2026年11月6日現在、両者をめぐる訴訟は、知財高裁の判決を経て最高裁判所に上告された段階です。
須崎市は2026年10月21日に最高裁へ上告
知財高裁の判決を不服とした須崎市は、2026年10月21日付で最高裁に上告しました。
テレビ高知や高知さんさんテレビなどの報道によると、市は1887万円余りの賠償を命じた控訴審判決を受け入れず、最高裁で引き続き争う方針です。
市側は、しんじょう君のアイデンティティや権利を守るため、引き続き主張していく姿勢を示しています。
最高裁では何が争われる可能性がある?
今後の焦点になるのは、控訴審で認められた黙示の使用許諾や、その法的な効力についてです。
特に注目されるのは次の3点です。
1. 黙示の使用許諾の成立: メールや担当者間のやり取り、実際の活動状況から、どこまで利用許諾が認められるのか。
2. 許諾の範囲と撤回: 独自の商業活動や第三者への商品化許諾をどこまで認めるのか。
3. 営業誹謗行為と損害賠償: 市が取引先や報道機関に行った通知・説明について、どのような法的責任が生じるのか。
ただし、上告したことと最高裁が審理の結果を示したことは別です。2026年11月6日時点で、最高裁による最終判断は確認されていません。
しんじょう君の現在の活動
しんじょう君は、2026年も須崎市のPRキャラクターとして活動を続けています。
公式サイトのスケジュールには、2026年11月の須崎市内イベントや全国のキャラクターイベントなどが掲載されています。
2026年4月には活動13周年を記念するファン感謝イベントも開催されました。誕生から10年以上が経過しても、地域の魅力を発信する存在として活動を続けています。
ちぃたんの現在の活動
ちぃたんも、秋葉原観光推進協会の公認キャラクターとしてのプロフィールや公式サイトを維持しています。
公式サイトではグッズやSNSなどの情報が掲載されており、関連プロジェクトの「ちぃたんKISS」では2026年のライブやイベント情報も発信されています。
重要なのは、2026年の控訴審判決で、ちぃたんの着ぐるみや動画などの使用を一律に禁止する判決が出たわけではないことです。
須崎市側の差止め請求は認められず、クリーブラッツ側の独自の商業活動に関する黙示の許諾も認定されました。
ただし、最高裁への上告が行われているため、訴訟そのものが完全に終結したわけではありません。
【プロの結論】しんじょう君とちぃたんの裁判から分かる3つの重要ポイント
今回の問題は、人気キャラクター同士のトラブルという表面的な話だけではありません。
自治体が保有するキャラクターの知的財産権、民間企業との協力関係、キャラクターの商業利用、そして情報発信に伴う法的責任という、複数の問題が重なった事例です。
1. キャラクターの類似性だけでは裁判の結論は決まらない
しんじょう君とちぃたんは、同じデザイナーが手がけたという背景があります。
そのため、見た目の類似性だけに注目すると、著作権侵害の有無が裁判の中心に見えます。
しかし、実際の判決では、制作時にどのような合意があったか、権利者がどの範囲の使用を認めていたかが重要になりました。
著作権を保有していることと、相手方による利用が許されているかどうかは別の問題です。
2. 自治体と民間企業のキャラクター契約には明確な条件が必要
今回の大きな教訓は、口頭での協議やメールによる確認だけでも、状況によっては法律上の合意が認定され得ることです。
キャラクターを制作する際には、少なくとも次の事項を契約書で整理する必要があります。
- デザインや着ぐるみの著作権の帰属
- 使用を認める期間と地域
- SNSや動画配信での利用条件
- 商品化やライセンス契約の範囲
- 第三者への再許諾の条件
- 契約解除や使用停止の条件
特に自治体の場合、担当者の判断と組織としての正式な意思決定が食い違わないようにが必要です。
3. 権利侵害を主張する場合も、情報発信には慎重さが求められる
今回、須崎市に賠償責任が認められた大きな理由は、取引先への通知や記者会見などの対応でした。
権利を守るために警告や説明を行うことは、権利者に認められる正当な活動です。
しかし、事前の許諾関係を十分に確認せず、相手方の行為を権利侵害だと対外的に説明すれば、営業上の信用を傷つける問題に発展する可能性があります。
今回の判決は、知的財産権の管理だけでなく、権利を主張する側の説明責任や証拠確認の重要性も示しています。
【よくある質問】しんじょう君とちぃたんに関するFAQ
Q1:しんじょう君とちぃたんは同じキャラクターですか?
A1:いいえ、別々のキャラクターです。どちらもカワウソをモチーフにしており、同じデザイナーが制作に関わったため外見が似ています。しんじょう君は高知県須崎市のマスコット、ちぃたんは秋葉原観光推進協会の公認キャラクターです。
Q2:ちぃたんはしんじょう君の著作権を侵害したのですか?
A2:須崎市は著作権侵害を主張しましたが、2025年の東京地裁と2026年の知財高裁は、ちぃたんの使用について黙示の許諾が成立していたと認定し、市の反訴を退けました。単純にデザインが似ているかどうかだけで決まった裁判ではありません。
Q3:2026年の裁判で1887万7802円を支払うのは誰ですか?
A3:高知県須崎市です。知財高裁は2026年10月7日、株式会社クリーブラッツに対し1887万7802円と遅延損害金を支払うよう命じました。
Q4:須崎市は最高裁に上告しましたか?
A4:はい。2026年10月21日付で最高裁に上告しています。11月6日現在、最高裁による最終判断は確認されていません。
Q5:ちぃたんは須崎市の観光大使だったのですか?
A5:厳密には、2018年1月18日に須崎市観光大使に任命されたのは、実在するコツメカワウソのちぃたんです。キャラクターのちぃたん自体は、須崎市から観光大使に任命されていません。実在するカワウソの委嘱は2019年1月17日に終了しています。
まとめ:しんじょう君とちぃたんの関係は最高裁でどう決着する?
しんじょう君とちぃたんは、同じデザイナーが制作したという共通点から、当初は共演する関係にありました。
しかし、ちぃたんの動画活動や商業展開をめぐって須崎市との認識に食い違いが生まれ、2019年に対立が表面化。著作権侵害や使用許諾、営業上の信用をめぐる長期の裁判に発展しました。
2025年2月の東京地裁判決では786万2347円、2026年10月の知財高裁判決では1887万7802円の損害賠償が須崎市に命じられています。
須崎市は10月21日に最高裁へ上告しており、2026年11月現在も最終決着には至っていません。
今回の問題で最も重要なのは、キャラクターの著作権を誰が持つかという問題だけではなく、制作時の合意や使用許諾の範囲、そして権利を主張する際の適切な手続きです。
長年親しまれてきた2体のキャラクターが、今後どのような形で活動を続けるのか。そして最高裁がどのような判断を示すのか。須崎市とクリーブラッツの今後の動向が注目されます。