2026年の日本銀行年収を調べる際、最初に押さえたいのが、平均年収と個別の職種・役職の給与は同じではないという点です。
日本銀行が2026年6月30日に公表し、7月31日に訂正した2025年度の役職員給与資料では、常勤職員の平均年間給与額は910万9,000円でした。
平均年齢は43.7歳です。したがって、約911万円という数字は新卒や若手職員の年収ではなく、幅広い年齢・職位の職員を含む平均値です。
また、2026年度の給与改定では、管理職等以外の職員の定例給与が3.4%引き上げられています。賞与の支給率も変更されており、2025年度の実績と2026年度の給与制度を区別して読む必要があります。
【職種・役職別】日本銀行職員の年収にはどれほど差がある?
日本銀行の給与は、職種、職責、勤務成績、職位などによって変わります。
2025年度の公式資料には、常勤職員全体の平均だけでなく、事務・技術職員、指定職相当職員、年俸制適用者の給与も掲載されています。
事務・技術職員の平均年収は約922万円
事務・技術職員の平均年間給与額は921万9,000円です。平均年齢は43.5歳で、対象となる職員は3,340人でした。
この区分には、日本銀行の中心的な業務を支える職員が含まれています。
職員全体の平均910万9,000円を約11万円上回っており、事務・技術職の給与水準も高いことが分かります。
指定職相当職員の平均は約2,197万円
指定職相当職員は、局長・審議役級に相当する職員です。
2025年度の平均年間給与額は2,196万7,000円で、対象人数は34人、平均年齢は54.6歳でした。
一般の事務・技術職員と比べて大きな差があるのは、職責や組織運営上の役割が異なるためです。
年俸制適用者の平均年収は約1,664万円
年俸制適用者は788人で、平均年齢は48.8歳。平均年間給与額は1,663万8,000円でした。
内訳を見ると、指定職相当職員34人の平均は2,196万7,000円、事務・技術職員754人の平均は1,639万7,000円です。
ただし、年俸制適用者の平均は一般職員の平均と単純に比較できません。年齢や職責の構成が異なるためです。
2025年度の職種・職位別給与比較
| 区分 | 人数 | 平均年齢 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 常勤職員全体 | 3,719人 | 43.7歳 | 910.9万円 |
| 事務・技術職員 | 3,340人 | 43.5歳 | 921.9万円 |
| 指定職相当職員 | 34人 | 54.6歳 | 2,196.7万円 |
| 年俸制適用者全体 | 788人 | 48.8歳 | 1,663.8万円 |
| 年俸制・事務技術職 | 754人 | 48.5歳 | 1,639.7万円 |
| 参事役級 | 86人 | 51.5歳 | 1,987.0万円 |
| 企画役級 | 651人 | 47.8歳 | 1,597.5万円 |
| 非管理職級 | 2,498人 | 41.3歳 | 704.4万円 |
※金額は2025年度の平均年間給与額。職位別の参事役級・企画役級・非管理職級は事務・技術職員の区分です。年俸制適用者は職員全体の内数であり、別の職員集団として加算するものではありません。金額は額面の年間給与で、手取り額ではありません。
この比較で特に注目したいのは、非管理職級の平均704万4,000円と、指定職相当職員の平均2,196万7,000円の差です。
日本銀行の平均年収が約911万円だからといって、入行した職員全員が同じ水準の給与を受け取るわけではありません。昇進や職責、年俸制の適用によって、給与水準には大きな幅があります。
【2026年度最新】ベースアップ3.4%・賞与・初任給を解説
2026年度の日本銀行職員の待遇で大きなポイントとなるのが、定例給与の引き上げと賞与支給率の改定です。
日本銀行は2026年9月29日に「日本銀行職員の給与等の概要について」を公表しました。
ベースアップは3.4%に引き上げ
2026年度は、管理職および企画専門職員を除く職員の定例給与を、前年度比3.4%引き上げることになりました。
再雇用者であるエキスパート職員についても、時間給が3.4%改定されています。
ここで注意したいのは、3.4%のベースアップが全職員に一律適用されるわけではないことです。管理職等は別の給与制度に基づいて扱われます。
また、ベースアップは定例給与の改定であり、年間給与全体が必ず3.4%増えるという意味ではありません。
賞与は5月・11月の年2回
2026年度の賞与は、5月と11月に支給されます。
1回当たりの支給率は次のとおりです。
- 管理職等以外の職員:2.445か月
- 管理職等:3.452か月
- エキスパート職員:1.331か月
- 補助的・定型的事務を担当するエキスパート職員:1.095か月
管理職等以外の職員の場合、2回分を単純合計すると4.89か月分です。
ただし、これは賞与の支給率であり、実際の支給額は給与水準や勤務成績などによって異なります。
賞与の支給率は、2025年度の2.403か月から2026年度の2.445か月へ上昇しています。
日本銀行の初任給は2026年度に改定
日本銀行は2026年3月26日、事務職員の初任給を改定し、2026年度から適用すると発表しました。
新しい初任給は以下のとおりです。
大学院修了者
- 総合職:31万円
- 特定職:29万6,000円
- 一般職:27万8,000円
大学卒業者
- 総合職:29万4,000円
- 特定職:28万4,000円
- 一般職:27万4,000円
その他の学歴
- 短期大学卒業者:25万2,000円
- 高等学校卒業者:24万円
いずれも月額です。
大学卒業者の場合、総合職と一般職では月額2万円の差があります。大学院修了者についても、採用区分によって初任給が異なります。
この改定によって、新卒採用時点の給与水準も引き上げられました。ただし、初任給を12倍した金額だけで年間給与を判断することはできません。賞与や諸手当なども年間収入に関係するためです。
【総裁・副総裁の年収】日本銀行の役員報酬はいくら?
日本銀行の総裁や副総裁は、一般職員とは異なる役員報酬の仕組みが適用されます。
2026年6月に公表された2025年度の役職員報酬資料によると、役員の年収水準は次のとおりです。
- 総裁:3,781万円
- 副総裁:3,001万円
- 審議委員:2,880万円
- 監事:1,728万円
- 理事:2,333万円
総裁の年収は約3,800万円で、一般職員の平均910万9,000円と比較すると約4.15倍です。
副総裁も3,000万円を超えています。
総裁と副総裁の給与はどのように決まる?
日本銀行法第31条は、役員と職員の報酬・給与・退職手当について、社会一般の情勢に適合するよう支給基準を定め、財務大臣に届け出るとともに公表することを定めています。
役員の給与基準については、特別職国家公務員の給与や退職手当なども考慮する仕組みです。
日本銀行の役員報酬は、毎月支給される役員俸給と、6月・12月に支給される役員手当で構成されています。
2025年度は、特別職国家公務員の給与改定状況などを考慮し、役員俸給と役員手当を引き上げました。年収の引き上げ率は前年度比4.8~6.9%です。
なお、同年度の公表資料では、役員報酬に業績連動の仕組みは採用されていないと説明されています。
日本銀行法第31条と職員給与支給基準の関係
日銀職員の給与が一般の国家公務員と同じ制度で決まるわけではありません。
日本銀行法第30条では、役員と職員を法令上、公務に従事する職員とみなすことが定められています。
一方、第31条では、給与支給基準の設定と公表が義務付けられています。
つまり、日本銀行は公共性の高い中央銀行でありながら、必要な専門人材を確保するために、民間企業の処遇も考慮した独自の給与制度を運用しています。
【民間金融機関と比較】日本銀行の年収が高い理由とは?
日本銀行の年収を評価するには、国家公務員だけでなく、民間金融機関や大手企業との比較も欠かせません。
2025年度の日本銀行の給与水準に関する検証資料には、比較対象となる企業群と国家公務員の平均年間給与が掲載されています。
その数字は次のとおりです。
- 主要民間金融機関・主要民間企業:1,053万2,000円
- 日本銀行の事務・技術職員:921万8,000円
- 国家公務員(行政職(一)):714万3,000円
この比較では、日本銀行の事務・技術職員は国家公務員より高く、比較対象となる民間企業群よりは低い水準です。
ただし、民間企業の数値は2024年度の有価証券報告書などに基づくもので、日本銀行の2025年度実績と完全に同じ年度の比較ではありません。
また、比較対象は主要民間金融機関だけではなく、主要民間企業も含みます。一般の銀行員全体の平均年収と同じ意味ではありません。
日本銀行が民間企業の給与を参考にする理由
日本銀行が給与を決める際に重視しているのは、専門性を持った人材の確保です。
金融政策、金融市場、金融システム、決済などを扱う中央銀行では、金融・経済分野に関する高度な知識や経験を持つ人材が必要になります。
そのため、給与水準の決定にあたっては、採用面で競合する主要民間金融機関や主要民間企業の処遇も調査しています。
実際に2025年度の公式資料では、比較対象先の平均的な給与改定率を、毎年の給与改定を判断する主な材料としていることが説明されています。
一方、日本銀行は業務や財産の公共性も踏まえ、人件費全体が適正かつ効率的になるよう配慮するとしています。
国家公務員より高い給与水準は妥当なのか?
日本銀行の給与水準を国家公務員と比較すると、年齢・地域・学歴を考慮した指数は123.0です。
これは、比較条件を調整した場合でも、日本銀行の給与水準が国家公務員より高いことを示しています。
ただし、給与水準の差だけで待遇の妥当性を判断するのは適切ではありません。
日本銀行は、主要民間企業との人材獲得競争に加え、中央銀行としての公共的な役割も担っています。
給与水準の検証資料では、国からの財政支出割合は0%、2025年度決算の累積欠損額は0円とされています。
こうした財務面や人材確保の事情も含めて、給与制度を評価する必要があります。
【就職・転職前に確認】日本銀行の年収を見るときの注意点
日本銀行への就職や転職を検討する場合、平均年収911万円という数字だけを判断材料にするのはおすすめできません。
確認したい要点は大きく3つあります。
1. 平均年収と初任給を混同しない
平均年収910万9,000円は、平均年齢43.7歳の常勤職員を対象にした数字です。
一方、2026年度の大学卒総合職の初任給は月額29万4,000円です。
両者には年齢や職位の違いがあるため、平均年収を新卒の収入水準として考えることはできません。
2. 職種と昇進後の給与を確認する
事務・技術職員、指定職相当職員、年俸制適用者では、給与水準が異なります。
特に、参事役級や企画役級などの職位別データを見ると、管理職・専門職と非管理職の間に大きな差があります。
応募する採用区分だけでなく、入行後のキャリア形成や職位ごとの給与制度も確認することが大切です。
3. ベースアップと賞与の適用条件を確認する
2026年度のベースアップ3.4%は、管理職等以外の職員を対象とした改定です。
賞与も職位や雇用区分によって支給率が異なります。
したがって、求人情報を見る際には、基本給だけでなく、賞与、諸手当、給与改定の対象範囲を確認する必要があります。
日本銀行の年収は魅力的な水準ですが、収入の安定性や昇進後の処遇を重視する人と、専門性を活用して民間企業との競争環境でキャリアを築きたい人では、評価するポイントも変わってきます。
【日本銀行の年収】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本銀行職員の平均年収はいくらですか?
A1:2025年度の公式資料によると、常勤職員の平均年間給与額は910万9,000円です。平均年齢は43.7歳です。
Q2:日本銀行の大学卒初任給はいくらですか?
A2:2026年度の大学卒初任給は、総合職29万4,000円、特定職28万4,000円、一般職27万4,000円です。いずれも月額です。
Q3:日本銀行のボーナスは年間何か月分ですか?
A3:2026年度の管理職等以外の職員は、5月と11月にそれぞれ2.445か月分の支給率が設定されています。2回分を合計すると4.89か月分です。管理職等は別の支給率が適用されます。
Q4:日本銀行の総裁の年収はいくらですか?
A4:2025年度の総裁の年収水準は3,781万円です。同年度の副総裁は3,001万円となっています。
Q5:日本銀行の年俸制職員の平均年収はいくらですか?
A5:2025年度の年俸制適用者788人の平均年間給与額は1,663万8,000円です。平均年齢は48.8歳です。
まとめ:日本銀行の年収は高水準、2026年度の待遇改定にも注目
2026年11月時点で確認できる最新の2025年度公表資料では、日本銀行の常勤職員の平均年収は約911万円です。
職種別では事務・技術職員が約922万円、指定職相当職員が約2,197万円、年俸制適用者が約1,664万円となっており、職責や給与制度によって大きな差があります。
さらに2026年度は、管理職等以外の職員を対象に3.4%のベースアップが実施され、賞与の支給率も1回2.445か月に引き上げられました。大学卒総合職の初任給も月額29万4,000円に改定されています。
日本銀行の給与は、国家公務員の給与体系をそのまま適用したものではなく、中央銀行としての公共性と、民間金融機関・大手企業との人材獲得競争を考慮して設計されています。
日本銀行の年収を正しく理解する要点は、平均年収911万円という数字だけでなく、初任給・職種・職位・年俸制・賞与の仕組みを一緒に見ることです。
今後も2026年度の給与改定や次回の役職員給与公表資料によって、平均年収や待遇の実態がどう変化するかが注目されます。
主な根拠資料: 日本銀行「令和7年度役職員の報酬・給与等について」、2026年度「職員の給与等の概要」、2026年度事務職員初任給改定資料、日本銀行法第30条・第31条、財務省の役職員報酬検証資料。