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【行定勲のプロフィール】熊本出身の映画監督はどのようにキャリアを築いたのか

氷室 美冬 氷室 美冬 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
目次

基本プロフィール

項目 内容
名前 行定勲
読み方 ゆきさだ・いさお
生年月日 1968年8月3日
年齢 58歳(2026年11月現在)
出身地 熊本県熊本市
出身高校 熊本県立第二高等学校
出身専門学校 東放学園映画専門学校
職業 映画監督・脚本家・演出家
主な代表作 『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』『窮鼠はチーズの夢を見る』『楓』

出典:FMK、東放学園、映画.comの人物プロフィール。

映画監督を志した原点は熊本城にあった

行定勲の映画人生を語るうえで欠かせないのが、故郷・熊本での少年時代です。

小学生の頃、熊本城で黒澤明監督の映画『影武者』の撮影現場を目にしたことが、映画の世界に興味を持つきっかけになりました。

映画そのものだけでなく、現場で働く大勢のスタッフの姿に心を動かされたと、本人は過去のインタビューで振り返っています。

この原体験は、完成した作品だけでなく、映画を作る現場そのものに関心を持つ監督の出発点として興味深いものです。

岩井俊二・林海象の助監督として経験を積む

高校卒業後は東放学園映画専門学校に進学。在学中から映像制作会社で仕事を始めました。

初期のキャリアでは、映画監督の岩井俊二や林海象の作品に助監督として参加しています。

特に岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『Love Letter』『スワロウテイル』などの制作現場を経験したことは、映像表現を学ぶうえで大きな意味を持ちました。

その後、1997年に『OPEN HOUSE』で長編映画を初監督。2000年公開の『ひまわり』が初の劇場公開作品となります。

この『ひまわり』は第5回釜山国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。監督としての評価を国内外に広げました。

経歴で押さえたいポイント

- 1997年:『OPEN HOUSE』で長編映画初監督。
- 2000年:『ひまわり』で劇場公開作デビュー。釜山国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
- 2001年:『GO』を発表。
- 2002年:第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。
- 2004年:『世界の中心で、愛をさけぶ』が大ヒット。
- 2010年:『パレード』がベルリン国際映画祭で評価される。
- 2018年:『リバーズ・エッジ』で再びベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
- 2025年:映画『楓』を公開。

この経歴を見ると、行定勲は突然大作を任された監督ではありません。助監督時代から積み上げた現場経験を、インディペンデント映画での演出と商業映画の成功につなげてきた人物です。

【行定勲の監督作品一覧】年代別に見る代表作とキャリアの転換点

行定勲

行定勲の監督作品は、恋愛映画だけに限定されません。

青春映画、社会的テーマを扱う作品、文学作品の映画化、群像劇、サスペンス、時代劇まで幅広いジャンルに挑戦しています。

FMKの公式プロフィールに掲載されている長編映画の記録を中心に、主な作品を年代順に整理します。

年代 主な監督作品 キャリア上の意味・関連人物 1997年 OPEN HOUSE 長編映画初監督 2000年 ひまわり、閉じる日 釜山国際映画祭で評価 2001年 贅沢な骨、GO 『GO』で窪塚洋介、宮藤官九郎と組み、国内映画賞を受賞 2002~2004年 ロックンロールミシン、セブンス アニバーサリー、きょうのできごと、世界の中心で、愛をさけぶ 青春映画と大規模な商業映画の両立 2005~2010年 北の零年、春の雪、遠くの空に消えた、クローズド・ノート、今度は愛妻家、パレード 歴史劇から群像劇まで演出の幅を拡大 2013~2018年 つやのよる、円卓、真夜中の五分前、ピンクとグレー、ジムノペディに乱れる、ナラタージュ、リバーズ・エッジ 恋愛・文学・青春の暗部を描き、海外映画祭でも評価 2020年 劇場、窮鼠はチーズの夢を見る 恋愛における人間の弱さや矛盾を掘り下げる 2023年 リボルバー・リリー 長編アクション・エンターテインメントへの挑戦 2025年 楓 スピッツの楽曲を原案にした恋愛映画

作品一覧を理解するための補足

上記は主な長編監督作品です。短編・中編映画やドラマ、ミュージックビデオなどにも活動領域は広がっています。

代表的な短編・中編作品には、次のものがあります。

- 『えんがわの犬』
- 『ユビサキから世界を』
- 『ショコラの見た世界』
- 『うつくしいひと』
- 『うつくしいひとサバ?』
- 『いっちょんすかん』
- 『きょうのできごと a day in the home』

また、2019年のオムニバス映画『その瞬間、僕は泣きたくなった』にも参加しています。

監督作品と企画・プロデュース作品は区別が必要

検索結果では、行定勲が関わった作品として『ひとりぼっちじゃない』や『サイド バイ サイド 隣にいる人』も表示されます。

ただし、これらは企画・プロデュースとして参加した作品です。監督作品と同じ扱いにするのは正確ではありません。

人物のフィルモグラフィーを調べるときは、作品名だけでなく、監督・脚本・企画・プロデュースのどの立場で参加したのかを見る必要があります。

【代表作5選】『GO』から『楓』まで行定勲の映画は何がすごいのか

行定勲の評価を理解するなら、単に興行収入の大きい作品だけを見るのでは不十分です。

重要なのは、作品ごとに題材や登場人物が異なっても、人間関係の中にある矛盾や、本人さえ整理できない感情を描いていることです。

ここでは、特に知名度とキャリア上の重要性が高い5作品を取り上げます。

1.『GO』:監督としての評価を決定づけた代表作

- 公開:2001年
- 原作:金城一紀
- 脚本:宮藤官九郎
- 主演:窪塚洋介
- 主な出演者:柴咲コウ、大竹しのぶ、山﨑努

『GO』は、行定勲の名前を映画ファン以外にも広く知らしめた作品です。

主人公は在日韓国人の高校生・杉原。家族や友人との関係、恋愛、国籍、差別、アイデンティティーといった問題に直面しながら、自分自身の生き方を見つけていきます。

重い社会的テーマを扱いながら、青春映画らしい疾走感とユーモアを失わない構成が特徴です。

脚本を担当した宮藤官九郎のテンポのよい会話と、窪塚洋介のエネルギッシュな演技も作品の魅力を支えました。

第25回日本アカデミー賞では、行定勲が最優秀監督賞を受賞。作品としても複数の部門で評価されました。

『GO』は、行定勲作品を初めて見る人にとって、最初の1本としておすすめできる映画です。

2.『世界の中心で、愛をさけぶ』:日本映画を代表する大ヒット恋愛作品

- 公開:2004年5月8日
- 原作:片山恭一
- 主演:大沢たかお、柴咲コウ
- 主な出演者:長澤まさみ、森山未來、山﨑努

『世界の中心で、愛をさけぶ』は、2004年の日本映画界を象徴する大ヒット作品です。

高校時代の初恋と、最愛の人を失った後の人生を交錯させながら、記憶と喪失、そして再生を描きます。

過去と現在を往復する構成によって、失われた時間が現在の主人公にどのような影響を与えているのかが浮かび上がります。

特に長澤まさみと森山未來が演じた高校時代の2人の姿は、多くの観客の記憶に残りました。

WOWOWの作品紹介によれば、興行収入は85億円。2004年の実写日本映画年間1位を記録しています。

この作品の成功は、行定勲が単なる映画祭向けの作家ではなく、幅広い観客に届く商業映画を作れる監督であることを示しました。

3.『ナラタージュ』:大人になりきれない恋愛の苦しさ

- 公開:2017年
- 原作:島本理生
- 主演:松本潤、有村架純
- 主な出演者:坂口健太郎

『ナラタージュ』は、教師と元教え子という関係を背景に、過去の恋愛を引きずる人間の複雑な感情を描いた作品です。

恋愛を美しい思い出だけで整理するのではなく、依存、未練、嫉妬、罪悪感などが入り混じるものとして描いています。

行定作品の特徴である、登場人物の感情を一つの言葉で説明しきらない演出がよく表れています。

観客が登場人物の行動を全面的に肯定できるとは限りません。それでも、その人物がなぜその選択をしたのかを考えさせるところに、本作の魅力があります。

4.『窮鼠はチーズの夢を見る』:愛情と欲望の境界を描いた意欲作

- 公開:2020年9月11日
- 原作:水城せとな
- 主演:大倉忠義、成田凌

『窮鼠はチーズの夢を見る』は、行定勲の恋愛映画に対する姿勢を知るうえで重要な作品です。

大伴恭一と今ヶ瀬渉という2人の男性を中心に、愛情、執着、裏切り、自己防衛といった感情が描かれます。

単純な恋愛の成就を目指す物語ではありません。

相手を求める気持ちが強くなるほど、自分の身勝手さや弱さも露呈していく。その過程を、俳優の表情や距離感、身体的な演技によって表現しています。

行定監督はニッポンドットコムのインタビューで、登場人物を特別な存在としてではなく、社会の中心にいる普通の人間として描きたいという意図を語っています。

この作品は、恋愛映画が好きな人だけでなく、人間の心理を深く描いた映画を求める人にも見応えがあります。

5.『楓』:スピッツの名曲から生まれた新しい喪失と再生の物語

- 公開:2025年12月19日
- 原案・主題歌:スピッツ「楓」
- 監督:行定勲
- 脚本:髙橋泉
- 主演:福士蒼汰、福原遥
- 主な出演者:宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗

『楓』は、スピッツの楽曲「楓」を原案にしたオリジナルのラブストーリーです。

物語の中心となるのは、須永涼と須永恵という双子の兄弟、そして恋人の木下亜子です。

恵はニュージーランドで事故に遭い、命を落とします。その後、兄の涼は、恵の代わりとして亜子の前で生活することになります。

真実を告げられない涼と、失った恋人の記憶を抱える亜子。2人の間に生まれる感情の変化が、物語の核となっています。

本作の重要なテーマは、単純な恋愛の成就ではなく、喪失からの再生です。

行定監督は公開前の試写会トークで、『世界の中心で、愛をさけぶ』を思い起こしたと語りながら、今作では失ったものを別の何かで補うのではなく、残された2人がどう立ち直るのかを描いていると説明しました。

ここには、20年前の代表作と現在の作品を結びつける興味深い共通点があります。

『世界の中心で、愛をさけぶ』では、失った人の記憶を抱えながら前に進む姿が描かれました。一方の『楓』では、喪失を経験した人間同士が新たな関係を築く過程に焦点が当てられています。

行定勲が長年取り組んできた「愛すること」と「失うこと」というテーマの変化を読み取れる作品です。

【行定勲の受賞歴】日本アカデミー賞とベルリン国際映画祭の評価

行定勲の実績は、国内の大ヒット映画だけではありません。

国際映画祭での評価も継続しており、特に国際批評家連盟賞の受賞歴が注目されます。

日本アカデミー賞最優秀監督賞は『GO』で受賞

2002年開催の第25回日本アカデミー賞で、行定勲は『GO』によって最優秀監督賞を受賞しました。

同賞の公式記録では、監督としての演出力に加え、独特の視点や繊細な映像感覚、エンターテインメント性とのバランスが評価されています。

加えて、その後も日本アカデミー賞の優秀監督賞に選ばれています。

- 第25回(2002年):『GO』最優秀監督賞
- 第28回(2005年):『世界の中心で、愛をさけぶ』優秀監督賞
- 第29回(2006年):『北の零年』優秀監督賞

つまり、最優秀監督賞は『GO』で獲得していますが、その後の代表作でも継続して国内の映画賞で評価されているのです。

ベルリン国際映画祭では2作品が国際批評家連盟賞を受賞

海外での代表的な実績が、ベルリン国際映画祭での受賞です。

年 作品 受賞・評価
2010年 『パレード』 第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門・国際批評家連盟賞
2018年 『リバーズ・エッジ』 第68回ベルリン国際映画祭パノラマ部門・国際批評家連盟賞

『パレード』は吉田修一の小説を映画化した群像劇です。異なる背景を持つ若者たちの共同生活を通じ、表面的な人間関係の裏側に潜む不穏さを描きました。

『リバーズ・エッジ』は岡崎京子の漫画を原作とし、若者たちの欲望や孤独、社会の中での居場所のなさを描いた作品です。

国際批評家連盟(FIPRESCI)の公式記録でも、両作品がベルリン国際映画祭で受賞したことが確認できます。

ここで押さえておきたいのは、これらがベルリン国際映画祭の最高賞である金熊賞ではなく、映画批評家による国際批評家連盟賞だという点です。

受賞の意味を正確に理解するには、映画祭本体の賞と独立した批評家賞を区別する必要があります。

受賞歴はジャンルの異なる作品にまたがっている

行定勲の受賞歴で興味深いのは、青春映画だけに評価が集中していないことです。

- 『ひまわり』:釜山国際映画祭国際批評家連盟賞
- 『GO』:日本アカデミー賞最優秀監督賞
- 『パレード』:ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞
- 『リバーズ・エッジ』:ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞
- 舞台『タンゴ・冬の終わりに』など:第18回千田是也賞

映画と舞台の両方で演出家として評価されてきたことも、行定勲のキャリアの特徴です。

【行定勲の作風と評判】なぜ恋愛や人間の弱さを描くのがうまいのか

行定勲の作風を一言で説明するなら、人間の感情をきれいごとだけで終わらせない映画作りです。

作品によって映像の雰囲気もジャンルも異なりますが、登場人物が抱える矛盾や、他人には理解されにくい感情を丁寧に描く点には共通性があります。

特徴1:恋愛を理想化せず、矛盾も含めて描く

行定勲の作品では、恋愛は必ずしも幸福なものとして描かれません。

好きだからこそ傷つけてしまう。離れたいのに離れられない。相手の幸せを願いながら、自分の欲望も捨てられない。

こうした感情が複雑に絡み合います。

映画『劇場』についての朝日新聞系メディア「好書好日」のインタビューでは、行定監督は大切な人を結果的に傷つけてしまうことや、幸せの定義の難しさについて語っています。

この考え方は、『ナラタージュ』や『窮鼠はチーズの夢を見る』にも通じるものです。

特徴2:俳優の個性を生かした演出

行定勲は、俳優の表情や仕草、声のトーンといった細かな部分にも注目する監督です。

『窮鼠はチーズの夢を見る』のインタビューでは、大倉忠義と成田凌それぞれが持つ俳優としての特性について説明しています。

一方の俳優の自然体の魅力を引き出し、もう一方の俳優の積極的なアプローチを受け止める。その違いを映画の中でぶつけることが、2人の関係性を立体的に見せる演出につながっています。

このような俳優の個性を尊重する演出は、窪塚洋介や長澤まさみ、松本潤、有村架純など、異なる世代の俳優たちと仕事をしてきた行定監督の強みです。

特徴3:文学作品や漫画の実写化でも独自の映像表現を追求する

行定勲は、原作付きの映画を多く手がけてきました。

金城一紀の『GO』、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』、島本理生の『ナラタージュ』、又吉直樹の『劇場』、水城せとなの『窮鼠はチーズの夢を見る』などが代表例です。

原作の世界観を尊重しながら、映画ならではの時間表現や視覚的な演出を加えることが特徴です。

本人も過去のインタビューで、原作の持つ力を映画としてどう表現するかを重視していると説明しています。

特徴4:美しい映像と厳しい人間描写が共存する

行定作品には、印象的な風景や光の使い方、人物の佇まいを生かした映像が多く見られます。

しかし、美しい映像が必ずしも物語を優しく見せるわけではありません。

『リバーズ・エッジ』では青春の明るさの裏側にある孤独や欲望を描き、『劇場』では愛情と自己中心性が入り混じる関係を描きました。

そのため、行定作品には、観終わった後に爽快感が残るものだけでなく、登場人物の選択について考え続けたくなる作品もあります。

行定勲の映画はどんな人に向いている?

観たい映画 おすすめ作品
青春映画・社会的テーマ 『GO』
泣ける恋愛映画 『世界の中心で、愛をさけぶ』
複雑な大人の恋愛 『ナラタージュ』
人間の欲望や愛情の葛藤 『窮鼠はチーズの夢を見る』
独特な青春群像劇 『リバーズ・エッジ』
喪失と再生を描く恋愛映画 『楓』

一方、明確な善悪や、必ず幸福な結末になる物語を求める人にとっては、一部の作品が重く感じられる可能性があります。

行定勲の映画を評価する際は、単純な感動の強さだけでなく、登場人物の心理描写や演出の意図にも目を向けると、作品の印象が変わってきます。

【2026年最新活動】映画『楓』の配信とくまもと復興映画祭での現在地

2026年11月4日時点

行定勲の2026年の活動を把握するうえで、重要なのは映画『楓』の展開と、熊本との継続的な関わりです。

映画『楓』は2026年にNetflixで独占配信

2025年12月19日に劇場公開された『楓』は、2026年にも展開が続いています。

映画公式サイトの発表によると、主なスケジュールは次のとおりです。

- 2025年12月19日:全国劇場公開
- 2026年1月20日:行定勲監督と青木マッチョによるトークイベント
- 2026年4月10日:豪華版Blu-ray・DVD発売の告知
- 2026年6月24日:Netflix独占配信開始
- 2026年7月8日:豪華版Blu-ray・DVD発売

これにより、劇場公開後も作品を鑑賞できる機会が広がりました。

また、スピッツの楽曲を原案にした作品という点でも、映画ファンだけでなく音楽ファンにも接点を持つ企画となっています。

くまもと復興映画祭2026でディレクターを務める

2026年の行定勲を語るうえで、もう一つ欠かせないのが、故郷・熊本との関わりです。

行定勲は「くまもと復興映画祭 powered by 菊池映画祭」のディレクターを務めています。

この映画祭は、2016年の熊本地震をきっかけとして2017年に始まりました。映画を通じて地域の復興を後押しすることを目的としています。

2026年は10月9日から11日まで開催されました。

主な会場は、熊本市の花畑広場と熊本城ホール・シビックホールです。

上映作品には、次のような作品が含まれました。

- 『うつくしいひと』
- 『贅沢な骨』
- 『GO』
- 『スワロウテイル 4Kリマスター』
- 『トロフィー』
- 『3ミリの恋』

特に『GO』や『贅沢な骨』といった行定監督自身の過去作が上映されたことは、キャリアを振り返る機会としても意味があります。

2026年7月の地震を受けても映画祭を開催

2026年の映画祭には、もう一つ重要な背景があります。

2016年の熊本地震から10年という節目に、熊本県では7月にも地震が発生しました。

報道によると、行定監督は開催を見送ることも検討したものの、映画を通じて支援の輪を広げるため開催を決めたとされています。

10月9日の前夜祭では、行定監督が熊本を舞台に制作した短編映画『うつくしいひと』が上映されました。

また、高良健吾、橋本愛、姜尚中らも関連イベントに参加しました。

この活動は、単なる出身地への郷土愛にとどまりません。

熊本という地域を映画の舞台として記録し、映画祭を通じて作品と観客、地域社会を結びつける取り組みです。

熊本を舞台にした『うつくしいひと』シリーズ

行定勲の熊本との関係を理解するには、『うつくしいひと』シリーズも見逃せません。

2016年の『うつくしいひと』は、熊本を舞台に制作された短編映画です。

その後、『うつくしいひとサバ?』などの関連作品も制作され、故郷の風景や人々を映画の中に取り込んできました。

映画祭のディレクターとしての活動と、自ら熊本を舞台に作品を撮ること。この2つが並行している点に、行定勲と熊本の深いつながりが表れています。

2026年11月も続くFMK「月刊行定勲」

もう一つの継続的な活動が、エフエム熊本のラジオ番組「月刊行定勲」です。

FMKの公式番組情報によると、同番組は21年目に突入しています。

映画監督とラジオ局が共同で制作する月1回の55分番組で、映画についての話題やリスナーとの交流を続けています。

2026年11月の放送予定は次のとおりです。

映画制作だけでなく、地元のラジオ番組を通じて継続的に発信していることも、2026年の行定勲を理解するうえで重要です。

【行定勲に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:行定勲は何と読みますか?

A1:行定勲は「ゆきさだ・いさお」と読みます。1968年8月3日生まれで、熊本県熊本市出身の映画監督です。

Q2:行定勲の代表作と日本アカデミー賞の受賞作品は何ですか?

A2:代表作には『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』『窮鼠はチーズの夢を見る』『リバーズ・エッジ』などがあります。日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した作品は、2001年公開の『GO』です。受賞は2002年の第25回でした。

Q3:行定勲の2026年最新作や活動は何ですか?

A3:確認できる最新の劇場公開長編監督作品は、2025年12月公開の『楓』です。2026年6月にはNetflixで独占配信が始まりました。また、10月のくまもと復興映画祭2026ではディレクターを務め、11月6日にはFMK「月刊行定勲」の放送も予定されています。

まとめ:行定勲の現在地と作品を理解するための判断基準

行定勲は、熊本県出身の映画監督として、1997年の『OPEN HOUSE』からキャリアをスタートさせました。

2001年の『GO』で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞し、翌年以降も『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』などで商業的な成功と国内評価を獲得。さらに『パレード』『リバーズ・エッジ』ではベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞しました。

そして2025年の『楓』では、スピッツの楽曲を出発点に、再び喪失と再生というテーマに取り組んでいます。

2026年には、映画の配信展開に加え、くまもと復興映画祭のディレクターやFMKのラジオ番組など、故郷とのつながりを生かした活動も続いています。

【プロの結論】行定勲を知るなら、作品の変化を追うことが大切

行定勲の評価を『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒットだけで判断するのは十分ではありません。

彼の映画監督としての本質は、作品ごとに題材やジャンルを変えながら、人間の愛情、孤独、欲望、喪失という普遍的なテーマを掘り下げている点にあります。

特に次の4作品を比較すると、その変化がよく分かります。

- 『GO』:社会の中で自分のアイデンティティーを探す青春。
- 『世界の中心で、愛をさけぶ』:大切な人を失った後の記憶と再生。
- 『窮鼠はチーズの夢を見る』:愛情と欲望が衝突する人間関係。
- 『楓』:喪失を経験した人間が新しい人生へ踏み出す物語。

この4作品を見比べれば、行定勲が単なる恋愛映画のヒットメーカーではなく、人間の感情を多角的に描き続けてきた映画作家であることが理解できます。

2026年の行定勲を知るための最も重要な視点は、過去の代表作と現在の活動を切り離さないことです。 『GO』で注目された若き監督は、現在も映画を通じて人間と社会、そして故郷・熊本との関係を描き続けています。

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氷室 美冬
コンテンツディレクター 氷室 美冬
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