ポメラニアン警察犬は、実際に存在する。2026年4月、宮崎県の日向警察署で、県内初となるポメラニアンの嘱託警察犬「ハク号」が採用された。大型犬が中心という従来のイメージを覆す出来事だが、ハク号は単なる話題づくりで選ばれたわけではない。2025年12月の審査で、警察犬に必要な能力の一つである「足跡追及」に合格した実力派だ。
加えて、京都府警ではコーギーなどの小型犬が活動し、2026年10月には長崎県警の嘱託警察犬審査会にトイプードルが初参加した。警察犬の世界では、犬種の知名度や体格だけでなく、嗅覚を使った捜索能力、集中力、指導手との連携を重視する動きが広がっている。ハク号の誕生から全国の採用事例、審査制度の仕組みまで、2026年11月3日時点の最新情報を整理する。
【結論】ポメラニアン警察犬は実在する!宮崎県警のハク号とは?
ポメラニアンが警察犬になったという話は、都市伝説でも、警察のイベント向けに与えられた名誉称号でもない。
2026年4月13日、宮崎県の日向警察署でポメラニアンの「ハク号」に嘱託書が交付された。宮崎県内でポメラニアンが警察犬として採用されるのは初めての事例となる。
ハク号は、2026年4月のテレビ朝日の報道時点で2歳の雄。白くふわふわした被毛と小柄な体格が特徴で、一般的な警察犬のイメージとは大きく異なる。
ハク号のプロフィールと採用までの経緯
ハク号を訓練したのは、井東警察犬・愛犬訓練所の所長で、日本警察犬協会公認資格を持つ訓練士の竹越ひかるさん。
報道によると、ハク号は子犬のころからしつけのために訓練所に預けられていた。竹越さんは、日々接するなかで、何事にも意欲的に取り組む姿勢や、遊びを長時間続けられる持久力に注目したという。
その後、警察犬としての適性を見いだされ、本格的な訓練に進んだ。
集英社オンラインの2026年4月19日の取材記事では、ハク号はもともとペットショップで生まれ、一般家庭で飼われた後、飼育が難しくなった事情から訓練所に引き取られた経緯も紹介されている。
注目すべきなのは、単に珍しい犬種だから選ばれたのではない点だ。
竹越さんはハク号の意欲や集中力を評価し、約1年間の訓練を経て審査への挑戦を決めた。テレビ朝日の報道では、訓練時間は1日5〜10分程度に区切り、集中力が続くよう工夫していることも伝えられた。
小型犬に合わせた訓練方法を取り入れながら、警察犬に必要な能力を育ててきたのである。
ハク号が選ばれた決定的な理由
2025年12月に実施された宮崎県の警察犬審査では、シェパードやゴールデン・レトリーバーなどを含む51頭が参加した。
そのなかでハク号は、足跡追及の部門に合格。2026年4月13日に嘱託書が交付され、1年間の活動期間に入った。
採用されたのは51頭中38頭だった。
ここで重要なのは、ハク号がすべての審査科目に合格したわけではないという点だ。警察犬は得意分野に応じて専門の科目で指定されることがあり、ハク号の場合は足跡追及が活動上の専門分野となる。
つまり、ポメラニアンという犬種そのものが評価されたのではなく、ハク号個体の能力が審査で認められたのである。
【捜査の実態】ハク号が合格した足跡追及試験とは?
警察犬の仕事を理解するうえで欠かせないのが「足跡追及」という専門技術だ。
これは、地面に残された人のにおいを手掛かりに、対象者の移動経路を追い、途中に残された物品などを発見する能力を評価するもの。
一般的にイメージされるような、犯人を追いかけて捕まえる仕事とは異なる。
足跡追及で評価される能力
宮崎県の審査では、犯人役があらかじめ設定されたコースを歩き、その経路に残されたにおいを犬が追跡する形式が採用された。
犬は指導手とともにスタート地点から追跡を開始し、コース上の遺留品などを探す。
評価されるのは、単に目的地まで進めるかどうかだけではない。
- 人が残したにおいを追い続ける能力
- 途中で集中力を失わずに作業する能力
- 指導手との連携や指示への反応
- 遺留品を正確に発見する能力
- 訓練された作業を安定して再現する能力
ハク号が合格したのは、このうち足跡追及の専門審査である。
実際の捜査では誰が指示を出す?
警察犬は単独で捜査を進めるわけではない。
集英社オンラインの取材によると、ハク号が出動する際は、警察の鑑識係が指導手に捜査上の指示を出し、指導手が犬に具体的な指示を伝える仕組みだ。
つまり、現場では次の三者が連携する。
1. 警察の鑑識係: 捜査の目的や必要な活動を判断する。
2. 警察犬の指導手: 現場で犬を管理し、訓練に基づいて作業を進める。
3. 警察犬: 優れた嗅覚を使って足跡や遺留品などを探す。
この役割分担は、警察犬の仕事が単なる犬の能力だけで成立するものではないことを示している。
なお、2026年4月13日の嘱託書交付時点では、ハク号はまだ出動していなかった。採用と実際の捜査活動で成果を上げたことは、分けて考える必要がある。
【全国の採用事例】京都府警や長崎県警でも小型犬が活躍!
ポメラニアンのハク号だけが特別な存在というわけではない。
各地の警察では、シェパード以外の犬種が嘱託警察犬として活動したり、審査に挑戦したりする動きが確認できる。
特に2026年は、犬種の多様化を考えるうえで注目すべき事例が相次いでいる。
全国の小型犬警察犬・採用動向比較
| 犬・警察本部 | 時期 | 主な出来事・特徴 |
|---|---|---|
| ハク号・宮崎県警 | 2026年4月 | 県内初のポメラニアン警察犬。足跡追及に合格 |
| 京都府警の嘱託警察犬 | 2024年4月 | コーギーなど5犬種26頭が指定 |
| 栃木県警 | 2025年以降 | 嘱託警察犬の犬種指定を撤廃し、能力重視の選考へ |
| ケン・カノン | 2026年 | トイプードルやジャック・ラッセル・テリアなど、従来の指定7犬種以外の犬も活動 |
| チェルシー・長崎県警 | 2026年10月 | トイプードルが県内初の審査参加。結果は11月通知予定 |
京都府警ではコーギーも警察犬に
京都府警では、2024年4月に嘱託警察犬26頭への嘱託書交付式が行われた。
採用されたのはシェパードやウェルシュ・コーギーなど5犬種。
注目されたのが、雌のコーギー「京(けい)」だ。12歳でありながら、捜索活動への参加を期待されていた。
京都新聞社の報道によれば、京都府警の嘱託警察犬は、前年度に祇園祭や京都マラソンでの不審物捜索など、合計18件の出動実績があった。
コーギーのような小型犬が採用されている背景には、体格を生かした捜索への期待がある。
これは、ポメラニアンのハク号にも通じる考え方だ。
栃木県警では犬種指定を撤廃
さらに注目したいのが栃木県警の制度変更である。
2026年9月にSmart FLASHが報じたところによると、栃木県警は2025年に嘱託警察犬審査における犬種指定を撤廃し、犬種を問わず能力を評価する方式へ変更した。
その結果、従来の指定7犬種以外からも警察犬が採用されている。
トイプードルのケンや、ジャック・ラッセル・テリアのカノンなどがその例だ。
特にカノンは2026年2月、栃木市内で行方不明になっていた80代男性の捜索に参加。霧雨のなか約3時間追跡を続け、男性の発見・保護につながったと報じられた。
小型犬を含む多様な犬種が、実際の捜索活動で役割を果たしていることを示す事例といえる。
長崎県警ではトイプードルのチェルシーが初参加
2026年10月28日には、長崎市で嘱託警察犬の審査会が開催された。
今回の注目は、トイプードルの「チェルシー」が県内で初めて審査に参加したことだ。
テレビ長崎の報道によると、審査会には民間の訓練所などで育てられた12頭が参加。犬種に制限はなく、シェパードなどとともにプードルも審査に挑戦した。
チェルシーは最初こそ緊張した様子を見せたものの、少しずつ前進し、課題のなかで物品を発見した。
審査結果は11月中に通知される予定であり、2026年11月3日時点では合否の発表前となっている。
また、長崎県警によると、2026年1月から10月27日までの警察犬出動要請は27件。このうち大半が行方不明者の捜索だった。
小型犬の受け入れを広げる背景には、こうした現場の需要もある。
【小型犬の強み】なぜポメラニアンやトイプードルが選ばれるのか?
警察犬といえば、ジャーマン・シェパードやドーベルマンなど、大型で力強い犬を思い浮かべる人が多い。
しかし、警察犬に求められる能力は体格だけではない。
小型犬には、大型犬とは異なる現場適性がある。
強み1:狭い場所や入り組んだ場所で動きやすい
小型犬の大きな利点は、体格を生かした機動性だ。
住宅街の狭い路地、草むらの隙間、障害物の多い場所など、大型犬では動きにくい場所でも活動できる可能性がある。
2026年9月のSmart FLASHの取材記事では、栃木県警の鑑識指導官が、小型犬は大型犬が入りにくい狭小地や草むらの隙間に入り込めることを捜索上の強みとして挙げている。
特に高齢者の行方不明事案では、住宅の周囲や狭い空間を丁寧に捜索する必要がある。
犬の体格に合わせて捜索の選択肢を増やせることは、現場にとって大きな意味を持つ。
強み2:住民に威圧感を与えにくい
小型犬には、周囲の人が受ける印象という面でも利点がある。
シェパードなどの大型犬は、警察犬としての迫力がある一方、犬が苦手な人や子どもに警戒される場合もある。
住宅街での捜索では、住民の協力を得ることも重要だ。
ハク号について取材を受けた日向警察署の関係者も、大型犬と比べて小型犬は住民に怖がられにくいという点を評価していた。
小型犬は、警察犬としての活動に加え、地域住民との距離を縮めやすいという特徴も持っている。
強み3:犬種よりも個体の性格と集中力
警察犬として重要なのは、犬種の名前だけではない。
求められるのは、においを追うことへの意欲、集中力、好奇心、訓練に対する反応などだ。
Smart FLASHの取材では、犬の性格やにおいを追い続ける執着心が、警察犬としての適性を左右することが紹介されている。
体が大きくても、においを追うことに関心がなければ十分な能力を発揮できない。
逆に小型犬でも、集中して作業を続けられる性格なら、警察犬としての可能性がある。
ハク号の採用は、そのことを具体的に示した事例だ。
小型犬にも限界はある
もちろん、小型犬が大型犬より優れているという意味ではない。
長距離の捜索や山間部での活動、体格を必要とする任務では、大型犬のほうが適している場面もある。
小型犬は歩幅が短く、長い距離を移動する場合には、体力や集中力の維持が課題になることも指摘されている。
犯人の制圧など、体格や力が必要な場面では中型犬・大型犬の役割も欠かせない。
つまり、警察犬の多様化は大型犬の置き換えではなく、犬種ごとの特性を生かした役割分担なのである。
【審査制度の真相】警察犬の犬種制限は撤廃されたのか?
小型犬の警察犬が増えている理由を理解するには、嘱託警察犬制度を知る必要がある。
警察犬には、大きく分けて「直轄警察犬」と「嘱託警察犬」の2種類が存在する。
直轄警察犬と嘱託警察犬の違い
直轄警察犬は、警察が直接飼育・管理し、警察側の指導手が訓練する犬だ。
一方、嘱託警察犬は、民間の訓練所や一般の飼い主などが飼育・訓練し、警察の審査に合格した後、要請に応じて捜査や捜索に協力する犬である。
日本警察犬協会の制度説明でも、この2種類が明確に区別されている。
全国の警察犬のなかでは嘱託警察犬が大きな割合を占めており、民間の訓練士や飼い主の協力が警察犬制度を支えている。
日本警察犬協会の指定7犬種とは?
日本警察犬協会が公認する伝統的な指定7犬種は、次のとおり。
1. ジャーマン・シェパード
2. ドーベルマン
3. ラブラドール・レトリーバー
4. ゴールデン・レトリーバー
5. コリー
6. ボクサー
7. エアデール・テリア
この7犬種が警察犬の代表格として知られてきたことから、現在も「警察犬はこの犬種しかなれない」という誤解が生まれやすい。
しかし、日本警察犬協会の指定犬種と、各都道府県警察が嘱託警察犬を選考する際の受審条件は、同じものではない。
栃木県警のように犬種指定を撤廃した地域もあれば、長崎県警の2026年審査会のように犬種を問わず参加を認める地域もある。
一方で、大分県警の公開する足跡追及犬の審査要領では、日本警察犬協会の指定7犬種を受審資格としている。
つまり、全国一律で犬種制限が完全撤廃されたわけではなく、都道府県によって運用が異なるというのが実情だ。
嘱託警察犬の合格基準とは?
審査基準は警察本部ごとに異なるが、基本的には犬の能力と指導手の対応力が評価される。
例えば長崎県警が公開している審査・登録条件には、次のような項目がある。
- 1歳以上で血統書を有する犬であること
- 日本警察犬協会やJKCなどの民間団体が実施する服従審査に合格していること
- 犬の登録を済ませていること
- 狂犬病予防注射を受け、鑑札と注射済票の交付を受けていること
そのうえで、足跡追及や地域捜索などの実技を通じて、警察犬としての能力を総合的に評価する。
合格後は犬だけでなく、指導手も嘱託され、警察からの要請に対応する体制が整えられる。
なお、審査に合格したからといって、すべての警察犬が同じ活動を担当するわけではない。足跡追及や臭気選別など、得意分野に応じた指定が行われる。
【プロの結論】ポメラニアン警察犬が示す2026年の新しい警察犬像
2026年の警察犬をめぐる動きを見ると、犬種の多様化は一時的な話題ではなく、警察活動の需要や訓練環境の変化と結び付いている。
テレビ朝日が2026年4月に報じた警察庁の数値によると、全国で活動する警察犬は2016年の1,355頭から、2025年には1,212頭に減少している。
また、嘱託警察犬を採用する45道府県では、採用犬種が2015年の18犬種から2024年には31犬種に増加したと報じられた。
警察犬の頭数確保が課題となるなか、犬種を限定せず、能力のある犬を積極的に受け入れる動きには合理性がある。
小型犬の採用を後押しする3つの構造的要因
第一に、住環境の変化だ。
都市部ではマンションなどの集合住宅が増え、大型犬を飼育・訓練できる環境を確保しにくいケースがある。小型犬を飼育する家庭が多いことは、警察犬候補の多様化にもつながる。
第二に、行方不明者捜索の需要だ。
警察犬は犯罪捜査だけでなく、高齢者や行方不明者の捜索でも重要な役割を担っている。狭い住宅地や草むらなど、小型犬の機動性が役立つ場所は少なくない。
第三に、訓練技術の進歩と指導手の経験だ。
犬の能力を引き出すには、犬種に合った訓練方法と、指導手の継続的な経験が必要になる。ハク号のように短時間で集中して取り組める訓練方法も、その一例といえる。
2026年11月時点で注目したい今後の動向
今後の注目点は、ハク号が実際の捜索活動でどのような経験を積んでいくかということだ。
2026年4月の採用時点では、ハク号はまだ現場に出動していなかった。テレビ朝日の同月の報道でも、今後は現場経験と訓練を重ねていく段階と紹介されている。
したがって、審査合格という実績と、実際の捜査現場での発見実績は区別して評価する必要がある。
また、長崎県警のトイプードル・チェルシーの審査結果も、2026年11月中の発表が予定されている。
犬種制限の見直しがどの地域に広がるのか、今後の警察犬制度を考えるうえで重要な動きとなるだろう。
警察犬に必要なのは、大きな体や勇ましい外見だけではない。優れた嗅覚を生かす能力、集中力、訓練への適性、そして指導手との信頼関係がそろって初めて、現場で力を発揮できる。
ハク号は、その可能性を示した象徴的な存在なのである。
【ポメラニアン警察犬】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ポメラニアンの警察犬は本当に実在する?
A1:実在する。2026年4月13日、宮崎県の日向警察署で県内初となるポメラニアンの「ハク号」に嘱託書が交付された。2025年12月の審査で足跡追及に合格している。
Q2:ハク号はどんな仕事をする警察犬?
A2:専門分野は足跡追及。人が残したにおいをたどり、移動経路や途中の遺留品などを探す活動を担当する。実際の現場では警察の鑑識係、指導手、犬が連携する。
Q3:トイプードルやチワワも警察犬になれる?
A3:犬種だけで一律に判断されるわけではない。2026年10月には長崎県警の審査会にトイプードルが初参加した。ただし、受審条件や犬種の扱いは都道府県警によって異なる。
Q4:警察犬になるには大型犬でなければいけない?
A4:大型犬である必要はない。ポメラニアンやコーギーなど、小型犬の採用事例もある。重要なのは、足跡追及や臭気選別などの必要な能力を備えているかどうかだ。
Q5:嘱託警察犬は普段どこで生活している?
A5:基本的には民間の訓練所や一般家庭などで飼育・訓練されている。警察から出動要請があった際に、指導手とともに現場へ向かう仕組みだ。
まとめ:ポメラニアン警察犬ハク号が変える警察犬の未来
2026年、宮崎県で県内初のポメラニアン警察犬となったハク号は、警察犬の世界に新しい可能性を示した。
足跡追及試験に合格した実力が認められ、日向警察署の嘱託警察犬として活動を開始。京都府警のコーギーや栃木県警の小型犬、長崎県警のトイプードルの審査参加など、全国でも犬種の多様化が進んでいる。
大切なのは、大型犬か小型犬かという単純な比較ではない。現場の状況に合った犬を選び、それぞれの得意分野を生かすことだ。
今後はハク号の実際の捜索活動や、チェルシーの審査結果、各都道府県警の犬種選考方針が注目される。
ポメラニアンでも警察犬になれる。その事実を支えているのは、かわいらしい見た目ではなく、訓練によって証明された能力なのである。
主な取材・確認資料
- 集英社オンライン「宮崎県初のポメラニアン警察犬『ハク号』物語」
- テレビ朝日「ポメラニアン警察犬、宮崎の警察署で初採用」
- 京都新聞社「小さな体でも活躍できる!嘱託警察犬26匹」
- Smart FLASH「トイプードル警察犬、現場を駈ける」
- 長崎県警察「警察犬紹介・嘱託警察犬制度」
- テレビ長崎「プードルも初参加・嘱託警察犬の審査会」
- 日本警察犬協会「嘱託警察犬の制度」