2026年の西舘は、救援投手ではなく、先発投手としての起用が中心だった。
NPBの公式年度別成績によると、2026年は14試合に登板し、57イニングを投げて2勝4敗、防御率3.00を記録した。加えて、データ上の先発登板数は10試合。14登板のうち大半を先発として経験したシーズンだった。
注目したいのは、奪三振数が65に達した点だ。57イニングで65三振という数字は、9イニング換算で約10.26奪三振。打者を三振に仕留める能力が、先発としての投球にも表れている。
一方、勝敗は2勝4敗で、勝率は.333。防御率3.00という数字と合わせて考えると、投球内容には一定の成果があったものの、勝ち星を積み重ねる段階にはまだ課題が残る。
特に注目すべきなのは、次の3点だ。
- 奪三振能力: 65奪三振、奪三振率10.26と高い数字を記録。
- 先発としての安定感: 10先発でクオリティースタートは4回。
- イニング消化: 57イニングを投げたが、完投はなく、先発として長い回を任される余地がある。
つまり、2026年の西舘は単なる中継ぎ投手への復帰ではなく、先発としての適性を示しながら、投球内容の安定と年間を通じた稼働を追求する段階にいた。
【年度別成績を比較】2024年・2025年・2026年で何が変わった?

西舘のプロ入り後3年間を比較すると、起用法と投球内容の変化がはっきり見えてくる。
以下はNPB公式記録を中心に、先発登板数などの補足データを加えた年度別比較だ。
出典:NPB個人年度別成績、各年度の投手成績データ。投球回の「30.2」「53.1」は、それぞれ30回2/3、53回1/3を表す。
2024年:新人ながら28試合に登板し20ホールド
プロ1年目の2024年は、救援投手としての存在感を示した。
一軍では28試合に登板し、30回2/3を投げて1勝3敗、防御率3.82。加えて、20ホールドと1セーブを記録している。
先発登板はわずか1試合で、ほぼ中継ぎとして起用されたことが分かる。
特に20ホールドは、勝ち試合の重要な局面を任されていたことを示す数字だ。新人投手として一軍のブルペンに定着し、プロの打者との対戦経験を積んだシーズンだった。
2025年:先発への挑戦とコンディション面の壁
2025年は15試合に登板し、2勝3敗、防御率4.22。投球回は53回1/3で、奪三振45だった。
先発登板は7試合に増加し、救援中心だった前年から明らかな変化が生まれた。
日刊スポーツの2025年8月2日の報道によると、西舘は同年6月11日のソフトバンク戦で先発初勝利を挙げ、その後は先発ローテーションに入っていた。
しかし、7月29日の中日戦では5回6失点。8月2日には上半身のコンディション不良を理由に出場選手登録を抹消された。杉内俊哉投手チーフコーチも、大事を取った措置であると説明している。
先発としての能力を試される一方、シーズンを通して投げ続ける難しさにも直面した年だった。
2026年:防御率3.00、奪三振65で先発として前進
2026年は14試合、57イニングで2勝4敗、防御率3.00。奪三振は前年の45から65に増えた。
特筆すべきは、投球回が前年の53回1/3から57回へ増加する一方、防御率が4.22から3.00に改善したことだ。
先発投手としての役割を担いながら、失点を抑えるという点では前進が見られた。
ただし、登板数は14試合にとどまっている。年間を通じて先発ローテーションの柱になったと評価するには、さらなる積み重ねが必要だ。
【先発転向の背景】西舘勇陽はなぜ中継ぎから先発を目指すのか?
西舘の先発転向を理解するには、大学時代までさかのぼる必要がある。
実は、西舘はプロ入り前から先発投手としての経験を積んでいた。
中央大学では1年秋からリーグ戦に登板。3年春までは救援を中心に起用されていたが、3年春の入れ替え戦から先発に転向した。
3年秋にはリーグ戦でベストナインを獲得。大学時代に先発としての実績を築いていた。
つまり、巨人での先発転向は、まったく新しい役割への挑戦ではない。大学時代に経験した投球スタイルを、プロの舞台で再び発展させる取り組みと捉えられる。
中継ぎと先発では求められる能力が違う
中継ぎ投手は、短いイニングで打者を抑えることが重要になる。
一方、先発投手には次のような能力が求められる。
- 試合序盤から複数の打者と対戦するための配球の組み立て
- 同じ打者との2巡目、3巡目を想定した投球
- 球数を管理しながら6回以上を投げる持久力
- 登板間隔に合わせたコンディショニング
- 失点した後も試合を立て直す修正力
2024年に28試合登板、20ホールドを記録した西舘には、救援投手としての経験がある。
その一方で、2025年から2026年にかけて先発登板を増やしていることは、巨人が彼の投手としての可能性を一つの役割に限定していないことを示している。
先発と中継ぎのどちらが最終的な適性なのかは、今後の成績によって判断されることになる。
【投球スタイルを分析】西舘勇陽の武器はクイック投法と奪三振能力
西舘の特徴として、まず挙げられるのが独特のクイックモーションだ。
通常、クイック投法は走者の盗塁を防ぐために使われる。しかし、西舘は走者がいない場面でもクイックモーションを採用する投手として知られている。
中央大学のインタビューでは、本人が自身の投球の強みについて次のように説明している。
「強みはクイックで投げ続けられるところと、走者を出してからも落ち着いて投げられるところ。」
出典:中央大学による2023年の西舘勇陽投手インタビュー。
この投球スタイルには、走者の有無によってフォームを大きく変える必要がないという利点がある。
最速155キロの直球と多彩な変化球
大学時代の西舘は、最速155キロのストレートを武器としていた。
主な球種として報じられてきたのは次の通りだ。
- ストレート
- カットボール
- スライダー
- スプリット
- カーブ
特にカットボールは、西舘の投球を特徴づける球種の一つ。力強い直球と組み合わせることで、打者の芯を外す投球につながる。
また、クイックモーションから投げ込むフォームは、打者にタイミングを合わせにくくさせる要素にもなる。
2026年の65奪三振は大きな評価材料
2026年の奪三振率は9イニング換算で約10.26。
2025年の約7.59から大きく上昇しており、投球回が増えた中でも三振を奪う能力を発揮した。
これは先発投手として大きな強みになる。
ただし、三振を奪えることと、長いイニングを安定して投げられることは別の評価軸だ。西舘の場合、今後は三振を奪う力を維持しながら、球数を抑える投球も求められる。
【今後の課題】防御率3.00からさらに飛躍するために必要なこと
2026年の成績を細かく見ると、西舘には明確な長所と改善ポイントがある。
最初に、長所は奪三振能力だ。65奪三振は57イニングに対して十分に高い数字であり、打者を力で抑え込める可能性を示している。
一方で、与四球は25、被本塁打は10だった。WHIPは1.26となっている。
課題1:被本塁打を減らす
57イニングで10本塁打を許している点は、先発投手として改善したい部分だ。
被本塁打は、失点や試合展開に直接影響する。
特に先発投手は、試合序盤の失点を抑えることが重要になる。ストレートと変化球のコンビネーションを生かしながら、長打を打たれにくい投球を組み立てる必要がある。
課題2:与四球を減らして投球効率を上げる
2025年の与四球は11、2026年は25だった。
投球回は約3回3分の2しか増えていないため、四球の増加は見逃せない。
奪三振能力が高い投手ほど、三振を狙いすぎて投球数が増えるケースもある。
西舘に求められるのは、三振を奪う能力を犠牲にせず、ストライク先行の投球で打者との勝負を有利に進めることだ。
課題3:先発として6回以上を投げる試合を増やす
2026年の先発登板は10試合で、クオリティースタートは4回だった。
クオリティースタート(QS)は、先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内に抑えることを指す。
QS率は40%。先発として一定の安定感を示した一方、さらに高い水準を目指せる数字でもある。
先発投手として評価を上げるには、5回前後で交代する試合を減らし、6回、7回まで投げられる登板を増やしたい。
課題4:年間を通じて登板できるコンディション管理
2025年には上半身のコンディション不良による登録抹消を経験している。
先発投手は登板間隔を管理しながら、試合ごとに一定の球威と制球力を維持しなければならない。
西舘の場合、能力を示すことに加え、シーズンを通して安定してマウンドに立つことも重要になる。
今後の評価では、防御率だけでなく、先発登板数、投球回、QS率、被本塁打、与四球を総合的に見る必要がある。
【プロフィール】西舘勇陽の出身高校・中央大学・ドラフトと背番号17
出典:日本野球機構の選手プロフィール。
花巻東高校時代:甲子園を経験した岩手出身の右腕
西舘は岩手県の花巻東高校出身。
同校は多くのプロ野球選手を輩出してきた高校として知られ、西舘も高校時代に3度の甲子園出場を経験した。
高校時代から150キロ前後の速球を投げる右腕として注目され、将来性を評価されていた。
中央大学時代:先発投手として評価を高める
中央大学では1年秋からリーグ戦に登板した。
3年春の入れ替え戦から先発に転向し、3年秋にはベストナインを獲得。大学野球で着実に実績を積み上げた。
4年秋には8試合に登板して60奪三振、防御率1.11を記録したと日刊スポーツが報じている。
2023年ドラフト1位:巨人と日本ハムが競合
2023年10月26日のドラフト会議で、西舘は読売ジャイアンツから1位指名を受けた。
北海道日本ハムファイターズとの2球団競合となり、巨人の阿部慎之助監督が交渉権を獲得した。
ドラフト翌日の指名あいさつでは、背番号17が提示された。
この番号は、花巻東高校の先輩である大谷翔平や菊池雄星との縁もあり、西舘自身も特別な番号として喜びを語っている。
背番号17を背負う西舘に対する期待は大きい。ドラフト1位として入団した右腕が、巨人の先発陣の一角を担えるかどうかは、今後の注目ポイントだ。
【西舘勇陽に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:西舘勇陽の2026年最新成績は?
2026年シーズン終了時のNPB公式記録では、14試合登板、2勝4敗、防御率3.00、57投球回、65奪三振。先発登板は10試合だった。
Q2:西舘勇陽は中継ぎから先発に転向した?
はい。2024年は28試合に登板して20ホールドを記録するなど中継ぎ中心だった。2025年は7試合、2026年は10試合の先発登板を記録し、先発としての起用が増えている。
Q3:西舘勇陽の出身高校と大学は?
岩手県の花巻東高校を卒業後、中央大学に進学した。中央大学では大学野球のリーグ戦で実績を残し、2023年ドラフト1位で巨人に入団した。
Q4:西舘勇陽の背番号は何番?
読売ジャイアンツでの背番号は17。2023年のドラフト1位指名後、入団に際して提示された番号だ。
Q5:西舘勇陽の今後の課題は?
被本塁打と与四球を減らすこと、先発として6イニング以上を投げる試合を増やすこと、そしてシーズンを通じたコンディション維持が主な課題となる。
まとめ:西舘勇陽は巨人の先発陣に定着できるか
西舘勇陽のプロ入り後3年間を振り返ると、2024年の中継ぎ中心の起用から、2025年の先発挑戦、そして2026年の先発中心の起用へと、役割が段階的に変化してきた。
2026年の14試合登板、2勝4敗、防御率3.00、65奪三振は、先発投手としての可能性を示す成績だ。特に奪三振率の向上は評価できるポイントである。
ただし、被本塁打10本、与四球25個、QS率40%という数字には改善の余地がある。先発投手として確固たる地位を築くには、三振を奪う能力に加えて、長いイニングを効率よく投げる力が欠かせない。
評価する際に注目したいのは、単純な勝敗だけではない。防御率、投球回、奪三振率、与四球、被本塁打、QS率を合わせて見ることで、西舘の成長をより正確に把握できる。
2023年ドラフト1位として巨人に入団し、背番号17を背負う右腕。2026年に示した先発としての手応えを、次のシーズンでどこまで確かな実績に変えられるか。西舘勇陽の今後を占う最大の焦点は、先発ローテーションを年間を通じて守り抜く力にある。