赤穂市民病院の医療事故を題材にしたウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』。主人公のモデルと報じられた医師の実名は、松井宏樹氏です。テレビ朝日も2026年3月12日の報道で、漫画のモデルとなった人物が松井宏樹被告(47)であると伝えています。
問題の発端は2020年1月22日、赤穂市民病院で行われた腰椎の手術です。患者の神経が医療用ドリルによって損傷され、両足の重いまひなどの後遺障害が残りました。その後、民事裁判で約8900万円の賠償命令が確定。さらに2026年3月12日には松井氏に業務上過失傷害罪で禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決が言い渡され、同月27日に確定しました。
2026年10月30日には、赤穂市民病院が別の医師2人に懲戒処分を発表しています。医療事故、漫画のモデル、刑事裁判、漫画作者をめぐる名誉毀損問題、そして新たな病院内の処分まで、一連の出来事を時系列で整理します。
【実名を特定】赤穂市民病院「竹田くん」のモデル医師は松井宏樹氏

「竹田くんの実名は誰なのか」という疑問に対する答えは、松井宏樹氏です。
2026年3月12日、テレビ朝日は『脳外科医 竹田くん』を取り上げたニュースで、主人公のモデルが松井宏樹被告であると明確に報じました。
また、地域紙の赤穂民報や神戸新聞も、赤穂市民病院で発生した医療事故の執刀医として松井宏樹氏の氏名を報道しています。
したがって、松井宏樹氏という実名は、匿名掲示板やSNSだけで広まった未確認情報ではありません。実際の刑事事件について報道各社が実名を公表している人物です。
松井宏樹氏と竹田くんの関係
松井氏は2019年7月、赤穂市民病院の脳神経外科に着任しました。その後、同医師が関与した手術で複数の医療事故が発生し、2020年1月の重大な医療過誤について刑事責任が問われることになります。
一方、漫画の主人公「竹田」は、現実の医師の実名をそのまま使用した人物ではありません。舞台は「赤池市」という架空の町で、病院や登場人物の設定にもフィクションとしての表現が取り入れられています。
つまり、整理すると次の関係になります。
- 実在する医師:松井宏樹氏
- 漫画の主人公:脳外科医・竹田くん
- 漫画のモデル:赤穂市民病院で発生した一連の医療事故と病院内の問題
- 両者の関係:報道機関によってモデル医師と特定された関係
なお、漫画に登場するすべての人物や出来事を、現実の特定人物と一対一で対応させることはできません。作品全体の設定と、裁判で認定された個別の事実は分けて理解する必要があります。
この点については、テレビ朝日の2026年3月12日の報道と、赤穂民報による2025年以降の取材記事が参考になります。
【2020年の医療事故】腰椎手術で神経を損傷した経緯と患者の後遺障害
一連の問題で刑事裁判の対象となったのは、2020年1月22日に赤穂市民病院で行われた女性患者の腰椎手術です。
患者は腰部脊柱管狭窄症を患っており、腰椎の一部を切除する手術を受けました。しかし、手術中に医療用ドリルで神経を誤って損傷し、患者には両足の重いまひなど、深刻な後遺障害が残りました。
手術中に何が起きたのか
2026年3月12日の判決を報じた赤穂民報によると、裁判所は事故の原因について、十分な止血が行われず、手術部位に血液などがたまって切削している場所の判断が難しい状況にもかかわらず、ドリルによる切削を続けたことを認定しました。
手術中の視界が十分に確保できない場合、医療行為を中断して状況を改善することが大切です。裁判所は、こうした基本的な注意義務を怠った点を問題視しました。
「注意義務違反の程度は著しい」
これは2025年5月の民事裁判で神戸地裁姫路支部が示した評価です。民事裁判でも、執刀医の注意義務違反が厳しく指摘されていました。
2026年3月12日の刑事判決
松井氏は業務上過失傷害罪に問われ、2026年3月12日、神戸地裁姫路支部で有罪判決を受けました。
判決内容は、禁錮1年、執行猶予3年です。検察側の求刑は禁錮1年6か月でした。
刑事裁判では、被告側が助手を務めた上級医の指示や作業にも問題があったと主張しました。しかし、裁判所はその主張を退け、仮に助手の作業が不十分だったとしても、ドリルによる切削を中断して止血などの対応を待つべきだったと判断しています。
一方、判決では経験の乏しい医師を支えるべき手術チームが十分に機能していなかった点にも言及されました。
この事件は、執刀医個人の注意義務だけでなく、医療チーム全体の安全管理にも問題があったことを示す事例となりました。
【医療事故8件の真相】赤穂市民病院で何が起きていたのか
『脳外科医 竹田くん』が大きな反響を呼んだ理由の一つが、松井氏が関与したとされる複数の医療事故です。
赤穂市民病院の脳神経外科では、2019年以降、同一医師が関わった手術で事故が相次ぎました。2021年12月17日には、病院が8件の医療事故について事実関係を認めています。
8件すべてが医療過誤と認定されたわけではない
ここで注意したいのが、医療事故と医療過誤の違いです。
2021年12月の神戸新聞NEXTの報道によると、赤穂市民病院は8件の医療事故のうち、2020年1月の女性患者の神経損傷について医療過誤を認めました。一方、死亡例を含むほかの7件については、外部有識者による検証を踏まえ、医師の過失がある医療過誤ではないとの認識を示しました。
つまり、8件という数字は、同一医師が関与した医療事故の件数であり、8件すべてについて刑事責任が認定されたという意味ではありません。
加えて、2025年5月の民事裁判を報じた神戸新聞には、松井氏が着任後約9か月間に関わった手術で計11件の医療事故があったとの記述もあります。
このため、報道で使われる8件と11件は、集計時期や対象となる事案を確認せずに同じ数字として扱うべきではありません。
病院の対応も問われた
赤穂民報の2021年12月31日の調査報道では、2020年1月22日の重大事故が起きるまでに、すでに4件の医療事故が発生していたとの訴状上の記載が紹介されています。その後、2月末までにさらに3件の事故が続き、病院は2020年3月1日に松井氏の手術を禁止したと報じられました。
問題となったのは、事故が繰り返されたことだけではありません。医療安全管理部門が各事故をどのように把握し、どの段階で執刀を制限する判断を行ったのかという点です。
医療事故が発生した場合、原因の分析、情報共有、再発防止策の実施は病院の重要な責務です。個々の医師の技量や判断に問題があったとしても、それを組織として検証し、患者の安全を守る仕組みが機能していたかは別途検証されなければなりません。
2026年3月の刑事判決でも、裁判所は手術チームによるバックアップ体制の不備に触れています。
約8900万円の損害賠償命令
患者の女性と家族は、赤穂市と執刀医に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。
2025年5月14日、神戸地裁姫路支部は、被告側に対して約8900万円の支払いを命じました。
神戸新聞NEXTによると、原告側が請求していた金額は約1億4200万円。判決では、執刀医の注意義務違反が著しいと評価されたほか、病院側の事後説明についても迅速に説明を尽くしたとは評価しにくいと指摘されました。
なお、民事判決は2025年5月31日付で確定しています。刑事判決とは別の裁判であり、賠償責任と刑事責任の双方がそれぞれ判断されたことになります。
【完全時系列】松井宏樹氏と赤穂市民病院の問題を年表で整理
この問題は、医療事故の発生から漫画の公開、民事裁判、刑事裁判、病院の懲戒処分まで、複数の出来事が並行して進んでいます。
主な出来事を時系列で整理すると、次のようになります。
| 年月日・時期 | 出来事 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 2019年7月 | 松井氏が着任 | 赤穂市民病院の脳神経外科に在籍。 |
| 2019年10月2日 | 別の医療事故 | 後年、虚偽公文書作成・提出問題の対象となる。 |
| 2020年1月22日 | 重大な医療事故 | 腰椎手術中に神経を損傷し、患者に重い後遺障害。 |
| 2020年3月1日 | 手術禁止 | 赤穂民報の報道によると、病院が松井氏の手術を禁止。 |
| 2021年8月 | 松井氏が退職 | 赤穂市民病院を依願退職。 |
| 2021年12月17日 | 8件の事故を公表 | 病院が8件の事実関係を認め、1件を医療過誤と判断。 |
| 2023年1月~7月 | 漫画公開 | 『脳外科医 竹田くん』全142話が公開される。 |
| 2025年2月5日 | 作者が声明 | 被害患者の親族であることを公表。 |
| 2025年5月14日 | 民事判決 | 赤穂市と執刀医に約8900万円の賠償命令。 |
| 2025年5月31日 | 民事判決確定 | 双方が控訴せず確定。 |
| 2026年2月20日 | 漫画作者ら不起訴 | 名誉毀損・信用毀損などの刑事告訴について不起訴。 |
| 2026年3月12日 | 刑事判決 | 禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決。 |
| 2026年3月27日 | 刑事判決確定 | 被告側・検察側とも控訴せず確定。 |
| 2026年10月30日 | 病院の懲戒処分 | 別の医師2人を虚偽公文書作成・同行使を理由に処分。 |
この年表から分かるのは、2026年3月に刑事裁判が確定した後も、病院内の文書管理や医療事故への対応をめぐる問題が終わっていないことです。
特に10月30日の懲戒処分は、2020年の患者の神経損傷事故そのものとは別の、2019年10月2日に発生した医療事故に関係する問題です。
同じ病院の一連の問題として注目されますが、事件ごとの対象者や法的な判断は区別する必要があります。
【漫画と現実を比較】竹田くんの設定はどこまで実話なのか
『脳外科医 竹田くん』は、単なる医療現場を舞台にしたフィクションとして公開された漫画ではありません。
2025年2月5日、作者は自身が赤穂市民病院の2020年1月22日の医療過誤で重度の後遺障害を負った患者の親族であることを公表しました。
作者の声明によれば、一連の医療事故や病院内の事情について、当事者や関係者から情報を得られる立場にあり、報道資料、裁判資料、公的資料、医療従事者を含む複数の関係者への聞き取りを参考にして作品を制作したとのことです。
実際の事件と漫画の違い
作品の舞台は架空の「赤池市」にある市民病院です。登場人物も実在する医師の氏名をそのまま使用しているわけではありません。
作者自身も声明で、作品はフィクションであり、読者に問題を伝えやすくするために設定を単純化したり、比喩的な表現を使用したりしたと説明しています。
| 比較項目 | 現実の出来事 | 漫画での表現 |
|---|---|---|
| 舞台 | 兵庫県の赤穂市民病院 | 架空の赤池市の市民病院 |
| 主人公 | 松井宏樹氏がモデルと報道 | 架空の脳外科医・竹田 |
| 医療事故 | 2019年以降の複数の医療事故 | 複数の事故や病院内の問題を物語化 |
| 上級医・管理部門 | 実際の関係者や組織が存在 | 作品上の人物・組織として描写 |
| 作品の性質 | 裁判記録や報道で検証される現実の事件 | 実際の事件をモチーフにしたフィクション |
重要なのは、漫画に描かれたすべての会話、行動、人物関係が裁判で認定されたわけではないという点です。
例えば、現実の刑事裁判で認定されたのは2020年1月22日の手術に関する業務上過失傷害です。漫画に描かれた別のエピソードまで、同じ判決によって事実と認定されたわけではありません。
なぜ漫画が大きな社会的反響を呼んだのか
作品が注目された背景には、医療事故そのものに加えて、事故が繰り返された理由や病院の管理体制に対する疑問があります。
2023年5月、赤穂民報は、漫画の舞台や事故の順序が赤穂市民病院で実際に起きた問題と酷似していることを報道しました。当時は作者の正体が明らかになっておらず、病院側も漫画についてのコメントを控えていました。
その後、作者が被害患者の親族だと明かしたことで、作品の背景がより具体的に理解されるようになりました。
医療事故を題材とする作品が社会問題を可視化する一方、実在する人物の名誉やプライバシーとの調整が必要になることも、この問題が示した重要な側面です。
【名誉毀損の刑事告訴と2026年10月の懲戒処分】新たな動きも整理
松井氏をめぐる問題では、医療事故の刑事裁判とは別に、漫画の表現をめぐる法的な争いも起きています。
漫画作者や被害患者の家族への刑事告訴
赤穂民報の2026年3月2日の報道によると、松井氏は2025年7月、漫画作者、被害患者の長女、赤穂市民病院に在籍していた当時の上司を名誉毀損や信用毀損などの疑いで刑事告訴しました。
これに対し、神戸地検姫路支部は2026年2月20日付で、告訴された3人全員を不起訴としました。
したがって、漫画作者らに対する刑事告訴は不起訴という結果になっています。
ただし、刑事事件の不起訴は、民事裁判において漫画のすべての表現が適法であると確定したことを意味しません。刑事と民事では判断の基準や争点が異なります。
作者側も2025年3月に民事訴訟を提起
この問題では、作者側も2025年3月5日、漫画が名誉毀損に該当しないことの確認を求める債務不存在確認訴訟を大阪地裁に提起しました。
発信者情報開示請求をめぐっては、松井氏側の申立てを受け、東京地裁が2024年6月にプロバイダーに情報開示を命じ、同年7月に作者の氏名や住所が開示されたと赤穂民報が報じています。
2026年3月の不起訴決定後も、この民事上の争いは別途続いています。
加えて、作者側の2026年7月22日付の公開ブログには、同年5月末に松井氏から損害賠償請求訴訟の訴状が届いたとの記載があります。これは作者側による公表内容であり、請求の詳細や裁判所の最終判断は別途確認が必要です。
2026年10月30日、赤穂市民病院が医師2人を懲戒処分
2026年10月30日、赤穂市民病院は公式の報道発表資料で、診療部の医師2人に対して懲戒処分を行ったと公表しました。
処分理由は、虚偽公文書作成および同行使です。
対象となったのは2019年10月2日に発生した医療事故に関する文書問題です。病院の発表によれば、2人は手術操作を行った医師について、事実に反する内容を記載した文書を共同で作成し、医療安全管理者に提出しました。
処分内容は次のとおりです。
- 医師1人:減給10分の1、3か月
- 医師1人:戒告
赤穂市民病院の公式発表では、対象となった医師の氏名は公表されていません。
また、赤穂民報の2026年10月30日の報道によれば、病院は処分内容に差がある理由について、2人の立場が主従関係にあったためと説明しています。
ここで誤解してはいけないのが、この懲戒処分は松井氏本人に対する処分ではないという点です。
松井氏は2021年8月に赤穂市民病院を依願退職しており、病院側は、すでに退職した執刀医は今回の懲戒処分の対象にならないと説明しています。
また、今回の処分は2020年1月の神経損傷事故そのものではなく、2019年10月2日の別の医療事故に関する文書作成問題を対象としています。
2024年10月には、兵庫県警が関連する公文書問題について医師3人を書類送検しており、同年12月には3人全員が不起訴となったと報じられています。今回の2026年10月の処分は、それとは別の院内懲戒手続きによる判断です。
つまり、刑事事件で不起訴になったことと、病院が職員に対して内部規律上の処分を行うことは両立します。
【プロの結論】竹田くん問題から見える医療安全と組織責任
赤穂市民病院の問題を理解するうえで、最も大切なのは、松井氏個人の刑事責任だけに注目して全体を理解したつもりにならないことです。
2026年3月の有罪判決は、2020年1月22日の手術における注意義務違反について、刑事責任を明確にしたものです。しかし、複数の医療事故が発生した背景には、医師の技量確認、手術の適正な監督、医療安全部門の機能、事故後の情報共有と説明など、病院組織が検証すべき課題も残っています。
医師個人の責任と病院組織の責任は別々に考える
外科手術は、執刀医だけで完結する医療行為ではありません。助手、看護師、麻酔科医、医療安全管理部門など、複数の職種が連携するチーム医療です。
経験の浅い医師が難易度の高い手術を担当する場合、適切な指導と監督、必要に応じた手術の中断や交代の判断が欠かせません。
今回の刑事判決でも、裁判所は被告本人の過失を認めながら、経験の乏しい医師を支援するチームが十分に機能していなかった面にも言及しています。
これは、医療安全を医師個人の能力や注意力だけに依存させてはいけないという教訓につながります。
医療事故の情報を見極める3つの基準
この問題に関する報道やSNS情報を読む際には、次の3点を基準にすると、事実関係を整理しやすくなります。
1.裁判で認定された事実か、関係者の主張か
2026年3月の有罪判決で認定された事実と、漫画の描写、当事者の主張は同じものではありません。情報の出どころを区別する必要があります。
2.医療事故と医療過誤を混同していないか
8件の医療事故があったという事実と、8件すべてに医師の法的過失が認定されたという主張は異なります。病院の当時の判断と、その後の裁判での認定も分けて確認が必要です。
3.刑事処分と院内懲戒を混同していないか
松井氏の業務上過失傷害事件、漫画作者らへの刑事告訴、2026年10月の病院職員2人への懲戒処分は、それぞれ異なる手続きです。対象者も処分理由も異なります。
この3点を押さえることで、刺激的な見出しや断片的なSNS投稿に引きずられず、問題の本質を理解できます。
【赤穂市民病院の竹田くんの実名】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:赤穂市民病院の「竹田くん」の実名は松井宏樹ですか?
A1:はい。テレビ朝日は2026年3月12日の報道で、漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルとなった医師を松井宏樹氏と報じています。ただし、漫画の主人公は架空の人物であり、作品の全描写が実在人物の経歴や行動と一致するわけではありません。
Q2:松井宏樹氏の有罪判決はいつ確定しましたか?
A2:2026年3月12日に神戸地裁姫路支部が禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。被告側と検察側が控訴しなかったため、3月27日に判決が確定しました。
Q3:赤穂市民病院の医療事故8件はすべて医療過誤だったのですか?
A3:いいえ。2021年12月の病院発表では、8件のうち1件について医療過誤を認め、ほかの7件については医療過誤ではないとの認識を示しました。8件すべてが刑事裁判で有罪と認定されたわけではありません。
Q4:2026年10月の医師2人への懲戒処分は松井氏に対するものですか?
A4:いいえ。2019年10月2日の医療事故に関する虚偽公文書作成・同行使を理由とする、別の医師2人への院内懲戒処分です。赤穂市民病院は対象者の氏名を公表しておらず、松井氏はすでに退職しているため対象外と説明しています。
Q5:漫画作者への名誉毀損の刑事告訴はどうなりましたか?
A5:松井氏が漫画作者や被害患者の長女、当時の上司を刑事告訴した件について、神戸地検姫路支部は2026年2月20日付で全員を不起訴としました。ただし、作者と松井氏の間には別途、漫画の名誉毀損をめぐる民事訴訟もあります。
まとめ:松井宏樹氏の有罪判決確定後も問われる赤穂市民病院の責任
赤穂市民病院の「竹田くん」のモデルと報じられた医師は、松井宏樹氏です。
2020年1月22日の腰椎手術では、医療用ドリルによる神経損傷で患者に重い後遺障害が残りました。その後、2025年5月に約8900万円の損害賠償命令が確定し、2026年3月には業務上過失傷害罪で禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決も確定しています。
一方、2026年10月30日には、赤穂市民病院が2019年の別の医療事故に関連する虚偽公文書作成・同行使を理由に医師2人を懲戒処分にしました。これは松井氏本人への処分ではなく、医療事故に関する組織内の問題が現在も検証されていることを示す動きです。
『脳外科医 竹田くん』は実際の医療事故をモチーフにしたフィクションですが、その背景にある患者の被害、裁判所の判断、病院の安全管理上の問題は現実の出来事です。
最も重要な教訓は、医療事故を防ぐ責任を個人の注意力だけに委ねないことです。 医師の技量を適切に評価する仕組み、問題が生じた際に手術を止められる体制、事故を隠さず検証する組織文化、患者と家族に対する誠実な説明が欠かせません。
有罪判決が確定したことは一つの大きな節目です。しかし、患者の被害回復と再発防止、医療安全体制への信頼回復という課題は、判決の確定だけで終わるものではありません。
今後も注目すべきなのは、漫画をめぐる法的な争いだけではなく、赤穂市民病院が一連の医療事故から何を学び、どのような再発防止策を実行していくかという点です。