ホーム 芸能ニュース・ゴシップ 妊婦の足裏マッサージで死亡する?流産との因果関係と事故の真相を2026年検証

妊婦の足裏マッサージで死亡する?流産との因果関係と事故の真相を2026年検証

真壁 直樹 真壁 直樹 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
目次

「妊婦が足裏マッサージを受けたことで死亡した」という情報は、単なるインターネット上の噂なのでしょうか。それとも、実際に起きた医療事故なのでしょうか。調べていくと、2019年にタイで報道された妊婦の死亡事例に加え、2020年には妊娠中の下肢マッサージと深部静脈血栓症、肺塞栓症の関係を扱った医学論文も発表されていることが分かります。

一方、日本で過去に報告されたマッサージ器による死亡事故は、妊婦への足つぼ施術とは異なる製品事故です。また、足裏の特定のツボを押すと必ず流産するという医学的根拠も確立されていません。2026年11月現在確認できる厚生労働省の資料、日本の産婦人科関連情報、海外の医学論文をもとに、死亡事故の経緯、流産との因果関係、妊娠初期・後期の注意点、安全なむくみ対策を整理します。

【結論】妊婦の足裏マッサージで死亡するという情報は本当なのか?

妊婦足裏マッサージ死亡

結論からいえば、妊娠中の足裏・下肢マッサージを受けた直後に重篤な状態になり、胎児死亡に至った医学的症例は実在します。加えて、足のマッサージをきっかけに肺塞栓症が発生したと考えられる症例も医学論文に記録されています。

ただし、ここで区別しなければならないのは、足裏の反射区を軽く刺激するリフレクソロジーと、ふくらはぎを含む脚全体への強いマッサージです。

妊娠中に注意すべき重大な問題の一つは、足裏のツボを押すことで直接子宮に異常が起きるという話ではありません。妊娠によって血液が固まりやすくなり、下肢にできた血栓がマッサージによって移動する可能性があることです。

死亡事故として混同されやすい3つの事例

検索結果では、次の3種類の出来事が混在しています。

  • 日本で発生した家庭用ローラー式電気マッサージ器の死亡事故。
  • 2019年にタイで報道された、足裏マッサージ後に意識不明となった妊婦の事例。
  • 2020年に医学論文として公表された、妊娠25週の女性が下肢マッサージ後に大量肺塞栓症を発症した事例。

このうち、日本の製品事故は衣服の巻き込みによる窒息が原因です。タイの症例は、血栓症や肺塞栓症という医学的問題が関係しています。事故の原因も発生状況も異なります。

したがって、「妊婦が足裏を押されると死亡する」という単純な説明では、実際の事故の医学的背景を正しく理解できません。

【死亡事故の真相】タイの妊婦死亡報道とマッサージ器事故の経緯

妊婦の足裏マッサージ死亡という検索キーワードが広まる背景には、タイで報道された痛ましい事例があります。

2019年7月に報道されたタイの女性の事例

2019年7月27日、Techinsightが配信した海外ニュースがライブドアニュースなどに掲載されました。

報道によると、タイのチェンマイで、当時25歳だったウィラワン・ケドケスリさん(Wirawan Kedkesri)が、2019年1月11日に足裏マッサージ店を訪れました。妊娠中だった女性は施術開始後まもなく意識を失い、救急搬送されることになりました。

報道では、搬送中に脳卒中と心停止を起こし、胎児を失ったとされています。医療機関では肺塞栓症と虚血性脳卒中が確認されたと伝えられ、その後、女性は脳死と診断され、生命維持装置による管理が続きました。

そして、事故から約6か月後の2019年7月19日、家族の判断で生命維持装置が外され、女性は亡くなったと報道されています。

このニュースで特に重要なのは、足裏マッサージの直後に発症したという時間的な関係と、肺塞栓症などの重大な疾患が報告されている点です。ただし、報道された経緯だけから、足裏への刺激そのものがすべての病態を引き起こしたと断定することはできません。

2020年には妊娠中の下肢マッサージに関する医学論文も発表

さらに重要なのが、2020年4月22日に医学雑誌『BMC Pregnancy and Childbirth』で公表された症例報告です。

論文のタイトルは「Leg massage during pregnancy with unrecognized deep vein thrombosis could be life threatening: a case report」。日本語にすると、未発見の深部静脈血栓症がある妊婦への脚のマッサージは生命を脅かす可能性がある、という内容です。

この論文では、妊娠25週の25歳のタイ人女性が、チェンマイのマッサージ店で脚と足の施術を受けた後、突然の呼吸困難に陥った経緯が報告されています。

施術開始から約5〜10分後に症状が現れ、女性は意識を失い、心停止に至りました。医療チームによる蘇生で心拍は回復したものの、意識は戻らず、検査によって両側の肺動脈に大量の血栓があることが確認されました。

加えて、脚の超音波検査でも深部静脈血栓症が確認されています。胎児も子宮内で死亡し、女性は論文執筆時点で、事故から約2か月が経過しても意識不明の状態でした。

研究者らは、妊娠による血液凝固傾向の変化に加え、もともと存在していた可能性のある血栓が脚へのマッサージによって移動し、肺塞栓症につながったと考察しています。

なお、この2020年の医学論文の症例と、2019年に報道されたウィラワンさんの事例は、妊娠歴などの記載が一致しません。両者を同一人物の事故として扱うことは適切ではありません。また、2020年の論文では、少なくとも執筆時点で女性が亡くなったとは記されていません。

日本のマッサージ器死亡事故は妊婦の施術事故とは別物

もう一つ、検索で混同されやすいのが、日本の家庭用ローラー式電気マッサージ器の死亡事故です。

厚生労働省の注意喚起によると、株式会社的場電機製作所が製造販売していた「アルビシェイプアップローラー」と「シェイプアップローラーII」では、ローラー部分の布カバーを外した状態で使用したことにより、衣服が巻き込まれ、使用者が窒息死する事故が発生しました。

厚生労働省に報告された死亡事故は、平成11年(1999年)、平成15年(2003年)、平成20年(2008年)、平成24年(2012年)、平成26年(2014年)、平成29年(2017年)の計6件です。

対象製品は1983年から1996年にかけて販売されたもので、メーカーは使用中止と回収を呼びかけています。これは妊婦の足つぼ施術による事故ではなく、製品の不適切な使用による機械的な事故です。

また、厚生労働省は別製品のハンディマッサージャーGM-2(愛称・もみ太くん)についても、布カバーが破れた状態で使用した際にマフラーが巻き込まれた死亡事故を1件報告しています。

【噂と事実を比較】妊婦のマッサージ死亡事故を時系列で整理

これまでの情報を、事故の原因や医学的な意味が混同されないように整理しました。

時期 出来事・対象 確認できる内容
1983〜1996年 ローラー式マッサージ器の販売 アルビシェイプアップローラーなどを販売。計約78万台。
1999〜2017年 日本の死亡事故 対象のローラー式マッサージ器で衣服が巻き込まれ、窒息死が計6件発生。
2019年1月11日 タイの足裏マッサージ事故 妊娠中の25歳女性が施術後に意識不明となり、胎児を失ったと報道。
2019年7月19日 タイの女性の死亡 約6か月間の生命維持管理の後、生命維持装置が外され、死亡したと報道。
2020年4月22日 医学論文の公表 妊娠25週の女性の下肢マッサージ後に大量肺塞栓症が発生した症例を公表。
2023年 妊娠中のリフレクソロジー研究 妊娠中の反射療法に関するランダム化比較試験の系統的レビューが公表。
2026年11月 医学的な判断基準 流産との因果関係、血栓症のリスク、施術方法を区別して判断する必要がある。

この比較から分かるのは、「マッサージを受けた妊婦が死亡した」という報道が存在する一方、すべての足裏マッサージが危険であることを示す医学的データはないということです。

特に注目したいのは、2020年の医学論文です。単なるインターネット上の体験談ではなく、肺塞栓症が画像検査で確認され、下肢の深部静脈血栓症も検査で確認された症例です。妊娠中の脚への強い刺激を考えるうえで、無視できない医学的な警告となっています。

【流産との因果関係】妊娠初期の足つぼマッサージは本当に危険なのか

妊娠中のマッサージについて、特に不安を抱く人が多いのが流産との関係です。

「妊娠初期は赤ちゃんが不安定だからマッサージを受けてはいけない」「足裏の特定のツボを押すと子宮が収縮して流産する」といった説明を見かけることがあります。

しかし、医学的には、一般的なマッサージによって流産率が上昇するという因果関係は確立されていません。

2023年の医学研究では流産リスクを高める証拠は確認されていない

2023年3月に『International Journal of Therapeutic Massage & Bodywork』で発表された研究では、妊娠初期のマッサージと流産に関する一般的な考え方を、生理学的な観点から検証しています。

研究者らは、マッサージによる血流変化、胎盤への影響、ホルモン変化、子宮収縮などについて検討しました。その結果、マッサージが妊娠中の流産リスクを高めるとする科学的根拠は確認できないと結論づけています。

ただし、重要な留保があります。この研究は妊娠初期のマッサージの安全性を直接証明した大規模臨床試験ではありません。妊娠初期だけを対象にした質の高い安全性研究は不足しています。

したがって、「マッサージを受ければ絶対に安全」という意味でも、「マッサージを受けたから流産した」という意味でもありません。

流産の原因はさまざまであり、マッサージを受けた後に流産が起きたという時間的な前後関係だけで、施術が原因だったと判断することはできません。

妊婦が注意するよういわれる三陰交・合谷・至陰とは

妊娠中のツボ押しについては、東洋医学や伝統的な施術の世界で、いくつかの経穴が注意対象として挙げられます。

  • 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの上方に位置するツボ。婦人科領域や分娩との関係が伝統的に語られる。
  • 合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の骨が交わる付近に位置するツボ。さまざまな不調への施術に用いられる。
  • 至陰(しいん):足の小指の外側に位置するツボ。伝統的には分娩との関係が知られている。

これらは、妊娠中のマッサージや指圧に関する情報で「押してはいけないツボ」として紹介されることがあります。

しかし、これらの場所を通常の強さで押すだけで流産や早産が起きるという確かな医学的証拠はありません。

2021年に公表された妊娠中のリラクゼーションマッサージに関する系統的レビューでも、特定のツボ刺激が陣痛を誘発するという科学的な裏付けは確認されていません。紹介された研究では、指圧後97時間以内の陣痛開始に影響が認められなかった試験もあります。

ただし、科学的な証拠が十分でないことは、妊娠中に強い刺激を与えても問題ないという意味ではありません。特定のツボを自己判断で強く刺激する施術は避け、妊婦への施術経験がある専門家や産科医に相談することが望まれます。

妊娠中のリフレクソロジーに関する研究結果

2023年7月に医学誌『Heliyon』で公表された系統的レビューでは、妊婦を対象にした13件の研究が検討され、そのうち10件、計835人を対象とするランダム化比較試験がメタ解析に含まれました。

研究では、リフレクソロジーが妊娠中の不安や分娩時の痛み、分娩時間などに良い影響を与える可能性が示されています。

一方、研究ごとに施術時間、刺激する場所、妊娠週数などが異なり、研究の質にもばらつきがありました。足や足首のむくみを改善する効果についても、十分な根拠は得られていません。

つまり、妊娠中のリフレクソロジーには一定の研究実績があるものの、どの妊婦にも、どのような方法でも安全だと保証できる段階ではありません。

【妊娠中の本当の危険性】ふくらはぎのマッサージと深部静脈血栓症

妊娠中の足裏・下肢マッサージを考えるうえで、最も慎重に扱うべき医学的問題が深部静脈血栓症(DVT)です。

妊娠中は出産時の出血に備えて血液が固まりやすい状態になります。また、大きくなる子宮が骨盤内の血管を圧迫することで、脚から心臓へ戻る血液の流れが滞りやすくなります。

こうした変化によって、妊婦は血栓ができるリスクが高くなります。

血栓が肺に移動すると肺塞栓症を引き起こす

深部静脈血栓症は、脚の深い部分にある静脈に血の塊ができる病気です。

問題は、できた血栓が血管内を移動する可能性があることです。血栓が静脈を通って肺動脈に到達し、血流を塞いでしまうと肺塞栓症になります。

肺塞栓症では、突然の呼吸困難、胸痛、意識障害、心停止などが起きる可能性があります。重症の場合は命に関わる緊急疾患です。

2020年のタイの症例報告では、脚と足のマッサージ後に大量肺塞栓症を発症した妊婦について、もともと存在していた深部静脈血栓が施術によって移動した可能性が指摘されました。

この症例が示しているのは、マッサージそのものが血栓を新たに作るということではありません。すでに血栓が存在する場合、脚への機械的な刺激が重大な結果につながる可能性があるということです。

こんな症状があるときはマッサージを受けない

妊娠中に次のような症状がある場合は、足裏やふくらはぎを揉んで様子を見るのではなく、医療機関での評価を優先してください。

  • 片方のふくらはぎだけが腫れている。
  • 片脚に痛みや圧痛がある。
  • 片脚だけが赤くなったり、熱を持ったりしている。
  • 突然、片脚のむくみが強くなった。
  • 脚の痛みとともに歩きにくさが生じている。

日本産婦人科医会も、片側性の下肢・ふくらはぎの腫脹、圧痛、発赤、熱感などがある場合には、深部静脈血栓症の可能性を考え、早急に専門的な診察を受ける必要があると説明しています。

また、突然の息切れ、胸痛、失神などが起きた場合は、肺塞栓症の可能性もあるため、直ちに救急対応が必要です。

片脚だけの腫れや痛みがあるときは、血栓の有無が確認されるまで、ふくらはぎを強く揉まないでください。

【妊娠初期・後期の注意点】マッサージを受けるなら何を避けるべきか

妊娠中のマッサージは、妊娠週数や母体の健康状態、施術方法によって注意点が異なります。

妊娠初期のマッサージで注意すること

妊娠初期は、流産に対する不安が強くなりやすい時期です。しかし、通常のマッサージが流産を引き起こすという科学的な因果関係は確認されていません。

一方、妊娠初期のマッサージに関する安全性研究は十分ではありません。施術を希望する場合は、事前に産科医へ相談し、妊娠週数と体調を伝えることが大切です。

特に次のような状態では、自己判断で施術を受けないようにしてください。

  • 性器出血がある。
  • 下腹部痛や強い張りがある。
  • 切迫流産などで医師から安静を指示されている。
  • 妊娠経過に医学的な問題がある。
  • 施術中に気分が悪くなりやすい。

妊娠後期の足裏マッサージで注意すること

妊娠後期は、子宮が大きくなり、脚から心臓に戻る血液の流れが妨げられやすくなります。そのため、足首やふくらはぎのむくみを感じる妊婦も少なくありません。

しかし、むくみがあるからといって、強く揉めばよいわけではありません。

特に、片脚だけが腫れている場合や痛み・熱感がある場合は、深部静脈血栓症を疑う必要があります。原因が分からないまま、強いふくらはぎのマッサージを受けることは避けてください。

また、妊娠後期は施術中の姿勢にも注意が必要です。お腹が大きくなった状態で長時間仰向けになると、大きな子宮が太い静脈を圧迫して、気分不良や血流への影響が生じる場合があります。

横向きや座った姿勢など、身体に負担をかけにくい姿勢を選ぶことが大切です。

家庭用の足裏マッサージ器は使用してもよい?

家庭用の足裏マッサージ器や電動ローラーについても、妊娠中は慎重に扱う必要があります。

通常のマッサージ器による足裏への刺激と、過去に発生したローラー式電気マッサージ器の窒息事故は別問題です。ただし、妊娠中の使用についてメーカーが禁忌や注意事項を定めている場合があります。

使用前には必ず取扱説明書を確認し、妊娠中の使用可否について産科医にも相談してください。

特に、強い振動や圧迫を加える機器、脚全体を強く揉むタイプの機器を自己判断で使用することはおすすめできません。

【安全なむくみ対策】妊婦が足裏マッサージの代わりにできること

妊娠中の足のむくみは、必ずしも病気によるものではありません。妊娠に伴うホルモンの変化や血液量の増加、大きくなった子宮による血管の圧迫などが関係しています。

MSDマニュアル家庭版でも、妊娠後半の軽度のむくみは一般的な身体変化として説明されています。ただし、重い病気が隠れていないかを確認することが前提です。

自宅で取り入れやすいむくみ対策

強いマッサージに頼らなくても、日常生活の工夫で脚の負担を軽減できる場合があります。

  • 脚を少し高くして休む:クッションなどを使い、無理のない姿勢で脚を挙上する。
  • 横向きで休む:左側を下にした姿勢は、子宮による下大静脈への圧迫を軽減する助けになる。
  • 軽く歩く:体調が良いときに、無理のない範囲で歩行する。
  • 足首を動かす:座った状態で足首をゆっくり動かし、長時間同じ姿勢を続けない。
  • 衣服や靴下を見直す:足首やふくらはぎを過度に締め付けないものを選ぶ。
  • 弾性ストッキングを検討する:必要性や適切な種類について医療機関に相談する。

水分を極端に制限することは避け、医師から特別な指示がある場合を除き、適切な水分補給を心がけてください。

マッサージを受ける前に確認したい5つの条件

妊娠中にリラクゼーション目的のマッサージを希望する場合は、次の条件を確認してください。

  1. 産科医に相談する:妊娠週数、持病、血栓症のリスク、現在の症状を伝える。
  2. 妊婦への施術経験を確認する:妊娠中の身体変化や施術上の注意点を理解した施術者を選ぶ。
  3. 強い刺激を避ける:痛みを我慢するような足裏・下肢への圧迫を受けない。
  4. 姿勢に配慮する:横向きや座位など、身体に負担の少ない姿勢を選ぶ。
  5. 異常があれば中止する:腹痛、出血、息苦しさ、めまい、強い痛みなどがあれば直ちに施術をやめる。

アメリカ産科婦人科学会(ACOG)も、妊娠中のマッサージについて、妊娠中であることを施術者に伝え、妊婦への施術訓練を受けた専門家を選ぶこと、横向きの姿勢を利用することなどを紹介しています。

ただし、妊婦向けの施術経験があることだけで、血栓症などの医学的リスクがなくなるわけではありません。妊娠経過に問題がある場合や、血栓症が疑われる場合は、施術よりも診察を優先する必要があります。

【プロの結論】妊婦の足裏マッサージは何を基準に判断すべきか

妊娠中の足裏マッサージをめぐる問題は、「安全か危険か」という二択だけでは整理できません。

今回確認した資料から見えてくるのは、足裏への軽い刺激、強い下肢マッサージ、家庭用電気マッサージ器による機械的な事故を、それぞれ別のリスクとして考える必要があるということです。

特に重要なのは、妊娠中の血栓症リスクです。妊婦の身体では血液凝固や静脈血流に変化が起こるため、通常の健康状態の人と同じ感覚で脚を強く揉むことは適切ではありません。

一方、足裏のツボを押すだけで流産するという話には、確立された医学的根拠がありません。妊娠初期にマッサージを受けた経験がある人が、後に流産したとしても、それだけで施術を原因と考えることはできません。

妊婦への施術を考える際は、次の判断基準を参考にしてください。

  • 比較的検討しやすいケース:妊娠経過が順調で、産科医に相談済み。妊婦への施術経験がある施術者による、痛みのない穏やかなリラクゼーションを希望する場合。
  • 施術前に医師の判断が必要なケース:妊娠高血圧症候群、切迫流産・切迫早産、出血、血栓症の既往、その他の合併症がある場合。
  • 施術を避けて受診すべきケース:片脚だけの腫れや痛み、赤み、熱感、突然の息苦しさ、胸痛、意識障害などがある場合。

妊娠中のリラクゼーションをすべて諦める必要はありません。しかし、むくみや痛みを解消したいからといって、強い刺激を受けることが最善とは限りません。

足裏マッサージの安全性を判断するうえで最も大切なのは、ツボの名前だけを見ることではなく、妊娠週数、血栓症の可能性、刺激の強さ、施術者の知識、母体の健康状態を総合的に確認することです。

【妊婦の足裏マッサージ死亡】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:妊婦が足裏マッサージを受けると流産することがありますか?
A1:通常の足裏マッサージが流産を引き起こすという因果関係は確立されていません。ただし、妊娠経過や体調によって施術の適否は異なります。妊娠初期や出血・腹痛がある場合は、事前に産科医へ相談してください。

Q2:妊娠中に押してはいけないツボはどこですか?
A2:三陰交、合谷、至陰などは、伝統的に妊娠・分娩との関係から注意が必要とされるツボです。ただし、これらを押すだけで流産や早産が起こるという確かな証拠はありません。妊娠中は自己判断で強く刺激せず、専門家に相談してください。

Q3:妊婦のふくらはぎをマッサージするのは危険ですか?
A3:血栓症がないと確認された健康な妊婦への穏やかなケアと、強い揉みほぐしは区別する必要があります。妊娠中は深部静脈血栓症のリスクが高まるため、特に片脚だけの腫れや痛み、熱感がある場合はマッサージを避け、医療機関を受診してください。

Q4:妊娠後期の足のむくみはマッサージで解消できますか?
A4:妊娠後期のむくみには生理的なものもありますが、妊娠高血圧症候群や深部静脈血栓症などが隠れている場合もあります。脚を高くして休む、横向きになる、軽い運動を取り入れるなどの方法を検討し、強いマッサージを自己判断で行わないことが大切です。

Q5:足裏マッサージ器による死亡事故は妊婦の事故だったのですか?
A5:厚生労働省が公表している旧型ローラー式電気マッサージ器の死亡事故は、布カバーを外した使用によって衣服が巻き込まれ、窒息した事故です。妊婦への足つぼ施術による死亡事故とは別の問題です。対象となる旧型製品は使用を中止する必要があります。

まとめ:妊婦の足裏マッサージは正しい医学知識で判断する

妊婦の足裏マッサージによる死亡という情報には、実際の海外報道や医学論文に基づく事例があります。特に、2020年に公表されたタイの症例報告では、妊娠25週の女性が脚と足のマッサージ後に大量肺塞栓症を発症し、胎児も死亡するという深刻な経過が記録されています。

一方、日本で発生した旧型マッサージ器の死亡事故は、衣服の巻き込みによる窒息が原因であり、妊婦への足裏マッサージとは直接関係ありません。

また、足つぼマッサージが流産を引き起こすという医学的な因果関係も確立されていません。必要以上に恐れるのではなく、血栓症の兆候を見逃さないこと、強い下肢への刺激を避けること、産科医に相談してから施術を選ぶことが重要です。

2026年現在、妊娠中のリラクゼーションは、母体の健康状態を優先しながら慎重に選択することが大切です。安心して妊娠生活を送るためにも、インターネット上の「押すと流産するツボ」という断定的な情報だけに頼らず、医学的な根拠と実際の身体の状態を基準に判断してください。

主な医学的・公的根拠資料

- 厚生労働省「家庭用電気マッサージ器の正しい使用について」—死亡事故6件の経緯と製品情報。
- Suthamら『BMC Pregnancy and Childbirth』(2020年)—妊娠25週の女性に発生した下肢マッサージ後の肺塞栓症症例。
- Fogartyら『International Journal of Therapeutic Massage & Bodywork』(2023年)—妊娠初期のマッサージと流産リスクに関する科学的検討。
- Liangら『Heliyon』(2023年)—妊娠中のリフレクソロジーに関する系統的レビュー。
- 日本産婦人科医会「妊娠末期に起こり得る症状」—むくみと深部静脈血栓症の見分け方。
- MSDマニュアル家庭版「妊娠後半にみられるむくみ」—妊娠後期のむくみの原因と受診の目安。
- ACOG「Can I get a massage while pregnant?」—妊婦向けマッサージの姿勢と施術者選び。

同じカテゴリの記事

真壁 直樹

美容・ファッション担当として8年以上の取材経験。beauty領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

おすすめの関連記事