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エアインディア事故の原因は?AI171便墜落の経緯と2026年最新調査を徹底解説

榊原 纱英 榊原 纱英 • 更新: • 公開: • 読了約 29 分
目次

2025年6月12日、インド西部グジャラート州アーメダバードで、エア・インディアのロンドン行きAI171便が離陸直後に墜落しました。事故機はボーイング787-8型機で、乗客・乗員241人と地上にいた19人の合計260人が死亡する大惨事となりました。機内にいた242人のうち、生存したのは乗客1人だけでした。

事故の原因として世界的な注目を集めたのが、離陸直後に両エンジンの燃料制御スイッチが「RUN」から「CUTOFF」に移動したというAAIB(インド航空機事故調査局)の予備報告書です。しかし、スイッチがなぜ動いたのか、機械的な問題だったのか、操縦操作に関係していたのかは、予備報告書だけでは確定していません。2026年11月2日現在、最終報告書の一般公開も確認されていません。

この記事では、事故発生からブラックボックスの解析、AAIBの調査経過、NTSBの関与、2026年秋の最終報告書をめぐる動きまでを時系列で整理します。

- 事故の犠牲者: 2025年6月12日のAI171便墜落事故で、機内241人と地上19人の計260人が死亡。
- 事故原因の焦点: 予備報告書は両エンジンの燃料制御スイッチがRUNからCUTOFFに移動した事実を記録。ただし、操作の原因は未確定。
- 2026年11月の最新状況: AAIBは最終調査報告書の作成を進めてきたが、一般公開された最終報告書は確認できない。
- 調査の重要論点: ブラックボックスの解析、RATの作動タイミング、燃料制御スイッチの機械的構造、操縦室内の状況。
- 今後の焦点: NTSBなどとの国際的な協議と、技術的な疑問をどこまで解明できるか。

【事故の全体像】エアインディアAI171便はいつ、どこで墜落したのか?

エアインディア事故

今回の事故は、インド国内の航空事故としても極めて深刻な被害をもたらしました。

事故を起こしたのは、インドの大手航空会社である が運航するAI171便です。

目的地は英国ロンドンのガトウィック空港。機材にはボーイング787-8型機が使用されていました。

事故の基本情報

項目 内容
事故発生日 2025年6月12日
事故発生地 インド・アーメダバード
航空会社 エア・インディア
便名 AI171便
機体 ボーイング787-8
機体登録番号 VT-ANB
出発空港 サルダール・ヴァッラブバーイー・パテール国際空港
目的地 ロンドン・ガトウィック空港
死者 260人
生存者 1人

AAIBが2025年7月12日に公開した予備報告書によると、事故機は同日13時39分ごろ(インド標準時)、離陸直後の上昇段階で墜落しました。

機体は空港の滑走路23から離陸し、空港敷地の外にあるBJ医科大学の学生寮に衝突しました。滑走路終端からの距離は約0.9海里です。

なぜ離陸直後の事故が重大だったのか

航空機は離陸直後、まだ十分な高度を獲得していません。

この段階で推力が急激に失われると、操縦士が機体の姿勢や高度を回復させるために使える時間と空間は限られます。

AI171便では、両エンジンの回転数が低下し、機体が高度を失っていく様子が飛行記録装置に残されていました。

AAIBの報告書には、空港周辺の映像で離陸直後に非常用発電装置であるRATが展開したことも記録されています。

つまり、単純に着陸時の操作を誤った事故ではなく、離陸直後にエンジン推力と機体の各システムに重大な変化が発生した事故として調査が進められているのです。

【死者数260人の内訳】機内241人と地上19人に何が起きたのか

エアインディア事故の死者数は、報道によって初期段階の数字に違いが見られました。

しかし、AAIBの予備報告書とエア・インディアの発表を照合すると、最終的に確認された被害の内訳は明確です。

死者260人の内訳

区分 人数
乗客 229人
客室乗務員 10人
操縦士 2人
乗員合計 12人
地上の犠牲者 19人
死亡者合計 260人

事故機には230人の乗客と12人の乗員、合計242人が搭乗していました。

そのうち、乗客229人と乗員12人が死亡。乗客1人だけが生存しました。

加えて、墜落現場となった地上でも19人が犠牲になっています。

このため、機内の死亡者241人と地上の死亡者19人を合わせた260人が、事故全体の死者数となります。

地上にも被害が及んだ理由

事故機が衝突したのは、空港周辺のBJ医科大学の学生寮でした。

AAIBの調査資料によると、機体は建物や周辺の構造物に衝突し、その後の火災によって大きく損傷しました。

現場では複数の建物が構造的・火災的な被害を受け、航空機の残骸も広範囲に分散しました。

また、非常用位置指示無線標識装置(ELT)は事故時に作動していなかったことも予備報告書に記載されています。

事故後に進められた遺族支援

エア・インディアと親会社のタタ・グループは、犠牲者の家族に対する支援を発表しました。

エア・インディアの公式発表によると、当面の経済的支援として、死亡者の遺族と唯一の生存者に対する250万ルピーの暫定補償が案内されました。

加えて、タタ・グループは死亡者の家族に対して、1人当たり1,000万ルピーの自主的な特別支援金を発表しています。

航空事故の調査では、技術的な原因究明だけでなく、犠牲者の身元確認、遺族への情報提供、補償や生活支援も長期にわたる課題となります。

【予備報告書を解説】燃料制御スイッチがRUNからCUTOFFに移動した瞬間

エアインディア事故の原因調査で最も重要な手掛かりとなったのが、2025年7月12日にAAIBが公開した予備報告書です。

この15ページの資料には、事故機の飛行データ、操縦室内の音声、エンジンの挙動、事故現場の調査結果などがまとめられています。

特に注目されたのが、両エンジンの燃料制御スイッチの動きでした。

RUNとCUTOFFとは何か?

ボーイング787-8の燃料制御スイッチは、エンジンへの燃料供給を管理する装置です。

それぞれの位置には次の意味があります。

- RUN: エンジンへの燃料供給を許可し、通常の運転状態を維持する位置。
- CUTOFF: エンジンへの燃料供給を遮断する位置。

通常の飛行中に燃料供給が遮断されれば、エンジンの推力は低下します。

AI171便では、このスイッチが両エンジンでほぼ同時にCUTOFFへ移動したことが記録されました。

事故発生直前の記録を時系列で整理

AAIBの予備報告書に記載された時刻は協定世界時(UTC)です。

UTC時刻 記録された出来事
08:07:33 滑走路23からの離陸許可
08:08:39 機体が地面を離れる
08:08:42ごろ 両エンジンの燃料制御スイッチがRUNからCUTOFFへ約1秒差で移動
08:08:47ごろ RATの油圧ポンプが油圧供給を開始
08:08:52 エンジン1のスイッチがRUNへ戻る
08:08:54 補助動力装置(APU)の吸気ドアが開き始める
08:08:56 エンジン2のスイッチもRUNへ戻る
08:09:05ごろ 操縦士からMAYDAYの緊急通信
08:09:11 前方飛行記録装置の記録が停止

この記録から分かるのは、離陸からわずか数秒後に両エンジンへの燃料供給が遮断されたことです。

その後、スイッチはRUNに戻されましたが、両エンジンが直ちに十分な推力を取り戻したわけではありませんでした。

エンジン1では回転速度の低下が止まり、回復方向に向かいました。一方、エンジン2では再点火の兆候があったものの、コア回転速度の低下を食い止められませんでした。

コックピット音声に残されていた会話

もう一つの重要な証拠が、CVR(Cockpit Voice Recorder)の音声記録です。

予備報告書には、操縦士の一人がもう一人に対して、なぜ燃料を遮断したのかと尋ね、相手が自分は操作していないと答えた会話が記載されています。

このやり取りは、事故原因をめぐる議論を大きくしました。

しかし、重要なのは、予備報告書がこの会話の発言者を特定していないことです。

どちらの操縦士が最初に質問し、どちらが否定したのかという点について、公開された予備報告書から確定的な結論を導くことはできません。

また、この会話だけでスイッチを動かした人物や意図を断定することもできません。

ブラックボックスはどこまで解析されたのか

事故機には、EAFR(Enhanced Airborne Flight Recorder)と呼ばれる飛行記録装置が2基搭載されていました。

この装置は、デジタル飛行データと操縦室内の音声を組み合わせて記録する仕組みです。

一般にブラックボックスと呼ばれる装置に相当し、CVRとFDRの情報が同じ記録装置に保存されていました。

AAIBの予備報告書によると、回収状況は次のとおりです。

- 2025年6月13日: 機体後方のEAFRを回収。
- 2025年6月16日: 機体前方のEAFRを回収。
- 2025年6月24日: 2基をニューデリーのAAIB施設へ搬送。
- データ解析: NTSBから同型の装置とダウンロード用ケーブルの提供を受け、前方EAFRのデータを取得。

前方EAFRからは、約49時間分の飛行データと、事故を含む約2時間分の音声が回収されました。

一方、後方EAFRは衝撃と火災による損傷が激しく、通常の方法ではデータをダウンロードできませんでした。

ここで注意したいのは、ブラックボックスが回収され、データが読み出せたことと、事故原因が解明されたことは同じではないという点です。

飛行中に何が起きたかを記録から再構成することと、なぜその事象が起きたかを技術的に証明することには、大きな隔たりがあります。

【調査関係者と経緯】AAIB・NTSB・ICAO Annex 13の役割とは?

エアインディア事故の調査は、インド国内だけで完結するものではありません。

事故機は米国ボーイング製の航空機であり、エンジンや機体システムの専門的な分析も必要です。

そのため、国際民間航空機関(ICAO)が定めるAnnex 13(航空機事故及び重大インシデント調査)に基づき、複数の国や専門機関が関与しています。

調査に関係する主な組織

組織・関係者 主な役割 調査における位置付け
AAIB(インド) 事故調査の主導、証拠収集、分析、最終報告書の作成 主任調査機関
NTSB(米国) 米国の設計・製造国代表として技術面を支援 ICAO Annex 13に基づく認定代表
Boeing 787-8の機体システムに関する技術支援 製造者側の専門協力
GE GEnx-1Bエンジン関連の技術支援 エンジン製造者側の専門協力
FAA 米国の航空安全・技術面の専門支援 NTSB代表団に関係する技術機関
英国AAIB 専門家として調査に協力し、遺族への情報伝達にも関与 ICAO Annex 13上のExpert
Federation of Indian Pilots(FIP) 技術的意見の提出、調査の透明性や専門性への要望 操縦士団体・関係者
インド最高裁判所 調査の進行や独立調査を求める申し立てを審理 司法機関

ここで誤解されやすいのが、NTSBが事故調査全体を主導しているという見方です。

主たる調査機関はあくまでインドのAAIBです。

NTSBは、米国が航空機の設計・製造国に当たることから、国際的な事故調査手続きに基づいて参加しています。

ボーイングやGEの技術者も専門的な分析を支援しますが、製造会社が自ら事故原因を最終決定するわけではありません。

エアインディア事故の原因調査の経緯

これまでの調査の重要な節目を整理します。



2025年6月12日:事故発生

AI171便がアーメダバードで墜落。AAIBが事故調査を開始し、NTSBなどへの国際的な通知が行われました。


2025年6月13日〜24日:ブラックボックスの回収と解析

2基のEAFRを回収し、NTSBから解析用機材の提供を受けてデータを取得しました。


2025年7月12日:予備報告書を公開

RUNからCUTOFFへのスイッチ移動と、操縦室内の音声記録が公表されました。


2026年2月12日:AAIBが原因確定報道を否定

AAIBは調査が継続中であり、最終結論は出ていないと公式に説明しました。


2026年6月12日:事故から1年

AAIBが中間進捗声明を発表。技術・運航・組織・人的要因を含む総合的な分析を続けていると説明しました。


2026年7月:最高裁判所への説明

AAIBは最終報告書の草案が10月ごろに準備できる見通しを示しました。国際的な協議も予定されました。


2026年9月25日:FIPが独立した技術的検証への参加を要請

最終報告書の草案をめぐり、技術的な疑問点を専門操縦士の立場から検証する機会を求めました。

この経緯から見えてくるのは、調査が単なるブラックボックスの解析にとどまっていないことです。

エンジン、機体の電気・油圧系統、整備履歴、操縦室内の状況、人的要因など、複数の証拠を突き合わせる必要があります。

【原因はまだ確定していない】燃料スイッチ・RAT・操縦士をめぐる3つの疑問

2026年11月現在、事故の原因をめぐって重要なのは、予備報告書で明らかになった事実と、その後に提起された技術的な疑問を分けて理解することです。

1.燃料制御スイッチの機械的な不具合だったのか

予備報告書には、FAAが2018年12月17日にSAIB NM-18-33という特別耐空性情報公報を発行していたことが記載されています。

この公報は、ボーイング737型機の燃料制御スイッチについて、ロック機構が適切に機能していない可能性を示す運航者からの報告を受けて発行されたものでした。

AAIBの資料では、同様のロック機構を持つスイッチがボーイング787-8にも使用されていると説明されています。

ただし、FAAはこの問題を耐空性改善命令(AD)を必要とする危険な状態とは判断していませんでした。

また、事故機についてエア・インディアは、当該公報が勧告的な性格のものであり、義務的な検査ではなかったことから、推奨検査を実施していなかったとAAIBに説明しています。

整備記録では、スロットル制御モジュールが2019年と2023年に交換されていましたが、AAIBは交換理由が燃料制御スイッチとは関係していなかったことも記録しています。

この情報は、スイッチの設計や整備履歴を調べる必要性を示しています。

しかし、2018年の公報が存在したという事実だけで、2025年の事故が機械的な欠陥によって発生したと結論づけることはできません。

2.2026年の別のボーイング787でも燃料スイッチの問題が起きた?

2026年2月には、別のエア・インディアのボーイング787-8で燃料制御スイッチの異常が報告されました。

対象となったのはVT-ANXという登録番号の機体で、AI171便のVT-ANBとは別の航空機です。

2026年2月1日、ロンドンからベンガルールへ向かうAI132便のエンジン始動時に、乗員がスイッチがRUN位置に確実に固定されない現象を2回確認しました。

3回目には正常に固定され、その後の飛行では異常なエンジン指示や警告は確認されませんでした。

インド民間航空省の2月3日付発表では、ボーイングの推奨手順に基づく検査で左右のスイッチは正常と判断されました。

その後、5月19日にはDGCA(インド民間航空総局)が製造元施設での追加検査を指示したことも公表されています。

この別機の事案は、燃料制御スイッチの安全性を考えるうえで重要な情報です。

ただし、VT-ANXの検査結果を、そのまま事故機VT-ANBの原因調査結果として扱うことはできません。

機体が異なり、発生状況も異なるためです。

3.RATの作動タイミングに技術的な疑問がある

2026年に入ってから、操縦士団体FIPがAAIBの予備報告書に対して技術的な疑問を提起しています。

特に注目されているのがRAT(Ram Air Turbine)です。

RATは、航空機の通常の電力供給などに重大な問題が生じた場合、飛行中の空気の流れを利用して非常用の動力を供給する装置です。

AAIBの予備報告書では、燃料供給が遮断された約4秒後にRATの油圧ポンプが油圧供給を開始したと記録されています。

これに対しFIPは、独立したシミュレーター試験で約18秒という異なる時間が示されたと指摘しました。

FIPが求めているのは、航空機とシミュレーターの構成、ソフトウェア、RATの展開時間、油圧供給開始までの時間などを照合することです。

加えて、離陸時のV1(離陸決心速度)やVR(機首引き起こし速度)に関する時間にも、予備報告書とシミュレーター試験との間で差があると主張しています。

ここで重要なのは、FIPの指摘がAAIBの公式な調査結論ではないことです。

シミュレーターの条件が事故機と同じだったのか、測定条件が一致しているのか、実際の機体の記録とどのように整合するのかを検証する必要があります。

操縦士の責任は確定したのか?

事故直後から、操縦士の操作が原因だったのではないかという報道や議論がありました。

その背景には、CVRに記録された燃料遮断をめぐる会話があります。

しかし、AAIBの予備報告書は、スイッチの移動を記録しただけで、誰が操作したのか、なぜ操作されたのかを確定していません。

2026年2月12日にはAAIBが、調査が終了したという一部報道について「誤りであり、憶測に基づくもの」とする趣旨の公式声明を出しています。

同局は、調査は技術的証拠に基づいて進められており、最終的な結論は出ていないと説明しました。

航空事故調査の目的は、事故の原因や再発防止策を明らかにすることです。

個人に責任を押し付けることとは異なります。

操縦士の操作、装置の設計、整備、組織的な安全管理など、複数の要素を切り離さずに検証する必要があります。

【2026年11月最新】エアインディア事故の最終報告書はいつ公表される?

読者が最も知りたいのは、最終的に事故原因が判明したのか、そして最終報告書がいつ公表されるのかという点でしょう。

2026年11月2日現在、公開情報から確認できる状況を整理します。

2026年6月12日:AAIBが事故から1年の進捗声明を発表

事故から1年となった2026年6月12日、AAIBは調査の進捗に関する中間声明を発表しました。

この声明では、以下の調査が進められていると説明されています。

- 航空機システムの検査と分析
- 飛行記録装置のデータ解析
- エンジン関連部品の調査
- 整備記録と運航記録の検証
- 技術的・組織的・人的要因の分析
- 必要に応じた追加の専門的検査

AAIBは、集めた証拠を総合的に分析し、国際的な協議を経て最終報告書を公開すると説明しました。

しかし、この時点では最終報告書の具体的な公表日は示されませんでした。

2026年7月:最高裁判所に10月ごろの草案完成を説明

2026年7月、AAIBはインド最高裁判所に提出した説明の中で、残る調査作業が約6週間で完了する見通しを示しました。

その後、最終報告書の草案を10月ごろに準備する予定と説明しています。

また、草案はICAO Annex 13の国際手続きに従い、米国NTSBなど関係する国や機関との協議に回す予定でした。

報道によると、この国際協議には30〜60日程度を見込んでいました。

AAIBは最高裁判所に対して、操縦士や客室乗務員、航空管制官、航空機の専門家などへの聞き取りを行っていることも説明しています。

加えて、調査に必要な66の手続きのうち49項目を完了したと報告したと伝えられています。

2026年7月28日:草案を封印した状態で提出する方針

7月28日の最高裁判所での審理では、政府側がAAIBの最終報告書の草案を10月第1週に封印した状態で提出する方針を説明しました。

この審理では、事故について独立した調査機関を設けるべきかという申し立ても取り上げられています。

裁判所は、まずAAIBによる正式な調査結果を待つ姿勢を示し、次回の審理を10月13日に設定しました。

また、操縦士団体FIPからの技術的な意見についても、AAIBが調査の中で検討する余地があることが示されました。

2026年9月:FIPが独立した技術検証への参加を要請

9月25日、FIPは民間航空大臣に書簡を送り、最終報告書の草案を検証する独立した委員会が設置される場合、専門操縦士の代表として参加させるよう求めました。

同団体は、RATの作動タイミングやシミュレーター試験の結果などについて、専門的な検証が必要だと主張しています。

ただし、独立した検証委員会の設置が正式に決定したかどうかについては、報道段階でも確認されていません。

11月2日現在の最終報告書の公表状況

最終報告書の一般公開は未確認

2026年11月2日現在、AAIBの公式公開ページでAI171便に関して掲載されている最新の主要資料は、2026年6月12日の中間進捗声明です。

事故原因や責任の所在を最終的に示す調査報告書は、一般公開された資料として確認できません。

ここで区別しておきたいのが、次の3段階です。

段階 内容 現状
予備報告書 初期段階の事実や記録を整理 2025年7月12日公開済み
最終報告書の草案 調査結果をまとめ、専門的な検証や国際協議を行う段階 2026年10月ごろの準備・提出が予定されていた
最終報告書の一般公開 原因分析と安全勧告を含む正式な報告書 2026年11月2日現在、公開を確認できない

つまり、10月に草案が準備される予定だったことと、最終報告書が一般公開されたことは別の話です。

また、裁判所への封印提出が予定されていたことも、一般向けの公表を意味しません。

今後は、AAIBによる正式発表、NTSBなどとの協議、技術的な検証結果、最高裁判所での手続きが注目されます。

CVR音声や調査資料は公開されるのか

2026年7月の最高裁判所への説明では、AAIBはCVRの音声記録やその文字起こし、航空管制通信、証人の供述などについて、法令に基づく守秘義務があると説明しました。

調査中の音声や映像を一般公開すると、将来の事故調査における証言の自由や協力を損なう可能性があるという考え方です。

そのため、最終報告書が公表されても、すべての生データや操縦室内の録音がそのまま公開されるとは限りません。

【プロの結論】エアインディア事故から読み解く航空安全の本質

エアインディアAI171便墜落事故で、現時点までに最も重要な事実は、両エンジンの燃料制御スイッチが離陸直後にRUNからCUTOFFへ移動し、エンジン推力が低下したことです。

しかし、事故の本質を理解するには、スイッチが移動したという事実だけでは足りません。

本当に解明すべきなのは、なぜその状態になったのかという根本原因です。

航空機の安全性は、一つの部品だけで成立しているわけではありません。

機械設計、電気系統、油圧系統、エンジン制御、操縦士の操作、整備手順、航空会社の安全管理が連動しています。

そのため、今回の事故の調査では、少なくとも次の3つを分けて考える必要があります。

第一に、記録された事実。

両エンジンの燃料制御スイッチがCUTOFFへ移動したこと、エンジン回転数が低下したこと、CVRに操縦士間の会話が残っていたことです。

第二に、現在も検証が必要な技術的疑問。

スイッチの機械的な状態、RATの作動タイミング、エンジンの再始動過程、機体の電気・油圧系統などです。

第三に、最終報告書で明らかになるべき根本原因と再発防止策。

単一の操作や部品の問題だけでなく、事故につながった要因の組み合わせを説明する必要があります。

事故から1年以上が経過した今も、犠牲者の遺族や航空業界が最終的な回答を待っています。

AAIBによる最終報告書は、単に事故当時の出来事を振り返る資料ではありません。今後のボーイング787の運航、航空会社の整備体制、操縦士訓練、国際的な航空安全基準にも影響する可能性があります。

【エアインディア事故】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:エアインディア事故の原因は何ですか?

A1:2026年11月2日現在、最終的な原因は公表されていません。AAIBの予備報告書では、離陸直後に両エンジンの燃料制御スイッチがRUNからCUTOFFへ移動し、エンジン推力が低下したことが確認されています。ただし、スイッチが移動した原因は確定していません。

Q2:エアインディア事故の死者数は何人ですか?

A2:合計260人です。機内では乗客229人と乗員12人の計241人が死亡し、地上でも19人が犠牲になりました。搭乗者242人のうち、乗客1人が生存しています。

Q3:エアインディア事故の最終報告書はいつ公表されますか?

A3:2026年11月2日現在、一般公開の日程は確認できません。AAIBは2026年10月ごろに最終報告書の草案を準備する見通しを示し、政府は最高裁判所への封印提出を説明していましたが、草案の準備・提出と正式な一般公開は別の手続きです。

まとめ:エアインディア事故の真相解明は最終報告書が鍵

2025年6月12日に発生したエアインディアAI171便墜落事故は、260人の命を奪った重大な航空事故です。

予備報告書によって、離陸直後の燃料制御スイッチの移動や両エンジンの推力低下など、事故の経過を示す重要な事実が明らかになりました。

一方、なぜスイッチがCUTOFFへ移動したのか、機械的な問題があったのか、人的要因が関係したのかという核心部分は、最終的な調査結果を待つ必要があります。

2026年11月2日時点で注目すべき要点は次のとおりです。

- AAIBによる最終報告書の一般公開状況
- NTSBとの国際的な技術協議
- 燃料制御スイッチとRATの作動タイミング
- FIPが提起したシミュレーター試験との相違
- 事故から得られる航空機の安全対策と再発防止策

最も重要なのは、予備報告書に記載された事実と、まだ証明されていない原因を混同しないことです。

最終報告書が公表されれば、エアインディア事故の真相だけでなく、今後の国際航空安全に向けた重要な教訓も明らかになるはずです。犠牲者260人の記憶と遺族の思いに応えるためにも、科学的な証拠に基づく透明性の高い調査結果が求められています。

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