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ライダイハンとは何か?歴史的背景・推定人数・2026年の現在を徹底解説

相沢 直樹 相沢 直樹 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

ライダイハンとは、ベトナム戦争期の1964年から1973年にかけて、韓国人男性とベトナム人女性の間に生まれた人々を指す呼称である。韓国軍兵士との間に生まれた子どもたちの多くは、戦争終結後も父親と離れたままベトナムで暮らし、出自を理由とする差別や貧困、教育機会の不足などに直面してきた。母親の中には、韓国軍兵士による性暴力を訴える人々もいる。

2026年現在、この問題は単なる戦争の遺産ではなく、国家の責任、戦時性暴力の被害者救済、歴史的事実の解明、そして人権問題として再び問われている。韓国の裁判所がベトナム人虐殺被害者への国家賠償責任を認めた一方、真相究明をめぐる訴訟や被害者による新たな調査申請も続いている。

【基本知識】ライダイハンとは?意味・由来と問題の本質

ライダイハンとは

ライダイハンは、ベトナム語で「Lai Đại Hàn」と表記される言葉である。「ライ」は混血を意味する表現、「大韓」は韓国を指し、韓国人とベトナム人の間に生まれた人々を表す呼称として使われてきた。

主にベトナム戦争中、ベトナムに派遣された韓国軍兵士と現地のベトナム人女性との間に生まれた子どもたちが対象となる。韓国人男性を父親に持ち、ベトナム人女性を母親に持つという出自が共通点だ。

ライダイハンという言葉が持つ複雑な意味

この呼称には注意が必要である。単純に韓国とベトナムのルーツを持つ人々を表すだけでなく、ベトナム社会では混血を理由とする偏見や差別と結びつき、侮蔑的な意味合いで使用されることもある。

そのため、当事者全員がこの呼称を自らのアイデンティティーとして受け入れているわけではない。歴史的な問題を説明する際に使われる言葉と、個人が自分自身をどう認識するかは区別する必要がある。

ライダイハンは全員が性暴力によって生まれたのか

これは大きな誤解の一つである。

韓国軍兵士によるレイプや強制的な性的関係によって妊娠・出産した女性が存在することは、複数の生存者証言や報道によって伝えられている。一方、当時の男女関係のすべてが同じ経緯だったと断定することはできない。合意のあった交際関係や、戦後に父親が帰国して母子が取り残されたケースなども問題の背景に含まれる。

重要なのは、出生の経緯が一様ではないという事実と、性暴力を訴える女性たちの証言を切り離さずに考えることだ。ライダイハン問題は、混血児の存在だけではなく、母親の被害、父親の不在、国家による救済の不足が重なった複合的な人権問題である。

【歴史的背景】韓国軍のベトナム戦争派兵とライダイハンが生まれた時代

ライダイハン問題を理解するには、韓国がなぜベトナム戦争に参加したのかを知る必要がある。

韓国は冷戦期、アメリカとの軍事同盟を背景に、南ベトナム政府とアメリカ側を支援するためベトナムへ軍を派遣した。派兵の背景には反共政策や安全保障上の判断に加え、アメリカからの軍事・経済支援、韓米関係の強化、経済開発の促進といった政治的・経済的事情もあった。

1964年から1973年まで続いた韓国軍の派兵

韓国政府の国家記録院によると、最初の派兵は1964年9月11日。医療部隊やテコンドー教官など計140人がベトナムに派遣された。

1965年には非戦闘部隊に続いて戦闘部隊の派遣が始まり、猛虎部隊(맹호부대)、青龍部隊(청룡부대)、白馬部隊(백마부대)などが投入された。

派兵期間は1973年3月まで続き、累計派兵人員は312,853人に達した。これは同じ兵士が一定期間で交代する延べ人数であり、同時に31万人以上が現地にいたという意味ではない。

ベトナム戦争への派兵は、韓国の近代史における重要な転換点だった。軍事的な経験を積むとともに、アメリカからの経済支援や物資調達、海外建設事業の拡大にもつながった。

戦争終結後に残された母親と子どもたち

戦争中、韓国軍兵士と現地女性との間には子どもが生まれた。しかし、1973年の韓国軍撤退や1975年のサイゴン陥落などを経て、多くの韓国人男性がベトナムを離れた。

父親との連絡が途絶え、認知や養育費、生活支援を受けられないまま成長した子どもたちもいた。母親自身も、未婚で子どもを産んだことや外国人兵士との関係を理由に、家族や地域社会から孤立するケースがあった。

こうして戦争が終わった後も、母子には経済的・社会的な問題が残された。戦争の終結と、被害を受けた人々の生活再建は同じではなかったのである。

【証言・推定人数】性暴力の実態とライダイハンの現在まで続く苦難

ライダイハン問題で特に深刻なのが、韓国軍兵士による性暴力を訴えるベトナム人女性の存在である。

トラン・ティ・ガイさんが証言した戦時性暴力

国際報道で知られる被害証言の一つが、ベトナム人女性トラン・ティ・ガイ(Tran Thi Ngai)さんのケースである。

英紙ガーディアンの2019年の報道によると、ガイさんはベトナム中部フーイエン省で看護師・助産師として働いていた24歳の頃、自宅に侵入した韓国軍兵士から性的暴行を受けたと証言した。

その後、ガイさんは韓国軍兵士との間に子どもをもうけた。加えて、同じ兵士や別の韓国軍関係者による性的暴力を経験し、計3人の子どもを育てることになったという。

彼女の証言は、戦争中の性的暴力が一度限りの事件にとどまらず、その後の生活や母子関係にも長く影響したことを示している。

また、ガイさんの息子トラン・ダイ・ニャット(Tran Dai Nhat)さんは、幼少期に学校で差別や暴力を受けた経験を明らかにしている。韓国人の父親を持つことを理由に侮辱され、学校生活にも支障が生じたという。

彼は後にライダイハン問題の認知と被害者支援を求める活動に関わり、Justice for Lai Dai Han(JLDH)の創設者として活動するようになった。

ライダイハンの推定人数は何人?公式統計がない理由

ライダイハンの人数については、2026年現在も確定した公式統計が存在しない。

韓国の研究者による推計や韓国メディアの報道では、世界各地にいるライダイハンは少なくとも5,000人、最大で30,000人程度とする数字が紹介されている。

英紙ガーディアンの2024年の解説でも、韓国紙「釜山日報」による5,000~30,000人という推定が取り上げられている。ただし、これは政府による国勢調査や出生記録の集計ではない。

調査・情報の種類 人数・内容 数字の性質
ライダイハンの推定人数 約5,000~30,000人 韓国の研究者・報道による推計
JLDH関連の推計 約10,000~30,000人 支援団体が紹介する推定
性暴力被害を訴える母親 約800人 2019年の報道で紹介された当時の推定
韓国軍の累計派兵人員 312,853人 韓国国家記録院の記録
ベトナム民間人虐殺の推計 約10,000人 韓国・ベトナム平和財団の調査を紹介した2026年報道上の推定

ここで注意したいのは、ライダイハンの人数、性暴力被害を訴える母親の人数、ベトナム戦争中の民間人虐殺の犠牲者数は、それぞれ別の統計対象だという点である。これらを合算したり、同じ数字として扱ったりすることはできない。

なぜ正確な人数を把握できないのか

理由は複数ある。

  • 戦争中の出生記録や家族関係の資料が十分に残っていない。
  • 韓国人の父親が帰国し、父子関係が記録されないケースがある。
  • 差別を避けるため、韓国人の血を引くことを公表しない人々がいる。
  • ベトナム政府・韓国政府ともに、ライダイハンを対象とする統一的な人口調査を実施していない。

また、2019年の報道で紹介された性暴力被害女性約800人という数字も、当時の推定であり、2026年現在の生存者数ではない。戦争から半世紀以上が経過した現在、被害女性の高齢化が救済の緊急性を高めている。

【戦争犯罪の検証】フォンニィ・フォンニャット村虐殺とハミ村虐殺の真相

ライダイハン問題と関連して検証すべきなのが、ベトナム戦争中に韓国軍が関与したとされる民間人虐殺事件である。

両者は同じ問題ではない。ライダイハンは戦後に残された母子や性暴力の問題であり、虐殺事件は民間人の生命を奪った軍事行動と国家責任の問題である。ただし、どちらも韓国軍のベトナム派兵が残した人権問題という点で深く結びついている。

1968年2月12日のフォンニィ・フォンニャット村虐殺

ベトナム中部クアンナム省のフォンニィ・フォンニャット村では、1968年2月12日、韓国軍海兵隊による民間人殺害事件が発生した。

生存者の証言やアメリカ軍の調査記録、写真資料などによれば、無抵抗の住民が銃撃や銃剣による攻撃を受け、両村で約74人が犠牲になったとされる。

この事件で家族を失った生存者の一人が、グエン・ティ・タン(Nguyễn Thị Thanh)さんである。当時7歳だった彼女は腹部に銃撃を受け、母親やきょうだいを失った。

2020年4月、タンさんは韓国政府を相手に国家賠償請求訴訟を起こした。

ソウル中央地裁は2023年2月7日、韓国政府に対し、3,000万100ウォンと遅延損害金の支払いを命じた。韓国政府側の主張を退け、韓国軍兵士による違法行為と国家賠償責任を認めた歴史的な判決だった。

さらに2025年1月17日、控訴審でも韓国政府の控訴が棄却され、賠償責任が維持された。韓国の裁判所がベトナム戦争中の民間人虐殺について国家責任を認めた点で、大きな意味を持つ。

ハミ村虐殺では135人が犠牲に

もう一つの代表的な事件が、1968年2月にベトナム中部のハミ村で発生した虐殺である。

韓国軍海兵隊の青龍部隊が関与したとされるこの事件では、女性や子ども、高齢者を含む135人の民間人が犠牲になったと報じられている。

フォンニィ・フォンニャット村事件と同様、韓国軍の作戦と民間人殺害の関係が長年にわたり検証されてきた。一方、ハミ村事件ではフォンニィ事件のような国家賠償判決が確立しているわけではない。

2025年8月13日、ソウル高裁はハミ村虐殺の被害者・遺族が求めた真実和解委員会による調査を認めない判断を維持した。外国人が国外で受けた人権侵害は、当時の過去事整理法による調査対象に含まれないという法的な問題が壁になった。

しかし、被害者側はこの判断を不服として最高裁に上告している。2026年には、この問題が大法院(韓国最高裁)の全員合議体で審理されることになった。

虐殺事件をめぐる証拠と検証の重要性

韓国軍による民間人殺害の問題が1990年代末から本格的に報道されるようになった背景には、被害者証言、アメリカ軍の機密解除資料、韓国軍関係者の証言などがある。

2018年には、韓国の市民団体や法律家による民衆法廷も開催された。これは国家裁判所の正式な判決ではないが、証言や資料を集め、被害者の訴えを国際的に伝える役割を果たした。

また、韓国の研究者による調査では、約80件の民間人殺害疑惑や最大9,000人規模の犠牲者推計も紹介されている。2026年の韓国紙の報道では、韓国・ベトナム平和財団の2018年調査として、約130村、推定約10,000人という数字も取り上げられた。

ただし、これらは公的に確定した死者数ではなく、調査対象や集計方法の異なる推計である。特定の事件で裁判所が認定した事実と、戦争全体に関する推計を混同しないことが重要だ。

【政府の対応】韓国・ベトナム両国の謝罪と外交問題

ライダイハン問題が長期化している大きな理由は、韓国政府による正式な歴史認定や被害者救済が十分に進んでいないことにある。

韓国政府は正式に謝罪したのか

韓国の歴代大統領は、ベトナム戦争をめぐる両国の歴史に対して遺憾の意を示してきた。

2004年には盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がベトナムを訪問し、過去の歴史に対する遺憾の意を表明した。2018年には文在寅(ムン・ジェイン)大統領もベトナム訪問時に、両国の胸に残る不幸な歴史について遺憾を表明している。

しかし、これらは韓国軍による個別の虐殺や性暴力を明示的に認めた謝罪とは異なる。

2023年には、韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官が国会で、韓国軍による虐殺はなかったとの立場を示し、フォンニィ事件の国家賠償判決にも反発した。

一方、韓国の裁判所は2023年と2025年の判決で、フォンニィ事件について具体的な国家賠償責任を認めている。政府の政治的立場と司法判断との間には明確な隔たりが存在する。

ベトナム政府はどのような対応を取っているのか

ベトナム政府も、過去の戦争問題をめぐって難しい立場にある。

韓国はベトナムにとって重要な投資・貿易相手国であり、両国は1992年の国交樹立以降、経済・文化・人的交流を拡大してきた。2022年には包括的戦略パートナーシップに関係が格上げされている。

2023年3月、韓国政府がフォンニィ事件の国家賠償判決に控訴したことについて、ベトナム外務省のファム・トゥ・ハン副報道官は次の趣旨を表明した。

「過去を棚上げし、未来に目を向けるというベトナムの立場は、歴史的真実を否定することを意味しない」

この発言は、経済・外交関係を発展させながらも、過去の出来事をなかったことにはできないというベトナム政府の姿勢を示している。

2025年1月には、ソウル高裁が韓国政府の賠償責任を維持したことについて、ベトナム外務省は歓迎する声明を発表した。戦争の被害を克服するための実質的な取り組みを求めるとともに、両国の友好関係の発展に期待を示した。

2026年の日韓ではなく韓越外交の現状

2026年4月22日、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領はベトナムを訪問し、トー・ラム党書記長兼国家主席と首脳会談を行った。

韓国外交部が公開した共同発表文では、貿易・投資、エネルギー、インフラ、科学技術、文化、人的交流などの協力が中心的に取り上げられている。ベトナムにおける韓国企業の活動や両国の経済連携、在留者や多文化家庭の権益も議題となった。

一方、この公表された共同発表文では、ライダイハンや戦時性暴力、1968年の民間人虐殺に関する具体的な謝罪・調査合意は確認できない。

外交関係の緊密化と、戦争被害の歴史的解決は別の課題として残っている。

【国際社会の反応】Justice for Lai Dai Hanと人権救済運動

ライダイハン問題は、韓国とベトナムの二国間問題にとどまらず、国際的な戦時性暴力や人権救済の議論にもつながっている。

JLDHとは?ライダイハンのための正義を求める活動

JLDHは「Justice for Lai Dai Han」の略称で、ライダイハンとその母親たちの人権回復を求める国際的なキャンペーン団体である。

主な活動は以下のとおりだ。

  • 韓国軍兵士による性暴力についての国際的な調査を求める。
  • 被害を訴えるベトナム人女性と子どもたちの証言を世界に伝える。
  • 韓国政府に歴史的事実の認定と謝罪を求める。
  • ライダイハンの教育・医療・社会福祉へのアクセスを支援する。
  • 政策関係者や人権活動家、芸術家との連携を進める。

同団体は、性暴力被害者の救済を国際社会に訴えており、国連人権理事会による独立調査なども求めている。

ノーベル平和賞受賞者らも支援

JLDHの活動には、2018年のノーベル平和賞受賞者ナディア・ムラド氏や、英国の元外相ウィリアム・ヘイグ氏など、国際的な人権問題に関わってきた人物も支持を表明している。

こうした支援は、ライダイハン問題を特定の国に対する政治的な批判だけでなく、戦時性暴力の被害者に対する正義と救済の問題として位置づけるものだ。

ただし、国際的な支援や調査要請が存在することと、国連などの国際機関が韓国軍による性暴力の全容を公式認定したことは同じではない。独立した包括的調査が実現したわけではない点にも注意したい。

国際社会が問題視する二重基準

この問題で繰り返し指摘されるのが、戦時性暴力に対する国家の姿勢の一貫性である。

韓国政府は日本軍慰安婦問題について、歴史的事実の認定や被害者への謝罪を国際社会で強く求めてきた。一方、自国軍が関与したとされるベトナムでの性暴力については、同じ水準の公的な認定や救済が実現していない。

被害者支援団体が問題視しているのは、加害国がどこであっても、被害者の証言に耳を傾け、事実を調べ、必要な救済を実施するという人権原則が守られるべきだという点である。

【2026年最新】ライダイハン問題の現在と今後の重要な動き

2026年は、ベトナム戦争中の民間人被害をめぐる韓国国内の法的・制度的な議論が再び動いている年である。

2026年7月、ベトナム人9人が真実和解委員会に調査を申請

2026年7月31日付の韓国紙「The Korea Times」の報道によると、韓国の法律家団体「民主社会のための弁護士会(Minbyun)」のベトナム戦争タスクフォースと韓国・ベトナム平和財団は、ベトナム人9人を代理して韓国の真実和解委員会に調査申請を提出した。

申請者の内訳は、生存者8人と遺族1人。7人はハミ村虐殺、2人は1966年11月9日に発生したとされるフオックビン村の民間人殺害事件に関係している。

ハミ村虐殺については、以前の真実和解委員会が、被害者が外国人で事件が国外で発生したことを理由に調査申請を却下していた。2026年の再申請は、新たな調査の道を開くための動きである。

また、同委員会は新体制の下で、被害者の訴えや国家調査の必要性に理解を示す姿勢を見せている。関連法の改正など制度的な解決も検討課題となっている。

韓国最高裁では二つの異なる問題が審理されている

2026年5月6日の聯合ニュースによると、ハミ村虐殺に関する真実和解委員会の調査却下をめぐる行政訴訟が、韓国最高裁の全員合議体に回付された。

2025年8月にソウル高裁が被害者側の訴えを退けた後、被害者側が上告していたものである。争点は、外国人が国外で受けた人権侵害について、韓国の真実和解委員会が調査できるかどうかだ。

加えて、フォンニィ村の生存者グエン・ティ・タンさんが起こした国家賠償訴訟も、2026年5月時点で最高裁の上告審が続いている。

この二つは別の裁判である。前者は国家機関による歴史調査の権限、後者は特定の被害者に対する国家賠償責任が中心となる。

2026年に残された課題

現在のライダイハン問題を考えるうえで、重要なのは次の4点である。

  • 歴史的事実の解明:韓国軍の作戦記録や外交文書、証言資料の公開と独立調査。
  • 被害者の名誉回復:性暴力被害を訴える女性や、その子どもたちの尊厳を守る取り組み。
  • 具体的な生活支援:高齢化する母親や経済的に困難な家庭への医療・教育・福祉支援。
  • 国家間の協力:韓国・ベトナム両政府による歴史認識と戦争被害の克服に向けた協議。

特に重要なのは時間の問題である。戦争から半世紀以上が経過し、直接証言できる被害者は高齢化している。証言者が亡くなれば、当時の状況を明らかにする機会も失われる。調査と救済には、迅速な対応が求められている。

【ライダイハンの意味・歴史】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ライダイハンとは簡単にいうと何ですか?
A1:ベトナム戦争期に韓国人男性とベトナム人女性の間に生まれた人々を指す呼称です。戦争終結後、父親が帰国して母子が取り残されたケースや、出自を理由とする差別を経験した人々がいます。

Q2:ライダイハンは何人いるのですか?
A2:公式統計はありません。韓国の研究者や報道で紹介されている推定は約5,000~30,000人です。これは確定した人口ではなく、調査方法によって変わる推計値です。

Q3:ライダイハンは全員が韓国軍によるレイプの被害者なのですか?
A3:全員がそうだとは確認されていません。ただし、韓国軍兵士によるレイプや強制的な性的関係を訴えるベトナム人女性が存在し、その証言や子どもたちの被害経験が国際的に報道されています。

Q4:韓国政府はライダイハンに謝罪していますか?
A4:歴代大統領がベトナム戦争をめぐる不幸な歴史について遺憾の意を表明したことはあります。しかし、性暴力被害やライダイハン問題を明確に認定した包括的な国家謝罪・救済制度は実現していません。

Q5:2026年現在、問題は解決していますか?
A5:解決していません。韓国では民間人虐殺被害者の国家賠償訴訟や真実和解委員会への調査申請が続いています。ライダイハンの母子に対する包括的な救済や歴史認定も課題として残っています。

Q6:JLDHとは何ですか?
A6:Justice for Lai Dai Hanの略称です。ライダイハンとその母親の人権回復、韓国政府による歴史認定、性暴力問題の独立調査などを求める国際的な支援・啓発団体です。

まとめ:ライダイハン問題の本質は歴史認識と被害者の尊厳にある

ライダイハンとは、ベトナム戦争期に韓国人男性とベトナム人女性の間に生まれた人々を指す呼称であり、その背景には戦争、性暴力、父親との離別、差別、貧困という複数の問題が存在する。

推定人数は約5,000~30,000人とされるが、公式統計はない。韓国軍兵士による性暴力を訴える女性の証言や、混血を理由に差別された子どもたちの経験は、戦争が終わった後も人権侵害が続くことを示している。

2025年にはフォンニィ事件の国家賠償責任が控訴審でも認められ、2026年にはハミ村などの被害者による新たな調査申請や最高裁での審理が進んでいる。これは、長く表面化しなかった問題が、司法と市民社会の働きかけによって再び検証されていることを意味する。

【プロの結論】

ライダイハン問題を理解する際に必要なのは、韓国とベトナムのどちらか一方を単純に善悪で分類することではない。戦争という極限状況の中で何が起き、誰が被害を受け、その後どのような責任が果たされなかったのかを具体的に考えることである。

判断の基準となるのは、被害者本人の証言、当時の軍事・外交資料、裁判所の認定、政府の公式発表、独立した研究機関による調査を区別して確認することだ。推定人数を確定値として扱わず、個々の出生事情を一括りにせず、性暴力や虐殺の訴えを政治的な対立の道具にしない姿勢も欠かせない。

戦争の歴史は、勝者や国家の公式記録だけで完結するものではない。そこから取り残された母親や子どもたちの声を記録し、事実を明らかにし、必要な救済につなげることが、2026年以降も続くべき課題である。

主な取材・確認資料

- 韓国国家記録院・韓国軍ベトナム派兵の公式記録。
- 韓国法制処・フォンニィ事件の国家賠償判決。
- ガーディアン・ライダイハンの母親の証言と推定人数。
- Justice for Lai Dai Han・被害者支援と国際調査要求。
- 韓国聯合ニュース・2026年5月の最高裁審理状況。
- The Korea Times・2026年7月の真実和解委員会への新規申請。
- 韓国外交部・2026年4月の韓越首脳会談共同発表。
- ベトナム政府・2025年の控訴審判決に対する公式反応。

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相沢 直樹
トレンドリサーチャー 相沢 直樹
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スポーツ担当として7年以上の取材経験。sports領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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