英語の「take for granted」は、「当たり前だと思う」「当然のこととして受け止める」「ありがたみを感じない」という意味を持つ重要なイディオムです。日常会話から恋愛、職場でのコミュニケーション、ビジネス英語まで幅広く使われています。ただし、文脈によって意味合いが変わるため、日本語訳を一つだけ覚えていると誤解につながることがあります。
特に押さえておきたいのは、①人や物の価値を当たり前だと思って感謝しなくなる意味と、②十分な確認をせずに事実だと決めつける意味の2つです。この記事では、2026年時点の主要英英辞典の定義を踏まえ、基本的な意味、文法、自然な例文、類語・反対語との違い、発音まで整理します。
【基本を理解】take for grantedの意味と日本語訳は?2つの重要なニュアンス
take for grantedは、英語の辞書で熟語・慣用表現として扱われる表現です。Cambridge English Dictionaryでは、何かを深く考えずに真実だと信じる意味と、人や状況から受けている恩恵に感謝しない意味の両方が説明されています。
日本語訳を考えるときは、文章の目的語と前後の文脈に注目することが大切です。
1. 当たり前だと思う・ありがたみを忘れる
最も日常的に使われる意味の一つが、人や物の価値を十分に認識しなくなることです。
毎日そばにいてくれる家族、支えてくれる友人、健康、仕事、自由など、普段から手にしているものを当然のように受け止め、感謝や評価を示さなくなる状況で使います。
例えば、次の英文です。
We often take our family for granted.
私たちは家族の存在を当たり前だと思いがちです。
この文章では、家族がいること自体を否定しているわけではありません。いつも支えてくれる存在だからこそ、その価値に気づきにくくなるというニュアンスです。
この意味で使う場合、文脈によっては批判や不満が含まれます。相手に対して「もっと大切にしてほしい」という気持ちを伝えるときにも使われます。
2. 当然の前提として受け入れる・疑わずに思い込む
もう一つの意味は、ある事柄が正しい、あるいは実現するものだと疑わずに受け入れることです。
この場合、必ずしも感謝の欠如を意味するわけではありません。事実確認をせず、最初から正しいものとして扱うという認識に重点があります。
I took it for granted that he would come.
彼が来るものだと当然のように思っていました。
実際に彼が来るかどうかを確認したわけではなく、来ることを前提に考えていたという意味です。
この用法は、仕事上の予測、契約、計画、議論、日常の推測などでも使われます。
2つの意味を見分けるポイント
「感謝を忘れている」のか「根拠を確認せずに決めつけている」のかを見分けるには、目的語が人や恩恵なのか、それとも事実や前提なのかを確認すると理解しやすくなります。
なお、どちらの意味でも共通するのは、対象を当然のものとして扱っているという点です。
【文法を完全理解】take for grantedの使い方と基本文型・例文
take for grantedを正しく使うためには、単語を個別に覚えるよりも、まとまりのある文型として理解するのが効果的です。
基本形:take+目的語+for granted
最も基本的な文型は次のとおりです。
take+人・物+for granted
人や物を当たり前の存在として扱う、という意味になります。
例文:
Don't take your friends for granted.
友人の存在を当たり前だと思わないでください。
She takes her parents for granted.
彼女は両親がしてくれることを当然だと思っています。
I took my health for granted.
私は自分の健康を当たり前だと思っていました。
この文型では、目的語がtakeとfor grantedの間に入ります。
応用形:take it for granted that+主語+動詞
事実や状況を当然だと思い込むときには、次の形を使います。
take it for granted that+S+V
ここでのitは、後ろに続くthat節の内容を先に受ける形式目的語です。
例文:
I took it for granted that she knew the answer.
彼女は答えを知っているものだと当然のように思っていました。
We take it for granted that technology will continue to improve.
私たちは技術がこれからも進歩し続けるものだと当然のように考えています。
He took it for granted that everyone would agree.
彼は全員が賛成するものだと思い込んでいました。
特に長いthat節を目的語にする場合は、itを置く形を覚えておくと自然な英文を作りやすくなります。
否定形:Don't take it for granted
日常会話でもよく使われるのが、Don't take it for granted. という表現です。
これは文脈によって2つの意味になります。
1つ目は「それを当たり前だと思わないで」「その価値を忘れないで」という意味です。
Don't take your parents' support for granted.
両親の支援を当たり前だと思わないでください。
2つ目は「それが確実だと思い込まないで」という意味です。
Don't take it for granted that the meeting will be canceled.
会議が中止になると決めつけないでください。
同じ否定表現でも、目的語が何を指すかによって意味が変わる点に注意しましょう。
受動態:be taken for granted
be taken for grantedは、「当たり前の存在として扱われる」「正当な評価や感謝を受けない」という意味です。
Our efforts are often taken for granted.
私たちの努力は、当たり前だと思われがちです。
She doesn't want to be taken for granted.
彼女は自分の存在を当たり前だと思われたくありません。
この受動態は、恋愛や職場の人間関係で不満を伝えるときにも使われます。
【実践例文】take for grantedの恋愛・日常生活・ビジネス英語での使い方
同じ表現でも、使われる場面によって伝わる感情や意図が変わります。ここでは、実際の会話やメールで使いやすい英文を場面別に紹介します。
恋愛:相手を大切にしなくなる
take someone for grantedは、恋愛において特に重要な表現です。
交際相手がいつもそばにいてくれることや、優しく接してくれることを当然だと思い、感謝や思いやりを示さなくなる状況を表します。
He takes her love for granted.
彼は彼女の愛情を当たり前だと思っています。
I don't want you to feel taken for granted.
あなたに大切にされていないと感じてほしくありません。
We shouldn't take each other for granted.
私たちはお互いの存在を当たり前だと思うべきではありません。
恋愛で使う場合、単なる習慣の話ではなく、相手への配慮や感謝が不足しているという不満を含むことがあります。
特に「I feel taken for granted.」は、「自分の存在や努力を当然だと思われている気がする」という気持ちを伝える自然な表現です。
日常生活:健康・家族・環境への感謝
日常生活では、自分が普段どれほど多くの恩恵を受けているかを表現するために使われます。
We take clean water for granted.
私たちはきれいな水があることを当たり前だと思っています。
Never take your health for granted.
健康であることを決して当たり前だと思わないでください。
I never want to take this opportunity for granted.
この機会を決して当たり前のものだと思いたくありません。
このような文章では、普段は意識しないものの価値に目を向けるニュアンスが強くなります。
ビジネス英語:前提条件や仕事上の関係を見直す
ビジネスシーンでは、取引先との信頼関係、顧客の継続利用、社員の努力、業務上の前提条件などについて使われます。
We must not take our customers for granted.
顧客の存在を当たり前だと思ってはいけません。
Never take employee commitment for granted.
従業員の献身を当然のものだと思ってはいけません。
The plan takes it for granted that sales will increase.
その計画は売上が増加することを当然の前提としています。
It is often taken for granted that employees can work overtime.
従業員が残業できることが、当然の前提として扱われることがよくあります。
ビジネス英語では、単に相手を批判するだけでなく、計画や意思決定に潜む思い込みを指摘する際にも役立ちます。
例えば、売上予測を立てるときに「顧客が今後も購入してくれる」と無条件に考えていれば、需要の変化や競合の動向を見落とす可能性があります。take for grantedは、こうした無意識の前提を言語化する表現でもあります。
【徹底比較】take for grantedとassumeの違い・類語・反対語
take for grantedとassumeは、どちらも「当然だと思う」「そうだと考える」という意味で使われることがあり、混同しやすい表現です。しかし、意味の焦点には違いがあります。
take for grantedとassumeの違い
assumeは、十分な証拠がない状態で何かを真実だと受け入れることです。Cambridge Dictionaryでも、疑問を持ったり証拠を確認したりせずに真実として受け入れる意味が説明されています。
一方、take for grantedには、思い込みという意味に加え、何かの価値を認識せずに当然視するという意味があります。
| 表現 | 基本的な意味 | ニュアンス・使用場面 |
|---|---|---|
| take for granted | 当然だと思う | 思い込み、価値や恩恵への感謝不足 |
| assume | そうだと仮定する | 十分な確認なしに事実として受け入れる |
| presume | 推定する、推測する | 一定の根拠や状況を踏まえた推測 |
| suppose | 思う、仮定する | 比較的柔らかい推測や仮定 |
| appreciate | 感謝する、価値を認める | 相手や物事の価値を意識する |
| value | 大切にする、評価する | 人や物の重要性を認識する |
例えば、次の2文を比較してみましょう。
I assumed he would help me.
彼が助けてくれるだろうと考えていました。
I took his help for granted.
彼の助けを当然のものだと思っていました。
前者は助けてもらえるという推測が中心です。後者は、助けてもらうことを当然視し、そのありがたみを十分に認識していないニュアンスがあります。
ただし、前提を疑わずに受け入れる意味では、両者が近い意味になる場合もあります。
take for grantedの類語
類語を覚えると、文章のニュアンスを細かく調整できます。
- assume:根拠を十分に確認せず、そうだと考える。
- presume:ある程度の根拠や状況から推測する。
- suppose:そうではないかと考える、仮定する。
- take as given:既定の事実や前提として受け入れる。
- overlook:見落とす、十分に注意を払わない。
- fail to appreciate:価値やありがたみを十分に認識しない。
特に、感謝の不足を表したい場合はfail to appreciateやnot appreciateが使いやすい表現です。
He fails to appreciate her support.
彼は彼女の支えのありがたさを理解していません。
take for grantedの反対語
take for grantedには2つの意味があるため、反対語も文脈に合わせて選ぶ必要があります。
人や物の価値を当たり前だと思う意味なら、次の表現が適しています。
- appreciate:感謝する、価値を認める。
- value:大切にする。
- cherish:大事にする、慈しむ。
- recognize:価値や重要性を認識する。
一方、事実を当然の前提として受け入れる意味なら、次のような表現が反対の方向性を持ちます。
- question:疑問を持つ、問い直す。
- verify:事実を確認する。
- check:確かめる。
- investigate:調査する。
例えば、Don't take your friends for granted. の反対の考え方は、Appreciate your friends.(友人に感謝しましょう)と表現できます。
【発音・誤用対策】take for grantedをネイティブらしく使うコツ
take for grantedの発音とカタカナ表記
take for grantedの発音は、アメリカ英語ではおおむね次のように表記されます。
IPA:/teɪk fər ˈɡræntɪd/
イギリス英語では、Vocabulary.comの表記で次のようになります。
IPA:/teɪk fɔ ˈɡrɒntɪd/
日本語のカタカナで近似すると「テイク・ファー・グランティッド」です。
ただし、英語の発音ではforが弱く発音されることが多く、カタカナどおりに一音ずつ区切ると不自然になりやすい点に注意してください。
特に意識したい要点は3つです。
- take:「テイク」。二重母音の/ eɪ /を意識する。
- for:アメリカ英語では弱く短く発音されることが多い。
- granted:「グランティッド」。最初のgrantにアクセントが置かれる。
また、grantedの語尾-edは/t/の音の後に続くため、/ɪd/と発音します。「グラント」の後に「イド」に近い音が続くと覚えるとよいでしょう。
よくある間違い1:takeを使わずに表現する
take for grantedは、takeを含めた一つの慣用表現です。
「当たり前だと思う」という意味を表す際に、独自にgive for grantedなどと置き換えるのは避けましょう。
正しい形は次のとおりです。
We take our freedom for granted.
私たちは自由を当たり前のものだと思っています。
よくある間違い2:目的語の位置を間違える
基本的には、takeとfor grantedの間に目的語を置きます。
正しい例:
Don't take your job for granted.
Don't take it for granted.
特に代名詞itを使う場合は、take it for grantedという語順を覚えておきましょう。
よくある間違い3:すべての場面で否定的な意味だと思う
take for grantedは、必ずしも相手を軽視する意味だけではありません。
例えば、I took it for granted that the store was open. は「店が開いているものだと思い込んでいた」という意味です。ここには、誰かへの感謝不足という意味はありません。
文脈を無視して「大切にしない」と訳してしまうと、文章全体の意味を取り違える可能性があります。
【プロの結論】自然に使いこなすための判断基準
take for grantedを使いこなすうえで最も大切なのは、英文の対象が「人や恩恵」なのか「事実や前提」なのかを見極めることです。
人や恩恵が対象なら、感謝や価値を十分に認識していないという意味を考えます。事実や条件が対象なら、確認せずに当然の前提として扱っているという意味を考えます。
また、ビジネスではassumeとの使い分けが実践的です。単に仮定する場合はassume、無条件に当然視していることを問題として指摘する場合はtake for grantedが適しています。
恋愛や人間関係では、相手を当たり前の存在として扱っていないかを伝える表現として使えます。ただし、相手に直接使うと批判的に響くこともあるため、伝えたい気持ちに応じてappreciateなどの柔らかい表現も選ぶとよいでしょう。
【FAQ】take for grantedに関するよくある質問
Q1:take for grantedを日本語に訳すと何ですか?
A1:「当たり前だと思う」「当然視する」「ありがたみを感じない」などです。事実や条件を疑わずに受け入れる意味と、人や物の価値を十分に認識しない意味があります。
Q2:take someone for grantedは恋愛でどんな意味ですか?
A2:恋愛では、恋人の愛情や優しさを当然のものだと思い、十分に感謝したり大切にしたりしないことを意味します。相手から「I feel taken for granted.」と言われた場合は、自分が大切にされていないと感じている可能性があります。
Q3:be taken for grantedとtake for grantedの違いは何ですか?
A3:take for grantedは「当然だと思う」という能動態、be taken for grantedは「当然だと思われる」「ありがたみを認識してもらえない」という受動態です。例えば、I take her support for granted. は「私は彼女の支援を当然だと思っている」、Her support is taken for granted. は「彼女の支援は当然のものだと思われている」となります。
Q4:Don't take it for grantedはどういう意味ですか?
A4:「それを当たり前だと思わないで」「それが確実だと思い込まないで」という意味です。人や物への感謝を促す場合と、事実や状況を無条件に信じないよう注意する場合があります。
Q5:take for grantedとassumeは同じ意味ですか?
A5:完全な同義語ではありません。assumeは証拠を十分に確認せずに何かを真実だと考えることが中心です。take for grantedにはその意味に加えて、人や物のありがたみを忘れて当然視する意味があります。
Q6:take for grantedの反対語は何ですか?
A6:人や物の価値を認める意味ではappreciate、value、cherishなどが使えます。事実を当然視しないという意味ではquestion、verify、checkなどが適しています。
まとめ:take for grantedの意味を理解して自然な英語表現を身につけよう
take for grantedは、「当たり前だと思う」「当然視する」という意味を持つ、日常会話からビジネス英語まで幅広く使える重要なイディオムです。
覚えておきたい要点は、次の3つです。
- 人や物に使う場合は、ありがたみや価値を十分に認識しないニュアンスがある。
- that節と一緒に使う場合は、事実や状況を当然の前提として受け入れる意味になる。
- assumeとは共通する意味もあるが、take for grantedには感謝や価値の認識に関するニュアンスも含まれる。
特に、take someone for grantedとbe taken for granted、take it for granted that~の3つを使い分けられるようになると、恋愛や人間関係だけでなく、仕事上の議論でも表現の幅が広がります。
英語のイディオムは、日本語訳だけを暗記するよりも、実際の場面を想像しながら例文とセットで覚えることが効果的です。まずは「Don't take it for granted.」と「I took it for granted that~.」の2つを声に出して練習し、状況に応じて自然に使えるようにしていきましょう。
主な辞書資料: Cambridge English Dictionary、Oxford Advanced Learner's Dictionary、Vocabulary.comの定義・発音・類語情報を参照しています。