始球式が行われたのは、2025年10月27日(月)のドジャース対ブルージェイズによるワールドシリーズ第3戦。会場はロサンゼルスにあるドジャースの本拠地、ドジャースタジアムだ。
日本時間では10月28日となり、日本の野球ファンにとっても大きなニュースになった。シリーズは第1戦、第2戦を終えて1勝1敗。ロサンゼルスに舞台を移した重要な一戦の試合前セレモニーに、球団の歴史を代表する投手として野茂氏が招かれた。
MLBが2025年10月27日に発表した公式案内にも、第3戦のセレモニアル・ファーストピッチ担当者として野茂氏の名前が掲載されている。第4戦ではドジャースOBのオーレル・ハーシュハイザーが始球式を務める予定となっており、球団の歴史を象徴するOBを連日迎える企画だった。
野茂氏にとっては、1995年のメジャーデビューからちょうど30年という節目の年。かつてドジャースのユニホームで活躍した日本人投手が、再びワールドシリーズの舞台に姿を現したことには、特別な意味があった。
当日の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日(現地) | 2025年10月27日 |
| 開催日(日本時間) | 2025年10月28日 |
| 大会 | 2025年ワールドシリーズ |
| 試合 | 第3戦 |
| 対戦カード | ドジャース対ブルージェイズ |
| 会場 | ドジャースタジアム |
| 始球式投手 | 野茂英雄 |
| 捕手役 | 山本由伸 |
| 着用ユニホーム | ドジャース、背番号16 |
【始球式の動画を検証】背番号16で登場、山本由伸へ投じた一球
当日の映像で最初に目を引くのは、野茂氏が身にまとったドジャースの背番号16だ。現役時代を思い起こさせるユニホーム姿で登場すると、ドジャースタジアムの観客から大きな拍手と歓声が送られた。
捕手役を務めたのは、当時ドジャースの主力投手だった山本由伸。日本人投手の先駆者と、現代の日本球界を代表するメジャーリーガーが、ワールドシリーズの舞台で向かい合う構図となった。
野茂氏はマウンドの手前に立ち、セットポジションから投球。トレードマークの大きなひねりを伴うフォームではなく、オーバースローで山本投手のミットへボールを投げ込んだ。投球はノーバウンドで届き、報道ではストライクだったと伝えられている。
投球後には一礼し、山本投手と握手。さらに2人で記念撮影を行った。報道映像では、山本投手から記念球を受け取る場面や、その後の交流も話題になった。
MLB公式Xでも始球式の映像が公開され、日刊スポーツなどの国内メディアも動画を紹介した。映像を見る際には、野茂氏の登場シーンだけでなく、捕手役の山本投手とのやり取りや投球後の表情にも注目したい。
今回のセレモニーは単に往年の名投手がボールを投げたというだけではない。1995年に日本からメジャーへ渡った選手と、現在の日本人スター選手が同じドジャースのユニホームを背景に並んだ場面だった。
【トルネード投法を披露しなかった真相】なぜ通常のオーバースローだったのか
今回の始球式で、野球ファンが最も気にしたポイントの一つがトルネード投法だった。
野茂氏といえば、投球前に大きく体をひねり、背中を打者側に向ける独特のワインドアップが代名詞。メジャーリーグでそのフォームを披露した姿は、1990年代の野球を象徴する光景として知られている。
しかし、2025年の始球式では、その特徴的な動作は見られなかった。映像で確認できるのは、マウンド手前からのセットポジションによるオーバースローだ。
ロバーツ監督はトルネード投法を期待していた
興味深いのは、デーブ・ロバーツ監督が始球式の前に野茂氏の投球フォームについて言及していたことだ。
スポニチなどの報道によると、監督はトルネード投法を見たいという趣旨の発言をし、「ぜひ見たいね(笑)」と期待を示した。一方で、実際には披露しないだろうとも予想していた。
ロバーツ監督は野茂氏と現役時代にドジャースでチームメートだった人物。単なる球団OBへの社交辞令ではなく、かつて一緒にプレーした投手の特徴をよく知る立場からのコメントだった。
トルネードを披露しなかった理由は?
ここで押さえておきたいのは、野茂氏本人が当日のフォームを選んだ理由について、明確な説明をしたという報道は確認されていない点だ。
そのため、年齢による身体的な問題だった、故障を抱えていた、球団からフォームを指定された、といった説明を確定事項として扱うことはできない。
また、始球式は公式戦の先発登板とは異なる。投球数や準備の仕方、セレモニーとしての進行など、通常のマウンドとは条件が違う。こうした違いを踏まえても、当日の選択を特定の事情だけで説明することはできない。
確実に分かるのは、野茂氏がトルネード投法ではなくオーバースローを選び、山本投手にノーバウンドの一球を届けたということだ。「トルネード投法を封印した」という見出しは印象的だが、本人が正式に封印を宣言したわけではない。
今回の始球式は、往年のフォームを完全再現する演出よりも、野茂氏自身が投球する姿と、次世代の日本人投手との共演に価値があった場面と受け止められている。
始球式への反響・評判は?
J-CASTニュースが紹介したSNS上の反応では、野茂氏の登場そのものを喜ぶ声が目立った。
反応の論点は大きく3つに分けられる。
- 懐かしさ:1990年代のドジャース時代を思い出し、背番号16の姿に感動したという反応。
- 山本由伸との共演:日本人メジャーリーガーの先駆者と現役スターの組み合わせを喜ぶ反応。
- 投球フォームへの関心:トルネード投法を期待していたため、披露されなかったことを惜しむ反応。
特に、トルネード投法を見たかったという声と、通常の投球でも十分に感動したという声が共存していた点は興味深い。
野茂氏のフォームは、単なる投球動作ではなく、選手の個性を象徴するブランドのような存在になっていた。そのため、今回のように別のフォームで投げた場合にも、それ自体がニュースとして注目された。
ただし、SNS上の個別投稿は世論全体を代表する統計ではない。今回の反響は、報道で紹介された実際の投稿内容から読み取れる範囲で捉える必要がある。
【野茂英雄の経歴・実績】1995年のドジャースデビューから123勝まで
野茂英雄氏の始球式が大きな注目を集めた理由は、メジャー通算123勝という数字だけでは説明できない。日本人選手がメジャーリーグでプレーすること自体が現在ほど一般的ではなかった時代に、自ら道を切り開いた存在だったからだ。
1995年、トルネード投法でメジャーに旋風
野茂氏は1968年8月31日、大阪府生まれ。社会人野球の新日鐵堺を経て、1989年に近鉄バファローズへ入団した。
プロ1年目の1990年には18勝を挙げ、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、新人王、MVP、沢村賞などを獲得。日本球界でも圧倒的な存在感を示した。
その後、1995年にロサンゼルス・ドジャースへ移籍。メジャー挑戦の背景には、当時の日本球界と米球界の契約制度の違いなど、複雑な事情があった。
MLB公式の特集記事によると、野茂氏のメジャー挑戦は、日本人選手の米球界進出にとって大きな転換点だった。1995年の新人王獲得は、単なる個人の成功にとどまらず、後に続く日本人選手への道を広げる出来事となった。
メジャー通算123勝と2度のノーヒットノーラン
MLB公式の選手記録と野茂氏の公式プロフィールによると、メジャー通算成績は323試合登板、123勝109敗、1918奪三振、防御率4.24。投球回数は1976回1/3に達している。
なかでも特筆すべき記録が、2度のノーヒットノーランだ。
- 1996年9月17日:コロラド・ロッキーズ戦で達成。クアーズ・フィールドでの球場史上初のノーヒットノーランとなった。
- 2001年4月4日:ボストン・レッドソックス時代にボルティモア・オリオールズ戦で達成。
ナショナル・リーグとアメリカン・リーグの両方でノーヒットノーランを達成した投手としても歴史に名を残している。特に1996年の記録は、打者有利で知られるクアーズ・フィールドでの快挙として、現在もMLBの歴史に刻まれている。
野茂英雄のキャリアと関係者を年表で整理
始球式に関係する人物と野茂氏のキャリアを、時系列で整理すると次のようになる。
この年表から分かるのは、2025年の始球式が単独のイベントではなく、1995年から続くドジャースと野茂氏の関係を改めて示す機会だったということだ。
【野茂英雄と山本由伸・ロバーツ監督】世代を超えたドジャースのつながり
2025年の始球式で特に象徴的だったのが、野茂氏、山本由伸投手、デーブ・ロバーツ監督という3人の関係だ。
山本由伸が捕手役を務めた意味
山本由伸投手は、日本プロ野球で圧倒的な実績を残した後、ドジャースに加入した現役の日本人スター投手だ。
野茂氏がメジャーに挑戦した1995年と、山本投手がドジャースのユニホームを着てプレーする時代では、球界を取り巻く環境が大きく異なる。
野茂氏が渡米した当時、日本人選手がメジャーで成功する可能性は現在ほど広く認識されていなかった。一方、山本投手が所属する時代には、日本人投手の実績や技術はMLBでも高く評価されている。
両者の共通点は、異なる時代に日本のトップ投手として海を渡り、ドジャースという球団でプレーしていることだ。始球式で山本投手が捕手を務めたことは、こうした歴史の連続性を視覚的に示す演出となった。
ロバーツ監督が語った野茂英雄の人物像
デーブ・ロバーツ監督は、現役時代に野茂氏とチームメートだった。2025年の始球式前の会見では、野茂氏の仕事への姿勢や仲間との関係について語っている。
「一生懸命で戦士のような選手だった。日本の期待を背負って投げていた」
デイリースポーツが報じた監督のコメントには、野茂氏が日本の野球界を代表する存在としてプレーしていたことへの敬意が表れている。
加えて、ロバーツ監督は野茂氏を素晴らしいチームメートであり、友人だったと振り返った。今回の始球式で再会したことについても、喜びを示している。
この発言は、野茂氏の功績が勝利数や奪三振数だけで評価されているわけではないことを示している。チーム内での姿勢や仲間との関係も、当時を知る監督の記憶に強く残っていた。
【2008年の現役引退と2026年現在】野茂英雄は今何をしている?
野茂氏は2008年に現役を引退した。最後に所属したのはカンザスシティ・ロイヤルズで、同年の登板は3試合だった。
引退後も野球界との関わりは続いている。野茂英雄氏の公式プロフィールには、特定非営利活動法人NOMOベースボールクラブの代表理事、サンディエゴ・パドレスの球団アドバイザーという肩書が掲載されている。
パドレスの球団アドバイザーとして活動
野茂氏は2016年からサンディエゴ・パドレスのアドバイザーを務めている。現役時代に培った経験を、球団側の立場から生かす役割だ。
また、NOMOベースボールクラブの代表理事として、野球の普及や選手育成にも関わっている。現役時代のようにマウンドで勝利を積み重ねる立場から、野球界を支える立場へと活動の軸を移している。
野茂氏の公式プロフィールでは、2026年現在もパドレスのアドバイザーという肩書が掲載されている。現役引退から年月が経過しても、野球界との接点を保ち続けていることが分かる。
2014年には日本野球殿堂入り
野茂氏は2014年に日本野球殿堂入りを果たした。
この評価を支えているのは、日米通算201勝という数字だけではない。日本での実績に加え、メジャーリーグへの挑戦、1995年の新人王獲得、2度のノーヒットノーラン、そして後続の日本人選手への影響がある。
2025年のワールドシリーズで背番号16を着て登場した姿は、単なる懐かしのOB登場ではなかった。日本人選手がMLBでプレーすることが特別な挑戦だった時代から、山本由伸投手のような選手がワールドシリーズで活躍する時代へ。その変化を象徴する場面でもあった。
野茂氏の現役時代を知らない若いファンにとっても、今回の始球式は日本人メジャーリーガーの歴史を知るきっかけになったはずだ。
【野茂英雄の始球式に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:野茂英雄の始球式はいつ行われましたか?
A1:2025年10月27日(日本時間10月28日)です。ドジャース対ブルージェイズのワールドシリーズ第3戦の試合前に行われました。
Q2:始球式の会場はどこですか?
A2:ロサンゼルスにあるドジャースタジアムです。野茂氏がかつて所属したドジャースの本拠地で行われました。
Q3:捕手役を務めた選手は誰ですか?
A3:ドジャースの山本由伸投手です。野茂氏が背番号16のユニホームで登場し、山本投手へ投球しました。
Q4:始球式でトルネード投法を披露しましたか?
A4:披露していません。マウンドの手前からセットポジションで構え、オーバースローで投球しました。
Q5:トルネード投法を披露しなかった理由は何ですか?
A5:本人から具体的な理由が公表されたという報道はありません。ロバーツ監督は事前にトルネード投法を見たいと話していましたが、実際には披露されませんでした。
Q6:野茂英雄のメジャー通算成績は?
A6:123勝109敗、1918奪三振、防御率4.24です。さらに1996年と2001年に2度のノーヒットノーランを達成しています。
Q7:野茂英雄はいつ現役を引退しましたか?
A7:2008年です。最後はカンザスシティ・ロイヤルズでプレーしました。
Q8:野茂英雄は2026年現在、何をしていますか?
A8:公式プロフィールでは、サンディエゴ・パドレスの球団アドバイザーとNOMOベースボールクラブの代表理事を務めています。
Q9:野茂英雄の始球式の動画はどこで見られますか?
A9:MLB公式Xで公開された映像のほか、日刊スポーツなどの国内スポーツメディアが紹介した動画で当日の投球を確認できます。
まとめ:野茂英雄の始球式が示した日本人メジャーリーガーの歴史
2025年10月27日、ドジャースタジアムで行われたワールドシリーズ第3戦の始球式に、野茂英雄氏が登場した。背番号16のドジャースユニホームを着用し、捕手役の山本由伸投手に一球を投じた。
トルネード投法は披露されなかったものの、マウンド手前からのオーバースローによる投球は本拠地の観客を沸かせた。ロバーツ監督も、かつてのチームメートである野茂氏への敬意を示していた。
今回の始球式を理解するうえで、押さえておきたい要点は次の3つだ。
- イベントの事実:2025年10月27日、ドジャースタジアムで開催されたワールドシリーズ第3戦の始球式だった。
- 投球フォームの真相:トルネード投法は披露せず、山本由伸投手にオーバースローで投球した。披露しなかった理由は公表されていない。
- 歴史的な意味:1995年に日本人メジャーリーガーの道を切り開いた野茂氏と、現代の日本人スターである山本投手が同じ舞台に立った。
メジャー通算123勝、1918奪三振、2度のノーヒットノーラン。野茂氏が残した数字は、今もMLBの歴史に刻まれている。しかし、その最大の功績は記録だけではない。
1995年に海を渡った一人の投手が切り開いた道を、後に続く日本人選手たちが歩み、2025年には山本由伸投手との始球式という形で世代を超えたつながりが実現した。
トルネード投法を見られなかったことを惜しむファンもいるだろう。それでも、背番号16がドジャースタジアムに戻ってきたという事実そのものが、野茂英雄という投手の存在の大きさを物語っている。
2026年現在も野球界に関わり続ける野茂氏。今回の始球式は、日本人メジャーリーガーの歴史を振り返るうえで、記憶に残るワンシーンとなった。