順位が決まるわけではないことだ。
成績最上位者が複数いる場合は、原則としてリーグ順位が上位の2人によるプレーオフで挑戦者を決める。
また、リーグ上位4人は次期リーグに残留し、下位3人は陥落する仕組みになっている。
つまり、王将リーグは挑戦者を決める戦いであると同時に、翌期の出場権を守る戦いでもある。
この二重のプレッシャーが、王将戦の挑戦者決定リーグを厳しい戦いにしている理由の一つだ。
【2027年最新日程】王将戦七番勝負はいつ?全7局の開催予定
第76期王将戦の挑戦者決定リーグを勝ち抜いた棋士は、2027年1月から3月にかけて藤井聡太王将との七番勝負に臨む。
日本将棋連盟が公表している開催予定は以下のとおり。
第76期王将戦七番勝負の日程・会場
| 対局 | 日程 | 会場 |
|---|---|---|
| 第1局 | 2027年1月11日・12日 | さんべ荘(島根県大田市) |
| 第2局 | 2027年1月23日・24日 | 伏見稲荷大社(京都府京都市) |
| 第3局 | 2027年2月2日・3日 | オーベルジュ ときと(東京都立川市) |
| 第4局 | 2027年2月15日・16日 | 温泉旅館矢野(北海道松前町) |
| 第5局 | 2027年3月6日・7日 | 掛川城二の丸茶室(静岡県掛川市) |
| 第6局 | 2027年3月18日・19日 | ホテル花月(栃木県大田原市) |
| 第7局 | 2027年3月30日・31日 | 将棋会館(東京都渋谷区) |
※挑戦者は2026年11月5日時点で未決定。七番勝負は先に4勝した棋士が王将位を獲得するため、4勝到達時点で終了する。第6局・第7局は必ずしも開催されるわけではない。
七番勝負で注目したいポイント
七番勝負は、単純な勝ち負けだけでなく、2日間にわたる長時間の対局が特徴となる。
1日制の棋戦と異なり、初日の終盤で指し手を封じる「封じ手」が採用される。
初日の最後に次の一手を封じ、翌日に対局を再開するため、対局者には長時間にわたる集中力と体力が求められる。
また、開催地が全国各地に設定されることも王将戦の魅力だ。地方の旅館や歴史的な施設で繰り広げられるタイトル戦は、盤上の勝負だけでなく、開催地の文化や景観にも注目が集まる。
【持ち時間・ルール・ライブ配信】王将戦をリアルタイムで楽しむ方法
王将戦を観戦する際に知っておきたいのが、対局ごとの持ち時間と棋譜中継の方法だ。
王将戦の持ち時間
日本将棋連盟の棋戦情報によると、王将戦の持ち時間は対局段階によって異なる。
| 対局段階 | 持ち時間 | 対局方式 |
|---|---|---|
| 一次予選 | 各3時間 | 1日制 |
| 二次予選 | 各3時間 | 1日制 |
| 挑戦者決定リーグ | 各4時間 | 1日制 |
| 七番勝負 | 各8時間 | 2日制・封じ手あり |
予選とリーグではチェスクロックが使用される。
七番勝負は各8時間の持ち時間を使う2日制で、昼食休憩は原則として12時30分から13時30分まで設定されている。
持ち時間が長いほど、棋士は複雑な局面で深く考えることができる。一方で、時間配分を誤れば終盤で十分に考える余裕を失うこともある。
王将戦の観戦では、序盤の研究だけでなく、終盤に残された時間と指し手の精度にも注目したい。
王将戦の棋譜中継・ライブ配信
王将戦をリアルタイムで追う方法は、大きく分けて棋譜中継と映像配信の2種類がある。
1.毎日新聞の棋譜中継
毎日新聞では王将戦の棋譜中継を提供している。
盤面の進行を確認しながら棋士の指し手を追えるため、映像を見られない環境でも対局の状況を把握しやすい。
毎日新聞の案内によると、棋譜中継は公開から30日間無料で、その後は毎日新聞デジタルの対象プランへの申し込みが必要となる。
2.囲碁将棋プラスの生放送
映像で対局を楽しみたい場合は、囲碁将棋プラスも選択肢になる。
第76期王将戦の挑戦者決定リーグでは、全21対局の生中継が案内されている。対局室映像や解説付き配信など、観戦スタイルに応じたコンテンツが用意されている。
次の注目対局は11月6日・永瀬拓矢対伊藤匠
この対局は、3勝1敗同士の直接対決だ。
永瀬九段が勝てば4勝1敗、伊藤叡王が勝っても4勝1敗となり、勝者は挑戦権争いで大きく前進する。
藤本渚七段も同じ3勝1敗で控えているため、この対局だけで挑戦者が決まるわけではない。しかし、リーグ終盤の流れを左右する重要な一局となる。
【よくある質問】将棋王将戦に関するFAQ
Q1:第76期王将戦の挑戦者は誰ですか?
第76期の挑戦者は、2026年11月5日時点では未決定です。永瀬拓矢九段、伊藤匠叡王、藤本渚七段が3勝1敗で並び、挑戦権を争っています。
Q2:王将戦の挑戦者決定リーグは何人で行われますか?
7人です。前期リーグからのシード棋士4人と、二次予選を勝ち抜いた3人で総当たり戦を行います。
Q3:王将戦の七番勝負はいつ開催されますか?
第76期は2027年1月11日に第1局が始まり、3月31日までに最大7局が予定されています。藤井聡太王将と挑戦者が対戦します。
Q4:王将戦の持ち時間は何時間ですか?
一次・二次予選は各3時間、挑戦者決定リーグは各4時間、七番勝負は各8時間です。七番勝負は封じ手を採用する2日制です。
Q5:藤井聡太王将は何連覇していますか?
2026年3月の第75期防衛によって、王将位は5期連続保持となりました。第76期では6連覇を目指します。
Q6:王将戦の棋譜やライブ映像はどこで見られますか?
棋譜は毎日新聞の棋譜中継、映像は囲碁将棋プラスなどで確認できます。サービスによって無料公開期間や会員登録の条件が異なります。
まとめ:第76期王将戦は挑戦者争いと藤井聡太の防衛戦に注目
2026年11月5日現在、第76期王将戦は挑戦者決定リーグが終盤に入り、永瀬拓矢九段、伊藤匠叡王、藤本渚七段の3人が3勝1敗で並んでいる。
特に11月6日の永瀬九段対伊藤叡王は、挑戦権争いの行方を占う重要な一局だ。
一方、タイトル保持者の藤井聡太王将は第75期で1勝3敗から逆転し、5連覇を達成した実績を持つ。次期七番勝負では、6連覇という新たな目標に挑む。
王将戦をより深く楽しむためには、次の3点を押さえておきたい。
- リーグの勝敗だけでなく、前期順位も確認する。 同率時の順位決定に関係するためだ。
- 挑戦者決定リーグの直接対決に注目する。 3勝1敗の棋士同士の対局は、終盤の順位争いを大きく左右する。
- 七番勝負では持ち時間と封じ手にも注目する。 2日制ならではの時間配分や局面の変化が、勝負の見どころになる。
王将戦は、挑戦者を決めるまでのリーグ戦と、タイトルを懸けた七番勝負の両方に見応えがある棋戦だ。第76期の挑戦者が誰になるのか。そして藤井聡太王将が6連覇を達成するのか。2027年春に向けた将棋界の大きな焦点となっている。