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物欲がないのは性格?理由・心理とミニマリストの違い、2025年調査から徹底解説

穂積 彩花 穂積 彩花 • 更新: • 公開: • 読了約 28 分
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欲しいものがない、買いたいものが思い浮かばない、買い物に出かけても特に何も欲しくならない。そんな自分に対して「物欲がないのは性格の問題なのだろうか」「周囲の人と比べてお金を使わないのはおかしいのだろうか」と疑問を感じる人は少なくない。実際、物欲の少なさには、生まれ持った性格だけでなく、経済状況、生活環境、価値観の変化、ストレスなど複数の要因が関係している。

2026年現在、消費行動をめぐる調査では、単純にモノを買うことだけでは満足しない消費者の姿も浮かび上がっている。博報堂生活総合研究所の2025年消費調査や、ニッセイ基礎研究所によるZ世代の消費分析、デロイト トーマツの2025年度調査を参考にすると、物欲がないことと消費に消極的であることは必ずしも同じではない。性格的な特徴、ミニマリストとの違い、男女や世代による傾向、ストレスやうつ病との関係まで整理し、自分にとって心地よいお金との付き合い方を考える。

【理由と心理】物欲がない人にはどんな特徴がある?性格だけでは説明できない5つの背景

物欲がない

物欲がない人には、日常生活で必要なものがそろっていれば十分だと感じる人もいれば、欲しいものを探すこと自体に興味がない人もいる。同じようにお金を使わなくても、その内面は一人ひとり異なる。

まずは、物欲がない人の心理を理解するために、代表的な5つの背景を見ていこう。

1. 今の生活に満足していて、新しいものを必要としていない

物欲が少ない理由として考えられるのが、現在の生活に対する満足度の高さだ。

住まい、衣服、家電、趣味の道具など、必要なものがすでにそろっていれば、新しい商品を購入する理由は少なくなる。欲しいものがないのは、生活に不満がないからという可能性もある。

このタイプは、商品を見ても「今持っているもので十分」「買い替える必要がない」と考えやすい。新商品や流行に振り回されず、自分の生活基準で必要性を判断する傾向がある。

2. お金を使うことより将来の安心を優先している

貯蓄や投資、住宅購入、老後の生活など、将来の経済的な安定を重視する人も物欲が少なく見えることがある。

この場合、欲しいものがまったくないというより、購入によって得られる満足感よりも、お金を残しておく安心感のほうが大きい。

特に収入や生活費を意識している人は、買い物をするときに「本当に必要か」「長く使えるか」「今買うべきか」と考える。結果的に衝動買いが少なくなり、周囲からは物欲がない人と見られる。

3. 所有することに魅力を感じない

欲しい商品を手に入れることより、持ち物を増やさず身軽に暮らすことに価値を感じる人もいる。

物が増えれば収納場所が必要になり、掃除や整理整頓、管理にも時間がかかる。故障や買い替え、処分の手間まで考えると、所有そのものが負担になる場合もある。

こうした心理を持つ人は、商品を購入する前に、その後の管理まで考える傾向がある。購入すること自体が目的ではなく、生活を快適に保つことを優先しているのだ。

4. モノより経験や人間関係にお金を使いたい

物欲が少なくても、旅行、外食、ライブ、スポーツ、学習などには積極的にお金を使う人がいる。

このタイプは、物を所有することよりも、その場で得られる経験や思い出に価値を感じている。買い物には興味がなくても、旅行の計画を立てたり、好きなアーティストの公演に出かけたりすることには強い関心を持つ。

つまり、物欲がないことと、人生を楽しむ意欲がないことは別問題である。消費の対象がモノから体験へ移っているだけかもしれない。

5. ストレスや疲労によって欲求そのものが弱まっている

注意したいのが、以前は買い物が好きだったのに、急に欲しいものがなくなったケースだ。

仕事や人間関係のストレス、睡眠不足、過労などが続くと、何かを選んだり、新しいことに興味を持ったりする余裕がなくなる場合がある。

特に、買い物だけでなく趣味や外出、食事、人との交流まで楽しめなくなっている場合は、単なる節約志向や性格の変化とは分けて考えたい。

物欲が少ないこと自体に問題はないが、以前の自分と比べて生活全般への意欲が低下していないかが、一つの判断材料になる。

【性格・行動】物欲がない人の特徴と、買い物に興味がない人の共通点

物欲がない人には、いくつか共通して見られる行動パターンがある。ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、性格診断のように決めつけることはできない。

物欲がない人に見られやすい7つの特徴

  • 必要性を重視する:流行や広告よりも、実際に生活で使うかどうかを判断基準にする。
  • 衝動買いが少ない:欲しいと思っても、すぐに購入せず時間を置いて考える。
  • 他人と比較しない:友人や同僚が持っているものを見ても、自分も欲しいとは限らない。
  • 持ち物を大切にする:今あるものを修理したり、長く使ったりすることを好む。
  • 貯蓄を優先する:買い物による一時的な満足より、経済的な安心を重視する。
  • 買い物に時間をかけない:商品を比較したり、店舗を何軒も回ったりすることに魅力を感じにくい。
  • 自分なりの満足基準がある:高価なブランド品や新製品を持つことが、必ずしも幸せにつながるとは考えない。

物欲がない人は合理的で冷静な性格なのか

物欲が少ない人の中には、合理性や計画性を重視する人がいる。

例えば、新しいスマートフォンが発売されても、現在の端末に不満がなければ買い替えない。洋服についても、着回しができるものを必要な分だけ購入する。

こうした判断は、消費に対して慎重な姿勢の表れと考えられる。

一方、物欲が少ないからといって、必ずしも冷静で自立した性格とは限らない。選択することが面倒、失敗することが怖い、買い物をする気力がないなど、異なる心理が背景にあることもある。

欲しいものがない人と、買い物が嫌いな人は違う

両者は似ているようで、実際には異なる。

欲しいものがない人は、商品を見たり紹介されたりしても、自分に必要だと感じるものが見つからない状態。一方、買い物に興味がない人は、欲しい商品があったとしても、購入するまでの過程を楽しめない可能性がある。

例えば、特定の趣味に必要な道具には強い関心があるものの、日用品やファッションの買い物には興味がない人もいる。

物欲はすべてのジャンルで一律に存在するわけではない。何にお金を使いたいかという優先順位に注目すると、自分の消費傾向が見えやすくなる。

【2025年消費調査】博報堂・ニッセイ基礎研究所の分析から見る若者の物欲と購買行動

物欲がない人が増えているのかを考えるうえで参考になるのが、2025年に公表された消費者調査だ。

特に注目したいのは、消費者が購入そのものだけでなく、SNSでの情報収集、購入前の疑似体験、商品の再販売など、さまざまな形で満足感を得ている点である。

博報堂生活総合研究所の2025年消費調査で見えた変化

博報堂生活総合研究所は2025年9月11日、2019年と2025年の消費意識の変化に関する調査結果を発表した。

2025年の調査は、全国の15~69歳の男女5,000人を対象としたインターネット調査で、実施期間は2025年3月21日から25日まで。6年間の消費意識の変化を比較している。

特徴的なのは、実際に購入しなくても欲求が満たされる人が増えていることだ。

  • 他人のSNS投稿を見ると買いたい気持ちが高まる:2019年26.0%から2025年37.2%へ上昇。
  • 誰かの写真や動画を見るだけで欲しい気持ちが満たされる:2019年19.4%から2025年30.2%へ上昇。
  • 欲しいものをリストや買い物カゴに入れるだけで買った気持ちになる:2019年25.7%から2025年36.2%へ上昇。

加えて、所有物を手放すことが新たな購買意欲につながる傾向も確認された。「ものを手放すと新たなものが欲しくなる」は2019年42.2%から2025年51.8%に、「中古品として売れたお金で買い物をしたくなる」は40.1%から49.3%に増加している。

同研究所は、こうした「売ること」と「買うこと」がつながる消費の循環を「対流消費」と名づけている。

ここから読み取れるのは、買い物をしないことが必ずしも欲求の消失を意味しないという点だ。商品を見ること、比較すること、誰かにプレゼントすることでも満足感が得られる場合がある。

若者の物欲は低い?実際にはSNSと趣味への関心が強い

同じ博報堂生活総合研究所の調査では、10~20代の若者は全体よりもSNSを通じて購入意欲が高まる傾向が強かった。

「他人のSNS投稿を見ると買いたい気持ちが高まる」は全体37.2%に対して若者59.1%。「写真や動画を見るだけで欲しい気持ちが満たされる」も全体30.2%に対して若者45.9%だった。

つまり、若者は物欲がない世代だと単純に分類することはできない。むしろ、他人の消費行動から影響を受ける一方、実際に購入しなくても満足できるという二面性が見られる。

デロイト トーマツの2025年度Z世代調査が示した節約とご褒美消費

デロイト トーマツは2025年4月、15~79歳を対象に「国内Z世代意識・購買行動調査」を実施し、同年11月28日に結果を公表した。

同調査では、Z世代を15~29歳と定義。Z世代は他の世代と比較して節約や貯蓄を重視する一方、趣味、娯楽、ご褒美など、自分自身の満足感を得るための消費にも積極的な傾向が示された。

特に特徴的なのは、節約と贅沢を使い分ける姿勢だ。コストパフォーマンスを意識しながらも、自分が価値を感じるものにはお金を使う。今後増やしたい消費として、他世代より推し活への関心が高いことも紹介されている。

この結果は、若者の物欲が単純に減少したという見方に疑問を投げかける。欲しいものを無差別に買うのではなく、使う対象を選んでいる可能性がある。

ニッセイ基礎研究所が分析するZ世代の4つの消費志向

ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏は、2024年9月の研究レポートでZ世代の消費志向を4つに整理している。

  • デジタル志向:SNSやインターネットの口コミ、レビューを参考に商品を選ぶ。
  • 体験志向:商品の所有よりも、記憶に残る体験や特別な時間に価値を感じる。
  • パーソナライズ志向:自分らしさを表現できる商品やサービスを好む。
  • エシカル志向:環境問題や社会課題を意識し、企業の姿勢や社会的な価値も判断材料にする。

また、ニッセイ基礎研究所の廣瀬涼氏は、若者の消費について、情報が多い環境だからこそ「消費に失敗したくない」という心理が働き、購入前にSNSや動画で疑似体験する傾向を解説している。

所有すること自体より、必要なときに必要な価値を得る「リキッド消費」という考え方も、若者の消費を理解する手がかりになる。

2025年の調査から読み取れる重要な違い

それぞれの調査が扱っている対象や調査方法は異なる。以下の表で、物欲を考えるうえで重要な関係を整理した。

調査・分析主体 調査時期・対象 主な結果・示唆
博報堂生活総合研究所 2025年3月、15~69歳の男女5,000人 SNS閲覧による購買意欲の上昇と、購入しなくても欲求が満たされる行動が増加。
博報堂生活総合研究所・若者分析 2025年、10~20代 SNSによる購買意欲の上昇は59.1%。全体の37.2%を上回る。
デロイト トーマツ 2025年4月、15~79歳 Z世代は節約と貯蓄を重視しつつ、趣味・娯楽・ご褒美消費にも意欲的。
ニッセイ基礎研究所・久我尚子氏 2024年9月公表の研究分析 Z世代の消費をデジタル・体験・パーソナライズ・エシカルの4方向から分析。
ニッセイ基礎研究所・廣瀬涼氏 2024年4月のインタビュー 情報過多による消費失敗への警戒や、購入前の疑似体験、リキッド消費を解説。

これらの調査から重要なのは、物欲の強さと実際の購入金額を同じものとして扱わないことだ。商品を欲しいと思う頻度、実際に購入する行動、購入後の満足度は、それぞれ別の指標として考える必要がある。

なお、これらの調査は「物欲がない人の割合」を直接測定したものではない。したがって、2025年に物欲のない人が増えたと断定することはできない。確認できるのは、消費者の満足の得方や購入の判断基準が多様化しているという変化である。

【男女・世代別】物欲がない男性・女性・若者にはどんな違いがある?

「物欲がない男性は珍しいのか」「物欲がない女性は節約家なのか」「最近の若者は欲しいものがないのか」といった疑問も多い。

しかし、性別や年齢だけで物欲の強さを説明することは難しい。収入、生活環境、趣味、ライフステージなどを含めて考える必要がある。

物欲がない男性に考えられる心理

物欲がない男性の場合、実用性を重視していることが一つの背景として考えられる。

例えば、洋服やアクセサリーに関心が薄く、同じ服を長く着ることに抵抗がない人。新しい家電やガジェットにも、現在のものが使える限り買い替える必要を感じない人などだ。

一方、普段はほとんど買い物をしないのに、特定の趣味にはまとまったお金を使う男性もいる。自動車、ゲーム、旅行、スポーツ、カメラなど、関心のあるジャンルが限られている場合もある。

買い物の回数だけで、その人の物欲を判断するのは適切ではない。

物欲がない女性に考えられる心理

物欲がない女性についても、基本的な心理は男性と大きく変わらない。

洋服や化粧品を必要以上に増やしたくない、ブランド品よりも使いやすさを優先したい、買い物より旅行や美容サービスにお金を使いたいなど、消費の優先順位は人によって異なる。

また、ファッションや美容への関心があっても、頻繁に新商品を購入するとは限らない。お気に入りの商品を長く使い続ける人もいる。

物欲がない女性を「女性らしくない」「おしゃれに興味がない」と結び付けるのは、消費行動を性別によって決めつける見方だ。本人が何に価値を感じているかを見たほうが実態に近い。

物欲がない若者とZ世代の違い

若者の消費については、いわゆる「さとり世代」や「物欲がない世代」という表現が使われることがある。

しかし、2025年の調査を見ると、Z世代は節約志向を持ちながら、推し活や趣味、ご褒美などには積極的だ。つまり、すべての消費に消極的というわけではない。

若者の購買行動を理解するには、所有することへの関心だけでなく、SNSでの情報収集、口コミの確認、コスパやタイパ、体験価値なども見る必要がある。

物欲がないように見える若者でも、自分が価値を感じる分野にはしっかりお金を使っている可能性がある。

【ミニマリストとの違い】物欲がないことは幸せ?物欲と幸福度の関係を検証

物欲がない人とミニマリストは、持ち物が少ないという点では共通している。しかし、その背景にある考え方は必ずしも同じではない。

物欲がない人とミニマリストの違い

ミニマリストは、自分にとって本当に必要なものを選び、持ち物を意識的に減らす生活スタイルを実践する人を指す。

一方、物欲がない人は、そもそも新しい商品を欲しいと思わない場合がある。持ち物を減らすことを目的としているとは限らない。

例えば、ミニマリストは好きな家具や道具を厳選して所有することもある。物欲がない人は、家具や道具に特別なこだわりがなく、現在のものをそのまま使い続ける場合もある。

大切なのは、所有物の数ではなく、本人がどのような理由でその生活を選んでいるかだ。

物欲が少ないほど幸福度は高くなるのか

物欲と幸福度の関係を考える際には、心理学における物質主義の研究が参考になる。

2014年に『Journal of Personality and Social Psychology』に掲載されたメタ分析では、物質主義と個人のウェルビーイングの関係について、259の独立したサンプルから得られた753の効果量を分析している。

その研究では、お金や所有物などの物質的な目標を優先する傾向と、個人のウェルビーイングとの間に負の関連が示された。

ただし、これは物欲が少ない人ほど必ず幸せになるという意味ではない。物を欲しがらないことと、人生に満足していることは別の問題だからだ。

例えば、欲しいものがなくても、仕事に不満があり、人間関係に悩み、将来への不安を抱えている人はいる。反対に、趣味や好きなものにお金を使うことで充実感を得ている人もいる。

幸福度を左右するのは、単純な購入金額や所有物の数ではなく、自分の価値観に合った生活ができているかどうかだ。

物欲がないことのメリットと注意点

物欲が少ない生活には、経済面や時間面でのメリットがある。

  • 貯蓄しやすい:衝動買いや不要な支出を抑えやすい。
  • 生活空間を保ちやすい:持ち物が増えにくく、整理整頓の負担を軽減できる。
  • 他人と比較しにくい:流行やブランドに振り回されず、自分の基準で判断できる。
  • 時間を有効に使える:商品探しや買い物に費やす時間を減らせる。

一方で、物欲が少ないことが常に良い結果につながるわけではない。

必要な衣服や家電まで購入を避けたり、健康や生活の質を改善するための支出を過度に抑えたりすれば、かえって不便になる。

また、お金を使うことに強い罪悪感がある場合は、単なる節約とは違う心理的な負担が生じている可能性もある。

【ストレス・うつ病との関係】急に物欲がなくなったときに確認したいサイン

もともと物欲が少ない人と、以前は買い物が好きだったのに急に欲しいものがなくなった人では、考えるべきポイントが異なる。

特に注意したいのは、物欲だけでなく、生活全体に対する興味や意欲が低下しているケースだ。

ストレスによって物欲がなくなることはある?

仕事のプレッシャー、人間関係のトラブル、家庭環境の変化などが続くと、心身の疲労によって新しいものを欲しいと思う余裕がなくなることがある。

例えば、以前は休日にショッピングを楽しんでいたのに、最近は外出すること自体が面倒になった。好きだったブランドの商品を見ても興味が湧かない。何かを選ぶことさえ疲れると感じる場合などだ。

こうした変化が一時的な疲労によるものなら、休息や生活環境の改善によって関心が戻ることもある。

ただし、休んでも回復しない場合や、ほかの活動にも興味が持てなくなっている場合は、心身の状態を確認することが大切だ。

物欲がないこととうつ病の関係

厚生労働省の若者向けメンタルヘルス情報では、うつ病の特徴として、憂うつな気分や、これまで好きだったことへの興味・喜びの喪失が挙げられている。

そのほかにも、次のような症状が見られる場合がある。

  • 以前楽しめた趣味や活動に興味が湧かない。
  • 何をしても楽しいと感じにくい。
  • 疲れやすく、気力が湧かない。
  • 眠れない、または寝すぎてしまう。
  • 食欲が減ったり、反対に増えたりする。
  • 集中力や判断力が低下する。
  • 自分を責めたり、価値がないと感じたりする。

厚生労働省は、こうした症状のうち一定数が2週間以上続く場合、専門家への相談を勧めている。

重要なのは、物欲がないという一点だけで、うつ病だと判断することはできないということだ。反対に、気分の落ち込みが目立たなくても、興味や喜びの喪失、疲労感、睡眠の変化などが続いている場合は注意したい。

以前好きだったことが楽しめない状態が続き、仕事や学業、家事などにも支障が出ているなら、精神科や心療内科、かかりつけ医などに相談する選択肢がある。

一時的な物欲の低下と、注意したい変化の見分け方

自分の状態を整理する際には、物欲だけでなく、ほかの生活領域にどのような変化があるかを確認したい。

  • 一時的な変化の可能性:買い物には興味がないが、趣味や食事、旅行、人付き合いは楽しめている。
  • 価値観の変化の可能性:以前よりモノを買わなくなったが、貯蓄や体験など別の目的には意欲がある。
  • 疲労やストレスへの注意:買い物だけでなく、外出や人との交流にも消極的になっている。
  • 医療機関への相談を検討したい状態:以前楽しめていたこと全般に興味や喜びを感じられず、睡眠や食欲、集中力などにも変化が続いている。

無理に買い物を楽しもうとしたり、欲しいものを探したりする必要はない。まずは休息を確保し、日常生活にどのような変化が起きているかを振り返ることが先決だ。

【対処法】欲しいものがない状態との上手な向き合い方とお金の使い方

物欲がないことを無理に変える必要はない。むしろ、自分にとって何が満足につながるのかを理解することが重要だ。

1. 欲しいものを無理に見つけようとしない

周囲の人が買い物を楽しんでいたり、新しい商品を購入していたりすると、自分も何か欲しいものを持つべきだと感じることがある。

しかし、必要のないものを購入しても、長期的な満足につながるとは限らない。

今の生活に満足しているなら、その状態を大切にしてよい。物欲がないことを無理に欠点として捉えないことが第一歩になる。

2. モノ以外で自分が満足するものを考える

買いたいものがない人でも、人生の中で楽しみにしていることはあるかもしれない。

  • 旅行や温泉などの非日常的な体験。
  • 友人や家族と過ごす時間。
  • 映画や音楽、スポーツなどの趣味。
  • 資格取得や語学学習などの自己投資。
  • 睡眠や健康、住環境の改善。

こうした分野にお金を使うことも、十分に価値のある消費だ。

3. お金を使わないことを目的にしない

物欲がない人の中には、支出を減らすこと自体が目標になってしまう人もいる。

しかし、お金は貯めることだけが目的ではない。生活を便利にしたり、健康を守ったり、将来の選択肢を広げたりするためにも使える。

必要な家電の買い替え、身体のメンテナンス、学習環境の整備など、自分の生活の質を高める支出まで我慢する必要はない。

4. 欲しいものがない理由を定期的に振り返る

物欲の少なさが自分にとって心地よいものなのか、それとも疲れや不安によって生じているものなのかを確認してみよう。

例えば、次のような問いが役立つ。

  • 今の生活に本当に満足しているか。
  • 買い物以外の趣味や活動は楽しめているか。
  • 将来への不安から必要以上に支出を避けていないか。
  • 以前と比べて気力や興味が大きく低下していないか。
  • 自分が大切にしたいことにお金や時間を使えているか。

答えは一度で出す必要はない。生活環境や年齢、仕事、収入などが変化すれば、お金に対する価値観も変わっていく。

【物欲がないに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:物欲がない人は性格が悪い、冷たいと思われる?
A1:物欲の少なさと性格の良し悪しは関係しない。買い物に関心がなくても、他人への思いやりや人間関係を大切にしている人はいる。消費に対する価値観と、人柄は分けて考えたい。

Q2:物欲がない人は貯金が得意?
A2:不要な買い物が少ないため、貯蓄しやすい場合はある。ただし、物欲がないことと計画的にお金を管理できることは別だ。固定費や生活費、将来の支出を管理できているかが重要になる。

Q3:物欲がない男性や女性は珍しい?
A3:性別だけで物欲の強さを判断することはできない。男性でも女性でも、必要なものだけを買う人や、モノより体験を重視する人はいる。趣味や生活環境によって個人差が大きい。

Q4:若者に物欲がない人が増えているのは本当?
A4:2025年の消費調査では、Z世代の節約志向や、SNSを通じて購入前に満足感を得る行動などが確認されている。一方、推し活や趣味、ご褒美消費にも意欲的だ。若者全体の物欲が低下したと断定できるデータではない。

Q5:ミニマリストと物欲がない人は同じ?
A5:同じではない。ミニマリストは必要なものを選び、持ち物を意識的に減らす生活スタイル。一方、物欲がない人は、そもそも新しいものを欲しいと思わない場合もある。

Q6:急に物欲がなくなった場合はうつ病の可能性がある?
A6:物欲の低下だけでうつ病とは判断できない。ただし、以前楽しめていた趣味や人付き合いにも興味が持てず、気分の落ち込みや睡眠・食欲の変化などが2週間以上続く場合は、医療機関への相談を検討したい。

Q7:物欲がない状態を改善する方法は?
A7:無理に買い物をする必要はない。自分が楽しめる趣味や体験を探し、生活の満足度を高めることを優先したい。以前と比べて意欲が大きく低下している場合は、心身の疲労にも目を向けよう。

まとめ:物欲がないことは欠点ではない、自分に合った幸福と消費を選ぼう

物欲がない理由は、性格だけでは説明できない。現在の生活への満足、節約や貯蓄への意識、所有することへの負担感、体験を重視する価値観など、さまざまな背景がある。

2025年の博報堂生活総合研究所の消費調査では、SNSの投稿を見るだけで購買意欲が高まる人がいる一方、実際に購入しなくても欲求が満たされる人も増えていることが示された。また、デロイト トーマツの調査では、Z世代が節約と趣味・娯楽への消費を両立させている傾向も明らかになっている。

こうした変化を踏まえると、物欲の強さだけで人の豊かさを測ることはできない。買い物が好きな人も、必要なものしか買わない人も、自分に合った満足の形を持っていればよい。

ただし、以前好きだったものへの興味まで急になくなり、日常生活全般に意欲が湧かなくなった場合は、単なる価値観の変化と決めつけず、ストレスや心身の不調にも目を向けたい。

【プロの結論】

物欲がないこと自体は、直すべき欠点ではない。大切なのは「何を買いたいか」ではなく、「自分は何に満足し、何を大切にして生きたいのか」を理解することだ。

お金を使わない生活が心地よいなら、その価値観を大切にすればよい。一方、必要なものや自分の幸福につながる経験まで我慢する必要もない。モノを買うことに縛られず、自分にとって本当に価値のあるものに時間とお金を使うこと。それが、物欲に振り回されない暮らしにつながる。

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穂積 彩花
トレンドリサーチャー 穂積 彩花
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