肉じゃが、味噌汁、卵焼き、煮物。料理の名前を聞いただけで、子どものころの食卓や、家族と過ごした時間を思い出す人は少なくないでしょう。「おふくろの味」とは、単に母親が作った料理を意味する言葉ではありません。幼少期に食べ慣れた家庭料理、その味からよみがえる記憶や安心感までを含んだ、日本人の食文化に根付く表現です。
2026年6月8日、博報堂生活総合研究所は「食に関する生活者調査2026」の結果を発表しました。調査のキーワードは「おふくろの味」から「ふくろの味」へ。手料理の範囲が広がり、冷凍食品やレトルト食品を活用することも自然な食生活として受け入れられつつあります。加えて、同年に発表された日本能率協会総合研究所の食卓調査からも、手作りと市販品を組み合わせる家庭の実態が見えてきました。
【意味と由来】おふくろの味とは?なぜ懐かしい家庭料理をそう呼ぶのか
おふくろの味の意味は「幼少期の記憶と結び付いた家庭料理」
おふくろの味とは、幼少期に家庭で経験した料理、そこで形成された味覚、そして食べたときに当時の記憶を思い起こさせる料理を意味します。
東邦大学医療センター大森病院の東洋医学科コラムでも、おふくろの味を幼少期の家庭料理や、それによって形成された味覚、記憶を想起させる料理として説明しています。
そのため、必ずしも高級な食材を使った料理や、調理技術の高い料理である必要はありません。毎朝の味噌汁、運動会のお弁当に入っていた卵焼き、夕食に何度も登場した煮物など、日常的な食事がその人にとっての特別な味になります。
同じ肉じゃがでも、砂糖を多く使う家庭もあれば、だしの風味を重視する家庭もあります。味噌汁の味噌の種類や濃さ、卵焼きの甘さ、おにぎりの塩加減にも家庭ごとの違いがあります。
つまり、おふくろの味を決めるのは料理名だけではありません。味付け、食感、香り、食べた場所、誰と食卓を囲んでいたかという経験も含まれています。
「おふくろ」という言葉の由来と歴史
「おふくろ」は、母親を親しみを込めて呼ぶ言葉です。語源由来辞典によると、この言葉は室町時代から確認でき、1603年の『日葡辞書』にも記録されています。
興味深いのは、当時と現在では使用する人の傾向が異なる点です。『日葡辞書』では女性が普通に使う言葉で、男性も使用すると説明されています。一方、現代では主に男性が母親を親しんで呼ぶ表現として定着しています。
ただし、「袋」という漢字の成り立ちを含め、語源を一つの説だけで説明することはできません。言葉そのものの歴史と、現在の「おふくろの味」という文化的なイメージの成立は、分けて考える必要があります。
おふくろの味は昔から変わらない伝統ではない
実は、母親が家庭の食事を作り、子どもがその味を受け継ぐという現在のイメージは、日本の長い歴史を通じて不変だったわけではありません。
東邦大学の田中耕一郎氏による2023年の解説では、家庭料理や「おふくろの味」という概念が、近代以降の家族制度、都市化、女性に家庭内の役割を求める社会的な価値観などと結び付いて形成されてきたことが紹介されています。
高度経済成長期には地方から都市部への人口移動が進み、故郷を離れて暮らす人々にとって、家庭料理や郷土料理が懐かしさを感じさせる存在になりました。都市部の定食屋や居酒屋などでも、各地の家庭料理が親しまれるようになります。
加えて、料理番組や女性向け雑誌などのメディアが「家庭的な料理」「母親の味」というイメージを広めました。おふくろの味は、個人の記憶であると同時に、時代の食文化やメディアによって形作られてきた言葉でもあります。
【定番料理】肉じゃが・味噌汁・煮物・卵焼きが代表格とされる理由
肉じゃが:家庭ごとの味付けが表れる定番料理
肉じゃがは、おふくろの味を代表する料理として広く知られています。牛肉または豚肉、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんなどを醤油や砂糖、みりんで煮込む料理で、家庭によって味付けや具材が異なります。
肉じゃがが興味深いのは、その歴史が一般に想像されるほど古い家庭料理ではないことです。
東邦大学の解説が紹介する食文化研究によると、「肉じゃが」という料理名を冠したレシピは、1964年のNHK『きょうの料理』のテキストで確認できます。一般的に家庭料理として広まったのは1970年代ごろで、1980年代には「おふくろの味」「懐かしい家庭の惣菜」といったイメージと結び付けられるようになりました。
つまり、肉じゃがは古来の日本料理というより、比較的新しい時代に家庭の定番として定着した料理です。それでも、多くの人にとって思い出深い味になっている点に、家庭料理の面白さがあります。
味噌汁:毎日の食卓に根付く家庭の味
味噌汁は、おふくろの味を象徴する汁物の一つです。豆腐、わかめ、油揚げ、大根、玉ねぎなど、具材の組み合わせによって味わいが変わります。
地域によって味噌の種類やだしの取り方も異なり、家庭ごとの好みが表れやすい料理です。毎日食卓に並ぶことも多いため、特別な日にしか食べない料理よりも、日常の記憶と強く結び付く場合があります。
2026年8月に公表された日本能率協会総合研究所の「メニューからみた食卓調査2026」では、味噌汁は手作りが8割強という結果が紹介されています。加工食品が普及する中でも、味噌汁は家庭で調理される機会が多いメニューです。
煮物:地域や家庭の食文化を映す料理
煮物には、筑前煮、ひじき煮、切り干し大根の煮物、かぼちゃの煮物、魚の煮付けなどがあります。
野菜や豆、海藻、魚介類などを使うため、季節の食材や地域の食習慣が反映されやすい料理です。だし、醤油、砂糖、みりんの配合によっても味が変わります。
煮物が懐かしい味として挙げられる背景には、食材を切るところから煮込み、味を染み込ませるという調理の積み重ねもあります。作り置きや常備菜として食卓に登場することも多く、家庭の日常を象徴する存在です。
卵焼き:家庭による味の違いが最も分かりやすい料理
卵焼きは、材料がシンプルでありながら、家庭によって驚くほど味が異なります。
砂糖を加えた甘い卵焼き、だしを効かせた卵焼き、塩味を中心にしたものなど、地域や家庭によって好みが分かれます。お弁当のおかずとしても親しまれており、子どものころの記憶と結び付きやすい料理です。
卵焼きがランキングで上位に入る理由も、こうした家庭独自の味を思い出しやすい点にあると考えられます。
その他のおふくろの味の定番メニュー
代表的な料理は和食だけではありません。母親が作ってくれたカレー、ハンバーグ、唐揚げ、餃子、オムライスなども、十分におふくろの味に含まれます。
特に、子どもが喜ぶ料理を家庭で繰り返し作ることによって、和食以外のメニューもその家ならではの懐かしい味になります。
東邦大学の解説でも、唐揚げや砂糖を使わない卵焼きなど、個人の家庭の記憶によって味の基準が形成されることが紹介されています。
【人気ランキング】おふくろの味といえば何?懐かしい家庭料理TOP10
おふくろの味として、実際にどの料理が人気なのでしょうか。
参考になるのが、料理メディアmacaroniが実施した読者アンケートです。2022年4月13日から20日までの調査では、読者から791票が集まりました。
その結果、1位は卵焼き、2位は唐揚げ、3位は煮物という順位になっています。
macaroni読者アンケートのランキング
- 1位:卵焼き(81票)
- 2位:唐揚げ(52票)
- 3位:煮物(42票)
- 4位:肉じゃが(41票)
- 5位:カレー(39票)
- 6位:おにぎり(37票)
- 7位:味噌汁(35票)
- 8位:炊き込みごはん(34票)
- 9位:豚汁(33票)
- 10位:きんぴらごぼう(29票)
11位にはハンバーグ、同率12位には魚の煮付けとオムライスが入りました。さらにポテトサラダ、コロッケ、ひじき煮、餃子などもランクインしています。
ランキングから分かる3つの特徴
第一の特徴は、卵焼きの強さです。家庭によって甘さやだしの使い方が異なるため、単なる料理名以上に「自分の家の味」を思い出しやすいメニューです。
第二の特徴は、和食と洋食が共存していることです。肉じゃがや煮物だけでなく、カレーやハンバーグ、オムライスなども支持されています。おふくろの味は、昔ながらの和食だけに限定されません。
第三の特徴は、日常的な料理が中心であることです。特別な高級料理よりも、何度も食卓に並んだ料理や、お弁当に入っていたおかずが上位に入っています。
なお、このランキングはmacaroni読者を対象にしたアンケートであり、日本全国の全世代を代表する統計ではありません。人気ランキングとして参考にしつつ、個人の思い出とは区別して見る必要があります。
【2026年最新調査】おふくろの味から「ふくろの味」へ!食卓に起きている変化
博報堂生活総合研究所の2026年調査とは
2026年6月8日、博報堂生活総合研究所は「食に関する生活者調査2026」の結果を発表しました。
調査は2026年3月5日から7日まで実施され、20~69歳の男女1,500人が回答しています。対象地域は首都40km圏、名古屋40km圏、阪神30km圏の3地域で、各地域500人を割り付けたインターネット調査です。
調査の主なテーマは、手料理や食事の範囲、食に関する価値観です。2023年にも同様の質問を実施した項目については、3年間の変化が比較されています。
注目すべきなのは、手料理の範囲が広がっていることです。家庭で一から調理することだけを手料理とするのではなく、調理済み食品を組み合わせる行動も手料理として受け止められ始めています。
2026年調査で明らかになった主な数値
| 調査項目 | 2026年の結果 | 2023年からの変化 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| バターなどを塗っただけのパンを手料理と考える人 | 27.9% | 6.3ポイント増 | 簡単な準備も手料理に含める意識 |
| パックのままの納豆を手料理と考える人 | 22.6% | 5.4ポイント増 | 調理工程の少ない料理への認識変化 |
| 温めた冷凍食品を手料理と考える人 | 40.7% | 3.3ポイント増 | 冷凍食品の活用が受け入れられている |
| 完全栄養食・バランス栄養食を食事と考える人 | 67.6% | 15.9ポイント増 | 食事の概念が広がっている |
| 家事分担で男性が料理を担当することを今の価値観と考える人 | 82.9% | 同一設問の3年比較ではない | 料理の担い手に対する意識の変化 |
| 料理の手間を減らして別の時間を作ることを支持する人 | 81.5% | 同一設問の3年比較ではない | 効率と時間を重視する生活意識 |
特に注目したいのが、温めた冷凍食品を手料理と考える人が40.7%に達した点です。調理のすべてを素材から行わなくても、家庭で食事を整える行為として認識されていることが分かります。
また、料理の手間を減らして別のことに時間を使う価値観を支持する人は81.5%でした。一方、「料理の手間を減らすことを手抜きだと思うこと」を支持しない人は66.4%です。
この結果から見えてくるのは、料理の完成度だけでなく、調理に費やす時間や生活全体のバランスを重視する意識です。
「おふくろの味」と「ふくろの味」の違い
博報堂生活総合研究所が掲げた「おふくろの味からふくろの味へ」という表現は、家庭で作る料理と、袋やパッケージに入った調理済み食品を対比させたものです。
「おふくろの味」は、家庭で調理した料理や、家族の記憶と結び付いた味を象徴します。一方、「ふくろの味」は、レトルト食品、冷凍食品、インスタント食品など、加工・調理済みの商品を活用した食生活を象徴する表現です。
ただし、「ふくろの味」は一般的な辞書に定義された伝統的な料理用語ではなく、今回の調査で示された対比表現です。袋入り食品だけを指す厳密な分類でもありません。
この違いを理解するうえで重要なのは、両者が必ずしも対立する存在ではないことです。
例えば、冷凍餃子を焼き、手作りの味噌汁やサラダを添える食卓があります。市販の調味料を使って肉じゃがを作り、家族の好みに合わせて味を調整することもできます。
そこには、家庭料理の要素と加工食品の利便性が共存しています。2026年の食卓では、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を使い分けることが自然になっています。
【手作りの定義】家庭料理はどこまで調理すれば手料理なのか
手料理に全国共通の明確な線引きはある?
家庭料理における「手作り」には、すべての家庭や調査で共通する一つの定義があるわけではありません。
生鮮食品を切り、調味料を組み合わせて作る料理を手作りと考える人もいれば、冷凍食品を加熱したり、レトルト食品に野菜や肉を加えたりすることも手料理の一部と考える人もいます。
博報堂生活総合研究所の2026年調査は、パンにバターを塗るだけの行為や、パックのままの納豆を手料理と考えるかという具体的な質問を通じて、生活者の認識の変化を測定しました。
一方、日本能率協会総合研究所の「メニューからみた食卓調査2026」では、素材から調理する行動について、より具体的な基準が示されています。
2026年の食卓調査が示す「完全手作り」と「ハイブリッド」
同調査は、2026年5月29日から6月3日まで、全国の20~69歳の既婚女性2,000人を対象に実施されました。
調査では、生鮮食材を自分で切り、調味料も自分で組み合わせて料理を作る行動を、いわゆる「完全手作り」として捉えています。
その結果、普段の食事を手作りしているという意識は8割を超えた一方、「かなり手作りしている」という自己評価は半数を下回りました。生鮮食材を自分で切り、調味料を組み合わせる調理を「ほぼ毎回」行う人も4割弱でした。
また、手作り料理と市販の惣菜や冷凍食品を同時に食卓へ並べる行動については、「ときどきある」と回答した人が4割弱でした。
メニュー別に見ると、味噌汁は手作りが8割強である一方、餃子は冷凍食品の利用が約半数とされ、料理の種類によって調理方法を使い分けている様子がうかがえます。
つまり、手作りと市販品の組み合わせは、料理をしないことと同じではありません。家庭の事情やメニューに応じて調理方法を選ぶ、現実的な食卓の形です。
手作りの定義を考えるときの4つの判断基準
家庭料理を手作りかどうかで考える場合、次の4点を整理すると分かりやすくなります。
- 素材への関与:野菜や肉などの食材を自分で選び、切るなどの下準備をしているか。
- 味付けへの関与:だしや調味料を組み合わせ、家庭の好みに合わせて調整しているか。
- 調理への関与:焼く、煮る、蒸す、炒めるなどの工程を家庭で行っているか。
- 食卓づくりへの関与:主菜、副菜、汁物などを組み合わせ、家族や自分の食事として整えているか。
この基準は家庭料理を理解するための実用的な整理であり、法律上の統一基準ではありません。
市販の惣菜を食卓に並べることも、冷凍食品を使うことも、それだけで家庭料理としての価値を失うわけではありません。重要なのは、生活の中でどのように食事を準備し、誰と食べ、どのような味を大切にしているかです。
【地域と継承】郷土料理や家庭の味はどのように次世代へ受け継がれるのか
おふくろの味には地域ごとの違いがある
おふくろの味は、家庭の中だけで完結するものではありません。生まれ育った土地の食材、気候、産業、祭りや行事など、地域の生活文化とも深く関係しています。
例えば、同じ煮物でも、地域によって使用する食材や味付けが異なります。魚介類を多く使う地域もあれば、山菜や根菜を中心とした料理が日常的に食べられてきた地域もあります。
味噌汁についても、使う味噌やだしの取り方、具材の選び方に地域差があります。こうした違いが、全国共通の料理名の中に、それぞれの土地ならではの味を生み出しています。
農林水産省の「うちの郷土料理」では、各地で受け継がれてきた料理について、歴史、由来、レシピ、地域の背景などを整理しています。地元で入手できる食材を使うこと、地域の歴史や気候風土を背景に持つこと、家庭や地域で継承されていることなどが選定基準です。
家庭の味と郷土料理は、別々の存在ではありません。地域の料理が家庭に入り、家庭ごとの味付けが加わり、次の世代に伝わっていくことで、その土地ならではの食文化が形成されます。
2026年の農林水産省調査が示す食文化の継承
農林水産省が公表した2026年の食育に関する意識調査では、郷土料理や伝統料理、地域や家庭で受け継がれてきた料理や味、食べ方や作法を受け継いでいると回答した人は67.2%でした。
回答者は2,391人で、受け継いでいないと答えた人は31.9%です。
加えて、受け継いでいる人に具体的な内容を尋ねたところ、「いただきます」「ごちそうさま」など、料理を作ってくれた人や自然の恵みへの感謝を表すことが86.9%で最も高くなりました。
その家庭で受け継がれてきた家庭料理は61.2%、地域に特有の料理や古くから伝えられている料理は30.9%でした。
また、食文化を受け継ぐ場面としては、家庭で食事をするときが95.5%、家庭で一緒に料理を作りながらが37.0%という結果になっています。
この数字は、食文化の継承がレシピの保存だけではないことを示しています。料理を囲む時間や、食事の作法、感謝の気持ちも含めて、家庭の食文化が受け継がれているのです。
母親だけが家庭料理の継承者ではない
「おふくろの味」という名称から、料理を作るのは母親というイメージを持つ人もいます。しかし、家庭料理の担い手は母親だけではありません。
父親が料理を担当する家庭、祖父母から調理方法を教わる家庭、夫婦でレシピを共有する家庭など、味の継承経路はさまざまです。
博報堂生活総合研究所の2026年調査では、家事分担で男性が料理を担当することを今の価値観と考える人が82.9%に達しました。料理は特定の性別だけが担う家事ではなく、家庭の構成員が分担するものという認識が広がっています。
日本能率協会総合研究所の調査でも、レシピの情報源としてインターネットのレシピサイトや料理アプリが上位に入り、母親・義母を情報源とする回答は2022年の3割強から2026年には2割を下回りました。
料理の技術や味付けを学ぶ経路が、家庭内の直接的な伝承から、デジタル媒体を含む多様な方法へ広がっていることが分かります。
【プロの結論】2026年のおふくろの味は「誰が作ったか」より「どう受け継ぐか」が重要
おふくろの味について考えるとき、最も大切なのは、昔ながらの料理や完全手作りにこだわることではありません。
肉じゃがや味噌汁、卵焼きが定番とされる背景には、繰り返し食べた経験と家庭ごとの味付けがあります。しかし、家庭の食卓は時代とともに変化しており、現在の子どもたちが懐かしいと感じる料理は、将来、カレーやハンバーグ、冷凍餃子を使った献立などになる可能性もあります。
2026年の博報堂生活総合研究所の調査が示したのは、手料理の範囲が広がり、食事に求めるものも多様化しているという事実です。日本能率協会総合研究所の調査では、素材から調理する料理と惣菜・冷凍食品を組み合わせる食卓が確認されています。
ここから導ける重要な視点は、家庭料理の価値を調理工程の多さだけで判断しないことです。
例えば、忙しい日は冷凍餃子を使い、余裕のある日に手作りの煮物を作る。味噌汁だけは家族の好みに合わせて毎日作る。母親から教わった卵焼きの味を、父親が子どもに作ってあげる。こうした食卓にも、十分に家庭の味を受け継ぐ意味があります。
また、家庭料理を次世代に伝えるうえでは、レシピを正確に再現することだけでなく、料理の背景や食材を選ぶ理由、家族の好みを伝えることも大切です。
おふくろの味は、母親だけに限定されるものでも、特定の料理だけを指すものでもありません。家庭の中で繰り返し作られ、食べられ、記憶に残っていく味こそが、その人にとっての本当のおふくろの味です。
【おふくろの味】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:おふくろの味といえば、具体的にどんな料理ですか?
A1:肉じゃが、味噌汁、煮物、卵焼き、唐揚げ、カレー、炊き込みごはんなどが代表的です。ただし、家庭や地域によって異なり、ハンバーグや餃子、オムライスなどもおふくろの味になります。
Q2:おふくろの味とふくろの味は何が違うのですか?
A2:「おふくろの味」は家庭で親しまれてきた手料理や懐かしい味を象徴する表現です。「ふくろの味」は博報堂生活総合研究所が2026年の調査で使用した対比表現で、レトルト食品や冷凍食品などの調理済み食品を活用する食生活を示しています。
Q3:肉じゃがは昔からある日本の伝統料理ですか?
A3:現在のように「おふくろの味」として広く定着した歴史は比較的新しいものです。1964年のNHK『きょうの料理』のテキストで料理名を冠したレシピが確認され、1970年代以降に一般化し、1980年代には家庭的な料理として紹介されるようになりました。
Q4:冷凍食品やレトルト食品を使っても手料理と呼べますか?
A4:家庭料理に全国共通の厳密な手作り基準はありません。2026年の博報堂調査では、温めた冷凍食品を手料理と考える人が40.7%でした。加工食品を活用しながら家庭で食事を整えることも、現在の手料理の一つの形として受け止められています。
Q5:おふくろの味は母親から子どもへ受け継ぐものですか?
A5:母親から子どもへの継承だけではありません。父親、祖父母、兄弟姉妹、地域の人々など、さまざまな人が料理や味を伝えています。農林水産省の2026年調査でも、家庭での食事や一緒に料理を作ることが食文化の継承の場として挙げられています。
まとめ:おふくろの味は2026年も家庭の記憶とともに変化している
おふくろの味とは、肉じゃがや味噌汁、卵焼きなどの定番料理だけではなく、幼少期に慣れ親しんだ家庭料理と、その味に結び付いた思い出を表す言葉です。
人気ランキングでは卵焼きや唐揚げ、煮物などが上位に入り、家庭ごとの味付けや日常の食卓が人々の記憶に残っていることがうかがえます。
2026年の博報堂生活総合研究所の調査は、手料理の範囲が広がり、調理済み食品を活用することも自然な食生活になっていることを示しました。加えて、農林水産省の調査では、家庭や地域の食文化を受け継いでいる人が67.2%に達しています。
これからの家庭料理に求められるのは、昔の食卓をそのまま再現することではありません。手作りと便利な食品を上手に組み合わせながら、それぞれの家庭が大切にしたい味や食事の時間を次の世代へ伝えていくことです。
時代が変われば、定番料理も調理方法も変わります。それでも、誰かと食卓を囲み、何度も食べた味を懐かしく思い出す気持ちは変わりません。2026年の「おふくろの味」は、母親の手料理という枠を超え、家族や地域、そして新しい生活様式の中で受け継がれる味へと広がっています。
主な根拠資料
(出典: おふくろ の 味(Yahoo!ニュース))