2026年の日本シリーズは、全試合で予告先発が採用された。NPBの公式記録によると、両チームは4試合で計8人の先発投手を起用。DeNAは石田裕太郎、尾形崇斗、東克樹、平良拳太郎、ソフトバンクは上沢直之、モイネロ、松本晴、前田悠伍という順番だった。
試合結果と先発投手の投球内容を
※試合結果はDeNA-ソフトバンクの順。投球成績はNPB公式ボックススコアに基づく。失点ではなく自責点を含む詳細は各試合の公式記録を参照。
特に目を引くのは、第1戦から第3戦まで3試合連続で延長戦となったことだ。日本シリーズで開幕から3試合連続延長となったのは史上初。短期決戦らしい緊張感が続く中、ソフトバンクがすべての接戦を制した。
【試合別に解説】第1戦から第4戦までの先発投手の投球内容
第1戦:石田裕太郎対上沢直之
10月24日の開幕戦は、石田裕太郎と上沢直之の右腕対決となった。
DeNAの石田は、ソフトバンクの強力打線を相手に6回2/3を1失点。上沢も7回を無失点で投げ抜き、両先発ともに十分な役割を果たした。
試合が動いたのは7回。ソフトバンクは牧原大成の安打と山本祐大の二塁打で好機を広げ、庄子雄大の内野ゴロの間に先制した。
DeNAも8回に牧秀悟が松本裕樹から同点ソロ本塁打を放ったが、延長11回に庄子の適時二塁打と柳町達の犠牲フライでソフトバンクが勝ち越し。最終的に3-1でソフトバンクが先勝した。
先発同士の投げ合いという意味では互角に近い内容だったが、終盤の勝負どころでソフトバンクが一歩上回った試合だった。
第2戦:尾形崇斗対モイネロ
第2戦は10月25日、横浜スタジアムで開催された。DeNAは尾形崇斗、ソフトバンクはエース左腕のモイネロを起用した。
尾形にとって特別な対戦だった。2026年5月にソフトバンクからDeNAへトレードで加入しており、かつてのチームメートと日本シリーズで対戦する立場になったためだ。
一方のモイネロは、レギュラーシーズンで7試合に先発して6勝1敗、防御率0.76という好成績を残していた。クライマックスシリーズでは本来の力を発揮できなかったが、日本シリーズでは本領を発揮。91球で7回を投げ、8奪三振、無失点という圧巻の内容だった。
尾形も6奪三振を記録したものの、正木智也のソロ本塁打などで2点を失い、5回途中で降板した。
DeNAは8回に筒香嘉智の3ランで逆転したが、ソフトバンクは9回に山川穂高の同点本塁打、延長10回に川村友斗の勝ち越し本塁打で再逆転。4-3でソフトバンクが2連勝を飾った。
第3戦:東克樹対松本晴
10月27日の第3戦は、舞台をみずほPayPayドーム福岡に移して行われた。
DeNAはシーズンを通じて先発陣を支えてきた東克樹、ソフトバンクは今季12勝を挙げた左腕・松本晴を先発に指名。両者ともに12勝を記録した左腕同士の対決として注目された。
東は7回を投げて6安打を許しながらも無失点。走者を背負った場面で併殺打を4つ奪い、ピンチを切り抜けた。松本も6回1失点と好投し、DeNA打線に大量得点を許さなかった。
試合はDeNAが5回に古市尊の適時打で先制。その1点を守っていたが、9回にソフトバンクが牧原大成の適時打で同点に追いつく。
延長10回には正木智也がルイーズからサヨナラ本塁打を放ち、ソフトバンクが2-1で勝利。日本一に王手をかけた。
東の投球内容は十分に評価できるものだった。実際、シリーズ終了後には敢闘選手賞にも選ばれている。先発投手の働きとチームの勝敗が必ずしも一致しないことを象徴した一戦だった。
第4戦:平良拳太郎対前田悠伍
10月28日の第4戦は、ソフトバンクが3連勝で日本一に王手をかけた状況で迎えた。
ソフトバンクは21歳の前田悠伍、DeNAは13年目の平良拳太郎を起用。若手左腕と経験豊富な右腕の対照的な組み合わせとなった。
前田はレギュラーシーズンで19試合に先発し、12勝1敗、防御率2.10を記録。開幕から12連勝を挙げた勢いを日本シリーズにも持ち込んでいた。
試合は初回に佐野恵太の2ラン本塁打でDeNAが先制。しかし、ソフトバンクは4回、DeNAから移籍した山本祐大が古巣のバッテリーを相手に2点適時三塁打を放ち、同点に追いつく。さらに柳田悠岐の適時打で逆転した。
6回には山本の犠牲フライで追加点。ソフトバンクは救援陣を投入してDeNAの反撃を封じ、4-2で勝利した。
前田は5回途中で降板したものの、先発として試合をつくった。日本一を決めた試合で重要だったのは、前田の後を受けた救援投手たちの安定感だった。
【なぜこの順番だった?】日本シリーズの先発起用とローテーションの理由
日本シリーズの先発投手は、レギュラーシーズンの勝利数だけで決まるわけではない。登板間隔、コンディション、相手打線との相性、クライマックスシリーズでの登板状況などを総合的に判断する必要がある。
2026年の両監督の判断にも、それぞれのチーム事情が表れていた。
DeNAが第1戦に東ではなく石田裕太郎を選んだ理由
最も注目されたのは、第1戦の先発選びだった。シーズンを通してチームの中心だった東ではなく、石田裕太郎が開幕投手に選ばれたからだ。
相川亮二監督は前日の会見で、東が1年間チームの柱として投げたことを評価したうえで、石田についても年間を通じて良い投球を続けてきたと説明。若さやコンディション面も考慮し、初戦を任せた。
報道された監督の説明では、石田には東よりも体力的な余裕が残っていたことも選考理由だった。石田は今季20試合で5勝8敗、防御率2.91。勝ち星こそ多くないが、安定した投球内容が評価されていた。
つまり、エースを初戦に投入するという固定観念よりも、シリーズ序盤で最も良い状態の投手を使う考え方が優先されたのである。
ソフトバンクは上沢直之を開幕投手に起用
ソフトバンクの小久保裕紀監督は、上沢について開幕投手としての実績を挙げ、短期決戦では試合をつくる能力が重要だと説明した。
上沢は2026年シーズン22試合に登板し、10勝4敗、防御率2.39。前年の日本シリーズでも先発を経験しており、大舞台での経験値も持っていた。
実際、第1戦では7回無失点。監督が期待したゲームメイク能力を十分に発揮した。勝利投手にはならなかったが、試合を接戦のまま終盤につないだ役割は大きい。
第2戦以降は調子と相手との関係性も判断材料に
第2戦の尾形は、かつて所属したソフトバンクとの対戦だった。移籍後に先発として実績を積み、相手の打者を知る投手でもある。DeNAが敵地へ移る前に勝敗を五分に戻すための重要な起用だった。
ソフトバンクは第2戦にモイネロを投入。コンディション不良から復帰した左腕を、レギュラーシーズンの実績と調整状況を踏まえて起用した。結果は7回無失点、8奪三振。期待に応える投球となった。
第3戦は12勝左腕同士の対決、第4戦は12勝1敗の前田と平良の組み合わせだった。こうした登板順を見ると、両チームともに単純な実績順ではなく、ポストシーズンの疲労や調子を含めた先発陣の運用を行っていたことが分かる。
【最大の勝因】先発投手より救援陣が光ったソフトバンクの投手運用
2026年の日本シリーズを分析するうえで、見落とせない記録がある。
ソフトバンクは4試合すべてで先発投手に勝ち星がつかず、勝利投手はすべて救援投手だった。
日本シリーズの4連勝を、先発投手が1勝も挙げないまま達成したのは、歴史的にも珍しいケースだ。日刊スポーツの記録報道によると、先発投手が0勝で日本一になったのは1982年の西武、2016年の日本ハムに続いて10年ぶり3度目。開幕からの無傷4連勝をすべて救援投手の勝利で達成したのは史上初だった。
4試合の勝利投手を並べると、ソフトバンクの投手運用の特徴がはっきりする。
- 第1戦:オスナ
- 第2戦:ヘルナンデス
- 第3戦:杉山一樹
- 第4戦:ヘルナンデス
先発投手が長いイニングを投げて試合をつくり、状況に応じて救援投手へつなぐ。その救援陣が勝負どころで結果を出すという構造だった。
ソフトバンクの先発陣は数字でも安定
先発投手の合計成績を比較すると、ソフトバンクの優位性が見える。
ソフトバンクの先発陣は4試合で合計24回2/3を投げ、3自責点。対するDeNAの先発陣は合計22イニングで6自責点だった。
特に上沢とモイネロは、それぞれ7回を無失点で投げ抜いた。松本晴も6回1失点。前田も4回2/3を2失点に抑えている。
ソフトバンクは先発投手に完投を求めず、試合の状況に合わせて救援陣を投入できる層の厚さを持っていた。第4戦では前田の降板後、ヘルナンデス、オスナ、松本裕樹、杉山一樹という継投で最後までリードを守った。
杉山一樹とヘルナンデスが勝利の方程式を支えた
4試合を通して重要な存在となったのが杉山一樹だ。第1戦からセーブを記録し、第2戦、第3戦、第4戦でも終盤の重要な場面を任された。
ヘルナンデスは第2戦と第4戦で勝利投手となり、シリーズの勝ち星を2つ獲得。オスナも第1戦で勝利投手となった。
NPBの第4戦リポートでも、小久保監督が終盤にオスナ、松本裕、杉山を投入した継投策が紹介されている。リーグ3連覇を支えた救援陣の強みが、日本シリーズでも発揮された形だ。
ソフトバンクの4連勝は、先発投手の個人成績だけでは説明できない。先発陣の安定したイニング消化と、救援陣が試合を締める仕組みが一体となっていたことが最大の特徴だった。
【2024年との違いは?】歴代の日本シリーズ先発投手から見る2026年の特徴
DeNAとソフトバンクの日本シリーズは、2024年以来2年ぶりの再戦だった。
2024年はDeNAが4勝2敗でソフトバンクを破り、26年ぶりの日本一を達成。2026年は逆にソフトバンクが4勝0敗でシリーズを制した。
同じカードでありながら、2年前とは勝者が入れ替わったことになる。
2024年の第1戦はDeNAがジャクソン、ソフトバンクが有原航平を先発に起用。2026年の第1戦では石田裕太郎と上沢直之がマウンドに上がった。顔合わせは同じでも、先発陣の顔ぶれやチームの投手運用は大きく変わっている。
2026年に生まれた歴史的な記録
2026年のシリーズには、先発投手の起用以外にも記録的な出来事があった。
- 開幕3試合連続の延長戦:日本シリーズ史上初の記録。
- 救援投手だけで4連勝:先発投手に勝ち星がつかないまま、日本一を決めた。
- ソフトバンクの日本一:2年連続13度目の制覇。
- シリーズMVP:正木智也が受賞。
- 敢闘選手賞:DeNAの東克樹が受賞。
特に東が敢闘選手賞に選ばれた点は象徴的だ。チームは4連敗したものの、東は第3戦で7回無失点の好投を披露した。シリーズの勝敗と個々の選手の評価は分けて考える必要がある。
また、MVPの正木は4試合で7安打、打率.438、2本塁打、2打点を記録。第3戦のサヨナラ本塁打も含め、シリーズの流れを決定づける活躍を見せた。
【プロの結論】2026年の日本シリーズは先発の質と救援陣の層が勝敗を分けた
2026年のDeNA対ソフトバンクを振り返ると、先発投手の起用順だけを追ってもシリーズの本質は見えてこない。
石田裕太郎、上沢直之、尾形崇斗、モイネロ、東克樹、松本晴、平良拳太郎、前田悠伍。それぞれが先発として役割を担った一方、勝利投手の記録を残したのは全員が救援投手だった。
この結果から、短期決戦の先発投手を評価するときには、次の3つの視点が欠かせない。
1. 先発投手の勝敗だけで評価しない
先発投手が勝利投手にならなくても、6~7回を1失点以内で投げればチームに大きく貢献している。上沢、モイネロ、東の投球はその代表例だ。
2. 先発投手の後を任せる救援陣まで見る
短期決戦では、試合の流れが変わる場面で継投が必要になる。ソフトバンクは杉山、ヘルナンデス、オスナらを適切に投入し、先発陣の好投を勝利につなげた。
3. シーズン成績とシリーズでの調子を区別する
レギュラーシーズンでの勝利数や防御率は重要な判断材料だが、シリーズでは登板間隔やコンディションも大きく影響する。前田悠伍のようにシーズンで好成績を残した若手が大舞台で起用されるケースもある。
日本シリーズの先発ローテーションは、単なる登板順ではなく、チーム全体の投手力をどう最大化するかという戦略そのものだ。2026年のソフトバンクは、その完成度の高さを4連勝という結果で示した。
【日本シリーズ先発2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本シリーズ2026の第1戦の先発投手は誰でしたか?
A1:DeNAが石田裕太郎、ソフトバンクが上沢直之でした。2026年10月24日に横浜スタジアムで行われ、ソフトバンクが延長11回の末に3-1で勝利しました。
Q2:日本シリーズ2026の第2戦・第3戦・第4戦の先発は誰でしたか?
A2:第2戦はDeNAが尾形崇斗、ソフトバンクがモイネロ。第3戦は東克樹と松本晴。第4戦は平良拳太郎と前田悠伍でした。
Q3:日本シリーズ2026は何勝何敗でソフトバンクが優勝しましたか?
A3:ソフトバンクが4勝0敗でDeNAを破りました。2026年10月28日の第4戦で4-2と勝利し、2年連続13度目の日本一を決めました。
Q4:ソフトバンクの先発投手で勝利投手になった選手は誰ですか?
A4:4試合すべてで救援投手が勝利投手となったため、先発投手の勝ち星は0でした。第1戦はオスナ、第2戦と第4戦はヘルナンデス、第3戦は杉山一樹が勝利投手です。
Q5:日本シリーズ2026のMVPは誰でしたか?
A5:ソフトバンクの正木智也です。4試合で7安打、打率.438、2本塁打、2打点を記録しました。DeNAの東克樹は敢闘選手賞を受賞しています。
まとめ:日本シリーズ2026の先発投手が示した短期決戦の勝ち方
2026年の日本シリーズは、DeNAとソフトバンクによる4試合の対決となり、先発投手は両チームとも毎試合入れ替わった。石田裕太郎と上沢直之の開幕戦から、尾形崇斗とモイネロ、東克樹と松本晴、平良拳太郎と前田悠伍まで、それぞれ異なる特徴を持つ投手が登板した。
ソフトバンクの4連勝を支えたのは、先発投手だけではない。先発陣が試合をつくり、救援陣が勝負を決めるという投手運用の完成度が、シリーズを通じて際立っていた。
2026年の日本シリーズ先発を振り返る際に覚えておきたいのは、先発投手の勝ち星とチームの勝利への貢献度は必ずしも一致しないということだ。個々の投球内容、継投のタイミング、救援陣の成績まで確認することで、ソフトバンクがDeNAを4連勝で下した本当の理由が見えてくる。
今後の日本シリーズでも、先発投手の顔ぶれだけでなく、その後を支える投手陣全体の運用が優勝争いを左右する要点になるだろう。