「もう会社を辞める」「こんな職場では働けない」と何度も口にするのに、結局いつまでも辞めない人。職場に一人は思い当たるという人もいるのと考えられます。こうした言動は、俗に「辞める辞める詐欺」と呼ばれています。周囲は退職を心配して仕事の調整をしたり、引き止めたりするものの、本人は何事もなかったように働き続けるため、次第に同僚や上司の不満が募っていきます。
しかし、辞めると言って辞めない人が、必ずしも周囲を振り回すことを目的としているとは限りません。仕事への不満、承認欲求、経済的な不安、転職への迷い、職場に対するSOSなど、発言の背景には複数の心理が考えられます。2026年11月時点の労働環境や公的な退職ルール、2025年に公表された調査結果も踏まえ、本気で辞める人との違い、見分ける際の判断材料、上司や同僚が取るべき対応を詳しく解説します。
【意味と定義】辞める辞める詐欺とは?なぜ何度も退職を口にするのか
辞める辞める詐欺は退職をほのめかし続ける言動の俗称
辞める辞める詐欺とは、本人が「会社を辞める」「もう限界だから退職する」と繰り返し発言するにもかかわらず、具体的な退職手続きに進最初に、勤務を継続する状態を表す俗語です。
法律上の用語でも、医学的な診断名でもありません。実際に詐欺行為が成立しているという意味でもなく、周囲が何度も退職の話に振り回される状況を皮肉って使われる表現です。
典型的には、次のような行動が見られます。
- 仕事で嫌なことがあるたびに「もう辞める」と宣言する。
- 上司や同僚に退職の意思を何度も伝える。
- 引き止められると一度は納得し、通常どおり勤務する。
- 待遇や担当業務に変化がなくても、しばらくすると再び退職を口にする。
- 退職時期や引き継ぎについて具体的な話を避ける。
- 周囲が退職を前提に動き始めると、突然辞める意思を撤回する。
ただし、これらの行動が一つでもあれば、本人に退職する意思がないと判断できるわけではありません。転職先が決まらない、家計への影響が心配、家族との相談が必要など、本人なりの事情で決断に時間がかかっている場合もあります。
「辞めたい」という感情と「退職する」という決断は別物
辞める辞める詐欺を理解するうえで大切なのが、退職したいという感情と、実際に退職する決断を区別することです。
仕事に強い不満を抱えている人が、必ずしも転職を決意しているとは限りません。今の職場から離れたい気持ちは本物でも、収入が途絶える不安や転職活動への負担を考えると、行動に移せないことがあります。
つまり、「辞めたい」と何度も話している人の中には、退職を決めている人だけでなく、辞めたい気持ちと残りたい気持ちの間で揺れている人もいるのです。
周囲から見ると同じような発言でも、本人の心理や意思決定の段階は異なります。言葉だけで本気度を決めつけると、深刻な職場の問題や本人の悩みを見落とす可能性があります。
【心理を徹底分析】辞めると言って辞めない人の理由と特徴
1. 本当は引き止めてほしいという承認欲求
辞めると繰り返し発言する人の心理として考えられるのが、自分の存在価値を確かめたいという気持ちです。
「自分が辞めたら困るはず」「会社は自分を必要としているはず」という期待があり、退職をほのめかすことで周囲の反応を確かめようとする場合があります。
実際に上司から「君がいなくなると困る」「もう少し頑張ってほしい」と言われると安心し、退職の話を引っ込めることもあります。
このタイプは、退職そのものよりも、自分の仕事が評価されていないことや、職場で大切にされていないことに不満を感じている可能性があります。
2. 職場への不満を改善してほしい
退職宣言が、職場に対する抗議や改善要求として使われるケースもあります。
例えば、次のような不満です。
- 仕事量が多く、残業が減らない。
- 給与や賞与が仕事の負担に見合っていない。
- 上司の評価や人事異動に納得できない。
- 特定の社員に仕事が集中している。
- 職場の人間関係やコミュニケーションに問題がある。
本人は正面から改善を要求するよりも、「辞める」という強い言葉を使ったほうが会社が動いてくれると感じているの可能性があります。
実際に待遇改善や業務量の調整が行われると、退職を取り下げることがあります。ただし、問題が根本的に解消されていなければ、同じ不満が再び表面化する可能性があります。
3. 転職したいけれど、失敗するのが怖い
退職したい気持ちがあっても、次の仕事が見つかる保証はありません。年収が下がる可能性や、新しい職場で人間関係を築き直す負担もあります。
特に、住宅ローンや家賃、教育費などの固定支出がある人にとって、毎月の収入がなくなることは大きなリスクです。
そのため、職場への不満が限界に達するたびに辞めたいと思いながら、冷静になると生活への不安から退職を先延ばしにすることがあります。
この場合、本人の発言を単なる脅しと受け取るのは適切ではありません。退職したい気持ちそのものは本物であり、決断に必要な条件が整っていない可能性があります。
4. 感情的になりやすく、その場の勢いで発言する
仕事でミスをしたときや、上司から注意されたときなど、強いストレスを感じた瞬間に「もう辞める」と口にするタイプです。
本人にとっては、その場の怒りや悔しさを表現する言葉であり、具体的な退職計画があるわけではない場合があります。
時間が経過して冷静になると、退職について触れなくなり、いつもどおり仕事を続けます。しかし、ストレスへの対処方法が変わらなければ、同じ発言を繰り返すことになります。
5. 退職を交渉材料として利用している
なかには、退職をほのめかすことで、自分に有利な条件を引き出そうとする人もいます。
例えば、昇給や昇進、担当業務の変更、勤務時間の調整などを求める際に、退職の可能性を強調するケースです。
交渉そのものは必ずしも悪いことではありません。しかし、退職する意思がないのに何度も退職を持ち出し、周囲に対応を迫る状態が続くと、信頼関係に影響します。
重要なのは、本人の意図を推測することよりも、退職の意思と具体的な改善要望を分けて話し合うことです。
辞める辞める詐欺をする人に共通する心理的な構造
ここまでの理由を整理すると、辞めると言って辞めない人の心理には、主に次の3つの要素が関係しています。
- 感情面:怒り、不満、孤独感、認められたい気持ち。
- 生活面:収入への不安、転職の難しさ、家族への影響。
- 対人関係:上司への不信感、周囲からの評価、引き止めへの期待。
複数の要素が同時に存在することもあります。本人の言動だけを見て「構ってほしいだけ」「口だけの人」と判断するのではなく、何が退職の決断を妨げているのかを考えることが、適切な対応につながります。
【実態と見分け方】辞める辞める詐欺の特徴と本気で辞める人との違い
繰り返し退職を口にする人に見られる傾向
辞める辞める詐欺と呼ばれやすい人には、いくつかの行動パターンがあります。
一つは、退職の話が特定の出来事と連動していることです。上司から注意されたとき、希望する休暇が取れなかったとき、同僚との関係が悪化したときなどに、突然退職を口にします。
もう一つは、退職についての話し合いが具体的な段階に進まないことです。退職時期や引き継ぎ、手続きについて確認すると、話題を変えたり、「まだ考えている」と答えたりする傾向があります。
また、周囲が心配して対応すると一時的に落ち着くものの、根本的な不満が解決されないまま、再び同じ発言をすることもあります。
ただし、これらはあくまで観察できる行動の傾向です。転職活動を他人に知られたくない人や、退職を伝えること自体に恐怖を感じる人もいるため、具体的な準備が見えないことだけで本気ではないと判断するのは危険です。
2025年の調査から見る、退職を言い出しにくい職場の実態
退職をめぐるコミュニケーションには、職場環境も影響します。
株式会社マイナビが2025年9月に公表した「転職活動実態調査(2025年)」では、直近1年間に転職活動を行った正社員の20代から50代を対象に調査を実施しています。
同調査のうち、直近1年間に退職代行サービスを利用した転職者82人に理由を尋ねたところ、複数回答で「退職を引き留められた、または引き留められそうだった」が54.9%で最も高い割合でした。
加えて、「自分から退職を言い出せる環境でない」が36.6%、「退職を伝えた後にトラブルになりそう」が35.4%となっています。
この結果は、退職を言い出しにくい職場や、引き止めへの不安を抱える人がいることを示しています。ただし、退職代行の利用者を対象とした数字であり、辞める辞める詐欺をする人の割合を示したものではありません。
退職意思を何度も口にする背景にも、こうした職場のコミュニケーション上の問題が関係している可能性があります。
本気で辞める人と辞める辞める詐欺の違いを比較
本気で退職を考えている人と、退職を繰り返し口にする人を見分けるには、発言の強さよりも、その後の行動に注目する必要があります。
| 比較項目 | 退職を繰り返し口にする人に見られる傾向 | 本気で退職を決めた人に見られる傾向 |
|---|---|---|
| 発言のタイミング | トラブルや不満が起きた直後に多い | 冷静な場面でも意思を伝える |
| 退職時期 | 具体的な時期が決まっていないことが多い | 希望する退職日を具体的に考えている |
| 意思の一貫性 | 周囲の反応や状況によって変わりやすい | 相談や確認を重ねても意思が比較的一貫している |
| 改善要望 | 不満を伝えることが中心になりやすい | 退職理由や今後の希望を整理していることが多い |
| 引き継ぎ | 具体的な準備に進んでいない場合がある | 担当業務や引き継ぎを意識している |
| 会社との話し合い | 引き止めや待遇改善で話が終わることがある | 退職手続きや退職日の確認に進む |
| 周囲への態度 | 不満を繰り返し周囲に共有する | 退職に必要な連絡や調整を進める |
この比較で注目したいのは、退職の意思が具体的な行動に結びついているかどうかです。
ただし、本気で辞める人でも、転職先が決まるまで退職時期を明かさないことがあります。引き継ぎを考える余裕がないほど心身の負担が大きい人もいます。
反対に、退職日や引き継ぎについて具体的に話していても、最終的に本人の事情で退職を撤回する場合があります。
見分けるための判断材料は、単独の特徴ではなく、発言・行動・意思の継続性を合わせて見ることです。
【具体的な対応策】退職をほのめかす人への上司・同僚の正しい接し方
上司は退職意思と職場への不満を分けて確認する
部下が何度も「辞めます」と発言する場合、最初に行いたいのは、退職の意思が固まっているのか、それとも職場の改善を求めているのかを確認することです。
例えば、次のような聞き方が考えられます。
「退職したいという気持ちは、今も変わっていませんか。それとも、今の仕事や職場環境について改善してほしいことがありますか。両方を分けて話してもらえれば、必要な対応を一緒に考えられます」
このように尋ねれば、本人を追い詰めずに、発言の背景を確認できます。
本人が改善を求めているのであれば、業務量、担当範囲、人間関係、評価制度など、具体的な問題を整理します。
一方、退職の意思が固まっている場合には、会社の規定や雇用契約を確認しながら、正式な手続きに進みます。
退職意思の確認方法は具体的な質問がポイント
退職意思を確認するときは、「本当に辞めるのか」と問い詰めるより、具体的な事項を順番に確認するほうが効果的です。
- 意思の確認:退職を希望しているのか、現時点では迷っているのか。
- 時期の確認:退職を希望する場合、いつ頃を考えているのか。
- 理由の確認:職場の何に不満を感じているのか。
- 改善可能性の確認:会社側の対応によって解決する問題なのか。
- 手続きの確認:正式な退職意思表示や必要書類について、どのように進めるのか。
ここで大切なのは、退職理由を無理に聞き出したり、転職先の情報を執拗に求めたりしないことです。本人のプライバシーを尊重しながら、会社として必要な情報を確認します。
また、面談で確認した内容は、日時や本人の意思、会社側の対応とともに記録しておくと、後日の認識違いを防ぎやすくなります。
退職すると言った人を何度も引き止めるべきではない
人手不足の職場では、経験のある社員が辞めることは大きな痛手です。しかし、退職の話が出るたびに特別扱いをしたり、待遇改善を約束したりすることには注意が必要です。
特定の社員だけが退職をほのめかすことで希望を通せるようになると、ほかの社員との公平性が損なわれる可能性があります。
加えて、本人が本当に辞めたいと考えている場合、過度な引き止めは心理的な負担を増やすことにもなります。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、期間の定めのない労働契約について、労働者には原則として退職の自由があり、民法627条に基づき、退職の申し入れから原則2週間で労働契約が終了すると説明されています。
なお、退職願による合意退職と、退職届などによる一方的な退職の申し入れでは法的な扱いが異なります。書類の名称だけでなく、記載内容や当事者の言動も関係します。有期労働契約では別のルールがあるため、契約内容に応じた確認も必要です。
会社が一方的に退職を認めないことや、過度な引き止めを続けることは、トラブルにつながりかねません。
同僚は感情的に反応せず、適切な距離を保つ
同僚の立場では、退職するという話を何度も聞かされること自体がストレスになる場合があります。
特に、本人が辞めると言うたびに業務の調整を求められたり、相談に付き合わされたりすると、周囲の負担が大きくなります。
そのような場合は、次の対応が現実的です。
- 退職の意思について、必要以上に何度も相談に乗らない。
- 本人の退職話をほかの社員に広めない。
- 業務の調整は上司や管理職を通じて行う。
- 本人の発言を冗談として扱ったり、人格を否定したりしない。
- 職場環境に問題がある場合は、個人間で解決しようとせず適切な窓口に相談する。
同僚が退職の判断に責任を持つ必要はありません。本人の意思を尊重しつつ、自分の仕事や精神的な負担を守ることも大切です。
何度も繰り返す場合は、対応の基準を統一する
退職をほのめかす言動が続く場合、会社側はその都度、個別の感情に応じるのではなく、一定の対応ルールを設けるとよいでしょう。
例えば、退職の相談があった場合は人事担当者との面談を設定し、改善要望であれば通常の相談・評価制度を通じて検討するという方法です。
退職意思の確認と業務上の問題解決を別の手続きにすることで、退職を交渉材料として使う状況も抑えやすくなります。
ただし、発言を繰り返したことだけを理由に懲戒や不利益な扱いをすることは避けなければなりません。対応は就業規則や労働関係法令に沿って行う必要があります。
【職場への影響】辞める辞める詐欺が人間関係や組織に与える問題
人員配置や業務計画が不安定になる
社員が辞める可能性があると、上司は後任者の検討や業務分担の変更、採用計画などを考えなければなりません。
しかし、退職の話が出るたびに準備を進め、その後に本人が残ることになれば、組織の対応コストが増えていきます。
一度なら大きな問題にならなくても、同じことが繰り返されると、上司は退職発言をどこまで真剣に受け止めるべきか判断しにくくなります。
周囲の社員に不公平感や不信感が生まれる
退職をほのめかす人が、そのたびに仕事量を減らしてもらったり、特別な待遇を受けたりすると、周囲に不公平感が生まれることがあります。
真面目に働いている社員ほど、「不満を強く訴えた人だけが得をするのではないか」と感じる可能性があります。
その結果、職場内で率直な相談がしにくくなり、不満を抱えている社員が問題を表に出さなくなることも考えられます。
本当に辞める人のSOSを見逃す危険がある
特に注意したいのは、退職発言を繰り返す人に対して、周囲が次第に無関心になることです。
最初は真剣に相談に乗っていた上司や同僚も、何度も同じ話を聞かされるうちに、「どうせ今回も辞めないだろう」と考えるようになる可能性があります。
しかし、これまで退職を撤回していた人が、ある日突然、本当に退職を決断することもあります。
過去の発言回数だけを根拠に、今回も本気ではないと判断することは危険です。
また、退職を繰り返し口にするほどの不満があるなら、本人の問題だけでなく、職場環境にも原因がある可能性があります。管理職は個人の発言だけに注目せず、業務負担や評価、人間関係などを確認する必要があります。
職場のコミュニケーション改善が離職防止につながる可能性
日本総合研究所が2025年10月29日に公表した、従業員エンゲージメントと離職意向に関する調査では、従業員1,000人以上の企業に勤める20〜44歳の1,840人を対象に分析しています。
同調査では、従業員エンゲージメントと離職意向に明確な相関が見られなかった一方、仕事について気軽に話せる同じ部署の人の数とエンゲージメントには強い関連が確認されました。
仕事について気軽に話せる人がいない層では、エンゲージメントを感じていない割合が約43%だったのに対し、話せる人が1〜2人いる層では約20%、3〜4人いる層では約13%でした。
また、転職したいという意向についても、気軽に話せる人がいない層で強く表れる傾向が報告されています。
この調査は、職場内の人間関係を改善すれば必ず離職が防げると証明したものではありません。しかし、相談できる相手がいることが、社員の職場への感じ方に関係している可能性を示しています。
退職発言を繰り返す人だけを問題視するのではなく、日常的に悩みを共有できる環境があるかどうかを見直すことも、組織に求められる対応です。
【誤解を解消】辞める辞める詐欺を判断するときに注意したいポイント
辞めると言って辞めない人が全員、計算しているわけではない
辞める辞める詐欺という表現には、相手が意図的に周囲をだましているというニュアンスがあります。しかし、実際には本人自身も決断できずに苦しんでいる場合があります。
退職したい気持ちが強くても、経済的な事情や転職への不安から動けない人はいます。本人の中で気持ちが整理できていないだけで、周囲を操作する意図がない可能性もあります。
そのため、発言を繰り返したという理由だけで、性格が悪い、無責任、嘘つきと決めつけることは適切ではありません。
退職をほのめかすことと正式な退職意思表示は違う
「もう辞めたい」「こんな会社にいたくない」という発言と、正式な退職の申し入れは同じではありません。
厚生労働省の労働条件に関する解説では、退職の方法を合意退職と任意退職などに区別しています。合意退職は会社と労働者双方の合意によって成立する一方、任意退職は労働者側からの解約申し入れによるものです。
期間の定めのない労働契約では、原則として民法627条に基づき、退職の申し入れから2週間で契約が終了します。一方、有期労働契約では民法628条などによる別の取り扱いがあります。
したがって、退職の話を何度もしているというだけで、法律上の退職手続きが進んでいると考えることはできません。会社側も本人側も、意思表示の内容と雇用契約の条件を確認することが必要です。
退職の意思が変わること自体は不自然ではない
退職を決意した人が、会社との話し合いや待遇改善を受けて残留を選ぶことはあります。また、転職先が決まらず、退職を延期する場合もあります。
意思が変わったこと自体を非難するのではなく、なぜ考えが変わったのか、今後どのような働き方を希望するのかを確認することが大切です。
一方、退職を持ち出しては周囲に特別な対応を求め、同じことを繰り返しているなら、退職とは別に、職場内の相談や交渉の仕組みを整える必要があります。
【辞める辞める詐欺】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:辞める辞める詐欺をする人の心理は何ですか?
A1:主な背景として、周囲に認められたいという承認欲求、職場への不満、待遇改善への期待、転職への不安、その場の感情による発言などが考えられます。必ずしも周囲をだます意図があるわけではありません。
Q2:辞めると言って辞めない人は、本当に辞める気がないのでしょうか?
A2:一概には判断できません。辞めたい気持ちがあっても、収入や転職先への不安から行動できない人もいます。退職時期や意思の一貫性、具体的な行動などを総合的に確認する必要があります。
Q3:辞める辞める詐欺をする人にはどう対応すればよいですか?
A3:退職意思と職場への改善要望を分けて確認しましょう。退職する意思が固まっているなら正式な手続きに進み、改善を希望しているなら具体的な不満や解決策を話し合います。感情的に責めたり、過度に引き止めたりすることは避けましょう。
Q4:辞める辞める詐欺を見分ける確実な方法はありますか?
A4:発言だけで確実に見分ける方法はありません。退職時期の具体性、本人の意思の継続性、手続きや引き継ぎに関する行動などが判断材料になります。ただし、準備が見えないことだけで退職意思がないと決めつけるべきではありません。
Q5:何度も辞めると言う人を引き止めないほうがよいですか?
A5:本人の意思を確認したうえで対応を決めることが適切です。退職意思が固まっているなら、過度な引き止めは避け、必要な手続きを案内します。迷っている場合は、本人が抱える問題を確認し、改善可能な内容について話し合う方法があります。
Q6:辞める辞める詐欺をする人が職場にいるとき、同僚はどうすればよいですか?
A6:本人の退職判断に責任を持つ必要はありません。相談に乗る範囲を決め、業務上の調整は上司に相談しましょう。本人の発言を周囲に広めたり、人格を否定したりせず、適切な距離を保つことが大切です。
まとめ:辞める辞める詐欺に振り回されないための判断基準
辞める辞める詐欺とは、退職を何度も口にしながら実際には辞めない言動を指す俗称です。その背景には、承認欲求、職場への不満、待遇改善への期待、転職への不安など、さまざまな心理が隠れています。
本気で辞める人との違いを判断する際には、発言の回数や強さだけでなく、退職時期の具体性、意思の一貫性、実際の行動に注目することが大切です。ただし、行動が見えないからといって、退職する気がないと断定することもできません。
【プロの結論】見るべきなのは退職発言の回数ではなく、意思と行動の関係
上司に求められるのは、退職発言を軽く扱うことでも、毎回必死に引き止めることでもありません。退職意思を明確に確認し、改善要望がある場合は組織の課題として対応することです。
同僚も、相手の言動に過度に巻き込まれる必要はありません。適切な距離を保ち、業務上の問題は管理職に相談することが現実的です。
そして、企業にとって最も重要なのは、社員が「辞める」と口にしなければ不満を聞いてもらえないような職場にしないことです。日頃から相談しやすい環境を整え、公平な評価や業務分担を実現することが、退職をめぐるトラブルの予防につながります。
辞めると言って辞めない人を、単純に嘘つきと決めつける必要はありません。しかし、周囲が何度も振り回される状態を放置する必要もありません。本人の意思を尊重しながら、具体的な事実と行動に基づいて対応することが、健全な職場の人間関係を守るための判断基準です。
主な根拠資料: 厚生労働省「確かめよう労働条件」、株式会社マイナビ「転職活動実態調査(2025年)」、日本総合研究所「大企業における従業員エンゲージメントと離職意向の関係性に関する実態調査」(2025年10月29日)。