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【楽天モバイル】赤字はなぜ改善した?黒字化に向けた3つの変化

黒木 涼 黒木 涼 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
目次

楽天グループの業績改善を語るうえで、最も重要な事業の一つが楽天モバイルだ。

携帯電話事業への参入以降、基地局整備や通信設備への投資が先行し、グループ全体の利益を圧迫してきた。しかし、2026年上期には契約回線数と顧客単価が伸び、営業損失も前年同期から縮小している。

1. 契約回線数が1,075万回線に増加

2026年6月末時点の楽天モバイルの全契約回線数は1,075万回線。前年同期から178万回線増加した。

この数字にはMNOだけでなく、MVNE、MVNO、BCPなどの回線も含まれる。

契約数の増加は、売上収益の拡大に直結する。楽天グループの決算発表によると、第2四半期の楽天モバイル単体の売上収益は1,013億円で、前年同期比11.9%増だった。

2. ARPU上昇で顧客1人当たりの収益が改善

もう一つの注目点は、ARPU(1回線当たりの平均収益)だ。

楽天モバイルの正味ARPUは2,516円で、前年同期から42円上昇した。オプションサービスの利用拡大などが収益改善に寄与している。

契約数を増やすだけでなく、既存顧客から得られる収益を高める方向に進んでいることがポイントだ。

3. 短期解約対策とネットワーク投資の継続

楽天グループは、短期間の利用を目的とする契約流入を抑制し、継続利用する顧客を中心とした契約基盤の構築を進めている。

通信事業では、新規契約の獲得費用だけでなく、契約後の継続率も収益性を左右する。短期解約が減れば、獲得費用を回収しやすくなり、顧客基盤の安定にもつながる。

一方、通信品質の改善には設備投資が欠かせない。

2026年第2四半期のネットワーク関連設備投資は393億円。2026年度の設備投資計画は2,000億円を維持している。社内人員の集中や工事工程の内製化などを通じて基地局整備を進める方針だ。

注目したいのは、EBITDAが59億円の黒字になっていることだ。ただし、これは減価償却費などを加算した指標であり、営業利益そのものが黒字になったわけではない。

楽天モバイルは赤字脱却の途中にあり、黒字化を達成したと判断するにはまだ早い。 今後は契約者数だけでなく、ARPU、解約率、設備投資額、営業損失の推移を継続して見る必要がある。

【業績推移】楽天は本当に黒字化へ向かっているのか?

楽天の結果

今回の決算を正しく評価するには、単年度の数字だけでなく、過去数年間の推移を確認することが欠かせない。

楽天グループは2023年12月期に大幅な営業赤字を計上し、2024年12月期にIFRS営業利益の黒字化を達成した。しかし、2025年12月期には営業利益が縮小し、親会社帰属損失も拡大した。

2023~2026年の業績比較

決算期 売上収益 IFRS営業利益 親会社帰属損益
2023年12月期 2兆713億円 ▲2,129億円 ▲3,395億円
2024年12月期 2兆2,792億円 530億円 ▲1,624億円
2025年12月期 2兆4,966億円 144億円 ▲1,779億円
2026年12月期・上期 1兆3,091億円 504億円 ▲109億円

楽天グループの公表決算に基づく概数。2026年は1~6月の中間期であり、通期実績ではない。

この推移から、3つのポイントが浮かび上がる。

第一に、売上収益は継続的に拡大している。

2023年の約2兆713億円から2025年には約2兆4,966億円まで増加した。2026年上期も前年同期比12.9%増で、事業規模の拡大は続いている。

第二に、営業利益は安定した回復軌道に入ったとは限らない。

2024年に529億円の営業利益を記録したものの、2025年には143億円まで減少した。2026年上期は504億円に回復したが、下期にも同様の収益力を維持できるかが課題となる。

第三に、最終損益の改善が重要だ。

2025年の親会社帰属損失は1,779億円だった。それが2026年上期には109億円まで縮小している。改善幅は大きいものの、親会社株主に利益を還元できる段階に達したわけではない。

Non-GAAP営業利益とIFRS営業利益の違い

決算を見る際に見落としやすいのが、2種類の営業利益の違いだ。

2026年上期のNon-GAAP営業利益は783億円。一方、IFRS営業利益は504億円だった。

Non-GAAPは、会社が定めた一定の費用などを調整した独自指標である。IFRS営業利益は、国際会計基準に基づく財務諸表上の営業利益だ。

今回の中間決算では、物流事業における倉庫の減損損失等として170億円を計上した。将来的な荷量の見通しが不透明になり、倉庫貸し出しサービスから自社利用へ転換する判断に伴うものだ。また、一部の欧州マーケットプレイス事業の撤退に伴う減損も発生している。

つまり、営業利益の黒字転換は評価できるが、調整後の利益だけを見て経営が完全に安定したと判断するのは適切ではない。

実際の費用負担、設備投資、継続的な収益力を合わせて確認することが重要だ。

【最新ニュース】10月のフィンテック再編と11月13日の決算に注目

2026年8月の中間決算以降、楽天グループでは経営体制にも重要な変化があった。

10月1日、フィンテック事業の再編が完了

楽天グループは2026年10月1日、フィンテック事業再編の効力が発生したと発表した。

この再編により、楽天カードと楽天証券ホールディングスは楽天銀行の連結子会社となった。

金融サービスを一体的に運営することで、顧客基盤の活用や事業効率の向上を目指す取り組みだ。

ただし、今回の再編には決算上の注意点もある。

楽天カードが保有していた楽天ペイメントの株式等を譲渡したことに伴い、楽天グループは第3四半期の連結決算で約230億円の法人所得税費用を計上する見込みと公表した。

この税負担は営業利益ではなく、法人所得税費用として損益に反映される。したがって、モバイル事業などの営業段階で改善が続いていても、最終利益には別の下押し要因が生じる可能性がある。

2026年11月13日が次回の連結決算発表日

今回の第3四半期決算では、次のポイントを確認したい。

- 営業利益の継続性: 上期の黒字転換が7~9月にも続いているか。
- モバイルの赤字縮小: 契約者数とARPUの伸びが損失改善につながっているか。
- フィンテックの収益力: 事業再編後もカード、銀行、証券の成長が続いているか。
- 税負担の影響: 約230億円の法人所得税費用が最終損益にどう反映されるか。

なお、10月29日に発表された楽天証券単体の第3四半期決算は、楽天グループ全体の連結決算とは別物だ。楽天証券は日本基準で決算を公表しており、グループ本体はIFRSを採用している。子会社の好調な数字を、そのまま親会社の連結利益と読み替えないようにしたい。

【株価見通し】楽天グループの株価は今後どう動く?

楽天グループの株価を考える際は、売上成長だけでなく、営業利益の持続性、モバイルの黒字化、財務負担の3点が重要になる。

アナリスト予想と市場の評価

2026年11月3日時点で確認できる市場データでは、11月2日の楽天グループ株の終値は606.7円だった。

みんかぶが掲載する証券アナリスト予想では、平均目標株価は890円。評価の内訳は強気買い2人、買い5人、中立7人となっている。

同じ集計における2026年通期のアナリスト予想は、売上収益約2兆7,654億円、親会社帰属損失約347億円だ。会社側の確定した通期予想ではなく、市場参加者による推計である点には注意したい。

株価を押し上げる可能性がある材料

1. 営業利益の安定的な黒字化

2026年上期のIFRS営業利益504億円は、収益構造の改善を示す数字だ。第3四半期以降も利益を積み上げられれば、投資家の評価が変わる可能性がある。

2. 楽天モバイルの赤字縮小

モバイル事業の営業損失が縮小し、将来的に黒字化が見えてくれば、グループ全体の収益力に対する期待も高まりやすい。

3. フィンテック事業の成長

楽天カードの取扱高拡大、楽天銀行の預金増加、楽天証券の口座数増加は、金融サービス全体の成長余地を示す材料だ。

株価の下落リスクとなる材料

一方、注意すべきリスクも残る。

- モバイル事業の営業赤字が長期化する可能性
- 基地局整備などの設備投資負担
- フィンテック再編に伴う法人所得税費用
- 有利子負債や資本構成に対する市場の警戒
- 金融市場の変動による証券・金融関連収益への影響

特に財務面では、2026年中間期の親会社所有者帰属持分比率は2.9%だった。金融事業の資産規模が大きいというグループ特有の事情はあるものの、資本の厚みや資金調達の柔軟性は引き続き確認したい。

楽天グループは2026年5月に保有有価証券の一部売却で約2,000億円を調達し、同年の社債償還については全額資金手当て済みと説明している。2027年以降についても複数の資金調達手段を組み合わせて管理する方針だ。

株式投資で確認したい判断基準

判断材料 好材料となる状態 注意すべき状態
営業利益 IFRS営業利益が継続して増加 一時的な要因で黒字化
モバイル 営業損失が縮小しEBITDAも改善 契約増加に対して損失が減らない
フィンテック カード・銀行・証券が増益 金利や市場環境への依存が強まる
財務 資金調達と社債償還が安定 利払い・借り換え負担が増加
最終損益 親会社帰属利益が黒字定着 営業黒字でも最終赤字が継続

株価やアナリスト予想は変動する。目標株価は将来の株価を保証するものではなく、特定銘柄の売買を推奨するものでもない。

【楽天の結果】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:楽天グループの2026年最新決算は黒字ですか?

A1:2026年1~6月の中間期では、IFRS営業利益504億円、連結中間利益254億円と黒字でした。ただし、親会社の所有者に帰属する中間損益は109億円の赤字です。4~6月の第2四半期単独では親会社帰属利益77億円の黒字を達成しています。

Q2:楽天グループの次回決算発表日はいつですか?

A2:2026年11月13日(金)15時30分に、2026年度第3四半期決算を発表する予定です。モバイル事業の損失改善やフィンテック再編に伴う税負担が注目点です。

Q3:楽天モバイルは2026年に黒字化しましたか?

A3:営業利益ベースでは、まだ赤字です。2026年4~6月期の楽天モバイル単体のNon-GAAP営業損失は323億円でした。一方、EBITDAは59億円の黒字となり、収益改善は進んでいます。

Q4:楽天カードのショッピング取扱高はいくらですか?

A4:2026年4~6月期のショッピング取扱高は7.1兆円で、前年同期比9.4%増でした。会員基盤の拡大や客単価の上昇が成長を支えています。

Q5:楽天グループの株価は今後上昇しますか?

A5:営業利益の安定化、モバイル事業の赤字縮小、フィンテック事業の成長が続けば、株価の評価改善につながる可能性があります。一方、最終赤字や財務負担、税金費用などのリスクも残ります。決算と財務状況を合わせて判断することが大切です。

まとめ:楽天の結果は回復の兆し、完全黒字化には次の決算が重要

2026年の楽天グループは、売上収益1兆3,091億円、IFRS営業利益504億円という中間決算を達成した。前年同期に営業赤字だったことを考えれば、大きな改善である。

特に、楽天市場を中心とする国内EC、楽天カード・楽天銀行・楽天証券を抱えるフィンテック事業が収益を伸ばし、楽天モバイルも損失縮小に向かっている。

しかし、親会社帰属の中間損失109億円、モバイルの営業赤字、財務面の課題は残っている。10月のフィンテック再編による約230億円の法人所得税費用も、次回決算の見極めを難しくする材料だ。

【プロの結論】楽天の業績を評価する3つの視点

- 事業の成長力: ECとフィンテックの増収が継続するか。
- モバイルの採算性: 契約者数の拡大が営業損失の縮小と黒字化につながるか。
- 親会社株主への利益還元力: IFRS営業利益だけでなく、親会社帰属利益まで黒字が定着するか。

楽天グループは、単なる売上拡大の段階から、各事業の利益を積み上げる段階へ移行しつつある。ただし、営業黒字と最終黒字は別の問題だ。

2026年11月13日の第3四半期決算は、楽天が一時的な業績改善を実現したのか、それとも持続可能な黒字経営へ進んでいるのかを判断する重要な節目となる。 今後の評価では、売上収益の大きさ以上に、営業利益の継続性と親会社帰属損益の改善に注目したい。

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コンテンツディレクター 黒木 涼
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映画・ドラマ担当として5年以上の取材経験。cinema領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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