実際の就職先人数とは別に、学生がどの企業を志望しているのかを示す「就職人気企業ランキング」も参考になる。
産経新聞社と就職対策サイトCAMPUS CAREERによる2026年卒の就職人気企業調査では、東京大学の学生を対象としたランキングで、三菱商事が1位となった。
2026年卒・東大生の就職人気企業TOP10
| 順位 | 企業名 | 得点 |
|---|---|---|
| 1位 | 三菱商事 | 84pt |
| 2位 | アクセンチュア | 68pt |
| 3位 | 三井物産 | 66pt |
| 4位 | 伊藤忠商事 | 54pt |
| 5位 | ソニーグループ | 53pt |
| 5位 | ゴールドマン・サックス | 53pt |
| 7位 | 中外製薬 | 52pt |
| 8位 | 三井不動産 | 49pt |
| 9位 | 野村総合研究所 | 48pt |
| 10位 | 第一三共 | 43pt |
このランキングは、第1志望に5ポイント、第2志望に4ポイント、第3志望に3ポイント、第4志望に2ポイント、第5志望に1ポイントを付与する方式で集計されている。したがって、得点は実際の入社人数ではない。
三菱商事が人気ランキングで1位を維持する理由
三菱商事は総合商社の代表的な企業であり、国内外の幅広い事業領域を持つ。
就職先としての魅力は、国際的な事業展開、投資・事業経営への関与、幅広い産業との接点などにある。
2026年卒の東大生人気ランキングでは、三井物産、伊藤忠商事も上位に入った。総合商社が東大生の有力な志望先であることがうかがえる。
一方、実際の学部卒就職人数では三菱商事は10人で15位だった。人気と実際の採用人数は必ずしも一致しない。
アクセンチュアと野村総合研究所も高評価
アクセンチュアは人気ランキング2位、野村総合研究所は9位だった。
両社ともコンサルティングやIT、企業の経営課題解決に関わる事業を展開しており、東大生の志望先として存在感がある。
特に野村総合研究所は、学部卒の上位20社には入らなかった一方、大学院修了者では3位に入った。情報通信・専門サービス分野への就職を考える学生にとって、注目すべき企業の一つだ。
2027年卒では人気企業の顔ぶれにも変化
2026年に公表されたワークス・ジャパンの調査では、東京大学の27卒学生86人の回答を集計している。
この調査では、三菱商事が25卒・26卒・27卒の3年連続で1位を維持した。一方、27卒では味の素、三井不動産、三菱地所、三菱重工業、第一三共など、製薬・不動産・重工業の企業が上位に入っている。
アクセンチュアは26卒で2位まで上昇した後、27卒ではトップ10圏外となった。
この結果からは、東大生の志望先がコンサルや総合商社だけに固定されているわけではないことが分かる。
安定した事業基盤、技術力、社会インフラへの貢献などを重視する学生もおり、企業選びの視点は広がっている。
【ランキングの正しい見方】東大の就職先を比較するときの5つの基準

東大の就職先ランキングを調べると、複数のサイトで異なる企業名や人数が掲載されていることがある。
これは必ずしもデータの誤りではない。集計対象や調査方法が違うためだ。
1. 学部卒と大学院卒を分ける
最初に確認したいのは、学部卒だけを対象にしているか、大学院修了者も含んでいるかという点だ。
例えばアクセンチュアは、学部卒では11人、大学院修了者では42人。野村総合研究所も院卒で上位に入っている。
大学全体の就職先を知りたい場合でも、学部卒と院卒を分けて見ることで、採用傾向をより正確に理解できる。
2. 実際の就職人数と人気ランキングを混同しない
就職先ランキングは、実際に就職した人数を集計するものだ。
一方、人気企業ランキングは、学生が志望する企業を調査した結果である。
三菱商事は人気ランキングで1位だが、学部卒の実際の就職人数では15位だった。
反対にベイカレントは、学部卒の実際の就職人数で1位となっている。
この2種類のランキングは、そもそも測定しているものが異なる。
3. 集計年度を確認する
2026年11月時点で、最新の実績を確認する際に基準となるのは、2025年度卒業・修了者のデータだ。
ここでいう2025年度卒業者には、2026年3月卒業者だけでなく、2025年9月卒業・修了者なども含まれる。
一方、2026年度卒業者は2027年3月卒業予定者を含む別の年度である。
「2026年卒」と「2026年度卒」を混同すると、ランキングの比較にずれが生じる。
4. 調査対象と回答数を確認する
東京大学新聞社の企業別ランキングは、各学部・研究科への問い合わせを基に作成されている。
2025年度卒業・修了者の調査では、回答者数は学部1,185人、大学院2,806人だった。
ただし、各学部・研究科に報告していない学生や、就職を辞退した学生などは反映されない場合がある。また、企業名の表記にも揺れが生じる可能性がある。
したがって、ランキングの人数を大学全体の完全な採用実績と同一視することは避けたい。
5. 自分の専攻と希望職種に照らして考える
就職先を選ぶうえで、企業名の順位だけを重視するのは得策ではない。
例えば、研究開発職を希望する理系学生なら、修士・博士課程修了者の採用実績や研究分野との関連性を優先して確認したい。
経済学部や法学部の学生であれば、金融、コンサル、総合商社、官公庁などの職種や仕事内容を比較するほうが実践的だ。
特に次の項目は確認しておきたい。
- 自分の専攻を生かせる職種があるか
- 学部卒と院卒のどちらを主な採用対象としているか
- 研究開発、経営企画、営業、コンサルなど希望する業務に携われるか
- 入社後のキャリア形成や専門性の獲得が可能か
- 勤務地、働き方、待遇などが希望に合っているか
東大という学歴だけで企業を選ぶのではなく、卒業後にどのような仕事をしたいのかを基準に考えることが重要だ。
【東大の就職先】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:東大生の就職先で一番多い企業はどこですか?
A1:2025年度卒業・修了者の東京大学新聞社の調査では、学部卒の民間企業1位はベイカレント・コンサルティングで27人、大学院修了者の1位はアクセンチュアで42人です。学部卒と院卒では首位企業が異なります。
Q2:東京大学の大学院進学率は何%ですか?
A2:2026年3月卒業者では51.3%です。卒業者3,100人のうち1,591人が大学院へ進学しています。特に理学部、工学部、薬学部(4年制)では進学率が高くなっています。
Q3:東大から国家公務員や官僚になる人は多いですか?
A3:多くの学生が国家公務員を進路として選んでいます。2026年度の国家公務員総合職試験では、東京大学の合格者が秋・春合計458人で大学別最多でした。ただし、試験合格者数と実際の採用人数は異なります。
まとめ:東大の就職先は学部卒・院卒で大きく変わる
2026年の東京大学の就職状況を整理すると、学部卒ではベイカレント・コンサルティング、大学院修了者ではアクセンチュアが民間企業の首位となった。
総合商社やメガバンク、野村総合研究所、三菱重工業なども有力な就職先であり、官公庁では学部卒の総務省、大学院修了者の国土交通省が注目される。
一方、学部卒業生の51.3%が大学院へ進学するという数字は、東大の進路を理解するうえで欠かせない。
【プロの結論】
東大の就職先を評価する際に最も重要なのは、ランキングの順位だけでなく、進路を選んだ学生の属性と採用先の関係を理解することだ。
- 文系学部は金融・コンサル・商社・官公庁が主要な進路。
- 理系学部は大学院進学を経て、メーカー・IT・研究開発分野へ進む傾向が強い。
- 大学院修了者はアクセンチュアや野村総合研究所に加え、製造業・情報通信業にも多く就職する。
- 人気企業ランキングと実際の就職人数は別の指標として扱う。
東大生の就職先は、いわゆる大手企業や外資系コンサルだけではない。研究者、技術者、国家公務員、医療従事者など、専門性を生かした幅広い進路が存在する。
受験生にとっては、大学入学後にどの学部・専門分野を選ぶかが将来のキャリアに関わる。現役学生にとっては、学部卒で就職するか、大学院へ進んで専門性を高めるかが重要な選択になる。
企業名のブランドやランキングの順位にとらわれず、希望する仕事と必要な専門性から進路を選ぶことが、東大卒業後のキャリアを考えるうえでの確かな判断基準となる。