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物覚えが悪い原因は?睡眠・ストレス・加齢の見分け方と改善策、受診の目安まで徹底解説

真壁 直樹 真壁 直樹 • 更新: • 公開: • 読了約 27 分
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人の名前がなかなか覚えられない、仕事で教わったことをすぐに忘れてしまう、何度も勉強しているのに暗記できない。こうした経験が重なると、「自分は物覚えが悪いのではないか」「記憶力が人より劣っているのではないか」と不安になる人も少なくありません。

しかし、物覚えが悪いと感じる原因は、必ずしも生まれつきの記憶力や年齢だけではありません。睡眠不足、ストレス、集中力の低下、情報の覚え方、生活習慣など、日常的な要因が記憶の働きを妨げている場合があります。一方、急に物忘れが増えたり、日常生活に支障が出たりする場合には、医療機関で確認したい病気が隠れている可能性もあります。

【原因を解明】物覚えが悪いのはなぜ?脳の記憶の仕組みから考える

物覚えが悪い

物覚えが悪いと感じたとき、最初に理解しておきたいのが、脳が情報を記憶する仕組みです。人間の記憶は、情報を一度見たり聞いたりすれば、そのまま保存される単純な仕組みではありません。

記憶は「覚える・保持する・思い出す」の3段階で成り立つ

記憶には、大きく分けて次の3つの過程があります。

  • 記銘:見たり聞いたりした情報を脳に取り込む。
  • 保持:取り込んだ情報を一定期間保存する。
  • 想起:必要なときに保存した情報を思い出す。

例えば、職場で新しい業務の手順を教わった場合、説明を聞いて内容を理解するのが記銘、教わった内容を覚えておくのが保持、実際の仕事で手順を再現するのが想起に当たります。

この3段階のどこかに問題が生じると、本人は「覚えられない」と感じます。

例えば、説明中にスマートフォンの通知が気になっていた場合、そもそも情報が十分に頭に入っていない可能性があります。この場合、記憶力そのものよりも、情報を取り込む段階の注意力に問題があります。

反対に、内容を理解していたのに翌日には思い出せない場合は、記憶の保持や定着、取り出し方に改善の余地がある可能性があります。

脳科学辞典や日本薬学会の関連解説でも、記銘・保持・想起は記憶を理解する基本的な過程として整理されています。

物覚えが悪い人に見られやすい特徴

物覚えが悪いと感じる人には、いくつか共通しやすい行動パターンがあります。ただし、これらは性格や能力を決めつけるものではなく、学習環境や情報処理の習慣によって変わる特徴です。

  • 人の話を聞きながら別の作業をしてしまう。
  • 説明を聞いて分かったつもりになり、復習をしない。
  • 覚える情報を整理せず、すべて同じ重要度で暗記しようとする。
  • 一度に大量の情報を詰め込もうとする。
  • 似たような情報を関連づけず、個別に覚えようとする。
  • 十分に休息を取らず、疲れた状態で学習を続ける。
  • 思い出す練習よりも、何度も読み返すことに時間を使う。

特に暗記が苦手な人は、情報を受け身で繰り返し見るだけになっている場合があります。教科書や資料を何度も読むことは無意味ではありませんが、実際に何も見ずに内容を説明できるか確認することも大切です。

物覚えが悪いことと頭の良さは別問題

記憶力が低いからといって、知能全体が低いとは限りません。

知的能力には、短期的な記憶、長期記憶、知識量、情報処理速度、論理的思考力、計画を立てる実行機能など、複数の要素があります。

国立長寿医療研究センターの知的能力に関する解説では、加齢によって情報処理速度などが変化する一方、知識力のように人生経験を重ねることで成熟していく能力も紹介されています。

つまり、暗記に時間がかかる人でも、経験を生かした判断力や知識の応用力に優れていることがあります。単純な暗記の速さだけで、自分の能力を評価する必要はありません。

【原因を徹底比較】睡眠不足・ストレス・集中力低下・加齢で記憶力はどう変わる?

物覚えが悪くなる背景には、生活習慣から身体的な問題まで、複数の原因が考えられます。原因によって改善方法も異なるため、どのような場面で覚えられなくなるのかを整理することが大切です。

1.睡眠不足と記憶力の関係

睡眠不足は、物覚えが悪くなる代表的な要因の一つです。

睡眠には、日中に取り込んだ情報を整理し、記憶の定着や強化を助ける働きがあります。そのため、睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、学習した内容を十分に保持できなくなる可能性があります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠は疲労回復だけでなく、認知機能の維持や記憶・学習の定着に関係するものとして説明されています。

睡眠不足によって起こりやすい変化には、次のようなものがあります。

  • 仕事や勉強中に集中力が続かない。
  • 人の説明を聞いても内容が頭に入りにくい。
  • 簡単なことを何度も確認してしまう。
  • 覚えたはずの情報がすぐに出てこない。
  • 日中に強い眠気や疲労を感じる。

夜遅くまで暗記を続けるより、学習時間を調整して十分な睡眠を確保するほうが、長期的な記憶の定着に役立つ場合があります。

2.ストレスによる記憶力低下

仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、家庭の問題などによる精神的なストレスも、記憶の働きに影響します。

特に強いストレスを受けているときは、脳の前頭前野に関係する注意機能やワーキングメモリー(作業記憶)が影響を受けやすくなります。

ワーキングメモリーとは、情報を一時的に保持しながら、計算や判断などの作業に利用する機能です。例えば、電話番号を聞きながらメモを取ったり、複数の指示を順番に処理したりするときに使われます。

ストレスが強い状態では、目の前の作業に集中しにくくなり、情報を整理する余裕も失われがちです。その結果、普段なら簡単に覚えられることでも、忘れやすくなることがあります。

厚生労働省が公開する「ストレスと脳」に関する資料でも、ストレスによって注意機能やワーキングメモリーなどの認知機能が低下し、仕事上のミスや忘れ物が増える可能性が示されています。

3.集中力の低下によって記憶できない

集中力と記憶力は密接に関係しています。

そもそも注意を向けていない情報は、十分に記憶として取り込まれません。話を聞いているつもりでも、別のことを考えていたり、複数の作業を同時に進めたりしていると、情報の記銘が不十分になることがあります。

例えば、次のような場面に心当たりがないでしょうか。

  • 会議中にメールを確認し、話の内容を聞き逃す。
  • スマートフォンを操作しながら人の話を聞く。
  • 作業を中断することが多く、何をしていたか分からなくなる。
  • 説明を受けている途中で別の考えが浮かぶ。

こうした場合は、記憶力を鍛える以前に、情報を受け取る環境を整えることが有効です。

4.加齢による物覚えの変化

年齢を重ねると、一般的に人の名前が出てくるまでに時間がかかったり、新しい情報を覚える速度が変化したりすることがあります。

特に、複数の情報を同時に処理する能力や、素早く情報を取り出す能力には加齢による変化が見られる場合があります。

ただし、加齢による変化は、すべての知的能力が一律に衰えることを意味しません。長年の経験から得た知識や語彙、判断の蓄積などは、年齢を重ねても保たれたり、成熟したりすることがあります。

5.病気や薬の影響による記憶力低下

物覚えの悪さが長く続く場合、生活習慣以外の原因も考える必要があります。

例えば、うつ状態、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、睡眠障害などは、記憶力や認知機能に影響することがあります。また、服用している薬の種類や組み合わせによって、眠気や注意力の低下が生じる場合もあります。

厚生労働省の情報提供サイト「eJIM」でも、うつ病、薬の副作用、甲状腺・肝臓・腎臓の疾患などが記憶力低下につながる可能性について説明されています。

原因によっては適切な治療で改善が期待できるため、自己判断でサプリメントを追加したり、処方薬を中断したりせず、医師や薬剤師に相談することが大切です。

原因別の特徴と対処方法を比較

物覚えが悪いと感じるときは、忘れ方や発生するタイミングに注目すると、原因を整理しやすくなります。

考えられる原因 よく見られる特徴 優先したい対処
睡眠不足 寝不足の日に集中できず、覚えた内容も忘れやすい 睡眠時間と睡眠の質を見直す
ストレス 悩み事が多く、考えがまとまらない 休息を取り、ストレスの原因を整理する
注意力の低下 話を聞き逃す、作業中のミスが増える 同時作業を減らし、集中できる環境を作る
加齢 人名や言葉がすぐに出てこない 記録やメモを活用し、生活習慣を整える
薬や身体的な問題 眠気や疲労を伴う、以前と違う変化が続く 医療機関で原因を確認する
認知機能の病的な低下 同じ質問を繰り返す、生活上の失敗が増える もの忘れ外来などに相談する

重要なのは、物覚えが悪いという一つの症状だけで原因を決めつけないことです。生活習慣の変化とともに症状が現れたのか、徐々に悪化しているのか、日常生活に影響しているのかを確認しましょう。

【今日から実践】物覚えが悪い人の改善方法と記憶力を高める生活習慣

物覚えを改善するために、特別な教材や高額なトレーニング器具が必要とは限りません。まずは脳が情報を取り込みやすく、記憶を整理しやすい生活環境を整えることから始めましょう。

1.睡眠時間と睡眠の質を見直す

最初に取り組みたいのが睡眠習慣の改善です。

睡眠時間を削って勉強や仕事を続けると、日中の集中力が落ちるだけでなく、学習した情報の定着にも悪影響が出る可能性があります。

具体的には、次のような工夫が考えられます。

  • 毎日できるだけ規則的な時間に起床する。
  • 自分に必要な睡眠時間を確保する。
  • 寝る直前まで仕事や勉強を続けない。
  • 就寝前のスマートフォンの使用を控える。
  • 寝室の明るさや温度、音などを整える。
  • 日中に適度な身体活動を取り入れる。

睡眠時間には個人差があるため、単純に長く眠ればよいというものではありません。起床時に休息感があり、日中に強い眠気が生じにくい状態を目指しましょう。

2.一度に覚えようとせず、情報を小分けにする

大量の情報を一度に暗記しようとすると、脳の処理が追いつかなくなる場合があります。

そこでおすすめなのが、覚える内容を小さな単位に分ける方法です。

例えば、資格試験の勉強で専門用語を50個覚える場合、50個をまとめて暗記するのではなく、5〜10個程度のまとまりに分けて学習します。

それぞれのまとまりを理解してから次に進み、最後に全体を振り返ることで、情報同士の関係も把握しやすくなります。

3.情報に意味や関連性を持たせる

単純な丸暗記が苦手な人は、覚える情報を自分の知識や経験と結びつける方法が有効です。

例えば、新しい人の名前を覚えるときは、名前だけを繰り返すのではなく、出会った場所や会話の内容、仕事上の役割などと関連づけます。

専門用語を覚える場合も、言葉の意味を理解し、具体例を考えることで記憶を引き出す手がかりを増やせます。

また、情報を図や表に整理したり、似た内容と違う内容を比較したりすることもおすすめです。

4.メモやチェックリストを積極的に使う

記憶力を改善することと、すべてを頭の中だけで覚えることは同じではありません。

仕事の予定、買い物リスト、重要な約束などは、スマートフォンのカレンダーやメモ帳に記録することで、覚える負担を減らせます。

特に仕事では、口頭で伝えられた内容をその場で記録し、後から確認できるようにしておくことが効果的です。

鍵や財布などの置き場所を決めることも、忘れ物を防ぐための実践的な方法です。毎回同じ場所に置く習慣を作れば、記憶に頼る場面を減らせます。

5.適度な運動を習慣にする

ウォーキングや軽い筋力トレーニングなどの身体活動は、健康的な生活習慣を維持するうえで役立ちます。

運動習慣は、睡眠や気分、生活リズムにも関係しています。身体を動かす機会が少ない人は、短時間の散歩から始めるのもよいでしょう。

ただし、運動を始めたからといって、すぐに記憶力が大幅に向上するわけではありません。無理なく継続できる活動を選ぶことが大切です。

6.食生活を整え、極端な食事制限を避ける

脳も身体の一部であり、健康を維持するためには適切な栄養が必要です。

特定の食品だけを食べたり、記憶力向上をうたうサプリメントに頼ったりするのではなく、主食・主菜・副菜を基本に、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

ビタミンB12などの栄養素が不足している場合には、身体の状態に影響することがあります。ただし、自己判断で大量のサプリメントを摂取することはおすすめできません。栄養不足が疑われる場合は、医療機関で確認することが適切です。

【暗記が苦手な人必見】記憶力を鍛えるトレーニングと効率的な覚え方

生活習慣を整えたうえで、学習方法を工夫すると、覚えた情報を長く保持しやすくなります。特に注目したいのが、思い出す練習と時間を空けた復習です。

1.思い出す練習を取り入れる「想起練習」

記憶力を高める方法として研究されているのが、想起練習(検索練習・テスト効果)です。

これは、教科書やノートを繰り返し読むだけでなく、一度覚えた内容を何も見ずに思い出す方法です。

例えば、英単語を10個覚えたら、すぐに単語帳を閉じて意味を答えてみます。答えられなかった単語だけを確認し、もう一度思い出す練習を行います。

仕事で新しい業務を教わった場合も、説明が終わった後に手順を自分の言葉で説明できるか確認すると、理解度を把握しやすくなります。

2022年に「Nature Reviews Psychology」に掲載された学習研究のレビューでも、想起練習と分散学習は、学習内容を長期的に保持するための有効な学習方略として整理されています。

2.時間を空けて復習する「分散学習」

一度に長時間勉強するよりも、学習を複数回に分けて行う方法が分散学習です。

例えば、資格試験の用語を覚える場合、次のようなスケジュールが考えられます。

  • 学習当日:用語の意味を理解する。
  • 翌日:ノートを閉じて内容を思い出す。
  • 数日後:覚えにくかった部分を中心に復習する。
  • 1週間後:全体をもう一度確認する。
  • さらに時間を空けて:理解が不十分な部分を再確認する。

これは一例であり、すべての人に共通する最適な復習間隔が決まっているわけではありません。試験日や学習内容、自分の理解度に合わせて調整しましょう。

3.語呂合わせやイメージ記憶を活用する

数字や順番、専門用語などを覚えるときは、語呂合わせやイメージ記憶が役立つことがあります。

例えば、数字をそのまま覚えるのではなく、音や形に置き換えたり、覚える対象を具体的な場面として想像したりする方法です。

特に、抽象的な情報を具体的なイメージに変換すると、思い出すための手がかりが増えます。

4.人に説明するつもりで学習する

覚えた内容を誰かに説明するつもりで整理すると、自分が理解できている部分と、曖昧な部分を区別できます。

例えば、本を読んだ後に「この章で重要なことは何か」「なぜその結論になるのか」を自分の言葉で説明してみます。

説明できなかった箇所をもう一度確認すれば、単に読み返すよりも学習の課題が明確になります。

5.集中できる時間を確保する

長時間集中し続けようとする必要はありません。

例えば、25分程度の学習と短い休憩を組み合わせる方法があります。集中できる時間には個人差があるため、自分に合った区切り方を探してみましょう。

学習中は通知を切り、机の上に必要な教材だけを置くなど、気が散る要因を減らすことも重要です。

目的別に選びたい記憶トレーニング

  • 人の名前を覚えたい:名前を声に出し、顔や出会った状況と結びつける。
  • 仕事の手順を覚えたい:作業の流れを箇条書きにして、何も見ずに再現する。
  • 資格試験の暗記をしたい:一問一答や小テストを活用する。
  • 読んだ内容を覚えたい:読後に要点を3つにまとめる。
  • 日常の予定を忘れたくない:カレンダーやリマインダーを使う。

記憶力を鍛えるトレーニングは、何でも暗記する能力を身につけるためのものではありません。必要な情報を理解し、適切なタイミングで思い出せるようにすることが目的です。

【見逃さないで】加齢による物忘れと認知症の違い・病院に行く目安

物覚えが悪いと感じると、認知症を心配する人もいるでしょう。しかし、物忘れがあるからといって、必ずしも認知症というわけではありません。

一方で、加齢による自然な変化だと思っていた症状が、実際には認知機能の低下や治療が必要な身体的な問題によるものだったという可能性もあります。

加齢による物忘れと認知症の違い

国立長寿医療研究センターや政府広報オンラインでは、加齢による物忘れと認知症による物忘れの違いについて、体験そのものを覚えているかどうか、日常生活への影響があるかどうかなどを判断の手がかりとして紹介しています。

代表的な違いは次のとおりです。

  • 加齢による物忘れ:朝食を食べたことは覚えているが、何を食べたか思い出せない。
  • 認知症による物忘れ:朝食を食べたこと自体を忘れてしまう。

また、加齢による物忘れでは、名前が出てこなくても会話のヒントなどから思い出せることがあります。一方、認知症では、出来事そのものを忘れてしまったり、ヒントを与えられても思い出せなかったりする場合があります。

ただし、これは典型的な違いを示したものであり、この特徴だけで認知症かどうかを判断することはできません。

認知症を疑うべき主なサイン

次のような変化が複数見られる場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

  • 同じことを何度も聞いたり話したりする。
  • 約束したこと自体を忘れてしまう。
  • 慣れている場所で道に迷う。
  • 料理や買い物の手順が分からなくなる。
  • 薬や金銭の管理が難しくなる。
  • 以前できていた仕事や家事でミスが目立つ。
  • 時間や場所の感覚が分からなくなる。
  • 趣味や人付き合いへの関心が急に薄れる。

認知症は、記憶力だけの問題ではありません。判断力、注意力、言語能力、計画を立てて行動する能力など、複数の認知機能に変化が現れることがあります。

物覚えが悪くなったとき、病院に行くべきタイミング

次のような状況では、早めに医療機関に相談することが大切です。

① 以前と比べて明らかに忘れる回数が増えた

以前は問題なくできていた仕事や家事で、同じようなミスが繰り返される場合です。単なる疲れだと思っていても、症状が続いたり悪化したりする場合は確認が必要です。

② 日常生活に支障が出ている

買い物、料理、服薬、金銭管理、移動など、日常生活で必要な行動が難しくなっている場合は受診を検討してください。

③ 周囲の人から変化を指摘される

本人には自覚がなくても、家族や同僚が同じ質問の繰り返しや行動の変化に気づくことがあります。本人だけで判断せず、周囲の観察も参考になります。

④ 睡眠や気分の問題だけでは説明できない変化がある

不眠やうつ状態、薬の副作用、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症など、治療可能な原因が隠れている場合もあります。

なお、突然の記憶障害や意識の混乱に加え、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、激しい頭痛などが現れた場合は、脳卒中などの緊急疾患の可能性があります。通常のもの忘れとして様子を見ず、日本では119番に連絡して救急対応を受けてください。

何科を受診すればよい?

物覚えの悪さや物忘れが気になる場合は、まずかかりつけ医に相談する方法があります。

  • 脳神経内科:記憶障害や認知機能の低下、脳や神経に関係する病気を調べたい場合。
  • もの忘れ外来:認知症や軽度認知障害(MCI)の可能性を詳しく調べたい場合。
  • 精神科・心療内科:うつ状態、不安、不眠、精神的ストレスなどが強く関係している場合。
  • 一般内科:身体的な不調や服薬状況を含めて原因を確認したい場合。

医療機関では、症状の経過や生活状況を確認したうえで、必要に応じて認知機能検査、血液検査、頭部MRIなどの画像検査が行われます。

国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来でも、診察や神経心理学的検査、血液検査、画像検査などを組み合わせて、認知機能の状態や原因疾患を評価しています。

受診するときは、いつから症状が始まったのか、どのようなことを忘れるのか、服用している薬は何かを整理しておくと、診察の参考になります。家族が気づいた変化も重要な情報です。

【プロの結論】物覚えが悪い人が最初に見直すべき3つの判断基準

物覚えが悪いという悩みを改善するうえで、最も大切なのは、自分の記憶力を一方的に責めないことです。

同じように「覚えられない」と感じていても、情報を取り込めていない人、覚えた情報が定着しにくい人、必要なときに思い出せない人では、適した対処方法が異なります。

判断基準1:いつから覚えられなくなったのか

以前から暗記が苦手だったのか、それとも最近になって急に物覚えが悪くなったのかを確認しましょう。

以前から同じ傾向があり、生活に大きな支障がない場合は、学習方法や集中できる環境を見直すことが一つの選択肢です。

反対に、最近になって急に忘れやすくなった場合や、徐々に悪化している場合は、睡眠、ストレス、薬、身体的な問題などを確認する必要があります。

判断基準2:覚えられないのか、思い出せないのか

情報を聞いた直後から内容が分からない場合は、注意力や理解の問題が関係している可能性があります。

一度は覚えられるものの、数日後に忘れてしまう場合は、復習の間隔や想起練習など、記憶の定着方法を見直す余地があります。

覚えたはずなのに名前や情報がすぐに出てこない場合は、思い出すための手がかりを増やすことも有効です。

判断基準3:日常生活に影響が出ているか

仕事や勉強の効率が少し落ちた程度なのか、それとも生活に必要な行動まで難しくなっているのかは、大切な判断材料です。

予定を忘れないようにメモを取る、鍵の置き場所を決めるといった工夫で対応できているなら、生活環境の調整が役立つ場合があります。

しかし、薬の管理ができなくなる、慣れた場所で迷う、食事をしたこと自体を忘れるなどの変化がある場合は、自己流のトレーニングだけで解決しようとせず、専門家に相談してください。

記憶力の改善は、単に脳を鍛えることだけではありません。睡眠やストレスを整え、覚えやすい方法を選び、必要な場面では適切な医療につなげることまで含めて考える必要があります。

【物覚えが悪い】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:物覚えが悪いのは生まれつきの能力や頭の良さが原因ですか?
A1:必ずしもそうではありません。記憶力には個人差がありますが、睡眠不足やストレス、注意力、学習方法なども大きく関係します。また、知識力や判断力など、記憶力以外の知的能力もあります。暗記が苦手だからといって、頭が悪いと決めつける必要はありません。

Q2:物覚えを良くするために毎日できる簡単な方法はありますか?
A2:十分な睡眠を取る、学習内容を小分けにする、何も見ずに思い出す練習をする、翌日や数日後に復習するなどの方法がおすすめです。また、スマートフォンの通知を切り、作業を一つずつ進めることも集中力の維持に役立ちます。

Q3:物覚えが悪いと認知症の可能性がありますか?
A3:物覚えが悪いという症状だけで認知症とは判断できません。加齢による自然な物忘れや、睡眠不足、ストレス、うつ状態などでも記憶力は低下します。ただし、同じ質問を繰り返す、体験そのものを忘れる、慣れた場所で迷う、金銭管理や料理が難しくなるなどの変化がある場合は、もの忘れ外来や脳神経内科などへの相談をおすすめします。

まとめ:物覚えの悪さは原因を見極め、自分に合った方法で改善する

物覚えが悪いと感じる原因は、睡眠不足、ストレス、集中力の低下、加齢、学習方法の問題など多岐にわたります。記憶力は単独で働く能力ではなく、注意力や理解力、情報を整理する能力、睡眠による記憶の定着など、さまざまな働きと関係しています。

まずは、自分がどのような場面で覚えられなくなるのかを確認しましょう。睡眠が不足しているなら生活リズムを整え、ストレスが強いなら休息や環境の改善を優先します。暗記が苦手なら、想起練習や分散学習を取り入れることで、効率的な学習につなげられます。

また、年齢による物忘れと認知症による記憶障害は同じではありません。忘れ方が進行している場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関へ相談が必要です。

物覚えの悪さを改善する第一歩は、無理に記憶力を高めようとすることではなく、覚えられない原因を正しく理解することです。自分に合った生活習慣と学習方法を少しずつ取り入れ、必要に応じて専門家の力も借りながら、記憶と上手に付き合っていきましょう。

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真壁 直樹

美容・ファッション担当として8年以上の取材経験。beauty領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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