漫画『キングダム』に登場する六大将軍とは、秦国の昭王が設けた特別な軍事制度に選ばれた6人の大将軍を指す。物語には、昭王時代に活躍した「旧六大将軍」と、秦王・嬴政(えいせい)が中華統一に向けて復活させた「新六大将軍」の2世代が登場する。
旧六大将軍は白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯の6人。新六大将軍は蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人で、第六将は当初から空席だった。さらに桓騎が戦死したことで、現在は第五将の席も空いている。
【基本解説】キングダムの六大将軍とは?昭王時代から嬴政の時代へ

六大将軍は、秦国の軍事力を象徴する特別な称号である。通常の将軍とは異なり、選ばれた6人には「戦争の自由」という特権が与えられていた。
この制度を創設したのが、秦の昭王(しょうおう)だ。昭王は後に始皇帝となる嬴政の時代より前に秦を治めた王であり、作中では秦の勢力を大きく拡大させた人物として描かれている。
六大将軍の最大の特徴は、王の許可を待たずに自らの判断で戦争を開始できること。通常であれば王の命令や中央の判断を必要とする軍事行動を、現場の最高司令官が主体的に進められる仕組みだった。
この権限によって秦軍は迅速な侵攻を可能にし、敵国にとっても大きな脅威となった。六大将軍の名前そのものが、秦の軍事的な強さを象徴する存在になっていたのである。
旧六大将軍と新六大将軍の違い
両者の違いは、活躍した時代と制度を設けた目的にある。
旧六大将軍は昭王の時代に秦の領土拡大を担った伝説的な将軍たち。一方、新六大将軍は嬴政が中華統一を実現するために復活させた新世代の将軍たちである。
昭王の死後、六大将軍の制度は消滅した。王騎ら旧世代の将軍が前線から姿を消したことで、秦軍はかつてのような圧倒的な軍事体制を失っていた。
そこに登場したのが嬴政だ。彼は旧制度を復活させ、次の時代を担う将軍たちに大きな権限を与えることで、六国制覇に向けた軍事体制を整えていく。
【旧六大将軍一覧】白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯の正体
旧六大将軍は、昭王時代の秦を支えた6人の名将である。それぞれ異なる戦歴や特徴を持ち、作中でも伝説的な存在として語られている。
白起(はくき)|旧六将を代表する秦の大将軍
白起は、旧六大将軍の中でも特に大きな武功を残した人物として知られる。
作中では圧倒的な軍事的実績を持つ伝説の将軍として扱われ、秦の軍事力を語るうえで欠かせない存在だ。
史実でも白起は実在し、長平の戦いなどで秦軍を率いた名将として『史記』に記録されている。昭王との関係が悪化した末に自害を命じられたことも歴史上の出来事として知られる。
王騎(おうき)|信に大将軍の夢を託した伝説の将軍
王騎は、旧六大将軍の中でも読者にとって特に印象深い人物だ。
独特の話し方と圧倒的な存在感を持ち、戦場では冷静な判断力と卓越した指揮能力を発揮する。昭王時代の六大将軍として活躍した後、前線から退いていたが、嬴政との出会いを経て再び戦場へ向かう。
馬陽の戦いでは龐煖との戦いで致命傷を負い、信に自らの矛と大将軍としての志を託して命を落とした。
王騎の死は、信が天下の大将軍を目指すうえで大きな転換点となる。旧六大将軍の存在を、単なる過去の伝説ではなく、次世代へ受け継ぐべき目標として印象づけた人物でもある。
摎(きょう)|旧六将唯一の女性で王騎の婚約者
摎は、旧六大将軍の中で唯一の女性として描かれる人物だ。
作中では昭王の娘という出自を持ちながら、戦場で武功を重ねて六大将軍の一角に上り詰めた。王騎とは深い関係にあり、将来を誓い合った婚約者でもあった。
摎には、敵の城を100個攻略したら王騎と結婚するという約束があった。しかし、あと一歩というところで龐煖との戦いに敗れ、命を落とす。
この出来事は王騎の人生にも大きな影響を与えた。王騎と龐煖の因縁を理解するうえでも、摎の存在は重要である。
王齕(おうこつ)|長平の戦いにも関係する秦の名将
王齕も旧六大将軍の一人として名前が挙がる将軍だ。
作中での個人的な描写は多くないが、史実では秦の軍事拡大を支えた実在の将軍として知られている。長平の戦いでは、当初、秦軍を率いて趙の廉頗と対峙した人物でもある。
王齕について見逃せないのが、史実における王騎との関係だ。『史記』の注釈では王齮と王齕を同一人物とする記述があり、歴史上の人物の対応関係には議論がある。
ただし、『キングダム』では王騎と王齕は別々の六大将軍として設定されている。
胡傷(こしょう)|知略に関係する旧六将
胡傷は、旧六大将軍の一人として名前が残る人物だ。
作中では軍略に長けた将軍として語られるが、王騎や白起と比較すると具体的な登場場面は少ない。
史実でも秦の将軍として記録が残っている。紀元前269年の閼与の戦いでは、趙の名将・趙奢に敗れたことが知られている。
作中の設定と史実の記録には違いがあり、胡傷の人物像を理解する際には両者を分けて考える必要がある。
司馬錯(しばさく)|秦の領土拡大を支えた歴史的名将
司馬錯は、旧六大将軍の一人であり、史実でも秦の発展に大きく貢献した将軍だ。
特に知られているのが、紀元前316年の蜀攻略である。蜀を征服したことは秦の国力を高める重要な出来事となった。
作中での描写は限られているものの、歴史的な秦の勢力拡大を理解するうえでは欠かせない人物である。
【新六大将軍一覧】蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人と空席の第六将
嬴政が復活させた新六大将軍制度は、物語の中でも大きな転換点となった。
単行本62巻・第671話「任命の儀」で、蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人が任命される。ところが、六大将軍という名前でありながら、6人目は選ばれなかった。
蒙武(もうぶ)|圧倒的な武力を誇る第一将
蒙武は秦軍屈指の武力を持つ将軍であり、新六大将軍の第一将として任命された人物だ。
合従軍との戦いでは楚の大将軍・汗明を討ち取るなど、圧倒的な突破力を見せた。
複雑な戦略よりも、正面から敵を打ち破る力強さが大きな特徴である。秦軍の武力を象徴する存在といえる。
騰(とう)|王騎軍を引き継いだ総合力の高い将軍
騰は王騎軍の副官を務めていた人物で、王騎の死後はその軍を引き継いだ。
飄々とした態度を見せる一方、戦場では高い判断力と実力を発揮する。王騎から受け継いだ軍をまとめ上げ、独立した大将軍として成長した。
韓攻略戦では総大将を務め、秦による韓の滅亡を実現するうえで重要な役割を果たした。
王翦(おうせん)|天下統一を見据える知略の将軍
王翦は、極めて高い戦略眼と慎重な判断力を持つ将軍だ。
敵の戦力や地形、兵站などを冷静に分析し、勝算がある戦いを重視する。自らの野心をうかがわせる発言や行動もあり、作中では独特の存在感を放っている。
鄴攻略戦など秦の重要な戦いで大きな役割を担い、趙攻略においても中心的な人物となっている。
楊端和(ようたんわ)|山の民を率いる女王
楊端和は山の民を統率する女王であり、秦国と山の民を結びつける重要人物だ。
圧倒的な戦闘能力に加えて、異なる民族をまとめる統率力も持つ。山の民の機動力や独自の戦闘能力を秦軍の戦力として活用できる点が大きな強みだ。
鄴攻略戦では橑陽方面を担当するなど、秦の大規模な軍事作戦を支えている。
桓騎(かんき)|常識を覆す奇策の将軍
桓騎は、従来の将軍とは異なる発想で戦場を支配する人物だ。
野盗集団を率いていた過去を持ち、相手の心理を読み切る戦術や大胆な奇策を得意とする。黒羊丘の戦いなどでは、正面からの武力だけでは説明できない勝利を重ねた。
しかし、趙攻略戦の肥下の戦いでは李牧の軍に追い詰められ、戦死する。単行本69巻・第752話から第753話にかけて描かれる最期は、新六大将軍の歴史における大きな出来事となった。
第六将はなぜ空席なのか?
新六大将軍の任命時、嬴政は5人に比肩する人物がいないとして第六将を空席にした。
つまり、単に候補者が不足していたというよりも、すでに任命された5人と同等の実力や存在感を持つ将軍を慎重に選ぼうとした結果と考えられる。
信、王賁、蒙恬といった次世代の将軍候補には、それぞれ大きな成長の余地がある。とりわけ信は王騎から大将軍の志を受け継いでおり、第六将の候補として名前が挙がりやすい存在だ。
ただし、信が第六将に任命されるという公式発表や確定した展開はない。第六将の正体は、2026年11月時点でも未確定である。
【人物相関・死亡順一覧】旧六将と新六将の関係を比較
六大将軍を理解するには、名前だけでなく、それぞれの時代や人物関係、物語での最期を整理すると分かりやすい。
以下は、旧六大将軍と新六大将軍を比較した一覧である。
| 世代 | 人物 | 主な特徴・関係 | 最期・2026年時点 |
|---|---|---|---|
| 旧六将 | 白起 | 長平の戦いで知られる秦の名将 | 作中開始時点で故人 |
| 旧六将 | 王騎 | 信の師。摎の婚約者 | 馬陽の戦いで戦死 |
| 旧六将 | 摎 | 昭王の娘。王騎の婚約者 | 龐煖との戦いで戦死 |
| 旧六将 | 王齕 | 長平の戦いに関係する秦の将軍 | 作中開始時点で故人 |
| 旧六将 | 胡傷 | 軍略に長けた将軍として語られる | 作中開始時点で故人 |
| 旧六将 | 司馬錯 | 蜀攻略で知られる歴史的名将 | 作中開始時点で故人 |
| 新六将 | 蒙武 | 圧倒的な武力を持つ第一将 | 第892話時点で生存 |
| 新六将 | 騰 | 王騎軍を引き継いだ将軍 | 第892話時点で生存 |
| 新六将 | 王翦 | 知略に優れた戦略家 | 第892話時点で生存 |
| 新六将 | 楊端和 | 山の民を率いる女王 | 第892話時点で生存 |
| 新六将 | 桓騎 | 奇策を得意とする将軍 | 肥下の戦いで戦死 |
| 新六将 | 第六将 | 嬴政が任命を見送った席 | 未任命・空席 |
旧六大将軍の死亡順は判明している?
旧六大将軍6人について、全員の死亡順を確定できる公式年表は存在しない。
作中で明確に描かれているのは、摎が龐煖との戦いで王騎より先に命を落とし、その後、王騎も馬陽の戦いで戦死したという関係だ。
白起・王齕・胡傷・司馬錯については、物語開始時点ですでに故人となっているものの、全員を死亡した順番に並べられるだけの情報は示されていない。
新六大将軍の死亡順は?
新六大将軍では、現在までに死亡が確認されているのは桓騎のみである。
桓騎は肥下の戦いで李牧に敗れ、戦死した。蒙武・騰・王翦・楊端和の4人は第892話時点で生存している。
また、最初から空席だった第六将と、桓騎の戦死によって空いた第五将は別の席だ。この2つを混同すると、現在の新六大将軍の状況を正しく理解できなくなる。
【六大将軍の特権】戦争の自由とは何がすごいのか?
六大将軍を通常の大将軍と区別する最大の要素が「戦争の自由」である。
通常の軍事体制では、将軍が戦争を開始する際に王や中央政府の判断を必要とする。しかし六大将軍は、与えられた権限の範囲で自ら戦争を開始し、戦況に応じて軍を動かすことができる。
この仕組みには、秦にとって大きな軍事的メリットがあった。
1. 戦場での判断が速くなる
戦争では、情報を中央に送り、許可を得てから行動するまでの時間が勝敗を左右する。
六大将軍に大きな裁量を与えれば、敵軍の動きや地形の変化に応じて迅速に作戦を変更できる。王の判断を待つ必要が減るため、遠方での戦闘でも柔軟に対応できる。
2. 将軍個人の能力を最大限に生かせる
蒙武の武力、王翦の知略、楊端和の機動力、桓騎の奇策など、将軍ごとに得意分野は異なる。
全員に同じ作戦を強いるのではなく、それぞれが得意とする戦い方を実行できる環境を整えることが、六大将軍制度の強みだ。
3. 王の信頼と軍事的リスクが表裏一体になる
一方で、戦争の自由は大きな責任も伴う。
独自の判断で軍を動かせるということは、判断を誤れば国家全体に大きな損害を与える可能性もあるということだ。
そのため、六大将軍に必要なのは戦闘能力だけではない。王への忠誠心、状況を判断する能力、軍を率いる責任感なども欠かせない。
嬴政が5人だけを選び、第六将を空席にしたことには、この制度の重さも表れている。
【史実との違い】六大将軍は本当に実在した?昭王と始皇帝の歴史を検証
『キングダム』は春秋戦国時代末期の秦を中心に描く歴史漫画であり、実在した人物や戦争を物語の土台にしている。
しかし、六大将軍という制度そのものは史実に確認されていない。昭王が6人の将軍に戦争の自由を与えたという設定は、原泰久による作品独自の創作である。
六大将軍のメンバーは実在した人物なのか
旧六大将軍に名前が挙がる人物の多くは、実際に秦の将軍として歴史資料に登場する。
白起は長平の戦いで知られ、司馬錯は蜀攻略を主導した人物として記録されている。摎や胡傷、王齕についても秦の軍事史に関係する記録が残る。
一方、王騎については『史記』に登場する王齮がモデルと考えられている。ただし、王齮と王齕の関係には史料上の表記や同一人物説をめぐる問題があり、作品の人物と史実の人物を完全に一対一で対応させることは難しい。
史実と作中設定の主な違い
特に注目したい違いは次の4点だ。
第一に、六大将軍制度の有無。史実の『史記』には、昭王が六人の将軍を選び、戦争の自由を与えたという制度は記録されていない。
第二に、摎の人物設定。漫画では女性であり、昭王の娘、王騎の婚約者として描かれる。しかし、史実の摎については女性であったことや王族との関係を裏付ける記録は確認できない。
第三に、王騎の最期。作中では馬陽の戦いで龐煖に敗れて死亡するが、史実の王齮については死去した記録が残る程度で、漫画のような戦死の経緯は伝わっていない。
第四に、活動時期の違い。史実の秦将たちは必ずしも同じ時期に活躍したわけではない。司馬錯の蜀攻略は紀元前316年、摎による西周攻略は紀元前256年と、大きな時間差がある。
つまり、歴史上の秦の名将たちを一つの世代に集め、六大将軍という称号を与えることで、秦の軍事的な黄金時代を象徴する存在に仕立てたのが『キングダム』の設定なのだ。
2026年最新の原作展開はどうなっている?
2026年11月3日時点で、週刊ヤングジャンプ掲載の最新話は第892話。2026年10月29日発売号に掲載された「不思議な縁」では、趙の北辺における李牧とカイネの過去が描かれている。
単行本は集英社から2026年8月19日に80巻が発売されており、趙完全攻略戦の展開が続いている。
六大将軍に関しては、桓騎の戦死後も第五将の後任は決まっていない。また、当初から空席だった第六将についても新たな任命は描かれていない。
今後の注目点は、信・王賁・蒙恬ら次世代の将軍たちがどこまで成長するか、そして嬴政が残された席をどのような基準で埋めるのかという点にある。
【キングダムの六大将軍に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:キングダムの旧六大将軍は誰ですか?
A1:昭王時代の旧六大将軍は、白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯の6人です。秦の軍事的な黄金時代を支えた伝説的な将軍たちとして描かれています。
Q2:新六大将軍の第六将は誰ですか?
A2:2026年11月時点では未定です。嬴政は任命時に5人に比肩する将軍がいないとして第六将を空席にしました。信が候補として注目されることはありますが、正式な任命はありません。
Q3:六大将軍の中で死亡したのは誰ですか?
A3:旧六大将軍は物語開始時点で全員が故人です。新六大将軍では桓騎の戦死が確認されています。蒙武・騰・王翦・楊端和は第892話時点で生存しています。なお、旧六将全員の死亡順は公式には確定していません。
まとめ:キングダムの六大将軍は秦の歴史と未来をつなぐ存在
『キングダム』の六大将軍は、昭王時代の旧六将と、嬴政が復活させた新六将の2世代に分けられる。
旧六大将軍は白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯。新六大将軍は蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人で構成され、当初から第六将は空席だった。桓騎の戦死によって、現在は第五将の席も空いている。
六大将軍の特権である「戦争の自由」は、単なる称号ではない。王から大きな信頼を受け、国家の命運を左右する軍事判断を任されるという特別な責任を意味している。
史実では六大将軍という制度は確認されていないものの、登場人物の多くは実在した秦の将軍をモデルとしている。歴史上の人物と創作上の制度を組み合わせた点が、この設定の面白さだ。
今後の物語で注目したいのは、空席となった第五将・第六将を誰が引き継ぐのかという点である。王騎から大将軍の志を受け継いだ信をはじめ、次世代の将軍たちがどのような成長を遂げるのか。嬴政の中華統一とともに、六大将軍の新たな歴史にも注目が集まる。